緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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第129弾 タイムリミットまで3時間

「フフフ」

 

ローズマリーは電話を切るとクスクスと笑った。

 

「来ますかね椎名の後継は?」

 

言ったのは蛇のような顔をした細身の男だ。

短い髪は黒

彼は、片手に日本酒を手にしている。

ローズマリーは不快そうにそれを見ると

 

「荒城、やめてもらえますの?私お酒の臭いは嫌いなんですの」

 

「こりゃ、失礼。まあ、決戦前なんで見逃してくださいや」

そう言いながら荒城が見た先には十字架に縛られたアリアの姿があった。

服はローズマリーが好むゴシックロリータの黒い服に着替えさせられ首には機械的な首輪がつけられていた。

 

「緋弾のアリア、期待外れもいいとこだな」

 

「彼女はまだ、覚醒してませんの」

 

「へえ」

 

荒城 源也はそう言うと日本酒を口に運んだ。

酔った様子はない。

「でどうすんのさ。あたしの人形達も長くは持たないよ」

 

ビーフジャーキをかみ砕きながら金髪の女が言った。

魔女連隊に名を連ねるドリス。

ローズマリーは魔女連隊のことを好ましい相手と考えていたが別に同盟を組んでる訳ではない。

イ・ウーの存在もある以上、全面対決はできない現状もあり、ローズマリーは優希、魔女連隊は椎名の戦力調査及び、公安0の能力調査が目的にあった。

荒城源也は傭兵である。

裏の世界では有名で大金さえ払えばどんな悪にも手を貸す。

今回の雇い主はローズマリーだった。

 

「3時間持てばそれで構いませんの」

 

「んじゃ、自立モードで適当に暴れさすかな。ローズマリー、約束忘れんじゃないよ」

 

「分かってますの」

ローズマリーはそう言いながら気絶したアリアに振り替えると

その頬に右手を置いた。

 

「フフフ、優希……もうすぐ私の願いが叶いますの」

 

「願いって何よ?」

 

ローズマリーはきょとんとして今、口を開いたアリアを見た。

 

「目がさめたんですのね」

 

「あたしをどうするつもりよ?」

 

アリアはもがくが拘束は外れない。

 

「餌になってもらいますの」

 

「餌ですって?」

 

ぎろりと力のこもったら視線をローズマリーに叩きつけながらアリアが言う。

 

「椎名優希を呼ぶ餌って訳だ嬢ちゃん」

 

荒城が言うとドリスが笑った。

 

「ああ、怖い怖い……ヤンデレっやつだね」

 

「優をどうするつもりよ!」

 

「騎士様になってもらうんですの」

 

ローズマリーはにっこりと顔を赤くして両手を頬に当てて目を閉じた。

 

「騎士様?」

 

意味が分からない単語にアリアが首を傾げ、そこで初めて、アリアは首に巻かれた機器に気付いた。

 

「っ、何よこれ……」

 

「特注の首輪ですの。優希の心を奪おうとする犬には丁度いいですわね」

 

「簡単に言うとねぇ、首輪には注射が仕込まれてい3時間後にプスってわけよ」

 

ケタケタ笑いながらドリスが言った。

 

「な、何の注射よ」

 

得たいの知れない注射があると聞きアリアの顔色が変わった。

ローズマリーは少しだけ怯えたアリアに快感を覚えながら

 

「優希にはヴァンパイアになる薬と言いましたが青酸カリですの」

 

天使のような微笑みを浮かべてローズマリーは残虐に言い放つ

 

「せ、青酸カリ……」

 

日本人にとっては自殺などでよくニュースで取り上げられ有名な毒だ。

体内に入ればほぼ確実に死ぬ。

 

「あ、あたしはこんな所で死ねないの!離しなさいよ!」

 

時間にして10秒もなくアリアが死ぬ状況。

怯えたアリアに更に快感を覚えローズマリーはタイマーをアリアの前の机に置いた。

残り時間2時間50分

 

「さあ、アリア私の目を見てほしいんですの」

 

「い、いや!」

 

アリアが目をきつく閉じるとドリスが舌打ちして無理矢理目をアリアの目を開ける。

アリアは暴れるが縛られていてどうにもならなかった。

ローズマリーは視線をアリアに合わせてゆっくりと言葉を紡ぐ

 

「さあ……アリア私の命令を聞きなさい」

 

催眠をかけられるとアリアは直感したが今のアリアには何もできなかった。

 

「助けてキンジ、お祖父様……優」

 

催眠で意識が途切れていくのを感じながらアリアは涙を地面に落とした。

 

 

荒城はその光景を見ながら

 

「おお、怖い……怖い……ヴァンパイアの催眠ってのは怖いねぇ。ん?」

 

荒城が顔をあげるとニヤリと笑みを作った。

 

「来たな……」

 

ドン!

爆発するような音と共に扉が吹っ飛ぶ

飛び込んできたのは椎名の近衛だった。

 

「はあああ!」

 

飛び込んでくるや近衛は手に氷の槍を作ると荒城に投げつけた。

 

「ちょいさぁ!」

 

荒城はそれを強化した拳で真っ正面から打ち砕いた。

目を見開いた近衛は更に攻撃を続けようとするが荒城が目にも止まらぬ速さで肉薄する。

 

「くっ!」

 

荒城の周りの温度が下がる。

何かの前兆だろう。

 

「遅い遅い!」

 

ドンと爆発するような音と共に近衛に10発の拳が叩き込まれ地面に叩きつけられて動かなくなった。

 

「あらら?もう終わりかよ……後続も全滅したみたいだし椎名の近衛ってのもたいしたことねえなぁ」

 

「終わりましたの」

 

声に荒城が振り向くとローズマリーと再び気絶したアリアの姿が見えた。

 

「準備は万端とさて……」

 

荒城は外から聞こえてきたヘリの音ににやりとして手をパンと打つ

 

「お姫様を助けられるかな?ま、助けてもなぁ……」

 

「荒城、ドリス、示し会わせた通りに」

 

「「はいよ」」

 

ドリスと荒城はそう言うと所定の場所に向かうのだった。

優希達と戦うために

 

「フフフ」

 

ローズマリーは微笑みながらアリアの頬を撫でた。

 

「後少しですの……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリア死亡まで後2時間29分57秒


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