キラがシンギュラーの向こうに消えてから翌日後、アルゼナルの司令室で本を読んでいるパメラに編物をしているヒカルに爪の手入れをしているオリビア、っとヒカルが担当するレーダーに何かをキャッチした。
「これは…シンギュラー反応です!」
「場所は?」
ジルが出現地を特定しろと命令を言い、それにパメラが急いで特定する。
「それが…アルゼナル上空です!」
何と出現場所はアルゼナル上空、そしてアルゼナルの上空にゲートが出現し、そこから大量のドラゴン達が現れる。
「スクーナー級、数は…20…45…70…120…、数特定不能!」
「電話もなっていないのにどうして?!」
エマが司令室に到着して、電話が鳴らなかった事に疑問を感じていた。しかし今はそんな事を考えてる場合ではない。
ジルはするに基地全体放送で、アルゼナルの皆に言う。
「こちらは司令官のジルだ、総員第一戦闘態勢を発令、シンギュラーが基地直上に展開、大量のドラゴンが効果接近中だ。パラメイル第二、第三中隊全機出撃。総員白兵戦準備、対空火器重火器の使用を許可する、総力を持ってドラゴンを撃破せよ」
その放送を聞いて、廊下を歩いていたアスランは耳を疑う。
「アンジュ達じゃない…? いや…今のあいつ等はまだ独房…こうしてはいられない!」
そう言ってアスランはアンジュが居る独房へと向かった。
同時に放送を終えたジルにエマはそれに抗議する。
「そんな!全員出たらアルゼナルは誰が護るのですか!?」
っとヒカルがエマにライフルを投げ渡し、それに思わず受け取って唖然とする。
そしてアルゼナルの対空火器が展開して上空から迫って来るドラゴンを撃ち落として行く。
しかし数が多いのか一向に数が減って行かない。そして一体のドラゴンが司令室へと向かって行き、そのまま突っ込んでいく。
パメラとヒカルは慌てて離れて行き、ドラゴンは司令室へと突っ込んだ。
「ひっ!!」
エマは怯えながら後ずさりをするも、ドラゴンは吠えた時にエマの瞳のハイライトが消えて、エマはマシンガンを構える。
「悪い奴…死んじゃえ!!」
そのままマシンガンを撃ちまくり、辺り構わずばらまいていく。今の彼女は意識が飛んで行ってしまって暴走している状態。このままではドラゴン以外の被害が増える。
それにジルはエマに手刀で首を打ち、気絶させて、マグナムを構えドラゴンの頭部に撃ちこみ、それによりドラゴンはそのまま絶命する。
すぐさまパメラがコンソールを調べる。
「司令!通信機とレーダーシステムが!」
その事にジルは考えて言う。
「…現時刻を持って司令部を破棄、以降通信は臨時司令部にて行う」
「「「イエス・マム!」」」
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そして格納庫ではサリア達が率いる第一中隊がライフルでスクーナー級を撃ち、格納庫の侵入を防いでいた。
ドラゴンの数が徐々に減って来て、一度銃を下ろす。
「大分減って来たみたい」
「エレノア隊とベティ隊に感謝ね」
クリスとエルシャが第二中隊と第三中隊に感謝し、ロザリーはその逆だった。
「アタシ等の分も稼ぎやがって!」
っとその時に歌が聞こえて来る。
『♪~♪~♪』
「「「っ??」」」
そしてドラゴン達が突如アルゼナルから離れて行く光景が目にして、それにヴィヴィアンが指をさす。
「あれ? 逃げるよ?」
「どういう事でしょう?」
ココがドラゴン達の行動に疑問を感じる中、パイロットスーツに着替えアンジュ達の元にアスランがその歌を聞き、独房に居たアンジュも聞こえて来た。
「何だ…?」
「…歌?」
そして上空に居るドラゴン立はゲートの回りを飛び回ると、そのゲートから三機のパラメイルがゆっくりと降下してきた。
その内の一機の紅いパラメイルはヴィルキスと同じ間接部が金色のパラメイルであり、そこから歌が流れていた。
その光景を臨時司令部にいるジルが双眼鏡で見ていた。
「パラメイルだと…」
同じ様にアルゼナルの上空で戦っている中隊の隊長のエレノアもその機体に目を奪われる。
