緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

11 / 261
第10弾 明日なき学科強襲科

 アサルトいって言うのは100人に97人しか卒業できない。

まあ、必ずしもそうではないし100人全員が卒業できた年もあるにはあるらしい。

それはおいといて、この学科の訓練で命を落としたり依頼中に命を落としたりとその3人の理由はそれぞれだ。

もちろん、3人以上の時もあるのだが・・・

ん? キンジが入ってきたな。

ハハハ、囲まれてるな。

こちらまで声が届いてくるぞ

 

「おーぅ! キンジ! お前は絶対帰ってくると信じてたぞ!さあ、ここで1秒でも早く死んでくれ!」

 

「まだ死んでなかったのか夏海! お前こそ俺よりコンマ1秒でも早く死ね!」

 

「キンジぃ! やっと死にに帰ってきやがったか! お前みたいな間抜けはすぐ死ねるぞ! 武偵っていうのは間抜けから死んでいくからな」

 

「じゃあ、なんでお前が生き残ってんだよ村上」

 

あれはアサルト流のあいさつなのだ。

死ね死ねと言うのがおはようやこんばんはと同義なのがここなのだ。

俺も行くか

 

「キンジぃ! 俺は嬉しいぜ! さあ、死の世界にGOだ」

 

「何言ってんのか分からねえよ! お前こそ爆発に巻き込まれて死ね優!」

 

もみくちゃにされながらもみんな楽しそうだ。

ハハハ、アサルトは死ぬ確率は確かにあるが楽しいんだよな。

みんな、キンジに一目置いてるからな

 

 

 

 

 

 

 

夕方、アサルトを出ると俺は笑いながらキンジに話しかけていた。

 

「ハハハ、面白かったなキンジ」

 

「だから戻りたくなかったんだ」

 

キンジは肩を落としてるな。

諦めろ。

お前はアサルトに戻る宿命なんだ。

アリアと俺の包囲網はすでに完成してるぜ。

 

「お、アリア」

 

「何?」

 

キンジが顔を上げると校門の前にいたアリアがこちらにかけてくる。

キンジを俺挟むように歩き始める。

 

「あんた、人気者なんだねちょっとびっくりしたよ」

 

「こんな奴らに好かれたくない」

 

「おい! キンジ!俺も含まれてるのかよそれ」

 

「当たり前だ」

 

くそ、ずばっと言いやがった。

アリアはそんな俺達を見ながら

 

「あんたって人付き合い悪いし、ちょっとネクラ?って感じもするんだけどさ・・・ここのみんなは・・・あんたや優には一目置いてる感じがするんだよね」

 

そうだな、それは入試の時のあれを覚えてるからじゃねえか?

教官を含めて最後に俺とキンジは対立し、まさしくSランク武偵の戦いを繰り広げ結果、俺は負けた。

誤解すんなよ?切り札は1つしか見せてねえからな。

アリアはちょっと視線を地面に下ろしながらキンジを見る。

 

「あのさキンジ」

 

「なんだよ」

 

「ありがとね」

 

「何をいまさら・・・」

 

小声ながらも心底うれしそうにするアリア

 

むう、キンジなぜかお前にむかつく。

 

「勘違いするなよ。 俺は仕方なくここに戻ってきただけだ。事件を1件解決したらすぐにインケスタに戻る」

 

「分かってるよでもさ」

 

「なんだよ?」

 

「アサルトの中を歩いているキンジなんかかっこよかったよ」

 

キンジ、顔が赤くなってるぞ

 

「あたしになんかアサルトでは誰もよってこないからさ、実力差がありすぎて誰も近寄ってこられないのよ・・・まあ、あたしは『アリア』だからそれでもいいんだけど」

 

まあ、確かにな。

記憶をたどればアリアは確かに転校してからも一人でいた。

かわいいだのという噂を聞いて俺もアリアは見ていたがあいつは浮いていた。

実力ね・・・

俺はかつて言われた師匠の言いつけを守り、本気を出さない。

出せば、きっとアリアと並べるだろう。

でも、本気で戦うことはもう、できない。

できなくなってしまった。

 

「『アリア』って、オペラの『独奏曲』って意味もあるんだよ。1人で歌うパートって意味なの―1人ぼっち・・・あたしはどこの武偵高でもそう。 ロンドンでもローマでもそうだった」

 

「それで俺達を奴隷にして女王様にでもなるつもりか?」

 

俺が聞いてやるとアリアはクスクスと笑った。

 

「あんたおもしろいこと言えるじゃない」

 

「そうか?」

 

「うん」

 

うーむ、アリアの笑いのつぼがわからんぞ

 

「キンジはアサルトに戻った方が生き生きしてる。 昨日までのあんたは自分に嘘をついているみたいでくるしそうだった。 今の方が魅力的よ」

 

「そんなことは・・・ない」

 

ハハハ、キンジ今度お前の部屋にワイヤー仕込んでやる。

死ね

俺がアサルト風のあいさつを気持ちで言うとキンジは

 

「俺と優はゲーセンに寄っていく。 お前は1人で帰れ! ていうかそもそも今日から女子寮だろ。 一緒に帰る意味がない」

 

あ!そうだったな。 今日こそエース●ンバットの空中戦にけりをつけてやるぜ。

せっかくだから、ゾンビゲームのあれも決着をつけるか?

余談だがこの学園島にあるゲーム設備の特にシューティング系は日本一の高レベルである。

理由は言うまでもないだろう。

 

「バス停までは一緒ですよーだ」

 

アリア嬉しそうだな。

たく、この子を失望させて何やってんだろなおれは

 

「ねえ、げーせんって何?」

 

「ゲームセンターの略だ。 そんなことも分からないのか?」

 

「帰国子女なんだからしょうがないじゃない。 じゃあ、あたしもいく。 今日は特別に一緒に遊んであげるわ。 ご褒美よ」

 

「いらねえよ。 そんなのご褒美じゃなくて罰ゲームだろ」

 

いやいや、キンジ女の子と遊べるなんて最高じゃないか。

アリアは可愛いし。

まあ、胸は残念だが顔は可愛い。

彼女いない歴と年齢が一致する俺が言うことじゃないが・・・

っておいお前ら!

俺を置いていくように2人は早歩きを始めた。

正確にはキンジが早歩きを始めアリアがそれを追い加速加速

ついに全速力になる2人を見て俺は悲鳴を上げた。

 

「お前らゲーセンに行くだけで競争するな!」

 

まったく、こいつらといると体力がいくらあってもたらねえよ

などと思いながら俺は2人とゲーセンに入るのだよ。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。