緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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第152弾 水無月希vs優希 緋刀覚醒

最悪にもほどがあるぞ……

 

状況はレキvsジャン

キンジ・俺・秋葉・白雪vsパトラ・遠山 金一・水無月希

 

数では上回ってるが姉さんが仮に敵に回るならこんな差なんの意味もない

だが、逆なら……姉さんが俺達に味方してくれれば……

冷や汗をかきながら思っていると

パトラがほほと笑いながら

 

「妾が呪った相手は、必ず滅ぶ。イ・ウーの王座を狙っておった目障りなブラドも妾が呪っておいたゆえ……このような小娘にあっさりやられたわけだ」

 

パトラは思い出し笑いをしながら太陽の船とやらを見えない階段を上がるように上がっていく

 

結局、単位に釣られて俺達は誘われたわけか……

 

「優君」

 

武偵同士の指信号で近くに来たキンジ、白雪と秋葉に姉さん達に気づかれないように話す

 

「秋葉、俺が合図したら風でパトラのいる船に俺達を飛ばせ」

 

アリアを奪還するなら強襲であの女を倒すしかない

 

「優、兄さん達はどうする」

 

「キンジ、お前の兄さんはお前に任せる」

 

「分かった」

 

「希様はどうしますか?」

 

問題は姉さんだ。

ジャンはレキが足止めしてるから大丈夫だろうが果たしてどう、動く……

 

「敵になるなら私が止めます。その間にアリアさんを」

 

「分かった」

 

指信号で指示を伝え終わる

 

「ほ」

 

その時、甲板に上がった女は何かに気づいたようにキョトンとしてから

 

「そういえば一人も殺しておらぬ」

 

と言って片足だけパトラが踏み出す

 

「!?」

 

俺達が武器を構えるとスッと両手をまっすぐにキンジに向ける。

 

「公安0は相性が悪かったからのう今度は確実にミイラにして棺送りにしてくれよう。ほほほ。名誉ぢゃの。光栄ぢゃの。うれしいの」

 

やはり、あの女……

徐々に汗ばみ始めた体の異常、仕掛けるかと思った瞬間

 

「パトラ。それはルール違反だ」

 

遠山金一の声と同時に湯気が止まる

 

「なんぢゃ……妾を退学にしておいて、いまさらるーるなぜ持ち出すか」

 

「イ・ウーに戻りたいなら、守れ」

 

「……気に入らんのう」

 

甲板を歩いて真横までパトラが歩いていく。

それに呼応するかのようにジャッカル男達が一斉に船をこぐ櫂を遠山金一に向けるがまったく、遠山金一は動じていない

もちろん、隣に立つ姉さんもだ

 

「……」

 

姉さんはただ、腕を組んでパトラを見ているだけ

 

「アリアに仕掛けてもいいが無用な殺しはするな。俺が伝えたプロフェシオンの言葉忘れてはいないだろう」

 

「……」

 

パトラが口をへの字に曲げて黙った。

 

「パトラ。お前がイ・ウーの頂点に立ちたいことは知っている。だが、今はまだプロフェシオンこそが頂点だ。リーダーの座を継承したいのなら、今はイ・ウーに従う必要がある」

 

 

「いやぢゃ!妾は殺したいときに殺す!贄がのうては面白うない」

 

「それだから退学になったのだ。パトラ。まだ学ばないのか」

 

「わ、妾を侮辱するか!今のお前などひとひねりに出来るのじゃぞ!」

 

「ほー、それは面白いな」

 

姉さんがパトラを見下すように見ながら

 

「無限大の力なんだろ?私と戦うか?」

 

「み、水無月希お前といえど……」

 

激昂しつつも姉さんにも遠山金一にも仕掛けないパトラにすっと近寄った遠山金一はパトラの顎を右手の人差し指で上げさせるといきなりキスした。

パトラはほとんど抵抗せず脱力する

 

「これで許せあれは俺の弟だ」

 

