緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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第118弾 墓参り

サイドキンジ

 

なんでこんなことになってるんだ?

と言われれば時間は1時間くらい前に遡る。

 

「ここからは歩きになります」

 

車を止めて、山道を指差しながら秋葉が言う。

 

「どれぐらいで着くの?」

 

アリアが訪ねる。

 

「歩いて2時間くらいです」

 

というやり取りをしたのが1時間前になる。

 

理子は相変わらずフリフリのリボンのついたリュックを背負い鼻唄を歌いながら山道を軽快に登ってやがる。

アリアはこれはまた、小柄でてくてくと山道を歩いている。

レキはといえばショルダーバッグをつけて、肩にはドラグノフ狙撃銃を背負っているのに汗1つかいていない。

やはり、うちの女子共は化け物だな。

 

「情けないわねキンジ」

 

「仕方ねえだろ。アサルト止めてから運動量は減ってるんだ」

 

「くふふ、キー君、理子はインケスタだよー」

 

お前は別の目的で鍛えてるだろ!一瞬にすんな

 

「……」

 

レキ……お前はなんで汗ひとつかいてないんだ?

優はといえば先に行っているそうだ。

 

「後、1時間くらいです」

 

1番先頭を歩いている秋葉だが呼吸を乱していない。

左手に巨大な槍を持ってんのにな……

 

「ち、ちょっと休憩しようぜ」

 

こいつらのペースで昇ったら心臓が爆発しそうだよ

 

「では少しだけ休憩しましょう」

 

助かった……

ほっと息を撫で下ろしながら俺は近くの石に座るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サイド 優希

 

変わってねえなここも……

崩れ落ちた門に出来た穴を潜り抜けると広い場所に出る。

正面には焼け落ちた黒い建物が見え、午後3時だというのに 不気味な雰囲気を出すのに一役買っている。

中には燃え落ちてない建物もあるがここにはもう、誰も住んでいない文字通り廃屋だ。

 

「さてと……」

 

目的の場所は裏庭の方にある。

そちらに俺は足を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サイド??

 

暗い森の中で、水晶を覗き込む影がある。

 

「こっちは大丈夫そうねぇ」

 

がしゅとビーフジャーキーを噛み砕きながら、ローブの女は言った。

彼女の使い魔は椎名の旧邸に入り込み、椎名 優希を監視している。

彼女の依頼主の依頼の1つは監視であるがちょっかいを出しても構わないことになっている。

 

「アハハハ、少しだけ後で遊ぼうかな?」

 

ギチ……木と木がずれるような音が女が振り向いた場所から聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サイド 優希

 

あった。

リュックから一輪の百合を取り出すと墓に置いた。

誰か前に来たのか?

墓は綺麗に掃除されており、花も枯れかけてはいたが備えられていた。

咲夜辺りだろう……近衛に守られてここに来ているのかもしれない……

バッグから水を取り出すとそれを墓にかける。

水が落ちていき彫られた名前に沿って流れていく

 

水無月 希

 

俺の知る限り世界最強の武偵だった人の名前だ……

 

「5年ぶりだな……師匠」

 

その場に座り、静まり返った空気を感じながら墓を見上げる。

 

「もう、6年も立つんだな。あんたが死んで……俺なんかのためにさ」

 

当然、墓は何も言わない。

それ以前にここの墓には遺骨すら入っていない。

炎の装飾が施されたガバメントを墓の前に置きながら

 

「師匠の銃だ……なんか取ってしまった感じになったけど今も活躍してるぜ……」

 

この銃は形見だ。

あの人の……

 

「あんたが怒ってないのは分かる……でも、俺は……」

 

誰もいないのも手伝い涙腺が少しだけ緩んだのか涙が頬をそう

 

「自分が許せない……あんたが死ぬ必要なんてない……死ぬのは俺でよかったんだって……」

 

仲間が聞いたらそんなことないって言ってくれるかもしれない……でも俺は

 

ガタン

 

!?

物音に振り返ると廃屋の中で何かが動いている。

この屋敷は一般人が立ち入れる場所じゃない。

蒼神に手を付けた瞬間、それは廃屋から飛び出してきた。

 

「鬼!?」

 

そんな言葉が出たのは敵の特徴だった。

白い鬼の仮面に黒いローブに4本の手にはそれぞれ西洋式の剣が握られている。

ここで戦うのはまずい。

俺はワイヤーを発射して燃え落ちていない屋根に飛び移ると走り出す。

ダンと音がしたので振り返ると2対の鬼の仮面は物凄い速度で追ってくる。

俺は走りながら戦闘狂モードになると同時に失態に気づく。

しまったガバメントを墓に置き忘れた。

だが、今更、取りには戻れない。

まだ、デザートイーグルもある。

デザートイーグルを発射しながら一体の動きを止めると直進してきた相手と切り結ぶ。

鬼の仮面は4本を同時に振るってくる。

ちっ!

更に、機神も抜き、二刀流で受け流しながらナイフを先端に付けた予備ワイヤーを投げる。

鬼の仮面はそれを振り払いながら4本を同時に叩き落とした。

ズウウウウンと轟音を立てながら鬼の仮面が屋根をぶち抜いて落ちていった。

なうつうパワーだよ。

だが、まだ終わってない。

今のはかわしたが、後一体が無傷だ

切り刻んでくる相手に特攻する。

 

「飛龍一式風切」

 

擦れ違いざま居合いから鬼の仮面を切り裂くが浅い

 

「!?」

 

振り替えると理解する。

そうかこいつ……

 

黒衣の中から現れたのは木の骨格だ。

東京に現れた連中の上位種か?

ハードなことだな

 

鬼の仮面が動くそれだけなら対象できたが後方で爆音がする。

 

「!?」

 

屋根を突き破ったのは先ほど落ちた鬼の仮面

同時に前後かは襲いかかられ、剣で受ける

 

「っ!」

 

ギギギギギ

 

2対目が剣を振りかぶった瞬間右に転がりながらデザートイーグルを三点バーストで放つ、一瞬ひれんだ鬼の仮面たがずぐに追撃をかけてきた。

 

「くっ!」

 

 

墓をかばいながらでもきついぞ

そんなことを思った瞬間背後に気配

 

「しまっ!」

 

三体目の鬼の仮面が剣を振りかぶった瞬間それは真っ二つに切り裂かれた。

 

「風凪」

 

技の名前を言った少年

 

「き、鏡夜」

 

鏡夜は一瞬俺を見ていい放つ

 

「勘違いするな優希、俺はお前を助けにたわけじゃない。お前を倒すのはこの俺だからな」


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