緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

162 / 261
第161弾 継承・誕生

圧倒的なシャーロックを前に俺は思い出していた。

こいつに勝つにはあれしかない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこは静かな森の中、人の気配はほとんどない原生林の中、その滝は流れていた。

その中で、俺は滝に向かい、素振りを続けている。

 

「そろそろ必殺技を教えておいてやる」

 

そう言って姉さんが俺に支持を出して消えてからすでに4日、飛龍零式水龍

姉さんがつけたこのネーミングセンスはいかがなものかと思うが、姉さんが出した指示は滝を刀で割れだ。

無茶くちゃだと言ったが姉さんはステルスも使わずにそれを実現してみせたのだ。

即ち滝を割ったのである。

 

「ようは気合いだ」

と姉さんは言うが気合いでどうにかなるのかこれ?

すでに、何百何千と滝に向かい素振りし、時折滝を割ろうと気合いを入れて振ってみるがびくともしない。

そして、結局は……

 

 

 

 

 

 

 

 

完成しなかった。

姉さんは気まぐれだから次の目的地に向かったためだ。

しかし、今なら分かる。

ぶっけ本番だがこいつは条理予知でも予想できないはずだ。

なぜなら、使えない必殺技だからだ。

 

「……」

 

刀を真っ直ぐに構えて、シャーロックを見ながら意識を集中する。

イメージは滝を割るイメージ、押し寄せてくる圧倒的な水の龍を切るイメージだ。

こいつだけはここで倒す。

アリアを助けるためにもドクンと心臓が跳ね、あの感覚が蘇る。

アリアの血と俺の血が融合する感覚が髪、目の色を変えていく。

カメリアの瞳にピンクの髪の色。

今ならローズマリーを倒したあの力が使えるかもしれないがあくまで俺は姉さんに教えられた技を選択する。

 

「優希君。決着をつける前に一つだけ言っておこう。君をアリア君の護衛に選んだ理由はもう一つある。それは、君があの場所にいてしまったからだ」

 

そう、思い出したよシャーロック、俺は昔、アリアにも会ってる。

大した会話はしてねえがお前にもあってたんだなアリア……

それがお前の人生に絡むなんて運命なんてわからねえな。

 

「……」

 

足を地面にすらす

そして、次の瞬間一気に足の力を解放した。

 

「飛龍零式水龍!」

 

大降りの上段叩き落とし、だがそれは加速を加えた一撃だ。

滝を切るイメージを俺は確かに掴んだ。

ギイイン

さすがはシャーロック、反応したか。

だが、お前の負けだ。

 

「む!」

 

シャーロックが驚いた声を出した瞬間、エクスカリバーが真っ二つに切り裂かれ、紫電がシャーロックの肩を切り裂き、その刃は左腕近くまでいき、止まった瞬間、俺は刀を引き抜いた。

血が吹き出し、膝をついたシャーロックを見ながら緋弾の力が消えていくのを感じつつ

 

「俺の勝ちだ」と、勝利を宣告する。

致命傷だ。

シャーロックは間違いなく死ぬ。

武偵憲章破っちまった……

この技は殺人技だ。手加減がまったく効かない。

それ故、習得は後回しになっていたのだ。

 

「……」

 

膝をついて下を向いているシャーロックは何も言わない。

 

「ほぅ、シャーロックに勝ったか」

 

振り向くと姉さんが腕を組んで立っていた。

 

「姉さん、アリア、キンジ」

 

姉さんの後ろから出てきたアリアは切り裂かれたシャーロックを見て

 

「曾お爺様!優あんたがやったの?」

 

信じられないものを見たアリアが驚いたように複雑そうに言う。

どうやら、キンジとは仲直りして、シャーロックに立ち向かう決意をしてくれたらしいが悪いなシャーロックは……

 

「武偵憲章破っちまったがな……すまない、アリアお前の曾じいさんを……」

 

「いや、それは心配しなくていいよ優希君」

 

な、何!

