クロスアンジュ 蒼き自由と紅き騎士   作:ライダーGX

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第33話 決別の時

アークエンジェルを連れてアンジュ達の世界に再びやって来たキラ達、一度完全崩落したアルゼナルにやって来た時にモモカとヒルダ達に再会して喜ぶアンジュとヴィヴィアン。

そこでヒルダは自分達の旗艦である『アウローラ』を呼び、一度アークエンジェルの隣にならばせて、通路を連結させた。

 

アウローラのブリッジに居るオペレーター三人娘達は周囲を警戒していた。

 

「レーダー敵機無し、周囲に問題なし」

 

「それにしても、まさか生きていたとはね」

 

ヒカルはアークエンジェルに居るアンジュとヴィヴィアンの事を言いながら呟き、オリビアもそれに同意する。

 

「ええ、ヴィヴィアンもアンジュも、そしてキラとアスランもてっきりロストしたかと思ってました」

 

「今まで何処にいたんだ?」

 

ヒカルがそれを言うとパメラがそれを言う。

 

「シンギュラーの向こうだって、その後はキラ達の世界にも行ってたんだって」

 

っとパメラが言った言葉にヒカルとオリビエが思わず驚きを隠せない。

 

「「うっそ~!?」」

 

「本当よ。だってあれが証拠だもん」

 

パメラはアークエンジェルを見ながらそう言う。

そしてアークエンジェルの作戦会議室にアンジュ達がジル達を此処に呼んで、自分達が今まで見て来た事を話す。

 

「並行宇宙ともう一つの地球…、ドラゴン、いや…遺伝子改造した人間の世界。そして最後にはこいつ等の世界にも…か」

 

そうジルは呟きながら煙草を取り出す。

 

キラはそうに頷きながら言う。

 

「はい、それとあなた達の世界を動かしているクルーゼがあなた達に意味のない戦いをさせ、この世界を混乱に導いている事をこれからどうするべきかを考える時です」

 

「ええ、それが最も良い決断だと思うの」

 

キラの言葉にアンジュも頷き、ヒルダ達はアンジュの言葉を聞いてただ唖然とするしかなかった。

そしてサラがキラの前に出て言う。

 

「まずやるべき事はこの世界に捕らえられているアウラを奪還する事です。我々アウラの民の目的はアウラの奪還、上手くアウラを取り戻せば全てのエネルギーが立たれ、人間のマナも世界も停止する筈です。

そこでどうでしょうか皆さん、私達…そしてキラ達共に手を組むのは?」

 

っとサラの言葉にヒルダ達は驚きを隠せず、その中でジャスミンが納得した表情をする。

 

「ほお~、敵の敵は味方か、成程~…」

 

「はい、ご理解していただきありがとうございます」

 

サラの言葉を聞いて、ロザリーが思わず抗議する。

 

「じょ!冗談だろ!?人間は兎も角!あいつ等は沢山の仲間を殺してきた化け物なんだぞ!! ドラゴンと協力~!?在りあねっつーの!!」

 

「ロザリー、少し口を慎め」

 

アスランが少々睨みつけながらロザリーに少し叱り、それにロザリーは思わず後ずさりする。

そんな中でヴィヴィアンが思わず頬を膨らませてロザリーを睨み、アンジュがそれに言う。

 

「ちゃんと話せば分かるわ、サラ子達は話せば分かるもの」

 

「無駄だ、奴らは信じるに値しない…」

 

「何故、そう思えるのですか」

 

サラがジルの言葉に振り向きながら問い、それにジルは携帯灰皿を取り出して煙草を消しながら言う。

 

「信じられんからだ、アウラなんだか知らないがたかがドラゴン一匹助けただけでリベルタスが終わると思っているのか?

それに奴はエンブリヲだ、神気取りの支配者エンブリヲを抹殺し、この世界を壊す…それ以外にノーマを解放するすべはない」

 

ジルの硬い意思にアンジュは思わず黙り込む。その事にキラが言い返す。

 

「ジル司令、貴女の言っている事…僕はどうも信じられません。クルーゼを倒すだけで終わるとは限らないと思うのですよ」

 

「フッ、お前の言うクルーゼだが何だが知らなんが、奴はエンブリヲ…他の奴でもない…私はエンブリヲをよく知っている」

 

っとそう言いかせ、その言葉を聞いたキラとアスランは思わず顔を合わせる。

 

どうしてこうも耳を傾けてくれないのか、それがどうも疑問に思えて来る。

 

「アンジュ、そのドラゴンの娘に洗脳でもされたのか?」

 

「せ!洗脳!?」

 

「失礼ですが、我々アウラの民は決してその様な事はしません! まして貴女の様な野蛮な事を考える人に!」

 

サラはジルの発言に対して言い返すも、ジルはそれを無視するかのように顔をそむける。

その様にアンジュは歯を噛みしめるが、アスランがアンジュの肩に手を置き、前に出て言う。

 

