キラとアスランはアンジュ達を乗せた輸送機の後を追いかけ、そのまま進んで行くと、ある島が見えて来た。
その島はある軍事施設で、あちらこちらに銃座らしきものが見えた。
そしてカタパルトらしきデッキが見えて、それにキラはアスランに話しかける。
「アスラン…あれが」
「ああ、アンジュが言っていたアルゼナルだな。見た目は小さい軍事基地らしいが、どうも別の施設も考えられるな…」
そう言いつつ、アンジュ達が乗る輸送機はカタパルトに着陸し。キラとアスランはストライクフリーダムとインフィニットジャスティスをカタパルトに着陸させる。
そしてキラとアスランはフリーダムとジャスティスを降りると、数名のセキュリティ―ガード数名がキラ達を囲み、ライフルを構える。
キラとアスランはそれを思わず目を細めて見渡す。
「武装を下ろせ!」
っと司令官のジルと眼鏡をかけた女性がやって来て、セキュリティーガード達に命令をして、セキュリティーガード達は銃を下ろす。
キラとアスランは向かって来るジルを見て、目の前まで来たジルはキラとアスランに話す。
「すまんな、いきなり無礼な事をして、私はジル、このアルゼナルの最高司令官だ」
ジルの挨拶にキラとアスランは敬礼をする。
「ザフト軍ヤマト隊隊長、キラ・ヤマト!」
「オーブ連合首長国、オーブ軍准将、アスラン・ザラ!」
それにジルは目を細め、その後ろに居た眼鏡の女性は頭を傾げながら見ていた。
「(ザフト…オーブ。聞いた事ない組織だな…?)うむ、どうも軍の者だな? 監察官殿、彼等は私が直接話をします」
「ええっ!?そんな勝手にされては困りますよ!?」
「大丈夫です。私にお任せを…こっちだ、付いて来い」
そう言ってジルはキラとアスランを連れて行き、監察官のエマは目を開けたまま唖然とするのだった。
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キラとアスランはジルに連れられたまま司令室に入ると、そこにはジャスミンとマギー、メイと先ほどいたサリアの四人が居た。
二人は司令室の椅子に座るジルを見て、ジルは煙草に火を付けて、一服をして話す。
「それでお前達、サリアから無線で聞いたが…お前達がアンジュを助けたのか?」
「ええ、我々があの島に着いた時に機体の中で衰弱していたアンジュを見つけ、助けました」
「なるほど、それでお前たちは…一体何者なんだ? ザフトやらオーブやらの軍隊など我々の知る限り全く存在しないぞ?」
「…出来たら今から話す事を、信じて貰いたのですが」
っとアスランの言葉にジルは眉を動かし、それにジャスミン達は頭を傾げる。
そしてキラとアスランは今までの事を話す。
自分達が此処とは全く別の世界、C.Eの世界から来た事を話し、その世界ではコーディネイターとナチュラルが戦争している事を話す。
その話しを聞いたジルは黙って聞いていて、サリアとメイはあり得ない顔をしながら唖然としていて、ジャスミンとマギーは黙って聞いて流す。
ジルは煙草を吸いながら考え込む。
「(様子を見る限り…どうも嘘を言っている素振りはなさそうだ、それにあの機体も証拠にもなる…、丁度良い…)そうか…、聞く限りでは嘘は言っていない様だ。それともう一つ聞きたい事がある、お前たちが居たあの島…あそこにはだれかいたのか?」
「はい、この日記がありました」
キラは孤島にあった日記をジルに渡し、それを受け取ったジルはその日記を読む。
その日記の内容を見てジルは目を細める、ジルの様子をキラとアスランは見逃さなかった。
そして日記を見たジルは日記を閉じ、灰皿に置いている煙草を取る。
「成程な…、よろしい、お前たちの件は後に考える、今はアンジュを救ってくれた英雄を歓迎するとしよう。サリア、案内してやれ」
「イエス・マム」
サリアはキラとアスランを連れて司令室を出て行き、四人となったジル達は集まる。
「…なかなか面白い連中だね」
「ザフト軍やらオーブ軍とか、知らない軍隊の事を話されても聞く耳を持つこっちも大変だよ」
ジャスミンとマギーはそう言う事にジルは何事も気にしない風な顔をしている。
「それでジル、あの日記には何が掛かれているんだい?」
「ああ、あの日記か…」
ジルは掛かれていた日記の内容を話す。
「あの日記には…古の民の最後の日記が掛かれていた、もう古の民は完全に滅んでいるようだ」
その事を聞いたジャスミンとマギーは驚く。
ジルは義手を握りしめ、メイはあり得ない表情をしながら問いかける。
「ね!ねえ! 本当に皆は居ないの?まだ生きている仲間は居る筈だよ!!」
「残念だが、掛かれている内容が約1年前とかかれている、もういないと確信して良いだろう」
「そんな…」
その事を聞かれたメイは思わず頭が下がる、しかしジルは煙草を灰皿に押し付けて火を消す。
「だがまだ望みはあるぞ、あいつ等だ…」
「あの男どもかい?」
マギーが言った言葉にジルは頷く。
「ああ、あの機動兵器…あれを我々の物にすれば、我々の“リベルタス”の成功を成し遂げる事が出来る。それにはまずあいつ等をこちら側に引き入れる必要がある」
「それで考えはあるのかい?」
ジャスミンはジルにその事を問いかけ、ジルは再び煙草を取り出しながら答える。
「ああ、それには考えがある、それまでは決してあやつ等には気付かれるなよ、そして監察官にもな」
それにジャスミン達は頷き、ジルは煙草に火を付けながら再び一服するのであった。
果たしてジルたちの目的は何か、キラとアスランに何をするか、後に明らかになって行く。