クロスアンジュ 蒼き自由と紅き騎士   作:ライダーGX

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第15話 奇襲 前編

ある場所にミスルギ皇国から各国の首相達が集まっていて、彼らの回りにはアルゼナルを襲撃しているドラゴンの映像が映し出されていた。

 

「ドラゴンが自ら攻めて来るとは…」

 

「それにこのパラメイル、まさかドラゴンを引き連れて?」

 

一人の首相の目に映る映像にはあの不明機が映し出されていた。

 

「シンギュラーの管理はミスルギ皇家のお役目、ジュリオ…いえ陛下。ご説明を」

 

女性の首相がジュリオにシンギュラーの発生に付いて聞いてきた。

しかしジュリオは頭を傾げながら言う。

 

「それが…『暁ノ御柱』には起動した形跡が全くないのです」

 

「馬鹿な!あり得ん」

 

肥満な首相がジュリオの説明に納得が行かない事に拳をテーブルに叩き付ける。

 

「直ちにアルゼナルを再建し、力を増強せねば」

 

「だが、そうも行かんのだ」

 

っと年老いた首相がマナで次の映像を映し出す。すると光学兵器を発射するヴィルキスの映像が映し出された。

 

「この機体…まさか!」

 

「ヴィルキスだ」

 

それにはジュリオを含め各国の首相達は言葉を詰まらせていた。

 

「前の反乱の時に破壊された筈では?」

 

「アルゼナルの管理はローゼンブルム王家の役目。何故放置していた?」

 

それにはローゼンブルム王家の首相は表情を歪めながら黙る。

 

「監察官からは異常なしと報告を受けていた…」

 

「まんまとノーマにあしらわれていたと言う事か、無能め」

 

そう肥満体の首相は腕を組んで呟く。

 

「これではローゼンブルム王家の娘がノーマに連れ去れてしまうのも無理もない」

 

「ぬ!ミスティの事を愚弄するならば、お主とはいえ容赦せん!」

 

するとそれをジュリオが間に入る。

 

「二人共お気を静かに」

 

「黙れ小僧!そもそも我が娘を攫ったのはお主の妹であろう!」

 

その事にジュリオはもう関係ない顔で言う。

 

「あれはもう私の妹ではありません」

 

「そんな言い訳が通じるか!この罪人の一族が!」

 

「お止めなさい! 今はどう世界を守って行くかを話し合うべき時では?」

 

女性の首相が皆にそう言い聞かせ、一人の首相が言う。

 

「ノーマが使えない以上、私達人類が戦うしかないのでしょうか?」

 

っとその事に各国の首相達は思わず戸惑いの声が上がる、そして木の裏で聞いていた一人の男性が立ち上がる。

 

「どうしようもないな…」

 

「え、エンブリヲ様?!」

 

一人の首相が思わず言う。

エンブリヲは呆れた様子で髪を指でなぞる様に回す。

 

「本当にどうしようもない…」

 

「し、しかし…ヴィルキスがある以上アルゼナルを再建させるには…」

 

「なら選択権は二つだ」

 

それに皆はエンブリヲに目線が行く。

 

「一、ドラゴンに全面降伏する」

 

「「「!!?」」」

 

それには思わず息を飲む首相達、エンブリヲは構わず言う。

 

「二、ドラゴンを全滅させる…」

 

「そ!そんな…!」

 

「だから…三、世界を作り直す」

 

っとそれにはジュリオが反応する。

 

「え?」

 

「全部壊してリセットする、害虫を殺し土を入れ替える。正常な世界に」

 

エンブリヲは肩にのって来た小鳥をなでながら言う。

 

「壊して作り直す…、そんな事が可能なのですか?!」

 

ジュリオは理論上不可能の事を問いかけ、それにエンブリヲは笑みを浮かばせながら言う。

 

「すべての『ラグナメイル』とメイルライダーが揃えばね」

 

「素晴らしい!!やりましょう!! そもそも間違っていたのです!いまいましいノーマと言う存在も!奴らを使わねばならないこの世界も!」

 

「馬鹿め!今までの文明を捨てろと言うのか!?」

 

他の首相が反対意見を出すも、それをジュリオは問う。

 

「他に策がありますか?」

 

っとその事に皆は口が止まってしまう。

 

「他に…どうする事もないな」

 

その様子を見てエンブリヲは笑みを浮かばせ、ジュリオを呼ぶ。

呼ばれたジュリオはエンブリヲからある物を渡される。

 

「これは私が自ら創り上げたコレクションの物の鍵だ、扱いには十分気を付けてくれたまえ、期待しているよ」

 