「前々から思っていたのですが、貴女は俺達の言葉を全く聞こうとしないのは何故ですか? 自分の理念を言い聞かせて思い通りの事を指せているつもりなのですか?」

 

「そんな事お前が知ってどうする? お前が知る必要はない」

 

その事に対し聞いていたマリューやムウ達は少しジルの態度に目を光らせ始めた。

重苦しい空気をジャスミンが割って入る。

 

「しかしジル、キラの言葉の一理あるぞ。現にわたし等の戦力が心持たないのも事実だ」

 

「サリア達が寝返っちまったからね…、おまけにキラ達と同じサイズの機体も現れるし」

 

っとその事を聞いたキラ達は顔を合わせる、どうやらヒルダ達はもう既にMSとの戦闘は開始していた様だ。

そしてジャスミンはキラ達にある事を問いかける。

 

「アンジュ、そこの姫さんとの世界にコンタクトは取れるかい?」

 

「ええ、此処に居るレイって人がシンギュラーを開かせる事が出来るの。そうすれば自由に出入り出来るわ」

 

「それは凄いな、そしてキラ、あんた等がやって来たこいつ…アークエンジェルって言ったかね? このまま此処に残るのか?」

 

「はい、クルーゼを止める為に僕達はこの世界再びやって来たんです。クルーゼはとても危険な男ですから」

 

キラの言葉を聞いたジャスミンは頷く。

 

「成程。ジル、ドラゴン達との共闘。そしてアークエンジェルとの共同…考えてみる価値はあるんじゃないのかい」

 

「おお!」

 

ジャスミンの提案に聞いたヴィヴィアンは思わず嬉しがる。

しかしジルは黙ったまま返答せず、それにアスランは厳しい表情で見ていた。

 

「…ジル」

 

ジャスミンが再び問いかけ、それにジルはようやく口を開く。

 

「…よかろう。情報の精査の後、こん後の作戦を通達する。以上だ、私はアウローラに戻る。此処に居ると気がまぎれん」

 

そう言ってジルは作戦会議室から出て行き、ヒルダ達は敬礼をし、キラ達は何やら重苦しい雰囲気にのまれながら呟く。

 

「ジル司令…どうしてそこまでクルーゼじゃないと言い聞かすんだろう? 現に僕達は本人から聞いたのに」

 

「あの司令、俺達に隠し事をしているに違いない」

 

「それはないよ」

 

っとジャスミンがそれを言い、キラ達はそれに振り向く。

 

「あの子はただ嬉しさを隠しているんだよ、本当はこんなにも援軍が来てくれて、アンジュが帰って来たのがさ、その子はアタシが保障するよ」

 

「申し訳ないがそれは保証できないと思います」

 

その事にレイが言い、ジャスミンは振り向く。

 

「あの女性は絶対何かを隠している、私はラウを長年共に居た者です。あのラウを知る人物は絶対にいません」

 

「そんな事は無いさアタシを信じてみな」

 

そう言い聞かすも、レイはそれを無視して部屋から出て行く。

レイの様子を見たジャスミンは不機嫌そうになり、マギーが嫌みったらしに言う。

 

「何だよあの坊主、可愛くないね」

 

しかしレイの言葉にはキラ達も同じだった。ジルはきっと何かを隠している、絶対にそうなんだと思うキラ達だった。

 

 

 

───────────────────────────────────────

 

 

 

そしてアークエンジェルの食堂でキラ達が少し水を飲んでいた、マリュー達はブリッジでジャスミンと少しばかり話をしていた。

ヒルダとロザリーの他にナオミやココやミランダにモモカ、そしてアウローラからある三人が付いて来ていて、アークエンジェルの艦内を見ていた。

 

「すげぇな」

 

「アタシ等のアウローラとは全く違うね」

 

そしてヴィヴィアンの方は出された食事をのん気に食べていた。

 

「はむ!もぐもぐ…美味~い! いや~!やっぱりアークエンジェルの食事は美味い!」

 

「ヴィヴィアン、久しぶりに会えたのに相変わらずだね…」

 

ナオミはヴィヴィアンの様子を見て苦笑いしながら見ていて、その様子にココ達も呆れかえるしかなかった。

するとマギーがヴィヴィアンの身体をあちこち触りまくり、それに擽られて笑ってしまうヴィヴィアン。

 

「ぷははははっ!く!くすぐったい!」

 

「本当に…キャンディーなしでもドラゴン化しなくなったのかい?」

 

「そう…らしい!」

 

「大した科学力だね~」

 

マギーはサラ達の世界の科学力に感心する。

 

「あ!そうだ! 向こうの皆は羽と尻尾があったんだけど、アタシなんでないの?」

 

「バレるから切ったよ」

 

「うわっ!!ひでぇ~!!」

 

ヴィヴィアンの様子にナオミ達は呆れかえってしまい、聞いているキラ達もそれに呆れてしまう。

 

「それじゃあアタシはアウローラに戻ってるよ、さっさとこっちに戻って来なよ」

 

