クロスアンジュ 蒼き自由と紅き騎士   作:ライダーGX

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第11話 脱走 後編

アルゼナルから脱走したアンジュとヒルダを探す為キラとアスランはまず最初にアンジュがモモカと向かったミスルギ皇国へと向かっていた。

この時キラとアスランは出発する前にジルからミスルギ皇国の話を聞いた。

 

 

アルゼナルを出発する前、キラとアスランに話しかけるジルはミスルギの事を話す。

 

「現在ミスルギ皇国と言う国は完全に崩壊した。“名前だけ”を変えてな」

 

「名前?どう言う事です」

 

「簡単な事だ、ミスルギ皇国と言う国を《新生ミスルギ皇国》に変えているだけの事だ」

 

その事を聞いたキラとアスランは思わず顔を見合わす、たった二文字を加えただけでミスルギ皇国を変えたなど誰も思わないからだ。

 

「お前たちはミスルギ皇国に向かい、アンジュを生きて連れて戻して来い」

 

「分かりました。それとヒルダの方はどうしますか?」

 

「そいつの事はいい、お前たちはアンジュの事だけを考えろ。それだけだ」

 

その事にキラとアスランはジルの言葉に素直に聞く他なかった。

 

 

 

そして再び時間は戻り、キラはマップを確認しながらミスルギ皇国に向かう中でアスランが何やら気になっていた。

 

「……」

 

「アスラン、さっきから黙り込んでどうしたの?」

 

「アンジュの事を考えていたな、あいつ…どうして危険と分かっている故郷に向かうんだ。妹が危機だからと言うが…俺にはどうもそれが不思議でたまらないんだ」

 

「罠だって言う可能性があるって事?」

 

キラの言葉にそれに頷くアスラン。

その事を言われると確かに妙に引っかかる点が大きい、まだこの世界の事になれてないとはいえノーマであるアンジュに助けを求めるのは妙におかしい。

 

それに気になって居るのもある。モモカだ、モモカがアンジュがアルゼナルに居たのを知った上で来るのが何かが引っかかる事がある。

 

キラとアスランはその事を感じつつも流していたが、薄々と疑問を感じつつであった。

 

「アスラン…。モモカってもしかして…」

 

「…いや、彼女の様子を見て違う思うな。彼女からの忠誠心は本物…嘘じゃないだろうな」

 

それにキラは言葉が止まり考え、アスランはキラに言う。

 

「キラ、今は考えても埒が付かない。今はアンジュを探すのを優先しよう」

 

「分かったよアスラン」

 

そう言いつつキラとアスランはスラスターの出力を上げて、ミスルギ皇国へと向かった。

 

 

───────────────────────────────────────

 

 

アルゼナルから約数万キロの距離にある国、ミスルギ皇国へと到着したキラとアスランはまず情報を得る為にストライクフリーダムとインフィニットジャスティスを隠して夜中になった時に街へ入った。

 

キラとアスランが街に入ると少しばかり静けさが広がっていて。それに何やら違和感を感じる。

 

「アスラン…、変だよ?」

 

「ああ…、どうも様子がおかしい…ん?」

 

アスランが近くのテレビにある者が映ったのを見て近寄り、それにキラは振り向く。

 

「アスラン?」

 

「キラ!」

 

突然叫ぶアスランの掛け声にキラは慌てて近寄って行くと、テレビに映っている映像を見てキラは驚く。

 

何とその映像にはアンジュがボロボロの服の処刑着を着せられ、腕を吊るされていた。そしてマナの電動車いすに乗っている少女『シルヴィア・斑鳩・ミスルギ』がムチでアンジュの身体に打ち付けて痛みつけ、それにアンジュが悲鳴を上げる。

 

『この野蛮なノーマ!!』

 

『ぐあああ!!』

 

それを見ていた国民達は喜びの声援を上げていた。

キラとアスランはその光景を見て思わず気がゾッとした、こんな卑劣な行動をしているのに対し民主は抗議する所がそれを楽しんでいる様にして、キラはアスランの方を向く。

 

