クロスアンジュ 蒼き自由と紅き騎士   作:ライダーGX

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第38話 悪夢の真実 前編

ミスルギ皇国で暁ノ御柱でアウラが幽閉されているのをエンブリヲ事クルーゼに聞かされたアンジュとサラ、二人はまた再び部屋に戻された。

部屋にモモカが椅子に座っていて、アンジュ達が戻って来たのを見て立ち上がる。

 

「アンジュリーゼ様!!ご無事ですか!?」

 

「ええ、何とかね」

 

その事を聞いてモモカはホッと胸を下ろす。

 

「良かったです、アンジュリーゼ様にもしもの事があったら、モモカはどうしたらいいかと迷いました」

 

「ごめんねモモカ、それよりもサラ子。どうやってアウラを助け出す?」

 

アンジュはその事をサラに聞き、それにサラは考える。

 

「そうですわね…、どの道此処に居てもエンブリヲ…いえ、あのクルーゼが言った言葉を聞いていたら一刻も早くここを抜け出す他ありません」

 

「あの言葉…、キラを殺す事ね。どうしてそこまで根に持つのかしら…」

 

「分かりません。ですが何としてもキラ達にこの事を知らせなければ、一刻も早く…」

 

「そうね、モモカ。ここを出るわよ」

 

「はい!アンジュリーゼ様!」

 

モモカは頷いてアンジュに付いて行き、アンジュは部屋の隠し扉を開いて部屋を出る。

サラはその様子を見て感心する。

 

「よく隠し扉がありましたわね」

 

「此処は私の家なのよ、逃げ道の為の隠し通路がそこら中にあるんだから」

 

そう言ってアンジュ達はその隠し扉を使って抜け出し、その時に見張りに来たクリス達がやって来る。

 

「っ!! アンジュが居ない!!」

 

「あらあら、困った子ね」

 

そう言ってエルシャ達はアンジュ達を探しに向かい、サリアはその様子を見ていて、少々考えながらその場を後にする。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

そして一方、キラ達はアークエンジェルとアウローラを潜航させながらミスルギ皇国へと向かっており、アウローラのパラメイル隊をアークエンジェル艦内に移して準備を進めていた。

 

マードックが整備班達に怒鳴りながら叫ぶ。

 

「お前等!!!もたもたするんじゃねえぞ!!!遅れた者は腕立て150回だからな!!!」

 

『『『『おう!!!』』』』

 

整備班達の掛け声に準備を進めているパラメイル整備班達はその気迫に思わず目がくぎ付けとなる。

メイがその様子に声を掛ける。

 

「ほら皆!ボーっとしないで手を動かせ!」

 

「「「はい!」」」

 

その言葉にすぐに作業を再開するパラメイル整備班達、メイはすぐに自分の作業に戻る。

 

そしてアスランはジャスティスの準備をしながらもキラの様子を見ていた。

キラはフリーダムが使いない今、応急処置の機体であるムラサメを使おうとしていて、すぐにOSの書き換えを行っていた。

 

そんなキラの様子をアスランは歩み寄る。

 

「キラ、本当にこの機体で出るのか?」

 

「うん、フリーダムがない以上この機体で出るしかないよ、それにレイがどんな機体を持って来るか分からないし、仮にフリーダムと同じ機体だったとしても僕の操縦にどこまで対応できるか分からないし」

 

「それもそうだな…」

 

キラの言葉にアスランもそれに納得するかのように頷く。

 

そしてシンがやって来て、キラとアスランの元に来る。

 

「キラさん、アスラン。機体の調整終わりました。何か手伝える事はありませんか?」

 

「ありがとうシン、実はスラスターの出力調整がまだ出来てないんだ。それをちょっと見てくれる?」

 

「分かりました。やって置きます」

 

すぐにシンはスラスターの調整を行い始め、キラはすぐに作業を再開しようとした時に。

 

「わっ!」

 

「「「っ!」」」

 

ヴィヴィアンが突如前に現れて、キラ達は思わず驚いて手を止めてしまう。

 

「驚いた?」

 

「お、驚くよ…。どうしたの?」

 

「いやさ、アタシも何か手伝おうと思ってさ。アタシのパラメイルもう終わったから」

 

「手伝う? こいつはお前たちの機体とは全くぞ?」

 

アスランはモビルスーツとパラメイルの機体整備の違いをヴィヴィアンに言い、それにヴィヴィアンは頷きながら言う。

 

「分かってるって、後でナオミも手伝いに来てくれるって言ってたよ」

 

「ナオミも? 何だか悪いね…」

 

その事にキラは申し訳なさそうにして、ヴィヴィアンは笑顔で言う。

 

「いいって♪ アタシ等はキラ達の為にやっている事だから」

 

ヴィヴィアンはそう言ってキラの機体の調整を手伝い始めた。

 

その様子を見て、キラ達は少々苦笑いしながら見るのであった。

 

 

 

そしてレイの方は、アジトに到着して、レイが隠してある機体のハッチを開こうとしていた。

 

「…っ!」

 

その時レイはハッチの中を見て、思わず言葉が失くしてしまった。

 

隠しある筈の機体が完膚なきまでに破壊されていたのだ。それも修復不可能の状態に。

 

「どうして…ん?」

 

