緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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第183弾 優希vsレキー世界一激しき求婚

ミスったな・・・

目を開けて戦闘狂モードになった瞬間、そのミスに気づいた。

この距離なら、逃げるのではなく戦闘を勝負形式にすれば確実に勝てたがもはや、後の祭りだ。

「ルール確認だレキ、これから俺は逃げるがお前のキリングレンジ2051メートルから外に出たら俺の勝ち、

胸のボタン7ち全て吹き飛ばせばレキの勝ちだ」

「はい」

レキが頷く

「開始宣言から10秒後からレキは撃っていいがそれまでは撃たないこと。外部の協力はお互いに無しだ」

「・・・」

レキは黙って聞いている。

もっとも、この状況で助けを求めても無駄だろう。

確実に防げる姉さんはこの縁談に噛んでるし、その他の面子も時間的に無理。

というか、それは俺のプライドが許さない。

それに、今の俺はこの鬼ごっこを楽しみにしている。

困ったものだこの状態は・・・

とはいえ、ハイマキは例外だ。

あれは、レキの戦力、人間じゃない以上使うのは問題がない。

「何かいいたいことはあるか?」

「あなたが負ければ私と結婚する。誓いますか?」

「・・それでいい」

ちょっと、躊躇したが承諾する。

「それでは始めましょう」

その言葉が合図だった。

俺は屋上から飛び降りワイヤーを使って折りながら正面の壁に向かいワイヤーを発射する。

ターザンのように移動する途中

パァンとドラグノフの発砲音、同時に胸の第1ボタンが吹っ飛んだ。

「っ!」

もう、10秒かよ!

地面に降りながらレキから死角に入りながら武装を確認する。

ビリヤード撃ちは無理だ。

同じ理由で銃弾切りも使えない。

あれは、相手が見えているからこそ、出来る業だからな。

さて・・・どうしたもんか・・・

ビルを背に考えているとチュンと左から音が聞こえ、胸の第2ボタンが吹っ飛んだ。

「ち、跳弾かよ!」

見えてないはずなのに!

舌打ちして再び走り出す。

走りながら状況的にワイヤーが封印されている事実に気づく。

駄目だワイヤーを使って飛び上がったその瞬間、撃たれる。

レキにはワイヤーの存在が完全にばれている以上複雑な機動をしても見破られるだろう。

「ちくしょう!だからスナイパーとは戦いたくないんだ!」

見える相手なら剣術や銃で防御できるがこの手の相手は昔から、一方的に殴られるパターンが多い。

撃たれる状況を作る時点で負けといってもいいのだ。

姉さんとの旅の知識の対抗策ではこの状況には対応できない。

スナイパーに狙われてもあの人は手から光弾を放ってスナイパーがいる場所ごと殲滅してたからな。

俺にはあんなこと出来ないし仮に出来てもレキ相手にする選択肢はありえない。

あいつだって友達なんだし

その友達に狙われてるんだがな俺

商店街に入る。

人通りが多い場所なら撃てねえだろレキ

そう思った瞬間右手のカザフボタンが吹っ飛んだ。

地面には弾痕がある。

人がいてもおかまいなしか!危ないだろうが!

と心の中で怒鳴るが、分かっているのだレキは外さない絶対の自信がある。

今も3発全てが俺のボタンに命中しているのだ。

実戦ならすでに3回死んでいる。

「くそ!」

隼が頭に浮かぶが駄目だ。動きが制限される。

バイクが駄目なら・・・

目に入った店に飛こむ

「あれぇ?お兄さんじゃないですか?」

エプロンを着てがらがらの店の中でテーブルを吹いていたアリスが顔を上げる。

「訳は今度話すアリスちょっとだけいさせてくれ!」

「え?どうしたんですか?」

中華料理屋炎の奥に飛び込んで机の影に座る。

ここなら大丈夫だな。

さて、考える時間を・・・

「また、何かに巻き込まれてるんですかお兄さん?」

「ちょっとターミネーターの襲撃をな・・・」

半笑いしながら言った時

「ぐるおん!」

ん?

「げっ!」

ハイマキ!

炎の入り口実家でレキがつけさせていた防弾鎧で武装したハイマキがいたのだ。

「くそ!」

紫電に手をかけながら

「アリス下がってろ!」

「え?あれレキ先輩のわんちゃんですよね? 何で、お兄さんが戦ってるんです?」

「だから、跡で話すって・・・」

あれ?ハイマキが襲ってこない?

