クロスアンジュ 蒼き自由と紅き騎士   作:ライダーGX

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今回の最後辺りは少々悲しい物です。

どうか優しく見ていて下さい。


第24話 心の傷

キラ達がサラの世界を救って翌日、キラとアスランとアンジュはサラからある事を聞いた。

 

「ミスルギ皇国に侵攻…?」

 

「はい、リザーディアの話しではミスルギ皇国の機密区画の地下でアウラを発見したと」

 

「っ!皇国の地下…?!」

 

それを聞いたアンジュは驚きを隠せない。

故郷であるミスルギの地下にアウラがいる事を聞いて、驚かない者はいない。

 

「私達は明朝、アウラの民の総力を集めて、ミスルギ皇国へ進行し…アウラを奪還いたします」

 

その事を聞いたキラ達は少しばかり言葉を失くすも、アンジュが少々間を空けてそれに問う。

 

「それを聞かせてどうするの? 私…私達に戦線に加われっとでも言うつもり?」

 

アンジュの問いにサラは微笑みながらいう。

 

「…まさか、貴女は自由ですよ?アンジュ。この世界に暮らす事もあちらの地球に戻る事も…。勿論我々と共に戦っても貰えるとなればそれ程心強い物はありませんが。明日の出撃の前に貴女の考えを聞いて置きたくて…」

 

「私の…?」

 

アンジュはそれに頭を傾げ、それにサラは頷く。

 

「あなた達は、民を救っていただいた恩があります。出来る事なら何でもお手伝いしますわ」

 

アンジュはそれを聞いて少しばかり考えいた。

無論キラ達も例外ではない、これから自分達はどうすべきなのか、どうするのかを…。

 

 

その頃撤退し戻って来たオルガ達は秘密格納庫で修理を行っているカラミティ達を見上げていた。

 

「どうしたんだね君達」

 

っと後ろから声を掛けられた三人は振り向くと、そこにはエンブリヲが立っていた。

 

「んだよ、突然後ろからやって来てよ」

 

「いやいや、僕は君達の様子を見に来ただけなんだがね、しかし君達も少々ガッカリさせて貰う物だね。何にも手柄を得ずに帰って来るとは」

 

「仕方ないだろう!!あっちにあいつ等が居たんだからよ!!」

 

「超ウザい奴等が…」

 

その事を聞いたエンブリヲはそれに笑みを浮かばせる。

 

「ほう~? キラ君達が向こうにか…、まあ気づいてはいたがね」

 

「はぁ!?」

 

「知ってて送ったって言うのか?!」

 

怒りを隠せないオルガ達、それにエンブリヲは清々しい表情で言う。

 

「まあ落ち着きまえ、言わなかった事に付いては謝るよ」

 

そう言ってエンブリヲはその場を去って行く。

オルガ達は心のない謝罪に納得行かないまま怒りが溜まりつつあった。

 

 

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そして宮殿の外でキラ達は今後の事を話し合っていた。

 

「悪くはないと思うんだがな…俺は」

 

「アスラン、そう言える?」

 

「…今のところはな、あの世界のエネルギーを断つためにアウラを救出すれば、恐らくクルーゼの影響に支障を得る筈だ」

 

すると壁にもたれてるアンジュがある事を言う。

 

「それでいいのかしら…」

 

っとアンジュのその言葉にキラ達は振り向く。

 

「えっ?」

 

「信じられないのよ…」

 

「何をだ?」

 

「聞いて来た事全ての事よ」

 

アンジュは空を見上げながら言い、それにキラとアスランはアンジュの方を見る。

 

「ドラゴンが人類世界に侵攻してくる敵だって言うのも嘘、ノーマの戦いが世界の平和を守るってのも嘘…あれもこれも嘘ばっかり。もうウンザリなの」

 

そう言ってアンジュは壁から離れて後ろを向き、キラとアスランはアンジュの方を見続ける。

 

