キラ達の前に突如現れたラクス、死んだ彼女が目の前に現れた事にキラは動揺を隠せなかった。
「ラクス…君なの?」
「ええキラ、私でございます。信じられないと思われますが」
その事を聞いたキラは思わず足を踏み出そうとすると、アンジュが腕を掴んで止める。
「ちょっと待ちなさいよ!」
「アンジュ?」
「いきなり向かうなんて何考えてるの?! ちょっとあなた!一体何者なの!?」
アンジュは警戒する構えをしながらラクスに言い、サラは少しばかり警戒しながらもラクスの方を見ていた。
それにラクスは微笑みながら答える。
「こんにちはアンジュリーゼさん、サラマンディーネさん。あなた達の事はずっと見ていましたわ、私はラクス・クラインです」
っと自分の名前を知っている事にアンジュとサラは驚きを隠せず、キラとアスランはラクスが二人の事を知っている事に驚きながら聞く。
「ふ、二人の事を知ってるの?!」
「ええ、ずっと見ていたのです。実体のない姿…魂となって」
それを聞いてキラ達は唖然としてしまうのだった。
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そしてキラ達は少しばかり落ち着き、ラクスと共にブリッジに行き、マリュー達と会う。
無論マリュー達はラクスがいる事に当然驚いた。
「ラクスさん!? 本当にラクスさんなの?!」
「ええ、お久しぶりです、マリューさん」
「何故だ!? 死んだ君が何故ここに?!」
ムウはラクスが此処にいる事に今だに信じられず、シンとルナマリアは驚いたまま唖然としていた。
一方レイは何やら思い当たる様な雰囲気を見せて、手を顎にのせながら考えていた。
そしてアークエンジェルに来ていたヴィヴィアン以外のヒルダ達は頭を傾げながら見ていた。
「何だよあいつ? キラ達の知り合いか?」
「あたしが知るかよ、そんなの」
ヒルダはそう言いながらアンジュの方を見る、アンジュはやや警戒しながらもサラと一緒にキラの様子を見ていた。
それにヒルダは気に入らない様な雰囲気をする。
そしてヴィヴィアンは何やら思い出して、手を『ポン!』と叩く。
「おお!思い出した! 確かオーブのお墓に書いてあった人物の名前だ!」
「えっ?!」
近くにいたナオミがそれを聞いて驚き、ラクスはヴィヴィアンの言葉を聞いて頷く。
「ええ、私は一度ラウ・ル・クルーゼに命を奪われ、この世を去った者。しかし魂は唯一残り、この世界に留まる事が出来ました」
「ええっ?! ラクス!殺されたって事を知ってたの?!」
キラの言葉を聞いたラクスはそれに頷く。
「はい、キラに黙っていた事に付いては申し訳ありませんでした。
残念ながら今の私は魂だけの存在、姿を出す事は出来ますがですがキラに触れる事すら出来ません、ですが私はただこの世界で留まっていた訳ではありません、此処である事をしていました」
「あ、ある事? それは一体何?」
「はい、ラウ・ル・クルーゼの陰謀を阻止する為の準備です」
ラクスの言葉を聞いてキラ達は驚く。
「クルーゼの陰謀の阻止!?」
「はい、ラウ・ル・クルーゼは皆様方が思っている以上に脅威な存在となりつつあります。あの者は次元を操り、1000年も生き続けていたエンブリヲと言う者の身体を手に入れました。
更には…あの力、ラグナメイルの力をMSに組み込み、より強大な兵器にして、この世界をより混乱と支配にしていきました」
ラクスの言葉を聞いたアンジュとサラはそれに思わず反応し、自分達が見て来たあの出来事を思い出す。
アンジュ達のマナの正当化と支配、そしてサラの地球の破壊と放棄、その二つの全てを当てはまる事に思わず黙り込んでしまう。
「そしてラウ・ル・クルーゼはキラを抹殺を目的としていますが、実はそれだけではありません。あの者はもっと恐ろしい計画を立てていたのです」
「もっと恐ろしい計画? それは何?」
キラがそれを聞いて問い、ラクスはキラの方を向いて言う。
「それは…私達の世界、コズミックイラの世界を破壊する事です」
「「「「「!!?」」」」」
それを聞いたキラ達は思わず目を大きく開いて驚き、聞いていたアンジュ達はそれに問う。
「どう言う事なのですか?! ラクス殿! あなたは何故あの者の目的を知っているのですか!?」
サラの問いにラクスはサラの方を向きながら答える。
