クロスアンジュ 蒼き自由と紅き騎士   作:ライダーGX

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第29話 襲撃 因縁再び 前編

キラとアスランはカガリからまだ聞かさせていない事を告げられ、その事を聞く為にオーブ政府の部屋に行き、そこである事を聞く。

 

「異常現象?」

 

「ああ、お前たちが行方不明になった後にある物が出現したんだ、キサカ」

 

カガリの元側近でオーブ軍一佐のキサカがリモコンを使って画面にある映像を映す。

それはアウラの民がシンギュラーを通ってキラ達の世界に迷い込んでしまう映像でだった。それを見たサラは思わず立ち上がって驚く。

 

「我が同胞!?何処でこの映像を?!」

 

「一週間前の映像だ、当時私達はこれらを見て一時警戒していたんだ、最初は監視をしていたんだが突然こちらに攻撃を仕掛けて来て、仕方なく攻撃を…」

 

その事にサラは息を飲み込む、キラはサラの方を向き心配そうに見る。

しかしサラは状況を知らないこの世界の事を考えると、仕方なく思えて来る。

 

「…いいえ、あなた達は悪くありません。我が同胞もこの世界が偽りの世界と思って行動してしまった事、やもえなかったでしょう…」

 

「サラ」

 

キラはサラの方を見て、サラもキラの方を見ながら微笑むが、その微笑みは無理がある微笑むであった。

 

そんな中でアンジュは画面に映し出されているニュースを見て、何だか辛そうな表情で見ていた。

 

「ねえ、貴女達が落としたドラゴンは一体何処に居るのよ?」

 

「実は回収しようとした時に謎の飛行物体がやって来て、ドラゴンを回収して行ったんだ」

 

カガリは新たに画面を見せると、謎の飛行物体がオーブ軍やザフト軍の包囲網を簡単にくぐり抜け、ドラゴンを回収して行く映像が映し出されていた。

 

その映像にアンジュは見え覚えがあった、その機体はミスルギ皇国が保有する輸送機なのだ。

アンジュはそれを見て思わず立ち上がる。

 

「あれってミスルギの輸送機じゃない!」

 

「ミスルギの?」

 

「ええ!どうして私の国の輸送機が此処に…?! 何で!?」

 

「これは何か関係がありそうだね」

 

っとそう言っていると、端末から緊急通信が鳴り響き、それにキサカが出る。

 

「どうした?」

 

『キサカ一佐!大変です!すぐに国防本部に来て下さい!!』

 

その通信を聞いたキサカが表情を歪ませ、キラ達もそれに振り向いて見る。

 

 

───────────────────────────────────────

 

 

国防本部へと来たキラ達はすぐさま状況報告を聞く。

 

「一体何事だ?」

 

「これをご覧ください!」

 

部下からある映像を見せると、オーブ付近にシンギュラーが発生し、そこから三機のパラメイルが出て来る。

更に三機のMSが現れて、それはカラミティ、フォビドゥン、レイダーの三機であった。

 

それにキラ達は驚きを隠せない。

 

「あの三機!!」

 

「およ!サリアだ!」

 

「またあいつなの!?」

 

アンジュがしつこく追いかけて来たサリアに嫌気が出て来る。

そんな中でクレオパトラに乗っているサリアがオーブを見て通信機を使い、オーブ軍本部に向かって話す。

 

『こちらはダイヤモンドローズ騎士団、騎士団長サリア、そこにアンジュと言う女がいるでしょ、今すぐに渡しなさい。さもないと攻撃を仕掛けるわ、これは脅しじゃないわよ』

 

その通信を聞いて部下が振り向く。

 

「キサカ一佐!」

 

「落ち着け、あんな脅し簡単に通じると思っているのか相手は」

 

「…くっ!」

 

するとアンジュがどこかに向かおうとするのをアスランが止める。

 

「待てアンジュ、何処に行く気だ?」

 

「決まってるじゃない!! 出て追い返してやるのよ!」

 

「無理だよ、アンジュの機体の同型機じゃまず勝ち目は薄いよ」

 

「やってみなくちゃ分からないじゃない!!」

 

アンジュが怒鳴る風景を見て、シンが少しアンジュを睨むように言う。

 

「少しは自分の身の程を知ったらどうなんだよ、すぐに出て行っても落とされるのがオチだと思うね」

 

「はぁ!?何か言った!」

 

「言ったさ!落とされるのがオチだってな!」

 

「やめなさいよシン!!」

 

ルナマリアがシンとアンジュの間に挟み、言い合いを止める。

そんな様子にサラが頷くように言う。

 

「アンジュ、キラ達の言う通りです」

 

「何でよ!!」

 

「あの者達の機体はかなりの高性能、貴女の機体では互角の勝負になるかも知れませんが、数では相手の方が上です。簡単に捕まるよう物、ここはキラ達に任せてはいかがでしょう」

 

「じゃあこのまま黙って隠れていろって事!出来ないわよ! 今すぐ出て行ってあの馬鹿を引っ叩いてやるんだから!!」

 

「いい加減にしろアンジュ!!」

 

アスランの怒鳴りにアンジュは思わずビクッとし、アンジュは振り向きながらアスランの方を向き。

カガリはアスランの方を見ながら呟く。

 

「アスラン…」

 