レイは近くにある制御盤の元に行き、そこにメッセージが残されているのを見て再生してみる。

すると映像にはエンブリヲ事、クルーゼが映し出された。

 

『やあレイ』

 

「ラウ!」

 

『君が隠してあった機体を見たかね? 中々面白い機体ではあったが、ここに置いてあると返って面倒になって来るので破壊させて貰ったよ。形から見てフリーダムのコピー品と見た。

そんな物をキラ君の代用機としてしようと思ったが、そうはいかない。彼をもっと苦しめさせるためにも妨害させて貰ったよ…ではまた』

 

そう言ってメッセージは終わり、それにレイは拳を握りしめる。

 

「先回りしていたのか、ラウ…!」

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

そしてアンジュ達は何としても脱出しようとアンジュの屋敷から出ようとしていた。

しかし、アンジュ達は外に出ようにも、全く別の場所に出てしまう。そこは牢獄の様な場所だった。

 

「アンジュ、外に出る筈だったでは?」

 

「わ!分かってるわよ!(おっかしいわね…、確かにこっちの筈…)」

 

昔の事を少々忘れかけているアンジュの様子にサラはそれにため息を付く。

 

パシュ!!

 

「??」

 

何やらムチの音がしたのをアンジュ達は振り向き、その場に向かう。

その場には裸のまま吊るされたリィザの姿が居て、それをシルヴィアがムチでリィザを痛みつけていた。

 

「シルヴィア…!」

 

「リザーディア…!」

 

「全く!何て汚らわしい! そこで反省していなさい!!」

 

そう言ってシルヴィアはその場から離れて行き、アンジュはシルヴィアの様子を見て呆れる風景になる。

 

「馬鹿な子ね、自分が汚らわしい事に気付かないなんて」

 

「アンジュ、今はそんな事を言っている場合じゃありません」

 

「分かってるわ、モモカ」

 

「はい」

 

モモカはすぐさまリィザの元に行き、彼女を解放する。

下ろされたリィザはモモカに水を渡されて、それを飲み干すとモモカを見る。

 

「…お前は」

 

「リザーディア」

 

リィザはサラの声を聞いて驚いて振り向き見る。

 

「サラマンディーネ様…」

 

「リザーディア、貴女に何があったのかはまた今度聞きます、ですが今私達と共に脱出を手伝ってください」

 

「サラマンディーネ様…、しかし」

 

「リィザ様」

 

モモカの言葉を聞いてリィザは振り向き、モモカは真剣な目でリィザを見つめて言う。

 

「貴女がジュリオ様と一緒に、アンジュリーゼ様を貶めた事…忘れはしません」

 

「っ、モモカ…」

 

アンジュの誕生16年祭の時に彼女をノーマと暴露し、そして彼女に酷い仕打ちをしたことを忘れはしないと言うモモカ。

その事を聞いてアンジュは思わず息を飲んだ。

 

「だから…アンジュリーゼ様に謝って貰うまで、絶対に死んでは駄目です、そして手伝ってもらいます。それが私の今の願いでもあり、お願いでもあります」

 

「モモカ…」

 

っとアンジュに謝罪と協力を申し込むモモカ、それを聞いてアンジュは目を大きく開き、リィザはそれを目に涙が浮かび上がって来る。

 

「分かりました…、このリザーディア、何なりとご命令を」

 

それを聞いたアンジュ達はすぐに移動を開始するのであった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

ミスルギ皇国付近までやって来たアークエンジェルとアウローラは一度浮上して、ブリーフィングルームで作戦内容を確認していた。

 

「今回の作戦はミスルギ皇国へ入って、アンジュとサラ、そしてモモカの三人を救出する事です」

 

「へぇ~、アンタにしては大胆な行動だね。まあアタシもそれには同感だけどね」

 

ヒルダがその事を聞いて賛同するかのように言い、隣で聞いているロザリーが顔を傾げる。

 

そしてイザークがある事を聞く。

 

「おいキラ、お前の作戦なんだが、特効作戦と変わりないんじゃないのか?」

 

「そうだぜキラ、相手は元クルーゼ隊長だ。この作戦は相手側にも分かっちまうぜ」

 

「そう見せかけて囮をしてもらいたいんだ、皆に。僕達はその隙にアンジュ達を見つける」

 

「キラさん達だけで大丈夫ですか?」

 

心配をするシンにキラは笑顔で言う。

 

「大丈夫だよシン、僕も無茶はしないから」

 

「だと良いんですけど…」

 

キラの言葉に心配性なルナマリア、その様子にナオミが問う。

 

「私達も数名同行した方が良いのでは?」

 

「いや、帰って多いと見つかる可能性もあるから、救出は僕とアスランで行うよ」

 

それを聞いてヒルダは少し不満気な表情をする。

 

「じゃあ作戦を開始します。良いですか?」

 

キラの言葉に皆は頷き、すぐさま自分達の機体へと向かう。

 

キラも応急用のムラサメに乗り込み、皆に通信を入れる。

 

「それじゃあ皆、作戦通りに」

 

『了解!』

 

「キラ・ヤマト、行きます!」

 

「アスラン・ザラ、ジャスティス出る!」

 

キラとアスランが先に出撃して、その後にシン達も出撃をしてミスルギ皇国へと向かって行った。

 


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