「何こいつ? 何処の機体?」
皆が見ていると、その機体がいきなり金色の染まり始め、そしてその両肩が露出展開し、そこから光学兵器が発射されてそれにエレノアを含め第二中隊と第三中隊の数名を含むメンバーは消し炭へとなっていた。
中隊を消し去った光学兵器はそのままアルゼナルに直撃し、強烈な光が包み込む。
そして静まり返り、サリアは身体を起こし立ち上がらせると目の前に驚きの光景を目にする。
そこには半分ほど削られたアルゼナルを目にした。それをチャンスとしたドラゴン達は一斉に向かって行った。
丁度アスランもその衝撃で地面に倒れ込んでいて、気が付いて立ち上がる。
「いつつ…、何だったんだ今のは?」
「アンジュリーゼ様~!!」
っとアスランは前を見ると、モモカが慌てて走って行くのが見えた。
「モモカ!」
「あっ!アスランさん!」
「君もアンジュの所に?」
「はい!アンジュリーゼ様が心配で!」
息を整えるモモカを見て、アスランは頷く。
「よし、俺も今からアンジュの元に向かう、一緒に行こう!」
「はい!」
そう言ってアスランはモモカと一緒にアンジュとヒルダが居る独房へと向かって行く。
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アスラン達が向かう場所の独房に居るアンジュとヒルダは先ほどの衝撃で体制を崩していて、頭を押さえながら立ち上がって来る。
「いっつ~…! んだよ!何が起きんだよ!?」
ヒルダは外を見渡そうとすると、目の前にある物が来る。それは突っ込んで来たドラゴンだった。
「い!?」
ヒルダは慌ててその場を離れると同時にその場所にドラゴンが突っ込んできて、そのまま檻を突き破って死んでいく。
して到着したアスランとモモカはアンジュとヒルダの安否を確かめる。
「アンジュ!」
「アンジュリーゼ様!ご無事ですか?!」
「アスラン!モモカ!」
二人の姿を見たアスランは一安心し、モモカが二人の牢獄の錠前の鍵を開ける。
「解除!」
モモカが檻の鍵を解除した事により、アンジュとモモカは外に出る。
「助かったぜ!」
「はい!…っ」
するとモモカは突如鼻を抑え、モモカの行動にアンジュとヒルダは見る。
「モモカ?」
「あっ!いえ何も…!」
アンジュの問い掛けに慌てて返すモモカ、しかしアスランは分かっていた、流石に一週間も風呂に入っていないアンジュ達の身体は体臭が出ていて臭っていたのだ。
「もう~!誰よアルゼナルを襲ったのは!?」
「それを調べる為に格納庫に行くぞ、俺に付いて来い!」
アスランがそう言ってアンジュ達も向かう中で…。
「その前にお風呂に!」
「あっ、そうね…」
「って!そんな事言ってる場合かよ!!」
モモカにお風呂を進められたことにアンジュがそれに頷いたところをヒルダに怒鳴られてしまう。
謎のパラメイルの光学兵器の攻撃で、戦場の戦況は変わり始めていた。
「第二中隊全滅! 第三中隊!隊長と部下四名以下ロスト!」
パメラの報告を聞いたジルはすぐさま次の指示を出す。
「残存部隊を後退!第一中隊のサリア達に集約。サリア達を出せ!」
「了解!」
パメラはすぐに通信し、ジルは上空のパラメイルを見ながら思った。
「(あの武装…まさかな…)」
そして格納庫内でドラゴンと戦っているサリア達に命令が下る。
「了解! 皆!パラメイルに騎乗!」
「「「イエス・マム!」」」
サリア達が自分達のパラメイルに搭乗し、そしてサリア達のパラメイルはデッキへと上げる。その時にジルからサリアに通信が来る。
『サリア、もう説明しなくても分かってるな?』
「はい」
『よし。それとあの敵はアンジュでなければ倒せない。アンジュを出せ』
「っ…」
その事にサリアは黙り込み、そして思いつめた表情で言う。
「なら…私がヴィルキスで出ます!」
『黙れ! 今は命令を実行しろ』
その事に口出しをされたサリアはとうとう我慢していた事を言う。