「お任せ下さい!エンブリヲ様!!」

 

ジュリオはそう言い、エンブリヲと他の首相達は消えていき、そしてジュリオはマナを解いてミスルギの部屋へと戻っていた。

 

「出るぞリィザ!」

 

リィザと共に出るジュリオ、彼等はアルゼナルに向かい、忌々しいノーマを消しに向かった。

 

 

───────────────────────────────────────

 

 

そしてアルゼナルでは損害が大きかった外壁はどうにもならず、そのままの状態だった。

その場所でジャスミンがドラゴンの死体を大きな穴に落としていく。格納庫ではメイが必死にパラメイルの修理を当たっていて、医務室ではマギーは負傷者の手当てをしていた。

 

格納庫ではジルがメイルライダー達を集めていた。

 

「生き残ったのはこれだけか…、おいお前」

 

ジルに呼ばれたアスランはジルの方を見る。

 

「何でしょう」

 

「お前は以前軍に入っていたと言っていたな? そこで部隊の指揮を取った事は?」

 

「今もですが…、司令になってからはずっとです」

 

「…では残存部隊の隊長をアスラン、一時的だがお前に命ずる。副隊長はヒルダ、エルシャとヴィヴィアンは補佐に付け」

 

その事にロザリーとクリスが抗議を始める。

 

「はぁっ?!こいつ脱走犯ですよ!? しかも男が隊長って!」

 

「サリアで良いじゃないですか!」

 

「あいつなら、命令違反で反省房の中だ」

 

サリアは命令違反によって反省房の中に居る、そしてヴィルキスに乗りこなせなかった事とジルの嘘にショックを受けていた。

 

その事を黙って聞いていたヒルダがロザリーとクリスの方を向く。

 

「文句あんならあんたやれば?」

 

「べ!別に隊長と副隊長はこの二人で良いよな!?なっ!」

 

それに思わずクリスも慌てて頷く。

ジルはそれを無視するかのように残存部隊に命令する。

 

「パラメイル隊は部隊編成後、警戒体制に入れ」

 

「「「イエス・マム!!」」」

 

アンジュ達は敬礼をしてその場に離れて行き、ジルは一度煙草を吸い出す。

アスランはジルに近寄り、問いかける。

 

「お聞きしてよろしいでしょうか」

 

「何だ?」

 

「…貴女は、ヴィルキスの隠された能力をご存知だったのですか? 前の戦闘で現れたあの姿…貴女は知っていた筈」

 

「フッ…」

 

しらを切るジルにアスランは再び問いかけようとした時だった。

 

「ねえ、私の謹慎…終わったのよね?」

 

「アンジュ」

 

アスランの横にアンジュがやって来て、モモカがその後ろに控えていた。

 

「ああ、そうだ」

 

「なら…全部教えて…、この世界の真実を」

 

「何?」

 

「このクソ忙しい時にか?」

 

ジルはタイミングを間違えてると言いたいが、それをアンジュは全く聞こうとせず、すぐにも聞きたがっていた。

 

「皆助かったの、誰のお蔭?」

 

「…良いだろう、ただし侍女はなしだ」

 

「待って下さい!俺の話は終わっていません!!」

 

アスランが問いかけようとするも、ジルは無視して行き、嫌気が出て来る。

 

「くっ!」

 

「アスラン、私が聞いてくるわ。あなた達が聞きたがっている事、私も知りたいし」

 

アンジュが横を通り過ぎる際に小声で話しかけ、その事にアスランは渋々頷くしかなかった。

 

「…分かった、気を付けろよ」

 

「分かってるわ」

 

そう言ってアンジュは向かい、残されたモモカは同行できない事に涙を流したのは定かではない。

 

ヒルダはアンジュがどこかに向かった事に振り向く。

 

「おい何処に行くんだアンジュ!!たくっ!クソ忙しいってのに!」

 

「アイツの事はいい、それよりもヴィヴィアンの姿は?」

 

「あら?そう言えば何処に?」

 

エルシャもようやくヴィヴィアンの存在に気付き、いない事が分かった。

丁度その頃、部屋で寝ていたヴィヴィアン。

っと寝ているハンモックが急に落ちて、それに痛がる。

 

「いった~い、落ちてる~?何で…?うわ!寝過ごシング!」

 

ヴィヴィアンは慌てて皆の所に向かう。

 

 

───────────────────────────────────────

 

 

ドラゴンの世界では、キラがパイロットスーツに着替えサラマンディーネの後に付いて行った。

 

地下格納庫で保管されているストライクフリーダムの元に付き、キラはコクピットの元に向かい際にサラマンディーネと向かい合う。

 