「私は魂となった存在、ラウ・ル・クルーゼに気付かれぬよう見ていたのです。あの者はあの強大な兵器を使い、忌まわしき兵器に搭載したんです」
「忌まわしき兵器…それってあのプロヴィデンスの事?」
「恐らくは…、ですがその正体は私にも掴む事が出来ませんでした。ラウ・ル・クルーゼはきっと何かしらの方法で破壊する方法を見つけてる筈、それを何とかしなくては…」
「なあ…、ピンクのお姉さんよ。少し聞いていいかい」
っと黙っていたヒルダが横から割り込んでくる形で入って来て、それにアンジュはヒルダの方を向く。
「ヒルダ?」
「その何とかとかさ、アタシ等にももう少し分かる様に説明してくれるかい? そっちの話しばっかで訳わかんないんだけどさ、それに世界の破壊ってそう簡単に出来る訳ないじゃん」
「いいえ、あの者は出来ます」
ラクスのすぐさまの返答にヒルダは思わず驚き、ラクスはそれに気にせずに答える。
「世界の移動と空間、そして時間をも操る事が出来るんです、それを出来ない筈はありません」
「確かに…あのラウ・ル・クルーゼは元々エンブリヲの身体を使っています。それを使って出来ない筈はありません」
サラはラクスの言葉に頷きながら納得する、キラ達の世界でサリア達がやって来たとなれば考えられない話ではないからだ。
アンジュもその事に納得し、そしてラクスはキラの方のを向く。
「私ではあの者を止める事は出来ません…、どうかキラ、ラウ・ル・クルーゼの企みを阻止してください」
「ラクス…、でも僕にはフリーダムが…また君がくれた機体を僕は…」
「俺もだラクス、ジャスティスを奴に…」
ストライクフリーダムをラウ・ル・クルーゼに壊されてしまい、キラには対抗手段がない。
そしてアスランも同様インフィニットジャスティスをクルーゼに破壊されている。
「それならば心配はありません、実はあなた達の機体はあるのです」
「えっ? それはどう言う事?」
「私が案内します、マリューさん艦を出してください。私がキラとアスランの新たな剣を差し上げる場所まで」
「え、ええ…分かったわ」
すぐにマリューはノイマンに命令してラクスが言う場所までアークエンジェルを発進させる、無論アウローラにもこの事を伝え、共に向かうのであった。
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ミスルギ皇国では、窓の外を見ていたクルーゼはある気配に気付く。
「ん? これは…まさか」
クルーゼがその気配を感じている中で、サリア達がやって来る。
「エンブリヲさん…、っ!エンブリヲさん…その顔」
「エンブリヲ君、その顔どうしたの?」
エルシャとクリスはクルーゼの顔の傷を見て問い、それにクルーゼはそれに答える。
「ああ、これかね。これは今まで隠していた古傷を出しただけだよ」
「古傷?だれの?」
「決まっている。キラ君だよ」
っとその事を聞いたサリアは思わず目を開き、クルーゼはそれに気付かないままサリア達に命令する。
「あーそうそう、君達に向かって貰いたい場所があるんだ」
「なんでしょう」
「なんでもその場所はかつて忘れ去れた島で、そこにアークエンジェルが向かっているのだよ」
クルーゼの言葉を聞いたサリア達はそれに反応し、クルーゼは言い続ける。
「その場所にはオルガ達と共に艦で向かって貰いたい、艦の場所はオルガ達が知っている、頼んだよ」
そう言ってクルーゼが去ろうとした時にサリアが問う。
「お待ちをエンブリヲ様…いえ、クルーゼ様」
「「?」」
「・・・」
突如サリアがエンブリヲの名ではなく、クルーゼの名を言い出し、それにエルシャとクリスは振り向き、クルーゼはサリアの方を向く。
「貴方の名前はラウ・ル・クルーゼなのですよね。アンジュとドラゴンの姫との会話を聞いていました…」
「…そうか、ではこの際だ。私はもうエンブリヲなのではない、ラウ・ル・クルーゼ。以後この名で通して貰いたい、では…」
そう言ってクルーゼはその場を去って行き、エルシャとクリスはサリアの方を見る。
「サリアちゃん、どうしたっちゃの?」
「サリア、何かあったの」
「別に…何でもないわ、オルガ達の元に行きましょう。その艦と言う物の場所に」
そう言ってサリアはエルシャ達を置いて行き、エルシャ達は互いに見合いながらサリアの後を追いかけて行き、オルガ達の元に向かうのであった。