クロスアンジュ 蒼き自由と紅き騎士   作:ライダーGX

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第31話 レイからの言葉

先の戦闘でアークエンジェルに戻って来たキラ達は一度フリーダム達から降りて降りて来るレイとステラを見る。

死んだはずの仲間とシンの大切な人が蘇った事に言葉をシンは言葉を失くしていた。

 

そして格納庫にやって来たマリュー達、その中でルナマリアはレイの姿を見て思わず言葉をつまらせる。

 

「(っ!!レイ!?)」

 

アンジュとサラとヴィヴィアンは二人の様子を見つめる。

 

「あの二人が…あれの?」

 

「あの機体、エンブリヲの機体と似ていますね、どう言う事でしょう」

 

サラがレジェンドの姿を見てやや警戒心を抱いていた。

 

「おお~!!かっけぇぇぇ!!」

 

っとのん気に興奮しているヴィヴィアンに、隣に居るサイトミリアリアとメイリンはやや呆れてしまう。

そんな中でレイとステラは機体から降りて来て、レイはキラ達と向き合う。

 

「こうして顔を合わせるのはメサイア以来ですね、キラ・ヤマト、アスラン」

 

「レイ…」

 

「君…確かにメサイアで」

 

キラとアスランの言葉にレイは頷きながらシンの方を向く。

 

「シン、またこうして会えたな」

 

「レイ、どうして」

 

「…それは後で全て説明する、今は俺よりも彼女の方がお前に用があるみたいだぞ」

 

「えっ?」

 

レイの言葉にシンは頭を傾げていると。

 

「シン!!」

 

するとステラがシンに抱き付いて来て、それにシンは思わず驚く。

 

「ス!ステラ!」

 

「シン!また会えた!」

 

シンに抱き付いたままステラは喜びまわる、そんな様子にルナマリアは不機嫌な様子になっていた。

 

「(あの子確かあの時のパイロット…何よあの子、シンに馴れ馴れしく!)」

 

ルナマリアはシンに向かって殺意の目を向ける。

するとシンはルナマリアの気配に気付き、ビクリとしながらステラに言う。

 

「あ!あのステラ! ちょっと離れてくれない?」

 

「何でシン? ステラと話したくないの?」

 

「いや…そう言う意味じゃなくて」

 

どう言う風に言えばいいか迷ってしまうシン、そんな様子に痺れを切らしたルナマリアがシンに近づいて腕に抱き付き、ステラに向かって怒鳴る。

 

「ちょっとあなた!いい加減にしてくれる?! シンが困ってるじゃない!」

 

「邪魔しないで」

 

ステラはシンの腕に抱き付きながらルナマリアと睨み合い、ルナマリアも睨み返す。

そんな二人の様子にシンは冷や汗をかきながら落ち着かせようとするが、二人の様子に中々止める事は出来ない。

 

そんな様子をレイは放っておいて、キラ達に向く。

 

「キラ・ヤマト、あなた達には今から説明する必要があります」

 

「えっ…何を?」

 

キラがレイの言葉の意味が分からず問い返し、それにアスランだけでなくアンジュ達もその事を聞いて振り向き、レイはゆっくりと言葉を放つ。

 

「我々の事とあなた達が遭遇したあの世界、彼女達…アンジュリーゼ達の世界の事に付いてです。ラウが今彼女達の世界を更なる混乱に導こうとしているのです」

 

その事にキラ達だけではなくアンジュ達もその事に驚きを隠せない。

一方ステラの方はまだルナマリアと睨み合っていて、シンはそれにやや困っていた。

 

 

 

───────────────────────────────────────

 

 

 

アークエンジェルのブリッジでレイがキラ達にアンジュ達の世界の本当の真相を話していた。

レイがある真相を話した事にアンジュは思わず怒鳴る。

 

「はぁ!?どう言う事よそれ!! 私の世界が単なる前座の舞台って!」

 

アンジュは納得できるどころか、全く訳の分からない言葉に怒鳴る風に叫ぶ。自分の世界が前座の舞台とか言われたら当然分かる筈がない。

それをレイはちゃんとした説明をする。

 

「あの世界はラウが己の目的の為だけに利用している世界なのです、アウラを使ってマナのエネルギーを使い人々に快適な世界をもたらした…しかしそんなのは単なる表向き。

ラウは人々の心を持て遊び、あの世界を簡単に切り捨て、新たな争いと破壊の世界を創り出そうとしているのです」

 

「争いと破壊!? まさか…あの人はこの世界と同じ様な事を…!?」

 

「はい、ラウは繰り返そうとしているのです。また同じような悲劇を…」

 

レイの言葉を聞いてキラ達は言葉を失くしていた。あの悲劇がまた繰り返されそうな事に、しかしアンジュは。

 

「そんな事知ったこっちゃないわ!」

 

その言葉にキラ達は振り向き、アンジュは堂々とした態度でレイに向かって言う。

 

「貴方がどう言おうと、あの世界は私の帰る世界なの! だから!──」

 

「だから関係ないと言うのですか? 貴女は…」

 

