緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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第104弾 椎名優希の1日

アリア達に病院の窓から叩き落とされた次の日、退院した俺は装備科。

つまり、アムドを訪れていた。

 

ひらがあやと書かれた部屋をノックする。

 

「はーい!開いてるのだぁ」

 

ドアを開けると、平賀さんは何かの作業をしていた。

実質、Sランクであるのだが法外な金を吹っ掛けたり少しだけいい加減な仕事をする彼女だが唯一この学校で信用してる点がある。

 

 

「おお、椎名君なのだ!今日はどうしたのだ?」

 

「急で悪いんだがこいつのオーバーホールを頼みたいんだ」

 

子供っぽい平賀さんの声を聞きながら外して置いた、ワイヤーの装置郡を机の上に置く。

 

「まいどありーなのだ!値段は同じで引き落としでよかったのだ?」

 

「ああ、それと、新しい日本刀ないかな?」

 

前の奴は、ブラドのせいでぼろぼろになってしまったからな。

 

「それなら丁度いい業物があるのだ」

 

そう言って平賀さんは木筒を取り出してくる。

箱を開けると俺はほぅと唸った。

見事な業物であることが分かる。

 

「名付け名は『蒼神』、『機神』。どちらも同じ人が打った一刀限りの名刀なのだ。名前もしびれるかっこいい名前なのだ」

 

こ、こいつは欲しい……実家にあるあれらには及ばないものの、銀のコーティングまでされていて、対ステルスには非常に有効な武器だ。

切れ味も一目見ただけでも疑いようがないぐらい鋭いだろうな。

試し切りしたいとうずうずするが……

 

「ちなみに、いくらだ?」

 

「椎名君はお得意さまだし、負けにまけてセットで800万でどうなのだ?もってけドロボーなのだ」

 

それくらいするよな……先日まで使ってた日本刀が100万くらいなのを考えると破格だ。

1000万以上を提示されても可笑しくない刀なのだ。

 

「分割24回払いでいける平賀さん?」

 

「オッケーなのだ」

 

そういうと平賀さんは筒を俺に渡してきた。

 

「い、いや今、持ち合わせが……」

 

「月末までに用意してくれれば問題ないのだ。お金に関しては椎名君は信用してるから裏切ったらひどいのだ」

 

クエストやらないとダメだなこれ……

 

日本刀の一本『蒼神』を手にとり、鞘から抜く。

 

「おお!かっこいいのだ!」

 

パチンと鞘に戻してから

 

「それで、ワイヤーの整備はいつ終わる?」

 

 

「明後日までには終わらしとくのだ」

 

「じゃあ頼む」

 

了解なのだという声を後ろに聞きながら俺はアムド棟を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっ」

 

外に出ると見知った顔を見つけたので

 

「レキ!」

 

黙ってこちらを見てきたレキに走りよる。

 

「昨日はお見舞いありがとな。そいつはあの銀狼だろ?」

 

こくりとレキは頷くと、付き従うように歩いていた銀狼の頭を撫でながら

 

「ハイマキと名付けました」

 

「ハイマキ?そうか、よろしくな」

 

俺も頭を撫でようとしたんだが……

 

ガブリ

 

「いたたた!」

 

手を噛みやがったこいつ!

 

「ハイマキ、やめなさい」

 

レキの声に口を引っ込めるハイマキ。

こいつ、俺に敵意持ってやがる。

なんでだ?

まあ、いいか

 

「レキ、飯食ったか?お見舞いのお礼におごるぞ。ハイマキにも肉を出してもらうからさ」

 

お見舞いにお礼ってへんな感じだけどな。

だが、レキは首を横に振る。

 

「そうか……無理には言わないけどな。じゃあ、またな」

 

「はい」

 

レキはそう言うと歩き出してしまった。

ハイマキが振り返ってまるでざまあみろと言われてる気がした。

なんかむかつくぞ

ん?

振り替えると影がさっと建物に引っ込む。

まあ、いいけどな……

さて、どっかで飯食ってぶらぶらするか

今日は休日なのでアムドに顔を出したら学校にはもう用がない。

都心部に繰り出そうかな……

そんな時、携帯の着信音。

ん?誰だ?

 

理子

件名 助けて

 

え?

 

慌てて、内容を確認すると秋葉原の前に理子と待ち合わせした店の住所と写真が添付されていた。

そこには理子が縛られ、猿轡をされている写真

そして、誰にも言わずにこいとかかれている

理子!まさか、ブラドの仲間か?

