緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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第177弾 驚愕お義兄はちゃんは公安0!?

研修旅行を終えて疲れ果てて俺達は東京に帰還した。

綴りの研修冗談抜きでしんどかったぞ・・・

ただ、鬼のことは綴りも気づかなかったし、アリアたちも疑問を抱きながらも追求しようとはしなかった。

心霊現象の類だと思ってくれたらしいが・・・

「・・・」

なぜか、レキだけは俺を凝視しながら悟っている表情をしていたがまさかね・・・

さて、今の状況なんだが・・・

「お帰りなさいませだんな様!奥様!」

なぜなんだ・・・

「ご苦労様です」

と、律儀に返事を返す信冬

俺達はいるのは秋葉原で、ここはメイド喫茶だ。

研修で寝ていた俺の家に信冬は押しかけてきて

「今日は私と逢引していただきたいのです」

逢引=デートというわけだが断るわけにはいかないので(家の関係上下手したらやばいことになる)

出かけることにしたのだが俺は最初は無難に学園島ですまそうとしたんだよ。

だけど、信冬は1度秋葉原というところに来てみたかったらしく俺達はここにいる。

信冬は、コスプレして歩く人を、あんなに裏の世界の住人がだの、かわいいお人形ですねとフィギアを眺めたりと

ずれていたり、かわいいこと言ったりしながら歩いている。

秋葉原は俺はあんまり来ないから分からん・・・

前に理子に連れまわされたり秋葉と来たことがあるが完全にあいつら任せだったからな・・・

理子や秋葉に言わせればここは日本の聖地らしいんだが分からん・・・

なので、前にブラドと戦う前に来たメイド喫茶に来たんだが・・・

「だんな様、今日は理子様はいらっしゃらないのですか?」

と聞かれたので

「理子は来てないですよ。」

「二股はいけませんよ」

とメイドさんが行ってしまう

二股?信冬は確かに婚約者だが、理子は別に恋人じゃなくて友達・・・いや、親友かな?なんだけどな・・・

「理子さんともここによく来るのですか?」

穏やかに微笑んだまま信冬が聞いてくる。

なぜだろう。

その笑顔が少し怖いよ

「ああ、そんなには来てねえよ。たまに付き合うぐらいだ」

大体は荷物もちなんだがな・・・

秋葉もいる時もあるが

「仲いいんですね」

「友達だからな」

俺はメイドさんの愛のジュースとか言うわけの分からない飲み物を飲みながら言った。

ただの、ピーチジュースじゃねえか

「うらやましいですね・・・」

両手にそっと、コップを持ちながら信冬はいう

「うらやましい? どこがだよ」

「私は武田を支えなくてはなりません。 だから、山梨から特例でもない限り転校したりはできない・・・

優希の近くにいて遊べる理子さん達がうらやましいです」

「あ・・・」

そうだよな・・・こいつは俺と違い家を継ぐ人間だ。

「別に遊びぐらいいつでも付き合ってやるよ。それに、幸村達と遊べばいいじゃないか」

「幸村達は私の家臣です。それに、本来なら武田を継いでいたのは私の・・・」

最後はよく聞き取れない

「なんだって?」

「いえ」

信冬はふっと、息を吐いて

「出ましょう。 そろそろ山梨に帰らないといけません。 幸村達も帰りを待っているはずです」

「あ、ああ」

なぜだろう・・・信冬の顔に一瞬だが怒りとも、悲しみともとれる表情が浮かんだ気がする

俺達は今度は理子様ときてくださいねという声を背後にメイド喫茶を出ると秋葉原の町を歩いていく。

「・・・」

「・・・」

なんとなく会話が見つからず無言で俺達が歩いていた時だった。

「優希じゃねえか」

背後からの声に振り返ると

「土方さん!」

公安0の土方さんだった。

「おう、珍しいなお前がここにいるなんて・・・大方、峰の・・・」

信冬と土方さんの目が合うと土方さんはおっと目を丸くする。

信冬もまた、目を丸くして硬直した。

え?なに?

土方さんはふっと微笑むと

「意外なとこで会うもんだな信冬」

「あなたに名前で呼ばれるのは不愉快です」

珍しいなんてものじゃない。

信冬は完全に土方さんに悪意を向ている。

だが、土方さんは怒るわけでもなく

「そういうな義妹だろ?」

はい?