「どうして…どうしてアンジュなの!? 逃げ出して…命令違反して…勝手なことするアンジュが適任だと言うの!? 私じゃあ無理だと言うの!!!?」
『そうだ』
っとその事にサリアはショックを受け、ついに我慢袋に穴が開く。
「馬鹿にして…!!」
するとサリアはアーキバスから降りて、ヴィルキスの方に向かい。それにメイが思わず振り向く。
「え!ちょっと!サリア!!」
サリアはメイの静止も聞かずにそのままヴィルキスに搭乗して皆に言う。
「サリア隊!出撃!!」
「「「イエス・マム!!」」」
デッキから発進したヴィルキスを含むパラメイル隊はドラゴン迎撃の為に出撃していった。
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そして上空では生き残っていたパラメイル残存隊がドラゴンの攻撃から必死に逃げまくっていた。
内の一体がドラゴンに追われていた。
「うわあああああああああああ!!!」
っとその時に味方が来てくれて難を逃れる、第一中隊のサリア達がドラゴン達に向けてマシンガンを撃つ。
「皆!一度下がって補給を!」
「ここはアタシ等が引き受けたなり~!」
エルシャとヴィヴィアンが残存隊にそう言って、その部隊は頷きながら撤退して行く。
臨時司令部では発進したのをパメラが確認する。
「第一中隊、出撃しました!」
「よし…」
ジルはパメラの報告を聞いて、無線機を取り話す。
「アンジュ、聞こえているな? お前の敵はあの所属不明機のパラメイルだ、未知の大出力破壊を搭載している。注意してかかれ」
『…分かっているわ、ジル』
っとその音声を聞いたジルは驚いた、何とヴィルキスに乗っているのはアンジュではなくサリアであった事に。
「サリア!? 何をしているサリア!降りろ!命令違反だぞ!」
『黙ってて!!』
それにジルはサリアの異変に気付く。サリアはハンドルを握りながら言う
「分からせてあげるわ…、私がアレクトラの代わりに慣れる事を!!」
っとそう言って通信を切り、それにジルは舌打ちをする。
「チッ、馬鹿が…」
一方格納庫ではアスラン達が到着して、アンジュがヴィルキスが無い事に驚く。
「ない!?どうして!?」
「どう言う事だ?」
ヴィルキスが無い事を近くにいたメイがやって来て言う。
「実はサリアが勝手に!」
メイの指さす方向にアスラン達は見ると、ドラゴン達が居る場所でサリアがヴィルキスを操って戦っていた。
それにアスランは舌打ちをする。
「チッ、アンジュ来い!!」
アスランがアンジュを呼び、アンジュはアスランの後を付いて行き、それにヒルダは何やら気に入らなかった。
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そして戦場ではサリア達がドラゴンを撃ち落として行く中で、サリアは単体で不明機のパラメイルへと向かう。っが出力が上がらない事にイラ立ちを現す。
「もっと!もっと早く飛べるでしょ!?」
その時にドラゴンがやって来て、それにサリアは追い払おうとヴィルキスで蹴る、だが逆に弾かれてしまい飛ばされる。
何とか体制を整えて、呼吸を整えながらもヴィルキスの性能に驚きを隠せない。
「嘘よ…ヴィルキスがこんなにパワーが無いなんて…(アンジュの時はもっと…!)」
サリアが考えてる中でドラゴンが攻めて来る。
その時アスランが乗るインフィニットジャスティスの機銃がドラゴンを撃ち落とし、それにサリアは振り向く。
「え!?」
『アスラン!もっと近づいて!』
『分かっている!落ちないように捕まっていろ!!』
「っ!?」
「アンジュ!!」
ヴィヴィアンがアンジュがやって来た事に喜びの声を上げ、ジャスティスはヴィルキスの横に付く。
アンジュはジャスティスの手の上に乗って、サリアに叫ぶ。
「サリア!私の機体返して!! アイツは私がやるわ!」
「私のヴィルキスよ!! アンタは基地に帰ってなさい!!」
そう言ってサリアは不明機へと向かって行く。