「アンジュ!お前のわがままもいい加減にしろ! 怒鳴れば何でもいいとは限らないのだぞ!!」

 

「でも!あの馬鹿をこの手で!!!」

 

「お前もその馬鹿の中心だろう! 少しは理解しろ!!」

 

アンジュはそれを聞いて黙り込んでしまい、ヴィヴィアンはアンジュの側に近寄る。

 

「アンジュ、アンジュの言ってることも分かるよ、でも確かにあたしも出ない方がいいと思うな」

 

「ヴィヴィアン…」

 

「今のサリア達すっごく強くなってるよ? 今のアンジュじゃあ絶対に捕まっちゃうて」

 

ヴィヴィアンの言葉にアンジュは拳を握り、歯を噛みしめながら黙るしかなかった。

 

その様子を見たキラは画面の方を見て通信をする。

 

「こちらオーブ軍国防本部、そちらの要求は受け入れる事は出来ない、直ちに停止して武装を解除せよ」

 

そう通信を送り、キラはアスランに目を向ける。

 

「アスラン」

 

「ああ」

 

「キラさん、アスラン。俺も行きます」

 

っとシンが間に入って来て、キラがシンの方を見る。

 

「行ける?シン」

 

「はい、何時でも行けます!」

 

それにキラとアスランは頷き、すぐさまアークエンジェルの方に向かって行くのであった。

 

 

───────────────────────────────────────

 

 

キラの通信を聞いたサリア達は目を合わせる。

 

「何て馬鹿な選択…キラって案外頭が脳なしね。聞いたわね?」

 

「うん」

 

「ええ」

 

サリア達はパラメイルをオーブに向けて加速し、その後方を見ていたオルガ達。

 

「おいおいあいつ等行っちまったぜ」

 

「まっ、どうせ落とされるだろうけどさ」

 

「早く行こう…」

 

そう言ってオルガ達も機体を加速させて向かって行く。

 

 

そしてアークエンジェルは地下ドックから発進して浮上し、カタパルトハッチが開いて発進体制に入る。

 

『X-20Aストライクフリーダム発進どうぞ!』

 

「キラ・ヤマト! フリーダム行きます!!」

 

キラのストライクフリーダムはリニアカタパルトからスキージャンプの様に発進して、次にアスランのインフィニットジャスティスが配置する。

 

『X-19Aインフィニットジャスティス発進どうぞ!」

 

「アスラン・ザラ! ジャスティス出る!!」

 

アスランのインフィニットジャスティスが発進し、最後にシンのデスティニーがカタパルトに付く。

 

『X-42Sデスティニー発進どうぞ!』

 

「シン・アスカ! デスティニー行きます!!」

 

シンのデスティニーが発進されて、三機は飛行して行く。

 

その様子をアークエンジェルのブリッジで見ているアンジュはただ何にもできない自分に腹を立てていた。

同行しているカガリがその様子を見て、アンジュに話す。

 

「アンジュって言ったな。アスランがああ言ったのには訳がある。それは──」

 

「今は聞きたくもないわ」

 

「聞け、アスランは守る物の為にあえて厳しい言葉を放つんだ、決して嫌っている訳じゃない」

 

その事にアンジュは顔を逸らし、その様子にカガリは少しため息を付く。

 

 

そしてキラ達がやって来るのを見たサリア達。

 

「キラ達ね」

 

「ねえ、もう一機のあれは何?」

 

「もしかしたらキラ君達の仲間?」

 

「かも知れないわね、行くわよ!」

 

サリア達は一斉に散らばって行き、オルガ達はキラ達の機体を見て嬉しがる。

 

「あいつだ…」

 

「あっ?おいおいもう一機多いぞ。なんだありゃ?」

 

「知らないね、やっちまおうぜ?さっさとさ」

 

そう言ってまず最初にオルガがエネルギー砲を放ち、それにキラ達はかわして行き、サリアがキラに向かってビームライフルを撃ち込む。

キラはそれを軽々とかわし、サリアに向かって通信を入れる。

 

「サリア、キラだよ」

 

「聞こえてるわ、キラ。悪い事は言わないわ、さっさとアンジュを渡しなさい」

 

「それは無理な相談だよ。君達はクルーゼの人形じゃない、今でも遅くはないから戻って来て」

 

「クルーゼじゃないわ、あの方はエンブリヲ様…そう言うお方よ、それにエンブリヲ様の侮辱は許さないわよ、貴方でもね!」

 

サリアはキラに向けてビームライフルを連射して狙い撃つ、それにキラは軽々とかわしながら距離を取り、それにキラは困り果てる。

 

「この様子じゃあ聞いて貰えないかもね、サリア…仕方ない、落とされても文句言わないでね」

 

そう言ってキラはサリアに向けてレール砲を展開して攻撃を開始するのであった。

 

丁度ミスルギ皇国で、その様子をマナの映像で見ていたエンブリヲが笑みを浮かばせる。

 

「ふふふ…良いぞサリア…君は最高だね、しかしキラ君とアスランを相手にどこまで戦えるか、それにあの機体…あれがデスティニーか。少々手間取るかも知れんな」

 

そう言ってエンブリヲは立ち上がる。

 

「これは私も出向いた方が良いかもしれんな」

 

エンブリヲは格納庫に向かい、プロヴィデンスを起動させて飛び立ち、サリア達が通ったシンギュラーの元に向かうのであった。

 


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