シャーロックの声に慌てて振り向くと先程と同じように立ち上がり、微笑みながら無傷のシャーロックが立っていたからだ。

 

「……曾お爺様」

 

アリアが安心したのか声を出すが洒落にならないだろ。

 

「僕は水無月希に気をコントロールして、細胞を活性化させて傷瞬間的にを癒すステルスを取得してるんだ即死でない限り戦いでは僕は死なない」

 

冗談じゃないぞおい!

姉さんの最強の能力の一角をこいつも使えるのかよ。

そう、姉さんが最強なのはこれも要因だ。

多少傷つけられても回復してしまうのだ。

完全な無傷に。

だから、戦いで姉さんから拳→ステルス→刀と引き出せて戦意を保っていてもこの回復を使われた瞬間、大概の人間は完全に戦意喪失する。

実は、昔、中東のRランクが姉さんと戦い、回復された瞬間、勝てるわけがないと降参してるのだ。

それほどにこれは反則技だ。

 

「ちっ」

 

舌打ちしながら立ち上がるがぐらりと一歩後ろに下がり、目眩がする。

くそ、緋刀の力を使うと体力が削られる。

 

「まさか、エクスカリバーが折れるなんてね。そして、新しい技。優希君、君の覚悟、強さは見せてもらった。最終的に選ぶのは君だが敵うなら君がアリア君の隣にいてくれるとうれしい」

 

「何言ってるんだ……」

 

シャーロックは懐中時計を取り出して時間を確認する。

 

「随分、時間をとられてしまったな。本来なら試せていたことがこれではできないかな」

 

シャーロックはアリアを見ながら微笑む

 

「同士討ち、カナ君がイ・ウーに仕掛けようとしていた罠の味は、いかがだったかな」

 

アリアとキンジが顔を見合わせる。

なるほど、シャーロックは俺を倒してからキンジ達とも戦う気でアリア達の銃弾を消費させたか

 

「曾お爺様」

 

勇気を絞るような足つきで一歩アリアがシャーロックの方に向いた。

 

「あ、あたしは……私は、曾お爺様を尊敬しています。だから、この銃を向けることはできません。あなたに命じられでもしない限り」

 

アリアは足元に自分の銃を置く。2丁とも。

 

「私はあなたの思惑通りあなたに立ち向かおうとするチームメイトの一人をこの銃で追い返そうとしました。でも、止めることはできなかった……私はやっと見つけ出した二人のチームメイトなんです。曾お爺様、どうかお許し下さい。私は……二人に協力しようと思います。それはあなたに敵対する行動を取るという意味なんです。どうかお許しください」

 

「いいんだよアリア君」

 

シャーロックは満足げな笑みを返している

 

「君は今、僕の存在を心の中で、乗り越えた。そして特別な男性を理由に、僕と敵対することさえ決意した。それは君の心の中で、、僕よりキンジ君や優希君の方が大きな存在になったという意味なのだ。まだ、愛の量は僅差のようだがね。君たちは子供だが男と女だ。女心は僕の不得意な分野ではあるが敢えて語るなら女というものはどんなに男から酷くされてもとことんまで男を憎みきれるものじゃない。たとえ、それが銃を向け会うような事態であったとしてもね。雨降って地固まるという諺の通り、イ・ウーの戦いを得てより強く結びついたことだろう」

 

違うな……シャーロックは弾切れなんていう姑息な狙いじゃないみたいだな

 

「つまり、何もかも自分の推理通り事が進んでるって言いたいのか。シャーロック」

 

真っ赤になったアリアの横でキンジが言う。

 

「ははっ。こんなのは推理の初歩だよ君。まあ、推理できない部分もあったけどね」

 

と俺と目を合わせる。

微笑みながら再びシャーロックが時計を見る

 

「ああ、もう時間がない……」

 

「遠山キンジ、動くな。武偵弾を使うなら私はお前達の敵になるぞ」

 

「!?」

 

キンジが硬直する。

武偵弾……カナか信冬にもらったか、だが姉さんが敵になるのは……

 

「ありがとう水無月希、キンジ君、本来なら君と戦いたかったが最後の講義緋色の研究についての講義を始める時間なんだ」

 

緋色の研究?

