緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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第125弾 激突

ローズマリー……お前、秋葉に何かあったら絶対に許さないからな。

流行る気持ちを抑さえて部屋に戻り、武器を持ち出す。

マガジンの予備をありったけ持ち、刀を装備してから廊下を歩く。

ローズマリーは二人でこいと言った。

意図はわからんがわざわざ乗ってやる気はない。

どんな罠があるかわからねえんだ。

月詠や師匠……姉さんクラスなら遠慮なく助力を乞うが、二人とも違う理由で不可能だ。

だが、勝てるか?あの魔女に……

そんなことを考えていたら曲がり角から出てきた人影とぶつかる。

 

「きゃ!」

 

ぺたんとアニメ声で悲鳴をあげ尻餅をついた人物は……

 

「わ、悪いアリア」

 

「なによもう……」

アリアはそういいながら横にあった携帯を……

まずい!

今の衝撃で落ちたのか?

しかし、すでに手遅れでアリアは秋葉が倒れている画像を見てしまう。

 

「優……これ」

 

メールの内容もアリアは見るとキっと俺を見上げる。

 

「あたしを連れていきなさい優」

 

やはり、か

 

「駄目だ!危険すぎる!」

 

そう、頼めば俺の仲間はみんなきてくれるだろう。

だからこそ一人で行く気だった。

 

「武偵憲章第1条仲間を信じ仲間を助けよ。優、この犯人は二人でこいと言ってるのよ?なら、武偵で、あんたのチームメイトのあたしを連れていくこと!」

 

「……分かった……」

 

正直時間が惜しい、一秒でも早く、秋葉を救出し、手当しなければならないだろう。

 

「それでいいのよ」

 

アリアは満足そうに言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10分後、俺達は家の車に乗り、指定された場所に向かっていた。

山奥だからガタガタと車が揺れている。

「勝利条件は秋葉を救出し全員で離脱。間違えるなよ?」

 

「ローズマリーは捕まえればママの免罪を減刑できるわ」

 

「そうだが、あいつとやり合うのは今じゃない」

 

装備をきちんと整えて、条件を揃えないとローズマリー相手だと下手すれば死人が出る。

世界に20人といないRランクに匹敵する強さをローズマリーは持っている。

いろいろと調べたがロシアであのRランク武偵紫電の雷神と引き分けているのだ。

おまけに、追撃してきたロシア軍を壊滅させている。

戦うこと事態おかしな存在なのだ。

師匠なら……姉さんならなんとかなったかもしれないが……

「とにかく、ローズマリーと決着は今じゃない。守れ」

 

「分かった……我慢するわ」

 

「それとなアリア、もし、俺が死にそうになった場合は秋葉も俺も見捨てていいから逃げろ」

 

「何よそれ!優あんた死ぬ気なの?」

 

「そういう可能性もあるんだ。わかったな?」

 

「いいわ。その代わり逆の場合はあんたが逃げるのよ」

 

アリアが死にかけた時は見捨てろか……

 

「ああ……」

 

見捨てねえよ。武偵としゃ間違いなんだろうがな……

本心とは逆のことを言っておく。

 

「それにね。優あんたは死んじゃいけないわ」

 

「そりゃ、死にたくねえからな」

 

しかし、アリアは首を横に振りながら

 

「あんたの過去はあたしが思ってたよりずっと重かった。ローズマリーに操られてたから人を殺したんだと逃げることも出来たのにあんたはしなかった。罪と向き合って生きてる。あたしはそんな人好きよ」

 

「……」

 

告白じゃないのはわかるがドキッとするな好きなんて言われると……

この子とはそんなに長い付き合いじゃないけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「痛い……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

!?

頭痛と共に何かが見えた。

血まみれになったアリアの姿……いや、今のはまさか過去か?

 

「ち、違うわよ!好きっていうのは人間としてで男としてじゃないんだからね!」

 

失言に気づいたのかアリアがわたわたとしているのを無言で見つめる。

もしかして……お前とも昔、会ってたりしてな……

だが、思い出せない……もやがかかったように過去が……師匠と旅した記憶が取り出せないのだ。

 

「なあ、アリア、俺達昔、会ったことないか?」

 

「?」

 

きょとんとアリアはかわいらしく目を丸くする。

 

「あんたと会ったのは2年の最初よ?」

 

だよな……

アリアが言うならそうなんだろう

 

「優?」

 

アリアが更に何か言う前に

 

「そろそろだアリア、準備はいいな?」

 

「!?」

 

アリアはガバメントを取り出しながら頷いた。

 

「行くぞ!」

 

車が森を抜ける。

そこは伐採されたのか広場が広がっている。

その中に、3つの人影

ローズマリー、秋葉、それと、仮面をつけた男

秋葉は伐採されてない木の近くでうつ伏せに倒れている。

怒りの感情が戦闘狂モードを呼び起こす。

許さないぜローズマリー

 

「いらっしゃいませ。優希」

 

黒いゴシックロリータの服の端を掴みローズマリーは軽くお辞儀する。

そして、アリアの姿を見ると

 

「女……ですのね……理解しましたわ」

 

なんだ?