見るとハイマキは入り口で頭を下げて両足を広げて踏ん張っている。

「しまっ!」

ギイインとハイマキを経由した銃弾が俺の左手のカザフボタンを吹っ飛ばした。

「ありかよそんなの!」

裏口に走り出す。

「ちょっ、お兄さん!」

困惑するアリスを内心で誤りながら外に走る。

ボタンは後3つ、ライフは後3だ。

キリングレンジの外まで後、1500メートル。

絶望的な距離じゃねえか

裏道を走っている間に1発、駄目もとでワイヤーで跳んで出鱈目な軌道を使ってみたが意味を成さなかった。

ここで、さらに1発

ま、負ける!冗談抜きでまずい!

シンやシャーロックやブラドなど見える相手がかわいく見えるぐらいだ。

『緋刀』

あの力が頭によぎる。

状況を打開するにはされしかないが今は完全に自分のピンチ、別にアリアや他の誰かがピンチな訳ではないので

力は発言するはずもない。

こうなったら・・・

俺はロジの駐車場に飛び込み頑丈そうな車に飛び込んでドアを閉めた。

ビシと車の窓にくもの巣のようなひびが入った。

レキの狙撃だが問題ない。

この車は防弾車だからな

よし、後はこの車を動かして脱出だ。

持ち主には跡で謝罪しよう。

と、ハンドルの下のカバーを外して配線に手を持っていこうとした時

ビシ ビシ ビシ

狙撃が続いている。

同じ場所に何度も何度も

寸部たがわぬ場所にだ。

やばいと思った瞬間

ガシャアアンと防弾ガラスが砕け散り、俺のボタンを1つ吹き飛ばした。

ここまで一方的なのかよレキ!

お前強すぎるだろ

後1つで俺の負けだ。

だが、武偵憲章第10条!

「武偵はあきらめるな!決してあきらめるな!」

車から出て走りながら必死に考える。

そして、思い浮かんだのは1つだった。

風林火山『林』

雪村が使っていたあの、方法しかねえ

紫電を居合いの構えで構え、ふぅと息を吐いた。

今、この瞬間にもレキは俺を狙っているだろう。

だが、落ち着け、受け流すんだ。

銃弾を林の葉が、風を流すように・・・

サアアと風が髪を揺らしていく。

だが、今の俺にはその風から様々な情報が頭に流れ込んでくる。

遠くから人の歩く音、そして、銃弾が風を切り裂くその音を捉えた瞬間

「ふっ!」

ギイインとドラグノフの銃弾を切った。

それは、2つに割れて地面に突き刺さった。

次弾が来る。

風を切り裂くその音は俺を外している。

地面に辺り跳ね返る音

「ふっ!」

ギイインと再び銃弾を切ったところで辺りの景色が通常に戻る。

駄目だ。付け焼刃で林は使いこなせない。

それに動けない以上・・・

汗びっしょりで集中力を切らしたためか戦闘狂モードが解けている。

その瞬間、俺の最後のボタンがドラグノフに弾かれて地面に落ちてしまった。

ああ・・・俺の負け・・・え?レキと結婚するのか・・・本当に?

電話がかかってきたのでディスプレイを見るとレキ

「うう・・・」

通話ボタンを押して耳に当てる

「私の勝ちです。負けを認めてください」

同年代にここまで完敗するなんて・・・

文字通り手も足もでなかったな・・・

「・・・」

俺が無言だったためか

ビシュンと俺の足元にドラグノフの銃弾がめり込んでいる。

何も言わないレキが怒って撃ったのか。

「負けを認めてください」

抑揚のない声が電話から聞こえてくる。

無言だと射殺されてしまう!

「わ、分かった俺の負けだ負け結婚するから!撃たないでくれ!」

狙撃中で狙われながら結婚発言

失恋したその日になんて状況なんだよこれ!

電話が切れてしばらくしてレキがこちらにやってくる。

な、何されるんだ

とりあえず敗者は勝者に従うもの。

とりあえず

「えっとだなレキ・・・」

と言ってみると

「今から私はあなたのものです。契りの詔は私が現在の日本語の変換したのでぎこちないかもしれませんが許してください」

ヘッドホンを外したレキは人通りのない道で俺の前でひざまずいた。

「私はこれから優さんに仕えます。あなたは私の銃を武力として自由にお使いください。私の体をあなたの所有物として

自由にお使いください」

ちょっ!レキさん言ってる意味分かってるのか!

「花嫁は主人の言うことなら何でも従います。主人に仇なすものは1発の銃弾となり必ずや滅びを与えんことを誓います」

いきなり結婚してくださいと撃ちまくった後に聞くせりふじゃない気もするんだが・・・

「ウルスは一にして全、全にして一、これからは私達ウルスの48女、いつでもいつまでもあなたの力になりましょう」

レキはそういって立ち上がり、ヘッドホンをつけドラグノフを肩にかけると微動だにしなくなった。

その瞳は虚空を見ているようだった。

一つ言いたいことがある・・・誰か助けてください、

 


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