対し、静かに瞼を閉じたシャーロックの周囲に、ボンヤリと光が見え始めた。

 

ドクンと俺の心臓が跳ねて色は変わらないがシャーロックに反応してるのか?

シャーロックの光が勢いをまし、緋色に変色していく。

 

 

「僕がイ・ウーを統率できたのはこの力があったからだ」

 

パトラの時と同じ……

 

「あの、『緋弾』を……撃てるのかお前も」

 

「キンジ君が言ってるのは恐らく違う現象のことだろう。アリア君がかつて指先から撃ったはずの光球、それは緋弾ではない。古の倭言葉で『緋天・緋陽門』という緋弾の力を用いた一つの現象に過ぎないのだ」

 

言いながらシャーロックはアダムズ1872・マーク3。かつて大英帝国陸軍が使用していた、45口径ダブルアクション拳銃

 

「これが、緋弾だ」

 

そう言って取り出した弾丸は血のような薔薇のような、炎のような緋色をしている。

 

「この弾丸が、緋弾なのだよ。いや、形はなんでも構わない。日本では緋々色金と呼ばれる……要は金属なのだからね。峰・理子・リュパン4世が持っていた十字架を覚えてるだろう。あれも、この弾と同族異種の金属を含むイロカネ合金だ。イロカネとはあらゆるステルスがまるで児戯に思えるような至大なる超常の力を人間に与える物質。いわば、超常世界の核物質なのだ。世界は今、新たな戦いの中にある。イロカネの存在、その力が次第に明らかになり極秘理にその研究が進められているのだ。僕の緋色の研究のようにね。イロカネを保有する結社はイ・ウーだけではない。アジア大陸北方にはウルス、南方には香港のランパン、僕の祖国イギリスでは世界一有名なあの結社も動いている。イタリアの非公式機関を陰からサポート、監視するバチカンのように、国家がイロカネの研究を支援・監視するケースも枚挙に暇がないほどだ。アメリカではホワイトハウスが、日本でも優希君の実家『椎名』の紫電、震電、そして『武田』、宮内庁が君の高校に星伽の……いやこれは口が滑ったかな。そして、僕のように高純度で質量の大きいイロカネを持つものたちは互いのイロカネを狙いつつもその余りに甚大な超常の力に、お互いが手出しができない状態にある」

そういいながらシャーロックは緋弾を込めた弾をこちらに向けてくる。

 

「これだろう君達が見た現象は」

 

シャーロックの身体を覆っていた緋色の光が指先に集まっていく。

ピラミッドを消し飛ばしたあの威力の……

紫電で無効に……

 

「優希、紫電で緋弾の力は止められない。止まるのは刀だけだお前自身は緋弾に飲み込まれるぞ」

 

姉さんの言葉に硬直する。

あれは何をもってしても防げないのか

 

「だが、お前らは緋弾に対抗できる力を持っている」

 

姉さんは腕を組ながら言った。

気配を感じて振り替えるとアリアから緋色の光が発せられアリアの人差し指に集まっていく

 

「な、なにこれ」

 

アリアが戸惑ったように右手に顔を向けていた

 

「アリア君。それは『コンソナ』だ。質量の多いイロカネ同士は、片方が覚醒すると共鳴する音叉のようにもう片方も目を覚ます性質がある。その際は、イロカネを用いた現象も共鳴するのだ。今、僕と君の人差し指が光っているようにね」

 

「……」

 

紫電を見ると僅かだが緋色に発光している。

これも共鳴の一部か?

 

「優希君。君の天叢雲剣……いや、紫電は緋弾の力を何かに変えたようだ。それはもう、緋弾ではない。これからは緋刀と名乗るといい」

 

緋弾とは緋刀……

 

「それは本来なら目覚めることなく消えていた力だ。だが、君はアリア君の……緋弾に長く影響された血を輸血され緋刀は覚醒してしまった。

椎名という名前の宿命なのかもしれないね。

どうか飲み込まれないことを祈ってるよ」

 

飲みこまれる?なんのことだ?