くそ!

舌打ちしながら

走り出す。

携帯用のワイヤーを駆使しながら寮まで戻ると、虎児から返してもらった隼に飛び乗るとエンジンをかける。

爆音と共に発進する。

理子……

ただ、彼女のことを考えながら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

20分後

 

「で?なんだこれ理子……」

 

「やだなぁユーユー約束したじゃん!また、このお店こようって」

 

「いや、したけどさ」

 

回りはメイドさんばかりだ。

胸元を強調してるメイド服を着ている理子と俺はプライベートルームでなぜか話をしていた。

というのも刀を手に飛び込んだらここに案内されて今に至る。

 

「紛らわしいメール送るなよ……本気にしただろうが」

 

 

「くふっ、ユーユー理子のこと心配だったんだ?」

 

小悪魔みたいな笑みを浮かべる理子

 

「ま、友達だからな心配ぐらいするさ。それにな……」

 

ありふれたことかもしれないがこの手に届く相手だけでも守りたいと俺は思ってるから……

あの赤い光景の中で憎悪に満ちたあいつの目が忘れられない。

あの罪を償うために俺は……

 

「ユーユー?」

 

理子がきょとんとして見てきたので首を横に振る。

 

「いや、なんでもない」

 

「そうなの?嘘ついてるならプンプンガオーだぞ?」

 

それから2時間ぐらいメイドさん達を交えて王様ゲームで理子とポッキー遊びしたりといろいろあったがめんどくさいので割愛する。

ともかく俺達は店を出て

 

「で?どうする理子?学園島に帰るなら送ってくぞ?」

 

隼を指しながら言うと理子はちょっとだけ迷ってから

 

「うーん、理子もう少し、秋葉原にようがあるんだ」

 

「そうなのか?付き合おうか?」

 

「わあ、本当?じゃあ、ユーユーの新しい女装のコスチュームを……」

 

「帰るよ」

 

「あ、ユーユー」

 

理子が腕に絡み付いてくる。

あ、おい胸を腕におしつけるな!

 

「はーなーせ!」

 

「やーだ」

 

なんかデブの男がリア充爆発しろとつぶやきながら歩いて言ったぞ。

ともかくも、女装させようとする理子から逃れて学園島に戻ってきた。

どうしようかな……ゲーセンでも行くか

隼でゲーセンに行くと以外な人物と出会った。

 

「ジャンヌじゃないか」

 

「椎名か?」

 

振り返ったジャンヌのそばにいくと

 

「なんだよ。お前も来るんだなゲーセン」

 

「いや、少し、興味本意で入っただけだ。だが……」

 

ジャンヌの視線の先にあるのは聖剣デュランダルと書かれた剣を持つ獅子のぬいぐるみだ。

一昔前に流行ったゲームのヒロインが気に入っていたデザインが商品化されたらしい。

 

「ほしいのか?」

 

「な、何を言う椎名!私が興味があるのはデュランダルの名前であってだなぬいぐるみに興味など……」

 

ああ、つまり欲しいんだなジャンヌ……初めは本当にデュランダルに引かれたのかもしれんが

言い訳を続けるジャンヌの横でお金を入れてチャレンジしてみる。

 

「む?」

 

ジャンヌもその光景をじっと見つめる。

いけるか?

下降のボタンを押し込むとクレーンが下がり、人形にひっかかる。

丁度、体と剣の間に入った。

よし、いける!

レオポンの時とは違い、一回でとれたな。

 

「ほら」

 

人形を差し出すとジャンヌは戸惑ったように

 

「お前にもらう理由がい」

 

「ブラドの情報くれただろ?安いお礼だがほしいんだろ?」

 

「べ、別に私はそんな可愛いものに興味など……」

 

かわいいって言っちまったな。

恥ずかしそうにするジャンヌも違う一面を見てるようで新鮮だな

 

「じゃあ、捨てといてくれよ」

 

「な、何?こ、こら椎名」

 

ジャンヌにポンと人形を投げ渡すと俺はさっとゲーセンを後にする。

 

「す、捨てろと言うなら捨てておいてやる」

 

と、後ろから聞こえてきたので苦笑しながら隼を発進させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一旦、部屋に戻ってみたが部屋には誰もいなかった。

時計を見ると午後5時を回ったところだった。

軽く汗を流すかな?

ピーンポーン

 

ん?このつつしみやかなチャイム音は?

