クロスアンジュ 蒼き自由と紅き騎士   作:ライダーGX

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第21話 誘い 後編

キラ達は祭りが終えたその夜、アスランとアンジュは先に部屋に戻り、キラはサラマンディーネの元に行っていた。

呼ばれた先は地下格納庫で、そこにサラマンディーネがストライクフリーダムとインフィニットジャスティスの前に立っていた。

 

サラマンディーネはキラがやって来るのに気付いて振り向く。

 

「キラ殿」

 

「サラマンディーネさん、僕に何か?」

 

「これの事です」

 

サラマンディーネは上を見上げると、ストライクフリーダムとインフィニットジャスティスの方を見て。キラもフリーダムとジャスティスを見る。

 

「フリーダムとジャスティスにどうかしたのですか?」

 

「この二機を少しばかり改造させて貰いました」

 

っとさらりと言った発言にキラは思わず驚きを隠せない。

重要な機体であるストライクフリーダムとインフィニットジャスティスをいじった事に少しばかり問う。

 

「いじったってどう言う事ですか!?」

 

「この機体を調べて見ましたが、ドラグーンと言う中々面白い武装があったのを見つけましてね。ですがこれは特定の場所以外使えない様なので、私がどこでも使えるよう改造しておいたのです。

勿論アスラン殿の機体も同じ様に改造をしています」

 

サラマンディーネは自らキラ達のストライクフリーダムとインフィニットジャスティスを改造した事に自慢げに話し、そればかりはさすがのキラも呆れるばかりであった。

 

「キラ殿、アスラン殿にも謝罪するつもりですが、勝手に触っていじってしまった事に申し訳ありません」

 

っとサラマンディーネはキラに許可なく勝手に改造した事を頭を下げ、それにキラは少しばかり戸惑いを見せながら慌てて言う。

 

「そ、そんな…、頭を上げて下さい。もうしてしまった事は仕方ありませんし…」

 

「キラ殿…、これは貴方方エンブリヲに勝つためにも必要な事と感じてやった事なのです。ですがその言葉を聞いて、少し安心しました」

 

サラマンディーネはキラの言葉を聞いて少しばかり安心し、それにはキラはただサラマンディーネを見つめるのであった。

 

 

 

そしてその深夜、宮殿の玉座の間で大巫女とサラマンディーネ、そしてアウラの民の巫女たちが集まっていて、彼女達の前にリザーディア事…リィザがホログラムで通信回線を開き話していた。

 

「何と…! 真かリザーディア!」

 

『はい大巫女様、新生ミスルギ帝国の地下。アウラの反応は確かに此処から』

 

リィザの報告に巫女たちは思わず声を上げ、大巫女は頷きながらリィザをほめる。

 

「よくぞやってくれたリザーディア、時は来た。アウラの子よ、これよりエンブリヲの手から全能の母、アウラを奪還する。リザーディア『特異点』解放のタイミングは手筈通りに」

 

『おおせのままに…』

 

そう言い残してリィザは通信を終えて消える。そして大巫女は皆に言う。

 

「これはこの星の運命を掛けた戦い、アウラと地球に勝利を!」

 

『『『勝利を!』』』

 

大巫女の声と同時に皆も頭をさげる。

頭を下げるサラマンディーネは自分の中で何か思いつめる表情をしていたのを誰も気が付かなかった。

 

 

───────────────────────────────────────

 

 

そして翌朝、アンジュは目を覚ますと近くで寝ていたキラとアスランの姿が見えない。

アンジュは気になって居たがそのままベランダへと出て外を見る。そこは同じ様な景色が広がるドラゴンの世界である。

 

「ドラゴンの世界…」

 

そしてアンジュは襖を絞め、近くに置いてある花瓶を見る。

昨日サラマンディーネに言われた事を思い出す。

 

 

 

──偽りの戦いをし続け、偽りの世界で暮らし続ける、そんな嘘の世界で貴女はなんの為に戦うのですか?

