緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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第11弾レオポン争奪戦

ありえんこいつら早すぎるだろ。

ぜえぜえと息を吐きながら俺はゲーセンの柱に背を預けた。

うええ、気持ち悪い。

1キロ以上全速力で走ったらこうなるわな。

一応、アサルトで動き回った後なんだぞ。

タフな奴らだ。

 

そのキンジとアリアは興味深そうにクレーンゲームを見ている。

なんだその中のぬいぐるみ?

おいおい、アリアよ口を逆三角形にしてよだれはやめろ。

 

「かわいー・・・」

 

「やってみるか?」

 

キンジが言うとアリアの顔がぱっと輝く。

 

「できるの?」

 

「やり方を教えてやろうか?」

 

コクコクと頷くアリア。

今日は素直だなアリア。

俺はその場を離れて千円を小銭に変える。

フフフ、アリアの護衛の金を下ろしたから今日の俺は金持ちだぜ。

まあ、高額な買い物もしたから使いまくれないんだがな。

 

戻るとアリアが今度こそ本気の本気と言いまくっていた。

ハハハ、とれないんだな?

見かねたのかキンジが何か言おうとした時

 

「ここは俺に任せろ」

 

ずいっと前に出てアリアをどかす。

プライドの高いアリアは当然のごとく反発するが強引に押しのけた。

俺の実力を見せてやるぜ。

 

10分後

俺は、地面に両手をつけていた。

 

「全然だめじゃない優」

 

アリアの呆れたような声

 

「一万円は使ったぞ」

 

憐れむように言うのはキンジだ。

く、くそうこんなはずでは。

 

「もう一回だ!」

 

「やめとけって! 今度は俺がやるよ」

 

俺はアリア同様にぎゃぎゃー言ったが結局、キンジに押しのけられて見る羽目になる。

くそう、キンジも一万ぐらい使って敗北を味わうがいい。

ハハハだ。

だが、その願い敵わずキンジの操るクレーンは人形を掴みあげた。

落ちろ!落ちろ!落ちろぉ!

邪念を送り込むが人形は上がっていく。

 

「キンジ見て!3匹釣れてる」

 

ば、馬鹿な

 

「キンジ放したらただじゃおかないわよ」

 

「もう、俺にどうこうできねえよ」

 

「あ、あ! 入る! 行け行け!」

 

くそ、こうなったらやけだ!いけえええええ!

クレーンが開く、一匹が落ち2匹3匹と引きづり込まれるように落ちて行った。

 

「やった!」

 

「っしゃ!」

 

「ナイス!」

 

無意識に本当に無意識にパチイと俺達はハイタッチしてしまった。

 

「「「あ」」」

 

目と目が合い俺達は目を背ける。

くそう、負けたのになんだこれは

アリアは―

 

「ま、まあ馬鹿キンジにしては上出来ね」

 

取り出し口から人形を3匹わしづかみにし取り出す

タグにはレオポンと名前があった。

知らないキャラだな。

 

「かぁーわぁいいー!」

 

ぎゅうううとアリアはレオポンを思いっきり抱きしめている。

レオポオオン!逃げるんだ! 破裂するぞ

と内心思いながら

この子も年相応の女の子なんだなと思った。

何かがこの子の本音を曲げている。

そんな直感があった。

やはり、護衛の件に関係があることはほぼ間違いない。

理子に調べてもらう手もあるがこいつは独自の調査した方がいいかもしれない。

もしかしたら・・・もしかしたらだが、あいつに関わることなのかも知れない。

 

 

 

 

 

炎の中、銀髪を熱風に揺らしながらその紅い目を俺に向けるあいつ。

俺が武偵になることを決め、必ず逮捕することを誓ったそいつと繋がるなら・・・

 

「キンジ、優!」

 

はっとして顔を上げるとアリアが俺とキンジに人形を押しつけてきていた。

 

「3人で分けましょう。 キンジの手柄だけど優も1万円使ったからご褒美よ」

 

釣り目気味の細目をにっこり細めたアリアに俺は不覚にもドキッとしてしまった。

ちくしょう可愛いじゃねえか

 

「なんだか悔しいけどな」

 

俺とキンジはレオポンを受け取りながらそれが携帯のストラップになっていることに気付いた。

キンジがつけ始めたので俺もつけ始めるとアリアもつけ始めたぞ。

おいおい、俺ら3人ストラップ無しだったのか。

まあ、俺は1月前にちぎれたからそのままにしといたんだがな。

 

「先につけた方が勝ちよ」

 

何い!アリアめ、俺に負けの屈辱を増やす気か! くそ! 勝つぞ!」

 

やけになって必死に押し込もうとするがこの紐太いぞ! 設計者でてこい!

 

結果はまあ、アリア、俺、キンジという順番だった。

まあ、ほぼ同時だったんだがな・・・

その後、俺達はゲーセンのゲームをあそびつくして帰ったんだが財布を確認すると10円しかなかったんだよ。

泣きたいぜ。

 

 


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