 

「あ、優君こんばんは。キンちゃんいるかな?」

 

巫女服姿の白雪だった。

手には重箱らしき包みを持っている。

 

「いや、キンジもアリアもいないんだ」

「アリアもいないの?」

 

まさか、デートと呟き出したのでこいつはやばいと冷や汗が出る。

 

「キンジは武藤か不知火と遊ぶって聞いたけどな。アリアは多分、公安0に行ってると思う」

 

半分嘘で半分は真実だ。

キンジがどこにいったかは知らんがアリアは昨日、かなえさんと会った後、土方さんにかなえさんの事件の資料を閲覧させてもらえることになったらしく公安0に行っているのだ。

「公安0……」

 

白雪はちょっと、考えるようにしていたがデートでないとわかるとヤンデレオーラを発するのをやめてくれた。

ふう……

 

「あの、これよかったらキンちゃんに渡してくれかいかな?優君もよかったらどうぞ?」

 

「ありがとう白雪」

 

受け取ってから食べるのはキンジとだなと思った。

だって、俺一人で食ったのばれたらなんか怖いし

 

「じゃあ、私掃除してから帰るね」

 

「いつも悪いな」

 

「ううん、キンちゃんのためだから」

 

確かにそうなんだがキンジと同じスペースで生活してるので必然的に白雪が掃除してくれたら部屋はピカピカになって過ごしやすいのだ。

なのでお礼を言うのは間違いではないのである。

 

「じゃあ、俺はでかけるよ」

 

「いってらっしゃい優君」

 

白雪の声を背に俺は出掛けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

軽く走り込んでから筋トレして、素振り等を行う。

トラウマがほとんど消えたので素振りもメニューに加えたんだがやはり、多少の鈍りはあったらしく、軽い筋肉痛になったりもしていたが最近ではそれもなくなった。

蒼神と機神を抜くと夕闇が近い空に掲げてみる。

いいな、この刀気に入った。

なんか試し切りするものないかなと思ったが人工物ばかりでそれはお預けだった。

 

「そらそろ、飯にするか」

 

食べにいくので汗を吹いて看板裏を後にしようとした時、電話がなった。

 

「ん?」

 

見ると藤宮 奏と書かれている。

おお、久しぶりだな

相手がテレビ電話希望なのでボタンを押すとぱっと相手が映る。

 

「お久しぶりですお兄さん」

 

「あれ?千夏ちゃん?」

 

相手は奏ちゃんの妹の千夏ちゃんだ。

 

「はい、その節はありがとうございました」

 

「気にすんなって。助けたいから助けたんだから」

 

あの神戸の事件でランパンが完全に敵になってしまったりしたがいい、出会いもあった。

それが、今では日本でトップクラスのお嬢様となったこの二人、性格には千夏ちゃんだ。

 

「本当ならもっとお礼したいんですけど1億くらい」

 

「ええ!」

 

「嘘でーす」

 

直後に言われたのでなんかがっかりだよ千夏ちゃん……

千夏ちゃんはクスクス笑いながら

 

「でも本当にお金に困ったら頼って下さいね。お兄さんなら無利子で貸しますから」

 

貸すの!まあ、魅力的だけどな……

 

「ところで奏ちゃんは?それ奏ちゃんの携帯だろ?」

 

「あれぇ?お兄さんお姉ちゃんが気になるんですか?私と話ながら」

 

なんだそのチシャ猫見たいな笑い方は

 

「ま、あの後どうなったか聞いてないしな」

 

ブラドとの一見でいろいろ忙しかったからな。

 

「お姉ちゃんは兵庫武偵高付属に転校していろいろと勉強してますよ」

 

「へー、学科は?」

 

「まだ、仮決めなんですがアサルトです。ちなみにランクはEですね」

 

なんで、またアサルトなんだ?