おいおい……

遠山金一の雰囲気が変わる。

ヒステリアモードか

 

「と、トオヤマキンイチ!妾を使ったな?好いてもおらぬクセに」

 

「哀しいことを言うな。打算でこんなことができるほど、俺は器用じゃない」

 

パトラは後ずさりながら深呼吸をした

 

「な、なんにせよ妾はそのお前とは戦いとうない。勝てるは勝てるが妾も無傷では済まないじゃろうからな。今はプロフェシオンになる大事な時ちゃ。手傷は負いとうない」

 

となにかを遠山金一に投げ渡しつつ逃げるように海に飛び込む。

後部デッキからはジャッカル男達がアリアを収めた黄金櫃を担いでパトラを追う。

そこまで来て、もはや迷いなどなかった。

 

「秋葉!」

 

刹那風が俺達を包みジャッカル男達に向かい突撃する。

 

「止まれ!」

 

遠山金一の声、予定通りキンジを遠山金一の前に着地させるのを横目に紫電を抜いた。

ジャッカル男にみるみる迫る。

 

「おっと!」

 

姉さん……

 

「秋葉!」

 

秋葉は右手を振りかぶると全力で振り抜く。

白雪が何か呪符のようなものを出すと化け物ような黒い竜巻と炎が姉さんに向かう。

それを姉さんは

 

「力比べか?」

 

と同じく右手を振りかぶると秋葉と同等……いや、それ以上の竜巻が秋葉の竜巻と激突し押し合いになる。

 

「う……く」

 

苦しそうな秋葉に対し姉さんは汗1つかいてない。

白雪と秋葉の炎の竜巻は徐々に押されている。

 

「は、早く……」

 

白雪の声に俺はジャッカル男達の前に降り立つとアリアを担ぐジャッカル男に切りかかった。

 

「ところがぎっちょん!」

 

ギイイイイイイン

 

「ハハハ、なんてな!」

 

「くそったれが!」

 

荒木源也だった。

服はボロボロだが、対したダメージはないようで殴りかかってくる。

 

「蒼天流奥義五月雨気弾砲」

 

荒木源也の両手からでるに気でできた攻撃を紫電で切り払いながら

 

「どけ!」

 

「できねえなぁ!」

 

荒木源也に足止めされている間にジャッカル男達はアリアを連れて水面下に消えていった。

くそ、アリア!

 

「てめえ!」

 

激怒し、ガバメントをフルオートで撃ちつくし荒木源也が拳で弾いたその時、ドンと俺達の間に姉さんが降り立った。

両手には……

 

「秋葉!白雪!」

 

ぐったりした秋葉と白雪を姉さんは抱えていた。

 

「荒木源也、お前はもう引け、潮時だろ?」

 

荒木源也はちっと舌打ちしてから

 

「水無月希がそう言うなら仕方ねえな……じゃな、椎名の後継、また会おうぜ」

 

と、海に荒木源也は飛び込んだ。

追撃は姉さんがいるからできない。

 

「なんでだよ……姉さん……」

 

「ん?」

 

「なんでアリアを助けるのを邪魔するんだ!」

 

「私はな優希、お前がアリアと歩みたいなら止めるつもりはなかったさ。だが、お前は弱すぎる。そんな中途半端な力ではお前は遠からず死ぬ」

 

「だからなんだ!アリアを殺すこととなんの関係がある!」

 

「知りたいか?」

 

ニヤリッといつものように姉さんは笑いいつものように

 

「知りたいなら私を倒せ」

 

その瞬間、俺は地を蹴っていた。

勝てる勝てないはもはや関係ない。

開けた場所なため荒木源也を倒した技は使えないか

 

「ガバメントを撃ちながら左手のワイヤーを牽制に放つ」

 

姉さんは秋葉と白雪を抱えてたまま、それを交わすと空に浮かび上がる。

 

「予習だ優希」

 

「何!」

 

「まずは、風だ」

 

ズンと凄まじい風圧が俺を空から襲う。

秋葉の……いや、秋葉の母さんの葉月さんの技か!