不明機と向かって来たサリアに向き合い、サリアはヴィルキスのライフルで攻撃するも不明機は遊んでいるかの様にかわし、それにはサリアは怒りが溜まる。
「馬鹿にして…!」
そんな時にジルの言葉を思い出す。
《どんなに頑張っても出来ない者は出来ないのだ》
それにサリアは否定するかのように頭を横に振る。
「そんなはずない! 誰よりも頑張って来たのよ!!私!!」
《無駄だ》
っと目の前に不明機が現れヴィルキスを蹴り飛ばし、海へと落ちて行き、それに皆は見る。
「はっ!アスラン!!」
「ああ!行くぞ!!」
アスランは急降下してヴィルキスの元に行って、左手でヴィルキスを捕まえて、アンジュはヴィルキスに乗り込む。
「さあ退いた!」
「えっ?うあああ!!」
アンジュはサリアを海にめがけて投げ飛ばすも、それをアスランがジャスティスで上手く受け止める。
『馬鹿野郎! 落とす馬鹿があるか!』
「馬鹿馬鹿言わないでよ! さ~てやりましょうか!」
アンジュはヴィルキスをフライトモードからアサルトモードへと変形させて、不明機へと突っ込んで行く。
不明機もそれに対し右腕のブレードを展開し、ヴィルキスに向かって行き、交互しながら飛んで周り、剣を切り合ったり、銃を使って行った。
その光景をアスランは思わず目にしてある事を思い出す。
それはかつて戦争時、キラとアスランが互いに殺し合っていた時の事だ、互いの親友の死を元にストライクとイージスが激しい戦闘を繰り広げ…。
《アスラァァァァァァァン!!!》
《キラァァァァァァァァァ!!!》
その光景が今の状況と似ているのだ。
そしてアンジュはその不明機を蹴り飛ばして、不明機は距離を取り、歌を歌いだす。
「♪~♪~」
その機体の色は赤色から金色へと変わる。それにアンジュは気づく。
「これは…」
それは永遠語りと似ていて、それにアンジュは同じように歌いだす。
「♪~♪」
するとヴィルキスの色が金色に変化して両肩が露出展開し、それを見たアスラン達、そして臨時司令部のジルも目にする。
「あれは…!」
ヴィルキスと不明機から光学兵器が発射されて、同時にぶつけ合う。
そして強烈な光が包まれて行き、アンジュが目を開けると不思議な空間へと居た。
『偽りの民が、何故『真なる星歌』を?』
すると目の前に不明機が現れて、そしてその不明機からコクピットが開かれて、中に入っていたサラマンディーネが姿を表す。
それにアンジュも負けずに出て来て問いかける。
「あなたこそ何者!? その歌は何!!」
するとアンジュ達の回りに不思議な光景が広がる、それはアンジュ達が学生の姿や古代の戦士の姿をして、そしてレーサーの姿をしていて、アンジュとサラマンディーネは目を奪われる。
っとサラマンディーネの機体にある警報がなり、それにアンジュは向く。
「時が満ちる…か」
そう言ってサラマンディーネは機体に戻り、アンジュはそれに慌てて言う。
「ちょっと!!」
『真実は『アウラ』と共に』
そう言いってその機体は残りの機体とドラゴン達と共にゲートの先へと消えていった。
アンジュはその事に唖然とし、見ていたアスランは少しばかり考えていた。
「(あれは…どう言う事だ?)」
そしてアルゼナルで見ていたジルは納得の表情をする。
「なるほど、最後の鍵は『歌』か」
っと煙草をくわえ、火をつけるジルはそう呟く。
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その頃キラは宮殿の和室でただ黙って座っていて考えていた。
「(どうして…彼女があんなことを?)」
っとその時襖が開いて、キラは振り向くとそこにはサラマンディーネが立っていた。
「サラマンディーネさん!」
「キラ殿、つい先ほどに出陣した先であなたと同じ機体をした物と会いました」
サラマンディーネが言った言葉にキラは思わず振り向く。
「アスラン!?アスランと会ったの!?」
「いえ、ただ見かけただけですので、それでお話があるのですが…」
サラマンディーネがキラにある事を話しかけ、それをキラはただ黙って聞いていたのだった。