まあ、仮決めだからいろいろとまだ、考えてるんだろうな

 

「で?その本人はどこに?」

 

「お姉ちゃんですかくふふっ」

 

千夏ちゃんがチシャ猫の笑みをした瞬間

 

「千夏?誰と話してるの?それ私の携帯……」

 

 

「はい、お姉ちゃん」

 

「え?」

 

画面がくるくる回る。

投げられた携帯が奏ちゃんの手に入ったようだ。

 

「よう……ひ……さ……しぶ……り?」

 

「え?優?え、えっえ?なんで?」

 

俺は全身に汗を書いていた。

トレーニングじゃなくて冷や汗な……

 

「どうですかお兄さん?お姉ちゃんのサービスショットは?」

 

こ、この小悪魔め

 

「や、やだ!きゃあああああ!」

 

風呂上がりらしかった奏ちゃんはバスタオル一枚だった。

くるくると携帯が回り、地面に落下したようだ。

 

「ち、千夏ぅ!」

 

怒ったような声が携帯から聞こえてくる。

 

「お姉ちゃん何度もお兄さんの携帯にかけようとしたのにそのたびにやめるから後押しだよ」

 

 

「だからって風呂上がりにやることないでしょ!」

 

「フフフ、ごゆっくりぃ」

 

「ち、千夏ぅ!」

 

パタンとドアが閉まる音。

どうやら千夏ちゃんは部屋を出ていったらしい。

 

「おーい、奏ちゃん!」

 

「こ、この変態!少し待ちなさいよ!」

 

奏ちゃんはぱたぱたと何かをしていたようだが10分も待たされた時、画面がようやく動いた。

 

「お待たせ」

 

なぜか、奏ちゃんは髪を整え、兵庫武偵中の制服を着ていた。

なかなか、似合ってるな。

 

「遅いだろ!なんで10分もかかるんだよ!」

 

「し、仕方ないじゃない!バスタオルのまま話せって言うの!相変わらずの変態!」

 

「テレビ電話切ればいいだろうが!」

 

「そ、それだと…ゆ…かおが……ない」

 

ん?なんだ?後半が聞こえにくかったぞ?

 

「なんだって?」

 

「ああ!もういいの!優は何してたの?」

 

「俺?新しい刀を手に入れたからトレーニングしおわって帰るとこだ」

 

「ふ、ふーん。また、女の子と一緒じゃないの?」

 

「女の子?」

 

「れ、レキさんとか……マリさんや、りこりんさんとか……あ、アリアさんとか」

 

「いやいや、俺年がら年中女の子といるわけじゃないぞ?」

「じゃあ一人?」

 

「ああ」

 

「そうなんだ」

 

なをか奏ちゃんの機嫌が治ってきたな。

 

「兵庫武偵中のアサルトだって?」

 

「千夏から聞いた?うん、全然私駄目で……」

 

それから一時間以上話してから携帯の電源がやばくなってきたので

 

「そろそろ電池がやばいから切るな。頑張れよ奏ちゃん」

 

「あ、優!」

 

「ん?」

 

「また、神戸にくることあったらとま……」

 

ピーと携帯が切れた。

ああ、電池切れか……

帰ってメールだなと思いながらその場を後にする。

時刻は午後7時、飯食わないとな

一度戻って隼で行くかな

 

 

 

 

 

 

 

 

中華料理屋炎は夕食時であり、武偵高の生徒で混雑していた。

 

「いらっしゃいませ!あ、お兄さんじゃないですかぁ」

 

アリスが動き回りながら言ってくる。

流石に、止まる余裕はないらしい。

 

「すみません!チャーハン追加で!」

 

「はいはい、店長!チャーハン1追加です!」

 

「おう!」

 

厨房から野太い声が返ってくる。

さて、座る席あるかな……

 

「優せんぱーい!」

「ん?マリか?」

見知った顔の後輩を見つけたのでテーブルに向かう。

 

「一緒に食べましょうよ!偶然先輩に会えるなんてもう、運命ですね!」

 

「そこまで大げさな……」

 

ん?マリの前に座っていた二人が軽く頭を下げた。

 

「あ、優先輩紹介しますね。私の友達の火野ライカと後輩の島麒麟です」

 

「ども」

 

「初めましてですの」

 

それぞれ、まったく特徴が違う二人だな。

一人は見覚えがある。

アサルトで男女と後輩に言われてるのを聞いたやつだな。

ちらっと見たが、筋はいいやつだな。

もうもう一人は……

ああ、確か、去年の理子のアミカだ。

フリフリの制服は理子が指示したんだろうな。

 

 

「ネギラーメンとチャーハンと餃子!」

 

「はいはーい!」

 

アリスに注文してからマリの横に座る。

そこしか空いてなかったんだ。

 

「優先輩はどうしたんですか?」

 

「今日は一人だったからな。いろいろと遊んでたんだ」

 

「ちっ……」

 

は?舌打ちが聞こえたぞ?

