キラのストライクフリーダムが落とされてすぐに回収に向かったアスラン達、回収後、アスラン達はキラをすぐに医療室に送りキラの治療を開始した。
その様子を外で待っているアスラン達、そこにマリュー達がやって来て、アスラン達に問う。
「アスラン君。キラ君は?」
「キラならまだ治療中です、まだ何とも…」
「そうか…、クルーゼの野郎…!」
ムウは拳をぶつけながらエンブリヲに怒りが溜まり込む、そしてヴィヴィアン達がやって来る。
「アスラン!キラは?」
「医療室の中だ」
アスランが医療室の方に目を向け、それにヴィヴィアン達は向く。
「まじかよ…あのキラがやられたるなんて…」
ロザリーがキラがやられた事に驚きを隠せず、ヒルダは壁にもたれる。
「あいつ、あの程度にやられるなんて、ざまぁねえな」
っとその事にシンが反応する。
「…お前、今なんて」
「はっ、ざまぁねえなって言ったんだよ。文句あっか?」
「…お前!!」
その事にシンは怒りに火が付き、ヒルダに向かって首根っこを掴み、シンはヒルダに殴りかかろうとする。
それにルナマリアが止める。
「やめてシン!」
「何でだよルナ!? こいつは!」
シンは今だに暴れようとするが、アスランがそれを止める。
「やめろシン、ヒルダには何言っても無駄だ」
「でも!」
「シン、今は堪えろ。ヒルダ、お前も少しは口を慎め、現にお前は何もやっていないだろう」
「うっせぇ! アンジュを奪われたんだぞ…、それなのに落とされたあいつが悪いんだよ!取り戻しに行ったくせに落とされやがって!」
その事を言うヒルダに対しイザークが歩み寄って、ヒルダの頬に向けて引っ叩く。
パンッ!!
「っ!!!何しやがる!!」
「黙れ!! お前はあいつの事をどうとか言う必要はない!!」
「チッ!!!」
舌打ちするヒルダに去って行くのをロザリーは一瞬見て、その後すぐに追いかけて行く。
その様子をアスラン達はただ黙って見て、そしてナオミが少し戸惑いながら頭を下げる。
「ご!ごめんなさい!何て言ったらいいか…」
「いや、お前が謝る必要はない。あいつの一言の問題だ」
そうイザークは言い、その事に黙り込むナオミ、そして医療室のランプが消え、医師が出て来てアスラン達が駆け寄る。
「先生、どうですか?」
「大丈夫、破片は全て摘出、命に別状はありません」
その事を聞いたアスラン達は一安心をし、医療室から医務室へと移されたキラの病室へと向かう。
「あ、皆」
丁度キラは起きていて、その回復ぶりにヴィヴィアン達は驚く。
「ほえ?もう起きてるの?」
「回復早くないですか…?」
その事にキラは苦笑いをし、アスランがキラの元による。
「大丈夫かキラ、まだ動ける状態じゃあ…」
「大丈夫だよアスラン。のんびり寝てもいられないから」
「お前…、そう言う問題じゃないだろう」
アスランの言う事にシンとルナマリアが頷く。
「そうですよキラさん! だってフリーダムが…!」
「クルーゼに壊されたんですよ…」
その事に黙り込むキラ、エンブリヲがドラグーンを大量に出され、圧倒的にストライクフリーダムを大破までさせていったエンブリヲの能力。
元々あのストライクフリーダムはファクトリーが作ってくれた物なのだが、渡されたのはラクスからであり、彼女から貰ったのも同然、その剣をエンブリヲに砕かれた事に黙り込むキラ。
「…フリーダムを壊された僕に一体どうしたら…」
その様子を見ていたレイがある事を言い出す。
「キラ・ヤマト、提案があります」
「えっ?提案?」
「レイ、何かあるのか?」
シンがレイにそれを問うと、レイは頷いて言う。
「ああ、俺とステラがラウから離れた際に隠れ家として使っていた秘密のアジトがあります。そこにはある物があるんです」
「ある物? それは一体何?」
「それは行けば分かります。艦長頼めますか?」
レイはその事をマリューに頼むと、マリューはそれに少々悩む。
「そうしたいのはやまやまだけど、アンジュさん達を早く助け出さないと行けないから難しいわね…」
「なら私が一度隠れ家に戻って、キラの新たな機体を取りに行きます。そうした方が効率が良いです」
「そ、そう…ならそうして貰おうかしら」
マリューの許可を得たレイは頭を下げて、そしてキラの方を向く。
