緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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第100弾 理子のヒーロー

まずは牽制だな

右手のワイヤーを壁に食い込ませると飛翔。

ブラドが見上げてくる

空中を飛びながらガバメント2丁を三点バーストで放つ。

目玉模様3つに直撃するがわずかな時間を得て弾が弾き出される。

 

「無駄だ椎名」

 

ああ、そうだな。

ブラドの嘲笑に同意しながら再び三点バーストでガバメントを放つ

再び、目玉模様に命中する。

 

「ほぅ、法化銀弾か?ガキが大層なもん持ってやがるな。だが、俺は銀も克服済みだ!」

 

ちっ!

再び、出てきた高価なホーリーを見ながら俺は左手のワイヤーをポールに巻き付け、ターザンのように屋上に降りて走る。

ブラドの後方だ。

こいつを沈める方法は一つジャンヌの時に使った。

フルバーストでの四点同時破壊しかない。

昔、選択肢になかった方法だ。

さっさときめさせてもらうぜ、吸血鬼

牽制に、ガバメントをフルオートで撃ちながらブラドに走りながら刀を抜く。

だが、ブラドは牽制にひるまず、5メートルはあろうかという携帯基地局アンテナを屋上からむしりとったところだった。

馬鹿力だな。

 

「人間を串刺しにするのは久しぶりだな椎名ぁ」

 

ごっと、横殴りに振るわれたヤリを飛んで交わす。

さらに、接近する。

片手のガバメントをしまいながら完全に油断しているブラドの懐に潜り込む。

 

「飛龍一式!風切り!」

 

居合いのモーションから振り抜いたそれはブラドの両手を切り落とす。

 

「おっ?」

 

ブラドが声を上げる。

数トンはあるかというヤリが地面に落ちていく前に俺は戦闘狂の笑みで

 

「あばよ吸血鬼」

 

両肩にガバメント、右脇腹に左腰のワイヤー、そして、胸の中央に右腰のワイヤーをそれぞれ照準する。

 

この距離もらった!

一気にワイヤーと銃弾を発射する。

先端がナイフになっているワイヤーがブラドの目玉模様に突き刺さり、ガバメントの銃弾が両肩に食い込む

 

「ぐ、ぎゃああああああ!」

 

断末魔の咆哮をあげてブラドが地面に仰向けに倒れる。

 

「優!」

 

アリア達の声が聞こえるがなんだ?あっけなさ過ぎないか?記憶のブラドがこんなに簡単に倒せるものか?

嫌な予感がして、後方に飛ぼうとすると突き刺さったワイヤーが抜けない。

 

「おしかったなぁ椎名ぁ」

 

こ、こいつ……

筋肉を膨張させてワイヤーを抜けなくしてやがる。

ワイヤーを切り離すより一瞬早く、ブラドがワイヤー郡を掴むと一気に引き寄せる。

馬鹿力にあがらえず前に引き寄せられ

 

 

「捕まえたぜ椎名」

 

「くっ……」

 

巨大な手に捕縛されてしまった。

 

「優!キンジ!」

 

俺が捕まったのでアリアが助けようとしたのだろう。

だが、無用だ。

 

「来るなアリア、キンジ!」

 

「いいのか椎名ぁ?」

 

「ぐっ……」

 

ブラドが握力を少しずつ強めてくるな、なんて力だ。

 

「ほらどうした?握りつぶすぜ?俺を倒すんじゃないのかぁ?」

 

ドン

右手のガバメントから一発だが、検討違いの方角だ。

 

「ゲルババババハハハとこ撃って……」

 

ブラドが言った瞬間、ブラドの背中に紅蓮の炎と爆発が起こった。

 

「おお!」

 

ふわりとブラドが浮いた瞬間、握力が弱まった。

背中のワイヤーでブラドが距離をとるとキンジ達の場所まで戻る。

 

「優!」

 

アリアが駆け寄ってくる。

ひりひりする両手ををさすりながら

 

「駄目だアリア、4つ目が見つからない」

 

「そ、それよりあんた今、何したの?」

 

ん?

 

「跳弾と武偵弾だな?」

 

「さすがだな。キンジ。っても……」

 

起き上がるブラドを見ながら舌打ちする。

背中に武偵弾受けて無傷かよ……

化物だな……

とはいえ……

大半のワイヤーはブラドに引きちぎられてしまった。

もう、フルバーストは使えないか……

俺の手で決めたかったが仕方ない。

 

「アリア、キンジ力を貸してくれ。4つめを見つけて四点同時攻撃で決める」

 

「分かったわ。でもあたし、実はもうたまが二発しかないの。たがら、同時攻撃の時は撃てって言って。それまで弾切れしたふりをする」

 

貸してやりたいが俺のガバメントも弾切れだ。

大量にマガジンは持ってきたが銀狼に理子の武器もろともカバンは捨てられたからな。

 

「ホームズ4世。おめぇもリュパン4世と同じようなホームズ家の欠陥品みてえだな。うさぎみたいにすばしっこい射撃の腕はともかく初代ホームズの推理力がまるっきり遺伝してないと聞いたぞ」