「ドラゴン達と戦って、それが間違いだったとしたら…。それにだいたい元皇女がドラゴン達と一緒にミスルギ皇国に攻め入るなんて…悪い冗談みたい」

 

その事にキラとアスランは顔を合わせて黙り込み、そしてアンジュは自分の腕を掴みながら言う。

 

「…分からないわ、何が正しいのか…」

 

「誰も分かりはしない、何が正しいのかもな」

 

っとアスランが言った言葉にアンジュは振り向く。

 

「結局の所、どんな結末になるかは自分で見つけるしかないんだ。それが間違いであっても…な」

 

アスランの言葉にアンジュは心をゆさぶられ、キラも頷いて言う。

 

「うん、僕達はどんな悪い方向に行こうと突き進むんだ。アンジュ…いくらでも迷ってもいいんだ」

 

その事を聞いたアンジュは少しばかり戸惑いながらも髪をいじくる。

 

「もう…二人共馬鹿ね、そんな簡単な理屈が通じる訳がないじゃない」

 

「通じないと思ったら通じるまであがくんだ、どんなに汚されてもな」

 

更に言うアスランの言葉にアンジュは少々黙り込んでしまう。

 

するとヴィヴィアンがやって来た。

 

「皆!皆! お母さんがお礼したいって!」

 

「お礼?」

 

「うん!だから早く早く!」

 

そう言ってヴィヴィアンはアンジュの腕を掴んで行き、それに慌てるアンジュ。

キラとアスランは肩をくすねながら二人の後を追いかけて行った。

 

 

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そして夜となり、町の人々がバーベキューをしてくれて、ラミアがキラ達にお礼を言った。

 

「本当にありがとうございました、街と私達を護って頂いて」

 

「いえ、僕達は出来る事をしただけですから」

 

「ええ、それに…」

 

アスランは崩壊している街の一部を見て、辛い表情をしてしまう。

 

「俺達は守れなかった者がたくさんあります…」

 

「それでも、私達を護ってくれた事には変わりありません。さっ、どうぞ冷めない内にどうぞ」

 

「ありがとうございます」

 

そうお礼を言うキラ。そして二人は一度落ち着く場所に座って、街を見つめていた時だった。

 

「どうしたの二人共」

 

っとそこにアンジュがやって来て、キラとアスランはそれに呟く。

 

「…良い街だなって思って」

 

「ああ、そう思っていた所なんだ」

 

「そう…、でも本当に良い所、皆助け合ってる生きている…あっ、そっか」

 

「ん?どうしたアンジュ」

 

アスランがアンジュが何かに気付いて問い、アンジュはそれに答える。

 

「アルゼナルみたい…なんだ」

 

アンジュが自分が居た場所の事を呟き、それにキラとアスランは顔を見合う。

そしてアンジュは立ち上がる。

 

「私…帰るわ。モモカが待ってるわ!」

 

「…そっか」

 

その事にキラが呟き、そこにサラ達がやって来る。

 

「それが…貴女の選択なのですね。また…戦う事になるのですね? 貴女と」

 

「サラ子…」

 

「やはり危険です!この者達は我々の事を知り過ぎました!」

 

ナーガは後ろにある刀を手を伸ばしてアンジュ達を警戒する、それをカナメは止める。

 

「でもキラさん達は都の皆を救ってくれたわ!」

 

「それでもこの間まで殺し合っていたんだぞ? 拘束するべきだ!」

 

ナーガとカナメの言い合いを聞いていたアンジュ達、アンジュは決意を決めた表情で言う。

 

「…私は、もうあなた達とは戦わないわ」

 

「ほら!私達は…えっ?!」

 

その言葉にナーガは思わず驚き、アンジュはその事を言う。

 

「私達はもう殺し合わないし、戦いもしない。分かり合わなければいけないもの」

 

その言葉を聞いたサラは微笑みを浮かばせて言う。

 