「私は認めていません。 あなたが雪羽姉さまの夫であるなどと」

「雪羽もお前に会いたがってるぜ? どうだ? 今夜うちで食事でも・・・」

「お断りします! 行きましょう優希」

と、俺の手を掴んで強引に歩き出す

一体どういうことだ。

「待てよ! 話をする場だけでも・・・」

と、これまた珍しく土方さんが必死に信冬に言うと信冬はきっと土方さん見ると

「私は・・・あなたが許せません。あの人がが死んで、ろくな月日もたたないうちに雪羽姉さまに

乗り換えたあなたのような最低な人が!」

「・・・」

土方さんは何かを思い出したように悲しげな顔になる。

「信冬・・・俺はな・・・」

「聞きたくありません!」

今度こそ、俺達は土方さんの視界から消えた。

立ち尽くし、俺達を追おうとしなかった土方さんはなんというか悲しげだった。

「おい!信冬!おい!」

ずんずんと歩いていく信冬の手を離して言うと信冬はいつものように微笑みながら

「はい?」

「はいじゃねえよ! なんだよ土方さんはいい人なんだぞ!」

「・・・」

「それに、土方さんってまさか信冬の・・・」

「認めたくはありませんがあの人は私の義兄です」

「じゃあ、雪羽って人は・・・」

「はい、私の歳の離れた姉です。優希は知らなかったのですか? 雪羽姉さまはかつて、優希のお姉さま、水月

希と同じチームで戦った人なのです」

「詳しくは知らない。 姉さんは昔のことを話したがらないからな」

聞こうとしても姉さんははぐらかすことが多いのだ。

最強無敵ということは知っている。

姉さんの武勇伝は多く、単独で小国に攻め込んだソ連軍を壊滅させたなんて話まであるぐらいだ。

「私も詳しくは知りません。ですが、あの男はかつて、チームの中で恋仲だった人が死に、私の姉さまに

すぐに乗り換えた最低な人です」

土方さんが?まったく、想像できない!

いや、土方さんの奥さんが信冬の姉と言う点で驚きなんだが・・・

「鈴・雪土月花、それが、あの男・・・土方歳三がリーダーを務めたチームの名前です。非公式ですが

世界を救ったチームとしても裏の世界では知られています」

姉さんがいたんだ。世界を救っていてもおかしくはない。

だが姉さんがいて死んだチームメイトがいた?

「アルカナ、またの名を大アルカナ。 鈴・雪土月花を壊滅状態に追いやり、また世界を滅ぼそうと画作し

滅ぼされた最悪の組織との戦いで、私のお姉さまは・・・」

何かを思い出すようにする信冬

推測はつく。おそらく、信冬の姉さんは死に等しい傷を負ったんだろう。

だが、鈴・雪土月花は多くが謎に包まれている。

調べれば分かるかもしれないが記録がほぼ抹消されているのだ。

姉さんがらみなら、椎名の家、雪羽さんがらみだと武田が本気で情報抹消を図ったのなら正攻法では

見つけることはきわめて困難だ。

「信冬・・・」

かける言葉が思いつかず、考えていると信冬は息を吐いて

「すみません優希、今日はもう、帰らせてください」

「あ、ああ」

一人で・・・信冬は雑踏の中に消えていった。

まだまだ、俺の周りには知らないことが多いな・・・

姉さんが学生の頃といえば18年前か・・・機会があれば、姉さんか土方さんに聞いてみるのもいいかもしれない。

そういえば姉さんが1度だけ言っていたことがある。

大アルカナのリーダーは私が殺した。

話ではそのリーダーは姉さんと互角の力を持っていたらしい。

ぞっとするな・・・

そんな組織がもし残っていたら、アリアを狙ってくるかもしれない。

まあ、姉さんが潰したなら杞憂なんだがな・・・

さあ、俺も帰るかな・・・

数日中にはキンジも退院するだろうしお見舞いでもいくか・・・

俺は、1歩脚を踏み出すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優希が歩き出したその瞬間を見ているのものがいる。

黒いローブを身にまとい、金髪がローブからはみ出ている。

「クスクス、見つけた水月希の弟、でもまだ、手は出さない。宣戦会議楽しみだなぁ・・・フフフフフフフ」

大アルカナは確かに滅びた。

だが、闇は再び優希達の知らないところで動き出しているのだ。

 

 


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