 

「さて、アリア君。これから僕はこの光弾『緋天』を君たちに撃つ。僕が知る限りそれを止める方法は同じ緋天を衝突させることのみだ。実験したことはないが日本の古文書にはそれによって緋天同士が静止し、その後に暦鏡なるものが発生するとある」

 

「曾……お爺様」

 

アリアは動揺しながらシャーロックを見ている。

 

「さっき君はあなたに命じられない限り僕を撃たないと言ったね。ならばここで僕を撃ちなさい。その光で」

 

「曾お爺様、を……」

 

「そうだ、緋弾に心を奪われないように落ち着いて指先に力を集め、保つイメージをするのだよアリア君」

 

「よく……わからねうな。あれもこれも。まあ、わかりたくないこともばっかりだけどな、お前は王手をかけてきた。そして、俺達もまだ一手撃てる。そういうことだろシャーロック」

 

キンジがアリアに歩きながら言った

 

「ご名答だ、キンジ君。どうかその優れたHSSの理解力と状況判断能力でこれからもアリア君を助け続けてくれたまえ優希君達とね」

 

キンジが口をへの字に曲げながら迷ってるアリアの手を取る

 

「……キ、キンジ?」

 

 

俺も近づいてアリアの小さな肩に手を置いた。

 

「ゆ、優?」

 

「大丈夫だアリア、お前はパトラと戦った時、無意識にこの力を使ってるんだ」

 

キンジはアリアの震える手を握る。

 

「後は何の助けにならないかもしれないけど……俺が、ついててやるよ。何がどうなろうと、最後までな」

 

「ま、小さい頃の縁もあるし俺はアリアに命救われてるからな。それに、いろいろと無関係って訳じゃないから傍にいるよ。チームメイトだからな」

 

アリアの震えが消えていく

アリアは、指先の光をシャーロックに向けた。

 

「良いチームメイトを見つけたねアリア君」

 

シャーロックは満足そうに微笑みながら

 

「かつて僕にワトソン君がいたようにホームズ家には相棒が必要だ。人生の最後に二人が支え合う象徴的な姿を前に出来て、僕は……幸せだよ」

 

同時にシャーロックが緋天を放つとアリアの手からも緋天が飛ぶ。

光が俺達の中間で衝突し、空中で静止し融合する。

 

「僕には自分の死期が推理できていた。どんなに引き延ばしても今日、この日までしか保たないと。だからそれまでに緋弾を子孫の誰かへ『継承』する必要があったのだ。元々、緋弾はホームズ家にで研究するようにと女王陛下から拝領したものだからね」

 

なら、多少は破っちまったなシャーロック……俺にその系統の力が宿ってたんなら

強まった2つの光はすぐ、まるでお互いを打ち消しあうように急速に収まっていく

 

「しかし、その後の研究で分かった事だが緋弾の継承には難しい条件が3つあった。一つは緋弾を覚醒させられる人格に限りがあること。情熱的でプライドが高く、僕は自分がそうとは思わないが……どこか、子供っぽい性格をしていなければならないらしい。しかしホームズ家の一族は皆、そうではなかったのだ。だから僕は条件に合う子孫が現れるのを待ち続けなければならなかった。そして現れたのがアリア君。君だ。2つ目の条件は詳細は伏せるがアリア君が女性として心理的に成長する必要があったことだ」

 

シャーロックの手前の光球が透明になっていく

 

「3つ目の条件として継承者は能力を覚醒させるまで最低3年のあいだ緋弾と共にあり続ける必要があった。片時片身離さずに」

 

 

融合していく二つの光がレンズのような形に変わっていく。

 

「これは簡単なようで最も難しい条件だった。なぜなら緋弾は他のイロカネ保有者達から狙われていて覚醒したものでなければ守ることができなかったからね。だから、今日までは覚醒した僕が緋弾を保有し、今日からは覚醒したアリア君が緋弾を保有する。これを成立させるために僕は今日までこの緋弾を持ち続け、さらに3年前の君に渡さなければならなかったのだ。これは僕にとっても、生涯最大の悩みだった。たが、その問題を解決してくれたのもまた、緋弾だったのだよ」

 

宙に浮かぶレンズに何かが浮かび上がってきている。

映像?いや……

やがて、鮮明になった人影を見て絶句する

 