「あの…、本当にいいんですか?」

 

「はい、貴方なら私達の約束を守って頂けると信じてます。それに貴方を返すのも理由が貴方の目的があっての事ですからね」

 

「…ありがとう。必ずアスランやアンジュ達に話してみる」

 

そう言ってキラはコクピットに向かい、乗り込んでフリーダムを起動する。

起動したフリーダムは地下格納庫から出て、上空へと飛んで行く。

 

見送るサラマンディーネは別の場所で待機しているナーガ達に通信を入れる。

 

「ナーガ、カナメ」

 

『はい!』

 

『特異点開放します!』

 

キラの目の前にシンギュラーが開き、キラはそこを通ってアスラン達の元に戻って行く。

 

 

 

そしてシンギュラーを出たキラの戻った先に丁度アルゼナルがあって、そこを見るとアルゼナルの半分がえぐられていて、それをキラは言葉を失くしつつアルゼナルへと戻って行く。

 

丁度アルゼナルにまたシンギュラーが出たと放送が入ったのを聞いたアスラン達。

 

「何だよ!またか!?」

 

「仕方ない、行くぞ!」

 

っとアスランが言った時に放送が流れる。

 

『シンギュラーから出たのは…フリーダムです!!』

 

「っ!キラ!?」

 

アスランはその事を聞いて驚き、すぐさま格納庫へと向かう。

 

格納庫でキラがフリーダムから降りて来て、整備班達はそれに慌て、メイもキラがシンギュラーから無事戻って来た事に驚いていた。

 

「キラ!!」

 

キラはアスランが駆け寄って来るのを見て、アスランの方を見る。

 

「アスラン」

 

「キラ!無事だったのか!? 今まで何をしていたんだ!?」

 

「…その事でアスラン、話があるんだ。今時間ある?それとアンジュは何処?」

 

アスランがそれを聞くその時だった。

 

『総員!第一種戦闘態勢!ドラゴンです!基地内にドラゴンの生き残りです!!』

 

それにキラ達は振り向き、アスランと向かう。

 

「どうやら今はその時じゃない様だ」

 

「…本当だったら今すぐ話をしたいんだけど…。行こうアスラン…でも出来ればその……ドラゴンを撃たないでほしいんだ」

 

キラの言葉に耳を疑うアスラン。

疑問を感じつつ二人はすぐにその場から離れて行った。

 

 

───────────────────────────────────────

 

 

それはかれこれ数分ほど前になる、ヴィヴィアンは自分の目線が高い事に違和感を感じていた。

 

「何か…背が伸びた気がする? 成長期かな?」

 

そこにエマが通り過ぎて、ヴィヴィアンは気づく。

 

「あ!エマ監察官だ! おーい!」

 

「っ!? え!エマ監察官だーー!!!」

 

悲鳴を上げながらエマはそのまま気を失い、慌ててヴィヴィアンは駆け寄る。

 

「うわ!大丈夫…って!うわ!」

 

ヴィヴィアンは自分の手を見て驚く、それは全く自分の手じゃない何かの手だった。

 

「何じゃこりゃ?! …うえ!」

 

っとヴィヴィアンは目の前にあった鏡を見て驚く。今のヴィヴィアンは人ではなく『ドラゴン』だったからだ。

 

「これあたし~!!?」

 

「なに?今の」

 

偶然に近くに居たパメラ達が駆け寄り、ドラゴン態のヴィヴィアンを見て悲鳴を上げる。

 

「「「うわあああああああ!!!」」」

 

「うわ~~~!!!」

 

ヴィヴィアンも慌ててその場を離れて行き、パメラがすぐに無線で基地内に知らせた。

 

そして今の時間帯となり、臨時司令部で指揮を暫定副隊長のヒルダは各自に指示を与えていた。

 

「ロザリーとクリスは居住区、ココとミランダは整備区、エルシャはサリアを出してジャスミンモールを捜索」

 

「イエス・マム」

 

「他は此処で警備、ヴィヴィアン?ヴィヴィアンは何処?」

 

ヒルダはヴィヴィアンが居ない事に問い、エルシャはそれに答える。

 

「それが部屋にも居なくて…」

 

「ヴィヴィアン…」

 

ナオミは心配しつつも、丁度そこにキラとアスランがやって来る。

 

「あっ!キラ!」

 

「お前!良い所に帰って来たな…」

 

「キラ!」

 

キラが振り向くとアンジュも丁度やって来て、キラの元に近寄る。

 

「何処に行ってたのよ!!」

 

「アンジュ、後で説明するから…今は」

 