耳がキンキンする

 

「飛龍一式風凪!」

 

気合い一閃で紫電で風を凪ぎ払う。

紫電で無効になった風が消える。

 

「次は水だ」

 

姉さんの回りに水球が4つ展開される。

沖田の技か!

 

「そら」

 

姉さんが言った瞬間水球が落ちてくる。

 

「はあああ!」

 

紫電で切り払うと水は無惨したがすぐに、水球が復活する。

 

「くそ!」

 

ここは海だ。水なんて無限大にあり、まさに沖田にとっては最強を維持できる場所、ワイヤーで黄金船に張り付き走りながらデザートイーグルで水球を撃ち抜くがトプンと弾は通過しただけだ。

その間にも4つの水球は追ってくる。

交わすので精一杯だ。

姉さんは空から見下ろしてるだけだというのに……

ワイヤーを外すか悩むが機動力を失えば水球の餌食になるのは確実だ。

どうすりゃいいんだよ!

着地しワイヤーで空に上がった瞬間

 

「しまっ!」

 

水球が3つクロスするように迫っている。

体を捻ったが一発が左手に命中する

 

ボキ

 

嫌な音を立てて激痛が左手の走った。

 

「ぐっ」

 

地面に降りて左手を見るとあり得ない方角に曲がっている。

左手を骨折したか……

 

「終わりか?」

 

見下すように姉さんが空から見下ろしている。

だらりと左腕を足らしながら紫電を構える。

 

「武偵憲章第10条」

 

「?」

 

「武偵は諦めるな。決して諦めるな!

俺はまだ、アリアを助けることを諦めてない!」

 

「ほぅ、アリアを愛してるからとでも言うのか?」

 

「俺はあの子に命を救われたんだ!命をかけて彼女を守ると誓った!だから、姉さん!いや、水無月希!あんたは俺が倒す!」

 

「いい、返事だ。で、どうするんだ?」

 

使えるのは右手だけか……なら

 

「……」

 

黙って右肩をあげるようにして刀を刺突の構えに持って行く。

突きこそ最速にして最強の破壊力を持つ。

公安0の沖田のみならず、過去の新撰組はこの技に近いものを持っていたそうだ。

土方さんや沖田が俺に教えてくれた新撰組の奥義

 

だ。

記録では新撰組三番隊組長斎藤一が晩年、木に吊るされた缶を竹刀で突いて揺らさずに貫通させたあの技

表には出回ってない裏の奥義

 

「滅壊か、だが私には通じんぞ」

 

「……」

 

左手が使えないんじゃ威力は半減だがやるしかない……

 

陽炎のように殺気を濃くしていく。

姉さんを上回る殺気を

アリアを助ける。

それだけを考えて

 

「……っ」

 

直後目と頭が、いや、体が暑くなる。

焼けつくような痛みが体を覆った瞬間

俺は剣を震う

 

「新撰組奥義!滅壊!」

 

地を蹴って姉さんに迫る。

なんだ、体が軽いぞ!

 

「……」

 

姉さんが笑った瞬間ぼっと姉さんの左腕が吹き飛んだ。

勝ったのかと思った瞬間

 

「それだ。その感覚覚えておけ優希!」

 

ドゴオオオオオ

 

気付いた時には姉さんは今まで抜かなかった刀を抜いて峰で俺を叩き伏せていた。

地面に叩きつけられながら姉さんを見上げる。

体が……

 

「優希、アリアは24時間は生きている。もし、お前が本当にアリアを守りたいならシャーロックに勝って見せろ」

 

「ね、姉さん……」

 

「私はお前の味方だよ。だからこそ証明しろ」

 

何を……

 

「アリアを守ると言った言葉をな」

 

その言葉を最後に俺は意識を失った。

 


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