「これだ……!これが日本の古文書にある暦鏡、時空のレンズだ。実物を前にするのは僕も初めてだよ」

 

興奮するシャーロックなんか問題じゃない光景だった。

レンズの中に映ってるのはアリアだ。

髪の色は亜麻色のツインテールに瞳はサファイアのような紺碧の瞳だった。

どことなく幼い気がするがあれはアリアだ。

 

「アリア君。君は13歳の時、母親の誕生パーティーで銃撃されたことがあるね

 

「う、撃たれました。何者かに。でもそれが今、何だと……」

 

「撃ったのは僕だ」

アリアが驚きに全身を強張らせる

 

「いや、これから撃つのだ。これはどちらの表現も正しい」

 

言ってシャーロックは拳銃の撃鉄を起こす

 

「緋弾の力を持ってすれば過去への扉を開くことさえできる。僕は3年前の君に今から緋弾を継承する」

 

レンズの中に、拳銃をシャーロックが向ける

 

「や、やめろ!」

 

俺とキンジがシャーロックに飛びかかる

 

「なに、心配には及ばないよ。僕は銃の名手でもあるんだ」

あれが、過去ならアリアの横にいるのは間違いなく……

 

 

「銃で狙われてるアリアが撃たれるぞ!」

 

その瞬間、引き金が引かれたと同時に過去のアリアの前に人影が飛び出した。

アリアを庇うように両手を広げた少年……いや、中学2年の俺の肩を貫通し、アリアに命中した。

 

レンズが薄れフェードアウトするように消えていく

無駄だと知っていたんだ……でも叫ばずにはいられなかった。

あのときは、姉さんが死んだと思い、家から勘当同然だった中学時代……イギリスから誕生パーティーの招待状が届いたんだ。

そして、アリアに再開した。

だが、俺もアリアも忘れていた事を考えると記憶を姉さんに操作された可能性がある。

「……」

 

姉さんは何も言わない。

ただ、黙って成り行きを見守っているだけ

 

「アリア君。2つ断っておこう。緋弾の副作用についてだ。緋弾には延命の効果があり、共にあるものの肉体の成長を遅らせる。あれから君は体格があまり変わらなくなっただろう。それと文献によれば、成長期の人体にイロカネを埋め込むと体の色が変わるらしいのだ。皮膚の色は変わらないようだが、髪と、瞳が美しい緋色に近づいていく」

 

だが、それはおかしくないか?

 

「優希君。君の疑問は分かる。恐らく、君の身体を貫通した緋弾の一部が君の体内に残ったのだろう。それは緋弾を覚醒させるに足らない量で緋弾を体内に撃ち込まれたアリア君の血を輸血して初めて覚醒するものだったのだ。今までは影響はなかったようだが恐らく君も延命効果が生まれてくるかもしれないね。あるいは君の緋刀は傷を瞬間的に治る能力がある。そちらに延命の効果がいってるのかもしれないが研究する時間はもうないんだ」

 

ようは自分で調べろか……

 

「以上で僕の緋色の研究に関する講義は終りだ。緋弾について僕が解明できたことはこれが全てだよ」

 

緋弾を失ったせいでいきなり歳をとったようなシャーロックが言った

 

「き、キンジ、優」

 

アリアが歩いてくる

 

「アリア君、キンジ君、優希君。緋色の研究は君達に引き継ぐ。イロカネ保有者同士の戦いはまだ、お互いを牽制しあう段階にある。しばらくはその膠着状態が続くだろう。もしかしたら戦いは本格化し君たちはそれに巻き込まれるかもしれない。その時は、どうか悪意ある者から緋弾を守り続けてくるたまえ世界のために」

 

そうかよシャーロックお前はアリアの運命を弄んで……

許せねえと疲労した身体を鞭打って立ち上がる

 

「ふざけんな」

 

だが、俺が口を開くより先にキンジが口を開いていた。

いいぜ、キンジお前がやれよ……俺はもう、シャーロックに一撃いれたからな。

チームメイトなら次はお前が一撃いれる番だキンジ


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。