っとそう言ってキラはアスランと向き合い、それにアスランは頷いて命令を下す。

 

「よし!ヒルダとナオミは海岸部を探せ!俺とキラとアンジュはアルゼナルの上部だ!」

 

「了解」

 

「「「イエス・マスター!」」」

 

その事にアスランは何やら違和感を感じるも、気にせずにそのままキラとアンジュと共にアルゼナル上部へと向かう。

この時アスランはキラにある事を聞く。

 

「それよりもキラ、お前ドラゴンを撃つなとはどう言う事だ?」

 

「えっ?どう言う事?」

 

アンジュがその事を聞き、キラがそれを言う。

 

「実は…」

 

 

 

その頃ヴィヴィアンは何とか食堂の方に逃げ切っていた。

 

『はぁ~お腹空いた~…、う~…何でこんな事に?』

 

すると厨房からなにやら良いによいがし、それにヴィヴィアンはつられて行く。

目の先には土鍋にカレーが入れてあった。

 

『やっぱりカレーだ~! いっただっきま~す!』

 

っが土鍋を持った瞬間につぶれてしまい、それにヴィヴィアンは頭を傾げる。

 

『あれ? どうなってるの? あっアタシ今この状態だった』

 

「見つけたわ!!」

 

っとある声が聞こえ、ヴィヴィアンは振り向くとそこにサリアとエルシャがライフルを持って構えていた。

 

「『サリア!エルシャ!!』クワアアアアア!!」

 

サリア達がドラゴン態のヴィヴィアンに向かってライフルを撃ち、それに慌てて逃げるヴィヴィアン。

 

『うわ~~~!!』

 

「追うわよ!!」

 

サリア達がその後を追いかけ、外へ逃げたドラゴン態のヴィヴィアンは丁度アルゼナル上部に出て来たキラ達と出会う。

 

「いた!!」

 

キラが指先をヴィヴィアンに向け、それにアスランとアンジュは見る。

その時にドラゴン態のヴィヴィアンが何かを歌い出し、それを見たアンジュは聞いた事歌だった。

 

「これは…」

 

その歌はアンジュが歌っていた『永遠語り』によく似ていて、それにアンジュは歌い出し歩き出す。それにドラゴン態のヴィヴィアンも同じように歌い出しアンジュの元にゆっくりと行く。

キラとアスランはアンジュが歌いだしたのを見て、様子を見ていた。

 

っとそこにヒルダ達もやって来る。

 

「何やってんだよお前!」

 

ヒルダ達がライフルを構えた瞬間、アンジュがヒルダ達の足もとを撃ち、それに思わずロザリーは驚いてしまう。

 

「うわっ!! 何すんだよお前!!」

 

アンジュは歌い続け、そのままドラゴン態のヴィヴィアンに近寄る。

 

その時にサリア達が来て、サリアがライフルを構える。

 

「離れなさい!!」

 

っがその時にジルがサリアのライフルを下ろさせて、それにサリアは見る。

 

「えっ?ジル?!」

 

そしてアンジュはドラゴンと向き合い、アンジュが触れた瞬間ドラゴンは一瞬に霧状になって行った。

 

「ここでクイズです!人間なのにドラゴンなのってなーんだ?」

 

元の人間に戻ったヴィヴィアンにアンジュは唖然とするしかなかった。

その時キラとアスランは顔を横に向けて、ヴィヴィアンの今の姿を見ないようにしていた。

 

「あっ違うかドラゴンなのに人間…? あれれ…意味分かんないよ…!」

 

自分がドラゴンだった事に戸惑うヴィヴィアンは泣いて混乱している中で、アンジュは優しく声を掛ける。

 

「分かったよ私は…、ヴィヴィアンだって」

 

「あ、有難う…アンジュ」

 

っとヴィヴィアンはアンジュに抱き付いて泣きつき、後からやって来るナオミとモモカ達は今の光景に目を奪われる。

 

「アンジュリーゼ様…」

 

「どうなってるの?」

 

「今ドラゴンからヴィヴィアンが出て来た様に見えたけど」

 

そこにマギーがやって来て、ヴィヴィアンに麻酔を撃ちこみヴィヴィアンを眠らせて、マギーはヴィヴィアンを抱いてその場から去って行く。

 

見送ったキラ達はアルゼナルの抉られた場所に捨てられているドラゴンの死体の山を見る。

それにキラは慌ててその場から去って、ドラゴンの死体の山に行く。

 

「キラ!…っ!」

 

アスランが叫んだその時にヴィヴィアンの言葉を思い出す。

 

