クロスアンジュ 蒼き自由と紅き騎士   作:ライダーGX

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第12話 龍の姫 前編

キラ達がアンジュを連れ戻してアルゼナルに帰投してから約一週間が経過した。

 

アンジュはアルゼナルに戻ってすぐに独房へと連行されてしまった、当然と言えば当然である。彼女は文字通り脱走犯であるからだ。

そしてヒルダもアンジュが戻る数日前に捕まって、アルゼナルに戻されていた。

 

キラとアスランは一度ジルの元に呼ばれていた。

 

「よくやったなお前たち」

 

「……」

 

「…どうも」

 

「どうしたんだい?随分元気がないけど?」

 

マギーがキラとアスランの雰囲気が無い事に気付いて問い、それにキラは頭を横に振る。

 

「いえ、何ともありません。気にしないでください」

 

「…そうか、それとお前たちにまた新たな任務を引き受けてもらう」

 

「何ですかそれは?」

 

「まあ聞け、数日前このアルゼナルの近くに謎のエネルギーが発生している。お前たちはそこに向かい調査を頼む」

 

ジルはキラとアスランに謎のエネルギー数値が出ている場所に向かって調べてこいと頼んで来た、しかしキラはそれを疑問に思いながら問う。

 

「どうして僕達なんですか? 此処の部隊を動かせば良いのではないのですか?」

 

「お前たちが適任だからだ、文句言ってないでさっさと行って来い」

 

その言葉にどうにも気に入らない二人は今回ばかりは引き下がらなかった。

 

「ジル司令、少しばかり強引過ぎるのではないのですか? 最近貴方は強引に」

 

「黙れ、お前たちに発言する権利はない」

 

「それはこっちが決める事です。貴方じゃありません」

 

っとキラとアスランはジルを少しばかり睨むように見て、ジルもキラとアスランを睨むよう見る。

その雰囲気をジャスミンとマギーは黙って見つめていて、メイはその息苦しい空気を思わず飲み込む。

 

サリアはキラとアスランの態度に少しばかり納得いかない様な目で見る。

 

「フッ、忘れるな。お前たちは“ただの客”だが今はアンジュの後ろ盾がない“クズ”だ、お前たちをどうするかこっちが判断できる、アンジュを始末する事もな」

 

それにキラとアスランは見合い、ジルの方を見る。

ジルの目は嘘を言っていない事にどうも納得出来ずにいたが、アンジュの権利を向こうが握っているとなると手出し出来ない。

 

キラはそれにため息をし、アスランも渋々頷くしかなかった。

 

「……分かりました、やりましょう…今回は」

 

そう言ってキラとアスランはその場から立ち去って行き、ジルは鼻で笑いながら煙草を取り出して火を付ける。

ジャスミンはジルに話しかける。

 

「気を付けなジル、あの二人を舐めてかからない方が良い」

 

「どうかな、あの二人を舐めてかかっているのは向こうだ、私はあの程度の連中に負ける程の者じゃないからな」

 

そう言いながらジルは煙草を吸い、ジャスミンとマギーはジルの行動に少しばかり考えを見せ始める。

 

 

 

───────────────────────────────────────

 

 

 

キラとアスランは出発する準備の為格納庫に向かう途中。

 

「待ちなさい!」

 

キラ達は振り向くとそこにはサリアが立っていて、何やら殺意を抱え込んでいるかのようなオーラを出していた。

 

「どうした」

 

「……よくもジルにあんな態度を取った物ね…、殺す!!」

 

っとサリアは腰からナイフを取り出してキラ達に向かって行く。

だがアスランは目を鋭くし、走り出していき、一瞬にてサリアのナイフを奪い首元に当てる。

 

サリアは突然の動きに思わず目を大きく開かせる。

アスランはナイフを向けたままサリアに語る。

 

「お前の動きは良い、だがそれだけだ。お前の動きは教科書通り、動きが丸見えなんだ…」

 

「教科書…通り?!」

 

「それに殺意丸出しのオーラを出まくりじゃあ、せっかくの動きも台無しだ…」

 

そう言ってアスランはサリアを解放し、サリアは思わず足を躓きその場に崩れてしまう。

アスランはナイフをサリアの近くの置き、最後にこう話す。

 

「最後に言っておく。俺達を殺すと言うのならば…こっちもお前たちを全力で排除するぞ」

 

そう言い残してアスランはキラと共に格納庫に向かい、それにサリアは歯を噛みしめながらその後ろ姿を睨みつけていた。

 

 

そしてキラとアスランは格納庫に到着後、すぐに発進出来る準備をしていた。

 

「おーい!」

 