「キラ、貴方の新たな機体を持って行きます。きっと気に入りますよ」
「う、うん。ありがとう」
そう言ってレイは病室から出て、すぐさまレイ達が居たアジトへと向かった。
「さて…どうするんだキラ?」
「決まっています。サラやアンジュを救います、ラウ・ル・クルーゼが二人に被害を加える前に助け出さないと」
「その状態でも、行くつもりねキラ君は…。分かったわ、彼女達の行き先は恐らくミスルギ皇国よ。良いキラ君?」
それにキラは頷き、マリューとムウは互いの顔を見て頷き、すぐさまブリッジに向かった。
病室を出たマリューとムウを見届けたヴィヴィアン達、ヴィヴィアンとナオミはキラの近づいて、キラの身体を心配する。
「キラ、何かあったら言ってね?」
「すぐ駆けつけるから!」
「うん、ありがとう」
そう言ってヴィヴィアン達はそのまま病室を出るのであった。
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そしてアンジュとサラ、モモカの三人はミスルギ皇国へと連れて来られ、アンジュの部屋に閉じ込められていた。
アンジュの服装は白いドレスで、サラは赤いドレスを着ていた。
扉には鍵がかかっていて、当然脱出は不可能。
「…キラ、無事でしょうか」
「きっと無事よ、キラがそう簡単にやられる筈はないわ」
心配するサラにアンジュがそう言い、それにサラは頷く。
「ええ、そうですね」
「果たしてそうかしら」
っと突如誰かの言葉に振り向くアンジュ達。そこには扉から軍服の様な制服を身にまとったサリア達が部屋に入って来ていた。
「もう彼は死んでいる筈よ、エンブリヲ様が倒したのだから」
「…元気そうねサリア、一体何があったの?あんなに司令好きのあなたが…」
「別に、目が覚めたのよ…エンブリヲ様のお蔭でね」
話しによると、サリアはアンジュに落とされた後、エンブリヲに助けられ自ら迎えてくれた事に感謝をしていた。
当然ノーマであるサリアが人間に処分されると思っていると思っていたが、それをエンブリヲがやめさせてくれて。そして自分を全く必要としていないジルからエンブリヲへと鞍替えした。愛するジルからエンブリヲへと…。
サリアは頬を少し赤くしながら、エンブリヲから貰った指輪を見る。
「そして私はエンブリヲ様の直属の親衛隊『ダイヤモンドローズ騎士団』、騎士団長のサリアよ」
「ダイヤモンドローズ騎士団…、変なお名前ですわね…あの無粋な者に忠実になるなど」
っとサラが言った途端サリアが表情を変えてサラに近づき、引っ叩く。
しかしそれをサラは軽々と受け止め、更に投げ返したのだ。
ドスッ!!
「ぐっ!!」
「「騎士団長!!」」
後方に居たターニャとイルマが銃を抜こうとした瞬間、アンジュが間合いを取って、二人の銃を奪って、手刀で気を失わせる。
「ターニャ!イルマ!」
サリアが身体を起こそうとするが、先ほどのダメージが効いていて上手く動けない。
そんなサリアの様子をサラは上から目線で言う。
「鈍いですわね貴女、此処に居るアンジュより弱いですわ」
「ちょっと、どう言う意味よ!」
その事に思わず怒鳴るアンジュ、それにサリアは怒りが溢れ込み歯を噛みしめる。
「もう少し武術の基礎を学ぶべきですわ、さあ行きましょうか」
「ちょっと!もう!」
無視するサラにイラつくアンジュ、そんな様子を苦笑いするモモカであった。
っがその時、モモカに後ろに誰かが回り込み、モモカの腕を取る。
「うぅ!!」
「モモカ?!」
アンジュが振り向くと、そこにはオルガ達がモモカを捕えていて、スティングがアンジュとサラに言う。
「お前等、あんまり抵抗するな。じゃないとこのメイドがどうなっても知らねぇぞ」
「くっ!」
「卑怯な…!」
「うっせぇよ、おめぇ等。さっさとどっか行けよ!」
オルガの文句に歯を噛みしめるサリア達、サリア達はその場を去って、スティングが二人に手錠を掛ける。
「来いよ、クルーゼがお前たちを呼んでいる」
「エンブリヲ…、あいつが」
「忌々しい男、此処で落としたい所ですが、下手に動けばモモカ殿が危うい」
何も出来ないアンジュとサラ、二人は大人しくしながらオルガ達にエンブリヲの元に連れて行かれるのであった。