「アスラン!」

 

「ああ!!」

 

すぐさまキラとアスランはストライクフリーダムとインフィニットジャスティスの元に向かい、アンジュの救出へと向かった。

 

 

 

一方アンジュの方では絞首台に送られるアンジュに国民からは極悪非道な声援が送られて来る。送られる声援の中にはたまごをぶつける人も居て、それにはもう人間の欠片すらなかった。

 

「お止めください!!アンジュリーゼ様に乱暴な事をしないでください!!」

 

アンジュの筆頭侍女である『モモカ・荻野目』はその声援をやめさせようとするも、一向に収まる気配は無く、逆に声援が大きくなっていく。

 

『『『つーるーせ!つーるーせ!』』』

 

声援の中でアンジュは完全に泥沼に落ちているミスルギを完全に断ち切る事を決意する。

 

「(ようやく目が覚めた…、こんな世界…こっちから否定してやるわ…!)」

 

っとそう決意した途端にアンジュは歌い始めて、その場にいた者達は突然の事に静まり返る。

 

「それはお母様の歌!貴女の様な汚らわしい者が歌う物じゃありません!」

 

シルヴィアがそう叫ぶもアンジュは無視したまま歌い続ける。

しかし彼女の兄であるジュリオは近衛兵に目線を向き、それに頷く様にすぐさまアンジュの歌をやめさせて、強引に絞首台に首を輪を掛ける。

 

それをジュリオが笑みを浮かばせる。

 

「さらばだ、アンジュリーゼ」

 

それにジュリオは手を上げて、近衛兵がレバーを引き、アンジュがその場に吊るされる。

 

「アンジュリーゼ様ああああああああああああああ!!!」

 

モモカがアンジュが吊るされて叫んだその時だった。

アンジュ達の元にある二つの光が飛んでくる。

 

それはキラとアスランが乗るストライクフリーダムとインフィニットジャスティスがやって来たのだ。

 

二つのMSが来た事にジュリオとシルヴィアだけじゃなく、その場にいた国民の者達も驚きながら見ていた。

 

そしてジャスティスがMX-2002 ビームキャリーシールドのビームサーベルを展開し、アンジュを吊るしている絞首台を壊す。

絞首台が破壊された事によりアンジュは開放されて、モモカを捕まえている近衛兵は怯えてしまい腰が抜けてしまう。

 

その隙にモモカはアンジュの元に向かう。

 

「アンジュリーゼ様!」

 

「げほっ!げほっ…! あれは…キラ!アスラン!?」

 

アスランはアンジュとモモカの方を見て、すぐさまジャスティスの両腕マニピュレーターを使い、二人を救出したのを確認してキラに言う。

 

「キラ!!」

 

「うん!!」

 

すぐさま二人はスラスターを全開にして、急速離脱してミスルギ皇国を脱出する。

 

ジュリオはその事に怒りを爆発し、側で見ていたリィザは鼻で笑うのであった。

 

 

───────────────────────────────────────

 

 

そしてミスルギ皇国からかなり離れた孤島、キラとアスランは一度そこに降り立ってアンジュ達と対面する。

っがその時アスランは…。

 

パチッ!!!

 

「うっ!」

 

アスランはアンジュに向けて平手打ちをし、それにアンジュは全く抵抗もしないで受けていた。

いや…受けてしまうのも当然だと思ったのだ。キラはそれをジッと見ていた

 

しかしモモカはそれを許さない。

 

「アンジュリーゼ様!あなた!アンジュリーゼ様に何を」

 

「黙れ!!」

 

アスランの猛烈な怒鳴り声にモモカは思わず黙ってしまう。

モモカに言った後にアスランはアンジュの方を見る。

 

「どうして俺が手を上げたか分かるか?」

 

「…ええ、私が馬鹿な事をしたからよ」

 