 

 

 

「…もう!何なのよ!」

 

そしてアンジュは近くにあるソファに座る。

すると襖が開き、アンジュは見るとキラとアスランが和服姿で入って来た。

 

「あっアンジュ、おはよう」

 

「遅い起床だな」

 

「…二人が起きるのが早いだけよ」

 

アンジュはそう嫌みながらもキラとアスランに言い、そしてサラマンディーネがナーガとカナメを連れて入って来る。

 

「おはようございます。あら?もう起きていたのですね」

 

「おはようございます」

 

キラがサラマンディーネの方を向いて挨拶し、アスランがサラマンディーネの方を向く。

 

「おはようございます、…キラから俺達の機体の改造の事を聞きました」

 

「その事につきましてはもう一度謝罪をさせて貰います。ですがこれはエンブリヲを倒す為の事で」

 

「過ぎてしまった事はいいです、今後は必ず俺達に一声を掛けて下さい」

 

「分かりました。ではこちらへどうぞ、朝食にしましょう」

 

そうサラマンディーネがキラ達に食事の間へと案内し、キラとアスランは向かい、アンジュはすぐさま着替えて二人の後を追いかけて行った。

 

そして食事の間にヴィヴィアンがラミアと共に朝食を食べていた。

 

「おかわり♪」

 

「もう…ちゃんと噛まないと駄目でしょう?」

 

ラミアはご飯を噛まないで食べるヴィヴィアンに注意をしながら言い、ヴィヴィアンは笑顔のまま頷く。

 

「うん♪ お母さんさん♪」

 

サラマンディーネ達に案内されているキラ達、アンジュはヴィヴィアンの姿を見つける。

 

「あれ?ヴィヴィアン」

 

「おお~!おやようさ~ん!」

 

「サラマンディーネ様」

 

「よく眠れましたか?」

 

サラマンディーネはラミアと会話をし、それにラミアは少々笑いながら言う。

 

「それが、ミィと朝まで喋りしてまして」

 

「だから寝不足~」

 

それを聞いていたキラ達は微笑みながら見ていて。そしてキラ達は出された朝食を食べようとするも、アンジュは何故か手を付けなかった。

 

「どうかしたアンジュ?」

 

「注意して、何か毒が入ってるかもしれないわ」

 

「お前な…」

 

「毒なんて入って居ませんよ」

 

っとサラマンディーネの言葉を聞いてアンジュは思わず睨みつけるが、隣に居るヴィヴィアンがアンジュの方を見て言う。

 

「アンジュアンジュ、大丈夫だって!アタシ食べても何ともならなかったよ」

 

アンジュはそれに何とも言えない風な感じになり、アスランはそれに少しばかり呆れ返る。

そしてサラマンディーネの方を見ると、彼女は何やらうっすらと微笑みながら見ているのを感じて、アンジュは何か引っかかり、当然その事にはキラもアスランも感じていた。

 

 

 

 

朝食を終えたキラ達はパイロットスーツに着替え、宮殿の外でラミアがキラ達に言った言葉にキラが頭を傾げる。

 

「家に帰る?」

 

それに頷くラミアはヴィヴィアンを抱き付いて言う。

 

「この子が生まれて家を見せてあげよかと思って」

 

「おお~!見る見る!」

 

っとそれに賛同にするヴィヴィアン、そしてラミアはヴィヴィアンを連れて飛んで行った。

その時にヴィヴィアンはキラ達に手を振った。

 

「そんじゃ行ってくるね~!」

 

ヴィヴィアン達を見送ったキラ達、それにアスランは頭を下に下げて呟く。

 

「親子の水入らずか…」

 

「アスラン…」

 

キラはアスランの様子に少しばかり気遣いをする。

アスランの母親は血のバレンタインの悲劇で亡くしており、その為母親への気持ちも理解できる。

 

そんな中アンジュがムスっとしているのをキラが問う。

 

「どうしたの」

 

「気にくわないのよ。何もかも…」

 

「またか…」

 

その事にキラが呆れ、そしてアンジュはサラマンディーネに問う掛ける。

 