『人間なのにドラゴンなのってなーんだ? ドラゴンなのに人間…?あれれ?』

 

「っ!? まさか…キラが“言った言葉”は本当に!!」

 

アスランは思わずあの場所に行き、アンジュもアスランの後を付いて行く。

 

「アンジュリーゼ様!」

 

そしてジャスミンが死体を集めた所でガソリンをまき、ライターに火をつける、っとバルカンがキラ達に向かって吠え、それにジャスミンは振り向く。

 

「待ってジャスミン!!!」

 

「来るんじゃないよ!」

 

キラの制止を無視し、ジャスミンはライターを死体の山に投げ、死体を燃やし始めた。

 

「っ!遅かった…!」

 

遅かったキラは燃えている死体の近くで止まり、アスランもアンジュその場に来て驚きの光景を目にする。ドラゴンの死体の中に人間の姿も紛れていた。

それにはアスラン達は言葉を失う。同時にヒルダ達も来る。

 

「おい!一体何が…!?」

 

「何…これ?」

 

「ドラゴンが…人間に」

 

「そう…ドラゴンは人間だったんだ」

 

キラの言葉にヒルダ達は向き、キラは悲しい表情で言葉を語り続ける。

 

「僕は…向こうの世界で知ったんだ…。ドラゴンは…元は人間だって」

 

その言葉と光景に驚きながら皆がくぎ付けられてる中で煙草を持っているジルが来る。

 

「よくある話だろ?『化け物の正体は人間でした』…なーんて」

 

「っ!!貴方は知っていたんですか!!!? ドラゴンの正体を!!!」

 

「ああ、勿論だ」

 

キラはジルの言葉を聞いて息を飲みにアンジュは驚く表情をして再びドラゴンを見る。そして今までの事を思い出す。自分がドラゴンを殺し……そして倒していく光景に。

っとアンジュは思わず口を抑え、地面に向けて嘔吐する。

 

「う!うえぇぇぇぇ!?!」

 

「っ!!? アンジュ!!」

 

「アンジュリーゼ様!!」

 

ヒルダとモモカが心配する中でアンジュの頭の中は混乱していた。

 

「私…人間を殺していた…? この手で…?この手で…人間を?」

 

それにジルは煙草を吸い、吹かしながら言う。

 

「気に入ってたんだろ?ドラゴンを殺して金を稼ぐ、そんな暮らしが」

 

「っ!!貴方は…!!!」

 

キラとアスランはジルの言葉を聞いて怒りが込みあがり、そしてアンジュはジルを睨みながら怒鳴る。

 

「くたばれクソ女!!!もうヴィルキスには乗らない!!ドラゴンも殺さない!!! 『リベルタス』なんてクソくらいよ!!!」

 

その事にサリアはアンジュが知らないリベルタスを知っている事に思わず反応する。

 

「『神様』に買い殺されたままで良いなら、そうすればいい」

 

そう言い残してジルは去って行き、キラはジルの残忍なやり方に納得出来ないばかりであった。

 

 

───────────────────────────────────────

 

 

ジルが臨時司令部に戻って行く所だった。

 

「『神様』か…」

 

っと誰かの声が聞こえ、ジルは足を止めて振り向くと、そこにはエンブリヲが立っていた。

 

「私は自分から名乗った事は一度もないぞ? まあ~『創造主』と言う意味であれば…正解かもしれんがな」

 

世界最高指導者がアルゼナルに居た事にジルはすぐさまマグナムを取り出してエンブリヲに撃ちこむ、しかし弾丸はエンブリヲの身体をすり抜ける様に後ろに木に当たり、ジルはエンブリヲを睨む。

 

「エンブリヲ…!!!」

 

「怒った顔も良い表情だなアレクトラ…、今は司令官のジルか…ん?」

 

エンブリヲは何かを感じ取って上を見る。

 

「来たようだ…」

 

エンブリヲの見る方向にルも同じ方を見るとマナの映像が映し出される。

 

『こちらはノーマ管理委員会直属、国際救助艦隊です。ノーマの皆さんドラゴンとの戦闘──』

 

っと気を取られたジルは前を見ると、既にエンブリヲの姿はなく。それに舌打ちをしてその場から離れて行く。

その放送をキラ達も見ていたが、キラとアスランの心の中では何やら嫌な予感しかしなかった。

 

 

その中でアルゼナル付近の海域で、ミスルギ艦隊がアルゼナルへと進攻していた。

その艦の中で旗艦『エンペラージュリオ一世』に乗艦しているジュリオが笑みを浮かばせていた。

 

「さあ、最後の再会と行こうじゃないか。アンジュリーゼ」

 


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