「当然でしょ!私の世界だもの! それに私にはヴィルキスがあるし、あんな奴等なんか!」

 

「言葉を返す様ですがそれは無理ですよ」

 

っとレイの言葉にアンジュの言葉が止まり、レイはそのまま言い続ける。

 

「ラウはラグナメイルやパラメイルなど単なる前座に過ぎません、ラウが求めているのはMSのみ…」

 

「ラグナメイル?」

 

サイがレイの言った言葉に頭を傾げ、レイがそれを説明する。

 

「アンジュリーゼが乗っているヴィルキスの機体、あれがラグナメイルです。そこの女性の乗っている機体、龍神器はそのコピーに過ぎませんし」

 

「コ、コピー…」

 

レイが言った言葉にサラは思わず心が痛む、アンジュは歯を噛みしめながらレイを睨みながら言う。

 

「そんな事は無いわよ!!あの世界にはモモカが…みんなが!」

 

「アンジュ」

 

キラとサラがアンジュを慰めようとするが、アンジュがそれを拒む。

その様子にしばらくそっとしておくことにして、キラは再びレイの方を向く。

 

「あの世界の事は分かったけど、君達はどうして生き返ったの? 死んだ人間は蘇る事は出来ない筈なのに…」

 

「まさかラウ・ル・クルーゼが蘇らせたのか?」

 

アスランがそれを問うと、レイはそれに頷く。

 

「ええ、ラウはまず最初に私を蘇らせました。しかも死んだ当時の記憶をそのままにして、私を部下にしようとしたのです。ですが私はキラ・ヤマトの言葉を思い出し、ラウからの誘いを拒絶して、そのまま逃げだしました。

幸いにラウはレジェンドも蘇らせていたので、それに乗って私は逃走しました。だがラウは私を捕まえようとステラを蘇らせ、追跡にあたらせたのです、しかしステラも当時の記憶を受け継いでいて、シンに会いたいと思っていたのです。

その時こう言ったのです、私といればシンに必ず会えると…、そう信じてステラはラウを裏切り、私と共に行動する様になったのです」

 

「成程な…、しかしアイツは一体何を企んでいるんだ? あいつはキラを目の敵をしているみたいだが」

 

ムウが言った言葉にアンジュとサラも振り向き、無論アークエンジェルクルーもその事に目を向く。

 

しかしレイはそれを頭を横に振りながら言う。

 

「残念ながらラウが何故彼を憎むのか分かりません、ですが何か目的があるのかは確かです」

 

「……」

 

それにキラはただ黙り込むだけであって、その様子をサラはただ見つめるだけであった。

その様子をレイはそのまま言い続ける。

 

「しかしラウがあの世界を争いと破壊の世界にして、次にサラマンディーネの世界を同じ様にして行くでしょう」

 

「何ですって!我が民をもですか!?」

 

「ラウならやりかねません」

 

その言葉にキラとアスランは互いに見合って、それに頷く。

そしてキラがレイの方を見て振り向く。

 

「ねえ、君はシンギュラーを開けるの?」

 

キラの言葉に皆は振り向き、レイはキラの方を向いて頷く。

 

「はい、ラウは私に異世界の扉を開かせる事が出来る様にしてあります」

 

その言葉を聞いてキラは皆の方を向く。

 

「皆さん、アンジュ達の世界に向かいましょう」

 

「キラ君?」

 

「キラ、お前…奴を止めるに行くのか?」

 

ムウの言葉にキラは頷く。

 

「はい、あの人を止めないと…アンジュ達の世界やサラの世界をを彼の思う通りの世界にさせる訳には行かない」

 

「キラ…」

 

「キラ…ありがとうございます」

 

アンジュはキラの思いを聞いて見つめ、サラは自分の手を握りながらキラを見つめるのであった。

 

「ですがキラ・ヤマト、気を付けてください。ラウは私やステラだけではなくあの五人を蘇らせた。恐らくは他にもよみがえらせた者も居る筈です。無論モビルスーツも大量に投入してくる筈です」

 

その言葉にキラは頷いて、アスランと顔を合わせ、アスランも同じ様に頷くのであった。

 

 

 

───────────────────────────────────────

 

 

 

一度戻って来たエンブリヲは自分の個室に戻り、椅子に座って紅茶を飲んでいた。

 

「(…やれやれ、まさかレイが現れるとは、彼の裏切りには参る…。しかしステラを蘇らせたのは間違いだったな、あの娘が居ると“私の力”が上手く発動出来ん)」

 

そう考えながら紅茶のカップを置き、椅子から立ち上がって窓の外を見る。

 

「(まあいい…、いずれにせよ彼等は此処に来る他にない。今は待ってみようか…そして二人のお嬢さんを手に入れ、キラ君を…フフフ……)」

 

そう心の中で笑いながらエンブリヲは窓の外から見える『ある工場』を見ていた。

 

それはモビルスーツを大量生産していて、他に『戦艦』さえも建造をしていた。

まさに戦争を始める事が出来る程の大規模な部隊を今彼は作り上げようとしていたのであった。

 


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