っとキラとアスランは声がした方を見ると、メイが何やらある装置を持ってやって来た。

 

「これ、これから調査する為の装置、持って行ってよ」

 

「ありがとう」

 

「すまない」

 

二人はメイから装置を受け取り、それを調査道具の中にいれる。

その様子をメイが何やら言いづらそうな雰囲気をしながら、キラとアスランに話しかける。

 

「あのさ…」

 

「何?」

 

「さっきの事なんだけど…、ジルの事を悪く思わないでほしいんだ」

 

「…どうして君達はあの司令の事を信じる? 何かと隠しているあの司令を」

 

アスランはどうも先ほどの様子が気に入らない事に根に持っていて、メイがその事を話す。

 

「…随分前の事なんでけど、ジルはある戦いの時に仲間を大勢失った事があるの、そのせいでジルは少しばかり無茶な事をする様になって…」

 

「少し?あれが少しと言える程度なのか?」

 

メイの言葉に引っかかりを感じるアスラン、メイはそれを否定するかのように言う。

 

「勿論あれがちょっとでもないって事は分かるよ! ただ…本当にやり過ぎって所もあるから…その」

 

「…代弁は言い、その事は直接本人の口から聞くとする」

 

そう言ってアスランは言い、二人はストライクフリーダムとインフィニットジャスティスに乗り込んで行って発進した。

 

それを反省房の中にいたアンジュが外を見ていた。

 

 

───────────────────────────────────────

 

 

キラとアスランはジルが言っていたその謎のエネルギー発生源場所にたどり着く。

そこはとある孤島で、何もない場所だった。

 

「アスラン、此処が例の場所?」

 

「ああ…だが妙だ、発生元であるエネルギー源がこの孤島の上…つまり俺達の丁度このあたりに発生している」

 

奇妙な発生位置に違和感を感じるキラとアスラン、っとその時センサーに凄まじいエネルギー反応が払われて、そしてキラとアスランの正面にシンギュラーが現れた。

それにキラとアスランは驚き、二人は構えた瞬間だった。

 

突如キラの機体が吸い込まれて行き、それに慌てるキラ。

 

「機体が言う事を効かない!?」

 

「キラ!!そこから脱出しろ!!」

 

アスランが急いで離脱しているが、キラだけが離脱できない事に気付き、通信で呼びかけていた。

しかし機体のコントロールが効かず、徐々にシンギュラーに吸い込まれて行くのが分かる。

 

「駄目だ!吸い込まれる!うああああああああああああ!!!」

 

「キラ!!!」

 

アスランが慌ててジャスティスでフリーダムの手を握ろうとしたが、フリーダムはシンギュラーと共に吸い込まれてしまい、消えていってしまった。

 

「キラ!!」

 

急遽アルゼナルに戻ったアスランはこの事を知らせに言った。

 

「何?あの男が?」

 

「はい!俺はすぐに向こうに行きたいのです!どうかその方法を!『それがどうした』何?!」

 

アスランはジルの発言を聞いて驚きを隠せず、ジルは煙草を吸いながら椅子にもたれる。

 

「男が一人消えたくらいでどうしたと言うのだ。それにあのシンギュラーの向こうに行った所で既に奴はドラゴンに喰われてる筈だ、諦めるんだな」

 

そう言ってジルは去って行き、アスランはジルの発言を聞いて怒りが込みあがって来た。

 

「(ふざけるな…!!アイツは…アイツは簡単に殺される筈はない!! キラ!無事で居てくれ!)」

 

 

───────────────────────────────────────

 

 

そしてシンギュラーの向こうに飛ばされたキラ、飛ばされた際にキラは気を失ってしまいある場所に不時着してしまう。

不時着したフリーダムはVPS装甲を展開していた為傷は一つもなかった。

 

っとそこにある人影がフリーダムに近寄り、コックピットハッチを開いてキラを見つめるのであった。

 

そして数分後、キラが目を覚ますとそこはとある和室の一部屋であり、その布団で寝ていたキラは思わず身体を起こす。

 

「こ…ここは?」

 

「目が覚めましたか?」

 

キラは振り向くと、襖から三人の少女の一人がキラに問いかけて来たのだ。

その少女は長い黒髪で、目のあたりが悪いがピンクの和服を着ていた。

 

「お体の状態は?」

 

「え…と、君は?」

 

キラが状況が分からないまま事態が呑み込めず、分からないまま聞いて見るとその少女は一度頭をさげて、上げながら言う。

 

「申し遅れました、私は神祖『アウラ』の末裔にしてフレイヤの一族の姫、近衛中将サラマンディーネです」

 


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