「どこだ武藤!」
俺達は悲鳴が聞こえてきた方向に走ってきていたが、叫びをあげた武藤の姿は見えなかった。
「秋葉! 」
「はい!」
意図を理解してくれた秋葉が風による探知をおこなった。
はっとしたように秋葉は上を見上げるとガラス張りの天井に人影があった。
紫電に手を伸ばした瞬間、パリイイインとガラスが砕けちりひとが落ちてくる。
「…… 」
秋葉が無言でステルスを使い人影を床に降ろした。
「おい、武藤!」
どうやら気絶してるみたいだが 問題はそこではなかった。
「うわ!何これ!」
追い付いた理子が武藤を見ていった。
別に素っ裸と言うわけではないが武藤の額にはマジックで落書きがあった。
内容は『変態除覗き男武藤参上』
ひでえ!
おもわずやりそうな理子を見たが理子は慌て
「私じゃないよユーユー! 」
この子はここで嘘を言う子じゃないよな……となると……
「うわあああああ!」
再び、悲鳴が旅館内にこだまする。
この声は村上!
「秋葉!武藤を頼む 」
「はい!」
秋葉以外と悲鳴が聞こえた場所、俺達の男部屋に飛び込む
「村上いったい何が…… 」
「ひっ 」
一緒に部屋に飛び込んだアリアが一歩後ずさった。
なぜなら、村上は天井からつるされていたかたらだ。
なぜか、ベビー服を着せられ口にはおしゃぶり、そして、額には『ロリコニアここに滅ぶ 』
さらに、顔には『変態レキレキ男』
と書かれた高校生が右に左にロープで揺れていたら誰だって怖い。
「レキ 」
レキは無表情だが、心なしか引いてる気がするな、気持ちはわかるが…
しかし、あの村上が……
まあ、レキになんか言われたらしく大ダメージを受けて寝込んでたからなこいつ……
「と、とりあえず先生に 」
「あ、ああ 」
状況がおかしすぎる。
ここは武偵校から遠く離れた山奥だ。
嫌だが綴の判断を扇ごう。
「みんな…… 」
振り替えるが一人いない
「信冬? 」
信冬の姿が見当たらない。
「ま、まさか武田先輩まで 」
マリが震えながら言う。
冗談だろ……
信冬は姉さんと戦える実力者だぞ……
幸村やジャンの姿も見当たらない。
みんなやられたのか!
「みんな油断するな!」
「ゆ、優先輩 」
服をつかんできたマリの頭に手をおきながら
「大丈夫だ俺が守ってやる 」
「絶対ですよ 」
マリの手を握って走り出す
ちなみにマリがニヤリとしたのは言うまでもない
早く綴に……
だが……
「ど、どういうことだこれは…… 」
「先生にこんなことできる人って 」
理子がいうのは無理がない。
綴は女将と酒を飲んでいたらしく日本酒の瓶が散らばる隣の部屋で気絶させられ亀甲縛りで揺れていたのだ二人は……
酒に酔ってたとはいえ武偵校の先生だぞ。
カタンというおとにはっとすると部屋の入りに和服におかっぱの少女が立っていたのだ。
「おまえ……」
誰だと言う前に女の子が背を向けて走り出した。
「ま、まて」
女の子を追って走り出す。
状況的にあのオーナーには何かがあると感じた。
「……」
女の子が振り返った。
その瞳は悲しそうで…
「お母さん… 」
母親にすがり付いて泣いていた秋葉を思いだす顔だ。
そんな顔する奴は放っておけない。
必ず捕まえてやる。
俺は足に力を入れてさらに加速した。