 

「それが何?遺伝、遺伝って粘着質ね。たまにいるのよ。そういう家系マニア。あのねぇ。あんたは遺伝子の書き換えと才能だけで強くなったみたいだけど人間は遺伝子だけじゃきまらないのよ。先天的な遺伝は確かに人間の能力をある程度決めてしまうわ。でも人間はそれ以上に努力や鍛練で自分後天的に高める事ができるのよ!理子に何も遺伝してないって言うんなら、あの子はその生きた証拠だわ」

 

理子……聞いてるみたいだな

 

「現にブラド!今、てめえが相手にしてる俺は数年前より遥」

かに強いだろ?」

 

「雑魚が群れをなして強気か椎名?だが、ホームズ家の人間が欠陥を補うパートナーがいるときは気を付けろときいたんでな。一人減らすか」

 

ぎろりとブラドがキンジを見る。

 

「ワラキアの魔笛に酔え」

 

ビャアアアアアアアヴァイイイイイイイイイイイイイ!

 

その咆哮ランドマークタワーを震度させるほどの大音量だ。

街にも聞こえたはずだ

 

ぐらぐらしながらなんとか息を整える。

 

「ど、ドラキュラが吠えるなんて聞いてないわよ」

 

尻餅をついてたアリアが震える膝で起き上がってきた時

な、何?戦闘狂モードの暗示が解けた?

見ると、キンジのヒステリアモードもとけているようだ。

ヒステリアモード破り……暗示破りかよ……厄介だな。

ブラドが金棒を担いだまま近づいてくる。

「キンジ逃げろ!」

 

俺もがくりと膝が落ちる。

くっ、今の咆哮で……

横殴りにブラドが鉄棒を振るう。

日本刀を盾にぶっとばされるがキンジはアリアがかばったらしい。

よし、ワイヤーで……っ!

俺の視界にキンジが見える。

俺のようなワイヤーがないキンジは落ちるぞ

 

「キンジ!」

 

携帯用のワイヤーを投げてキンジに巻き付けると引き寄せ渾身の力で蹴飛ばす。

屋上に落ちたキンジにほっとしながら右足と左足のワイヤーで戻ろうとしたが作動さない。

ちょ……おい、嘘だろ?

ランドマークタワーの虚空に投げ出される。

言うまでもなく地上に叩きつけられたら即死だ。

ち、チクショウ……こんなとこで俺は死ぬのか?

みるみる遠ざかる空を見上げると屋上から飛び降りる影があった。

あれは理子……?

 

理子が必死に手を伸ばしてくる。

俺も必死に手を伸ばす。

数度触れ合い空中で手を繋ぐと理子は改造制服をひっぱるとそれはいつかみたパラグライダーに変わる。

空中を滑空しながら

 

「助かった理子。にしてもどうするかなぁ?」

 

理子に髪で体を支えてもらったので空中で腕を組んで俺は言う。

 

「このまま、逃げよう優!ブラドにはやっぱり勝てない!」

 

「逃げないよ俺は」

 

「で、でもブラドには……」

 

「ここで逃げたらもう、俺は自分が許せなくなる。理子はいいのか?」

 

「え?」

 

「いつか俺はいったな。4世4世さんって……」

 

ぎゅっと理子が唇を噛む

 

「今、謝らせてくれ。お前は4世じゃかい。峰 理子だ。ごめんな理子……」

 

 

「優……」

 

「倒すんだ奴を。倒さない限り俺も理子も前に進めない。あいつを倒して自由になろうぜ理子」

 

「やっぱり、優は理子のヒーローだね……優……私の名前を呼んで」

 

「理子」

 

「呼んで!」

 

ああ、何度でも呼んでやるさ。

 

「理子ぉぉ!」

 

理子の目が戦闘狂の目になる。

俺も目を開けると戦闘狂モードを覚醒させる。

 

「そうよ……私は理子!峰理子よ!」

 

パラグライダーが上昇していく。

 

「どうするのユーユー?ブラドの四つ目の弱点は……」

 

「それについてはローズマリーが教えてきた」

 

そう、戦闘中可能性を考えて狙ってみたんだ。

 

「いいこと教えであげますの」

 

首をなめたのはおまけだがローズマリーは初め、舌を指で指した。

そして、ブラドは口を庇う動きを一瞬だがした。

理子に聞いた場所をはじめは狙ったがフルバーストが使えるなら次は舌を狙うつもりだった。

つまりあいつはブラドの弱点を知ってたんだ。

 

「理子銃はあるか?」

 

これは過去を断ち切る戦いだ。理子にもブラドと戦わせたい。

 

「うん、あるよお母様と同じとこに隠してる」

 

「よし、まずはキンジとアリアを回収して説明して攻撃に入ろう」

 

「うん!」

 

キンジをかばいながら戦うアリアが見えてきた。

さあ、ブラド次で決めるぞ!


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