そう言いながらマギーは戻って行き、キラ達はその後ろ姿を見送った。

そしてモモカがアンジュの元に近づく。

 

「アンジュリーゼ様、本当にご無事で良かったです!」

 

「心配してゴメンねモモカ」

 

「全くその通りだぜ」

 

っとヒルダが間に割り込んできて、アンジュを少し睨みつける様に言う。

 

「いきなり戦場からロストして、帰ってきたら大勢の人間を連れて来るわ、いきなりぶっ飛ばされるわ。もう無茶苦茶だぜおい」

 

「最後のそれ、貴女が弱すぎ、自業自得」

 

「あぁ?!」

 

ステラの言葉を聞いたヒルダはステラを睨みつけるも、ステラはそれを無視して飲み物を飲む。

ヒルダがそれに悔しそうにしている中でキラが問う。

 

「ねえ、君達はMSとはどう言う風に戦闘していたの?」

 

「どう言う風にって、アタシ等はただパラメイルに乗って戦っていただけだ、でも相手には全く効かずいとも簡単に遊ばれたぜ」

 

ロザリーの言葉を聞いたアンジュは意外そうな表情をしていた。

 

「よく無事だったわね?この艦」

 

「喧嘩売ってんのか!てめぇは! こいつ等が頑張ってくれたからな」

 

そうロザリーは指を指して、三人の若い少女たちの方を向かせる。

 

「ノンナ、マリカ、メアリー。キラ達が不在の中で戦力不足でライダーに格上げされた新米たちさ」

 

「私達の後輩なんだよ」

 

ナオミが自慢そうに言い、それに納得するキラ達。

 

「まあともあれ、このアタシがみっちり扱いたお蔭で何とか一著前に───」

 

するとメアリー達が一斉にヴィヴィアンの方に向かって行き、それにはロザリーも流石に突然過ぎて戸惑った。

 

「あの!お会いできて光栄です!」

 

「えっ?アタシ???」

 

ヴィヴィアンは自分の事を言われて、何が何やら分からなかった。

 

「第一中隊のエース、ヴィヴィアンお姉様ですよね!」

 

「ずっと憧れていました!」

 

「大ファンです!」

 

「そっかそっか♪ よし喰え喰え~!」

 

ヴィヴィアンは自分の食器の具をメアリー達にも分け、その様子にロザリーはやや悔しがる。

 

「ちょっとあんた等!!アタシにはそんな事一言も!?」

 

そんな賑やかな空気の中でアスランが何やら思いつめた表情をして、それにキラが問う。

 

「どうしたのアスラン?」

 

「キラ、ジル司令…おかしいと思わなかったか?」

 

「……うん、僕もそう考えていた。明らかに何か企んでいる様子だった」

 

「そうですね」

 

その事にはサラも同意するかの様に言い、アンジュがそれに黙っていると。

 

「アレクトラ・マリア・フォン・レーベンヘルツ…だっけ」

 

「えっ?」

 

「誰だ?その人は」

 

キラとアスランがその事をヒルダに問うと、それをヒルダが答える。

 

「司令の事だよ、司令が全部ぶちまけたからね。自分の正体も…リベルタスの大義の事も」

 

ヒルダはジルが自ら正体を証し、リベルタスの全て、そして自分達の最大の敵であるエンブリヲを倒す事を宣言した事を話していた事を聞き、キラ達は少し思いつめる表情をする。

 

「なるほどね…」

 

「意気込みは分かるけど。ガチ過ぎてちょっと引くわ…」

 

ジルの宣告をあまり気が乗らない事を言うヒルダにキラ達もその事を少しばかり考え込む。

 

 

 

───────────────────────────────────────

 

 

 

そんな中でアークエンジェルの艦長室では、マリューとムウが二人っきりで話し合っていた。

 

「どう思うんだ?艦長」

 

「どうって?」

 

「あのジルって言うアルゼナルの司令官の事だ、あまりにも『私はお前達の事を信じていない』って感じだったぜ」

 

ムウのその事を聞いてマリューも少しばかり考え込む。

 

「その事に付いては私も感じてはいるわ、挨拶の時も無視していた感じだったし」

 

マリューはジルと対面した時に手を差し伸べたも、ジルはそれを無視していった事にマリューは少し戸惑いの気持ちを持ってしまった。

 

「だよな、それでどうするんだ? キラ達の事もあるし、ここは少し様子を見るか?それともこっちから少し動いて見るか?」

 

「……」

 

ジルに対し少し対応を考えようとしているマリュー、っとそこにドアのコール音が鳴り、それにムウが出る。

 

「誰だ?」

 

『私です、レイです』

 

レイの出向けにムウは向くと、マリューはそれに頷く。

ムウは入室を許可を出し、レイが艦長室に入って来る。

 

「どうしたの?」

 

「艦長、少しばかり私に自由行動の許可を頂きたいのです」

 

その事を聞いてマリューとムウは顔を合わせ、レイの話を聞き、その後驚きを隠せないのであった。

 


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