 

「アリアは任せましたの」

 

ローズマリーはそちらを見ることなく仮面に言う。

 

「ハハ、Sランクが相手ですかい?嬢さん」

 

「不満ですの?」

 

一瞬、ローズマリーは赤い瞳を仮面に向ける。

 

「いえいえ、約束は守りますよ?ツインテールの嬢ちゃんの相手は任せてもらってけっこうですわ」

 

あいつ……強いな

仮面の男(声で判断)には隙が見当たらない。

Sランクか……

 

「ローズマリー!俺はお前と話にきたんじゃねえんだよ!アリア!」

 

ローズマリーの返答を待たずに俺とアリアは打ち合わせたわけでもなく互いにガバメントを発射しながら左右に散る。

 

「優希……」

 

うっとりした顔でローズマリーはガバメントの弾丸を巨大な大剣でガードする。

なら、武偵弾!

 

どおおおおおん

と爆音が山に響く。武偵弾炸裂弾

直撃したが恐らく、無傷だろう

秋葉の方へ駆け出す。

そう、勝利条件は秋葉の救出だ。

駆け出そうとした瞬間

 

「うあ!」

 

アリアの悲鳴に思わずそちらを見ると驚きの光景だった。

 

「ハハハ!最近のSランクはこんなもんか嬢ちゃん」

 

「く、何よあんた!」

 

アリアは男の攻撃を小太刀で受けていたが男はなんて素手で小太刀を殴っているのだ。

数発がアリアに浅く当たっている。

鬼道術か……

恐らく、拳を何かで強化してやがる。

 

「ちっ!」

 

走りながら携帯用のワイヤーナイフを男に投げる

 

「おおっと!」

 

男はそれを左拳で打ち払った。

一瞬だが、隙が出来たはずだ。

 

「はっ!」

 

アリアががら空きの胴体に小太刀を叩きつける。

 

「残念、いい攻撃だが・よ!」

 

右拳で男はアリアの右の小太刀をぶっ飛ばした。

 

「くっ!」

 

アリアは後退して空いている手にガバメントをとろうとする。

 

「遅い遅い!」

 

な、なに!

男が一瞬で、アリアに肉薄した。

なんてスピードだ。

 

「う……」

 

アリアの目が丸くなった瞬間

 

「ちょいさああ!」

 

スドンと大砲のような豪拳がアリアの腹にめり込んだ。

 

「がっは……」

 

アリアはぶっ飛ばされ地面を滑り、動かなくなる。

まさか、やられたのかSランクのアリアが?

 

「どこみてんだい?」

 

男がこちらに走ってくる。

くそ、秋葉まで後、数メートルなのに……

煙がはれるまえになんとか……

 

「飛龍一式!風切!」

 

反転してすれ違い様の斬撃

 

「おおっと!」

 

だが、攻撃は空を切った。

左のワイヤーを男に発射する。

 

「隠し武器か?いいね」

 

こいつなんだ!強い!

更に、男は接近して拳を振りかぶる。

 

「飛龍一式!風凪!」

 

「蒼天龍!龍殺し!」

 

ガアアアンと刀と拳が激突する。

そのまま押し合いになるが

 

「!?」

 

刀の機神にひびが入りそれが砕け散った。

武器破壊か!

相当な業物の機神をこうも簡単に

 

「おら!もう一本!」

 

「ちっ!」

 

ワイヤーを発射して、木の上に逃れる。

「どこにいくんですの?」

 

「!?」

 

背後からぞっとする声が聞こえてくる。

振りかぶった大剣をワイヤー発射装置で受け止めるがぶっ飛ばされて地面に叩きつけられる。

っ……骨は折れてねえが……

ガバメントとデザートイーグルを抜きながら舌打ちする。

アリアは気絶。

Rランク1人Sランクを倒すクラスの謎の男。

普通なら撤退の状況だな

やばいな……まじでこいつはまずいぞ……


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