「それで、茶番はもう十分よ。あなたの目的は何?私達をどうする気なの?」

 

「ふふふ、腹が減っては戦は出来ぬと申します。お腹はいっぱいになりましたか?」

 

「え? ええ…」

 

その事にアンジュは戸惑いつつも頷く。

サラマンディーネはそれを確認したのち言う。

 

「では、参りましょう」

 

そうサラマンディーネがガレオン級を呼んで、キラ達と共にある場所へと向かう。

そしてある建物「HUSTLE1」へとやって来る。

 

「此処は?」

 

アンジュはこの建物を見て問い、それをサラマンディーネが答える。

 

「古代の闘技場ですわ、嘗ては多くの者達が集い、強さを競い合ったそうです」

 

サラマンディーネの説明を聞いて、キラとアスランは途轍もなくイメージが違っていたのだ。

ここは紛れもなく闘技場ではなく、ある遊び場の施設であるからだ。

 

イメージがかけ離れている、その事を言うとややこしくなるからキラとアスランは黙っておくことにした。

 

「驚いたろう、これは全て姫様自ら復元されたのだ」

 

「サラマンディーネさんが?」

 

キラの言葉にナーガは頷きながら言う。

 

「そうだ!サラマンディーネ様はその頭脳を持って旧世界の文明を研究し、様々な遺物を現代まで甦らしたのだ!」

 

「ほぅ」

 

「我々の龍神器も、サラマンディーネ様がっ?!」

 

っとカナメがナーガの横腹を突き、小声で注意する。

 

「それ、機密事項でしょ?」

 

「あっ!御免なさい!」

 

ナーガはそれに気づいて、慌てて謝る。

そんな中でアンジュが前に出て問う。

 

「それで、此処で何するの?」

 

「…共に戦いませんか? 私達と」

 

サラマンディーネの言葉にアンジュは思わず「はっ?」と言葉をこぼし、キラとアスランが聞く。

 

「それってもしかして…」

 

「君達と共闘しようっと言う事か…」

 

「はい。あなた方もお解りの筈、あなた達を戦わせ、マナを創り上げた元凶…エンブリヲ、そしてその正体は貴方方が知っている者。我々は我ら全能の母アウラの奪還するのが願い、目的が違えど願いは同じ───」

 

「フフフ…ははは」

 

っと突然アンジュが笑い出し、それにキラとアスランはアンジュの方を向き、キラがアンジュに問う。

 

「アンジュ?」

 

「な~んだ、そう言う事、結局は私を利用したいだけなの…戦力として。知って欲しかっただの、解りあえただの、良い人ぶっていたのも全部打算だったじゃない」

 

アンジュは利用する為だと言い張る事にサラマンディーネは笑みを浮かばせて言う。

 

「その通りです、私達と戦う意思があるキラ殿達は兎も角として。あなたはそれなりの利用価値がありますから」

 

っとサラマンディーネの言葉を聞いたアンジュは思わずキレる。

 

「っ!? ふざけるな!私はもう!」

 

「“もう…誰かに利用されるのはウンザリ”…ですか?」

 

その事を聞いてアンジュは思わず拳を握りしめる。

 

「そう言うと思いまして此処へお連れしたのです、アンジュ。勝負しませんか?」

 

「はっ?勝負??」

 

「はい、貴女の未来を掛けて。私が買ったあかつきには貴女は私の所有物となって頂きます、無論貴女が勝てば貴女は自由ですわ」

 

その会話を聞いたキラとアスランは少しばかり考える。

 

「要するにアンジュに未来を掛けた勝負って事になるね」

 

「これをこいつはどう受け止めるかだ」

 

そう二人はアンジュの方を見る。

サラマンディーネの言葉にアンジュはそれに拳を再び握り締める。

 

「それをどうするかは自分で決める…か、良いわ!やってやろうじゃないの!」

 

「そう来なくては…!」

 

話が纏まってアンジュとサラマンディーネが勝負する為の闘技場…もとい戦いの場へと向かうのであった。

 


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