「では明日開く特異点により、あちらにお戻りください。必要ならばカナメとナーガを護衛に付けましょう」

 

「さ!サラマンディーネ様!?」

 

ナーガはそれに問うも、そこにアスランが言う。

 

「大丈夫です。俺達が付いています、護衛の必要はありません」

 

「そうですか…、お達者でアンジュ。戦いが終わりましたら、何時かまた決着を付けましょう…」

 

「ええ、今度はカラオケ対決でね」

 

っとアンジュとサラは握手をして、それをキラとアスランは苦笑いをしながら見届けていた。

そしてサラがキラの方を向いて問う。

 

「キラ、貴方に少しお話があるのですが宜しいですか?」

 

「僕に?」

 

キラはそれに首を傾げ、その様子にアスランは目を細めながら見て、アンジュはジド目で見る。

 

 

───────────────────────────────────────

 

 

キラとサラは二人で都の高い場所に上り、その様子をアスラン達がこっそりと付いて来ていた。

 

「あの二人がこんな場所まで来て、何をするのかしら」

 

「もし姫様に何かあったら…!」

 

今にも襲い掛かろうとするナーガ、それをカナメが抑える。

アスランはキラの様子を見て、まさかと思いながら見つめていた。

 

そしてキラはサラに訪ねて来た事を聞く。

 

「それでどうしたのサラ? 僕に話しって」

 

「キラ、あの時どうして私の事をラクスっとお呼びしたのですか?」

 

っと一番痛い所を突いてきたサラにキラは思わず心を痛める。

 

「貴方が言ったラクス殿、一体どう言う人物なのですか? 気になって仕方ないのです」

 

その事にキラは少し張りうつむいてしまい、それにサラは見る。

 

「キラ?」

 

「……ラクスは、僕の恋人“だった”人なんだ」

 

「えっ?貴方の? それにだったとは」

 

サラはキラの言っている言葉の意味が分からず、キラは一度夜空を見上げながら言う。

 

「ラクスは…ある病気で亡くなってしまったんだ」

 

「っ!」

 

キラの言葉にサラは思わず口を抑えてしまう。更に言い続けるキラは目を少し細めながら話し続ける。

 

「ラクスの病気は突然の病で、全く原因不明の病で何の病名かみつける事が出来なかったんだ…、それに苦しむラクスの姿を、僕は見るに耐えなかった…」

 

悲しむキラの表情にサラはただ見つめることしか出来ず、密かに聞いていたアスラン達は黙ってしまう。特にアンジュはキラの事情を知り、ただ唖然とするしかなかった。

まさか彼の心にそんな悲しい過去を背負っているとは知らなかったからだ。

 

アスランは少々うつむいて黙り込み、辛そうにしたままキラの様子を見つめるしかなかった。

 

サラはキラの姿を見て、少し戸惑いを隠せない。

 

「…大切な方だったのですね。ラクス殿を」

 

「うん…、ラクスが亡くなる前に彼女は僕に『強く生きて下さい』と言ってくれた…、でも…彼女がそう言っても…時々彼女の面影が出て来て…」

 

するとキラの目から涙が流れ出て来る。

 

「僕は…彼女が居ない世界で…どう生きて行けば…」

 

それに見つめるサラは、キラの頭を持って優しく抱き寄せる。

キラはそれに一瞬驚きを隠せず、サラはキラの頭を優しくなでながら言う。

 

「キラ、貴方は悲しい事を背負い過ぎです…、悲しみは悲しみを生み出すだけ…そして涙を流さなければ辛いだけです。泣いていい時は泣いても良いのですよ」

 

「う、う…うわあああああああああ!!」

 

その事にキラはとうとう我慢が出来ず、泣き崩れてしまう。

聞いていたアンジュ達はそれに悲しみながら見ていて、アスランは辛そうな表情をしたまま顔を逸らすしかなかった。

 

そしてサラは泣き崩れるキラを優しく抱きしめながら見つめるのであった。

 


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