気のせいかデートチャンスがとか聞こえたし……

 

「あなたが椎名様なんですの?マリ様のアミカの」

 

島麒麟だ。

 

「まあな、お前は去年の理子アミカだろ?何回か見かけたからな」

 

「理子様の知り合いですの?」

 

「ああ、友達だ」

 

「……」

 

無言でマリが俺をにらんでくる。

なんなんだ?

 

「アタシも一度話してみたいと思ってたんすよ」

 

「ああ、アサルトで何回か見たな」

 

「アリア先輩との模擬戦も見てたんすけでやっぱ、アリア先輩には敵ませんか?」

 

「ん?」

 

「いえ、椎名先輩ってアサルトでは伝説的な先輩じゃないすか?入学試験で遠山先輩と教官を叩き潰してSランクに選ばれた……それに、最近では先輩が本気で戦ってないって周りでは言われてますし」

 

チラリと横に置いた刀を見てライカは言ってるようだな。

ま、切り札は隠すから切り札なんだが使ったらもう、ばれてると思った方がいい

 

「で?本当のとこはどうなんすか?」

 

「本当だよ」

 

「かっこいいんだよ優先輩!中国のSランクの犯罪者相手にしてもまったく引かなかったし」

 

マリの敬語じゃないのを聞くのは初めてだな。

 

「へー、今度戦闘訓練お願いしたいんすけど駄目ですか?」

 

「お前は確か、アサルトライフルだろ?構わないけど……」

「よっしゃ」

 

「麒麟は不服ですの」

 

「私も……不服です……」

 

ゴゴゴと二人に睨まれて俺達は引いた。

 

「な、なんだよ」

 

「お姉さまは麒麟のアミカですの!お姉さま麒麟のですの!」

 

「優先輩は私のです!」

 

いや、それぞれに言われてもな……

 

「お待たせしましたぁ」

 

そんな時、アリスが料理を持ってきた。

 

「両手に花とはこのことですねぇお兄さん。今度は後輩ですか?たらしですねぇ」

 

「はい?」

 

くるくる回りながらアリスは言いたいこと言って言ってしまう。

 

「たらし?」

 

うお!3人の目が痛い!

 

「断じて違うぞ!」

 

「優先輩って意外に持てるんですよね」

 

「へー、詳しく聞かせてくれよマリ」

 

ライカが興味を持ったらしく聞いてくる。

 

「まず、私が知ってるだけでアリア先輩、レキ先輩、理子先輩、私、アリス、神戸では千鶴先輩、藤宮姉妹……後は……ローズマリー?知ってるだけで9人いますね」

 

「最低ですの……」

「流石に引くぜ」

 

「おいこら!お前ら!みんな友達とか後輩だ!マリ!変な誤解を招くこと言うな」

 

「気づかずは本人のみなんですね」

 

「大変だなマリ」

 

「たらしがアミカなんて同情しますの」

 

なぜなんだ……後輩にはたらしと認識されちまったらしい……く、くそお!

誤解だと言いながら飯を食ったが解けるかは怪しいとこだな……はあ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

食事が終わり、三人と別れた後、バス停でアリアを見かけたので隼を押しながら声をかける

 

「優?今帰りなの?」

 

俺に気付いたアリアが言ってくる。

私用なのでワンピース姿のアリアだ。

 

「お前も帰りかアリア?」

 

 

「ママの裁判の件で公安0の土方さんに会ってきたのよ。いい人ね土方さん」

 

「ま、あの人は俺も尊敬してるからな」

 

「へー、優も尊敬してる人いるんだ」

 

「まあな……」

 

師匠もその一人だった……土方さんは師匠の知り合いでその縁で知り合いになった。

 

「乗ってくか?」

 

もうひとつ、以前にレキが被っていたヘルメットをアリアに投げる

 

「気が利くじゃない優」

 

アリアはそういうとヘルメットを被ると隼にまたがると背中に手を回してくる。

くちなしの臭いが花をくすぐりドキッとした。

 

「ファミリーマートに寄ってももまん勝って帰るわよ?優?」

 

「あ、ああ」

 

そういや、隼に女の子乗せるの二人目だな。

一人目はレキだが戦闘が絡まないで乗せるのはアリアが初めてだ。

 

「んじゃ帰るか」

 

「うん」

 

隼を発進させる。

にしても今日は疲れたな……

にしても……

今日一日中誰かに見られてたが誰だったんだ?

バレバレで稚拙な尾行だったから放っておいたんだが……

ま、いいか

 


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