「そうだ、それが分かっていながらあんな馬鹿な事をしたのか?」

 

「ええ、でもあの場にてようやく目が覚めたんだから…」

 

それにモモカはアンジュの方を振り向き、アンジュは海の方を見て呟く。

 

「私には、家族も仲間の故郷も…何にもないって分かったんだから」

 

「アンジュリーゼ様…」

 

「追放された時に気付くべきだったな」

 

っとアスランはまるで追い打ちを掛けるかのようにアンジュに言い、アンジュはその事に思わずピクリと反応する。

 

「ノーマと分かった時点で既に皆からの信頼、絆、関係は消えてしまうんだ。全ては結果が全てなんだ…」

 

「……ええ、貴方の言う通りよアスラン。私が馬鹿だったわ」

 

アンジュは皆に見えないように静かに涙を流し、それに気付いたモモカは思わずアンジュに近づこうとしたが近寄れなかった。

キラはアンジュに一枚のシャツを着せ、それにアンジュはシャツを見る。

 

「キラ…?」

 

「その格好じゃあ恥ずかしいでしょ? そのシャツはあの時のシャツだから大丈夫」

 

アンジュはあの孤島で着ていたシャツを再び着る事となり、それにアンジュは少々照れながらも着る。

っとその時キラとアスランのストライクフリーダムとインフィニットジャスティスのレーダーにある反応をキャッチし、アラートが鳴り響いて、キラとアスランはMSに乗り込む。

 

「一体何だ!?」

 

「これは?!」

 

キラ達がレーダーを見ると、レーダーに敵機が近づいている事が分かり、しかも一機のみでやって来た事にキラとアスランは見合う。

 

「アスラン!」

 

「ああ!アンジュとモモカはそこに居ろ!!」

 

二人はコックピットハッチを閉め、機体を立ち上がらせて上昇し、アンジュとモモカはそれを見届けるのだった。

 

そしてキラとアスランは迫って来る不明機に向かい合うと、そこで信じられない物を目にしてキラとアスランは思わず目を疑う。

 

それは嘗てキラがヤキン・ドゥーエ攻防戦であのラウ・ル・クルーゼと激戦を繰り広げたあの『プロヴィデンスガンダム』であった。

背中のバックパックであるドラグーン・プラットフォームはあのレジェンドガンダムに搭載されていたバックパックによく似ており。更にレジェンドの武装であるGDU-X7 突撃ビーム機動砲のドラグーンが左右二つ装備されていた。

 

「キラ!あれは!!」

 

「プロヴィデンス…!」

 

その機体を見てキラは思わず頭の中がフラッシュバックする。

 

 

 

 

知れば誰もが思うだろう!君の様でありたいと!!

 

 

 

もはや止めるすべはない!!地は焼かれ!涙と悲鳴は新たな争いの狼煙となる!!

 

 

 

 

キラの頭の中にクルーゼの言葉が蘇り、キラは頭を振って気持ちを切り替える。

 

「アスラン!!!」

 

「ああ!!!」

 

キラとアスランはすぐさまビームライフルを構えてプロヴィデンスを撃ち、プロヴィデンスはそれを軽々とかわして、右手に持っているビームライフルを構えて撃つ。

 

それにキラとアスランはそれをかわして、すぐにキラはMMI-M15E クスィフィアス3レール砲を展開して攻撃する。

プロヴィデンスはそれを逸らしながらかわしていき、ドラグーン・プラットフォームのドラグーンを展開させて攻撃を仕掛けて来て、それにキラとアスランは驚く。

 

ドラグーンはあちこち動きながらビームを撃って来て、それをキラとアスランはアクロバティックな動きで交わして行く。

その中でキラとアスランは大気圏内でドラグーンを使って来るプロヴィデンスに驚きを隠せない。

 

「馬鹿な!大気圏内でドラグーンを?!」

 

「あり得ない…!こんな事って!?」

 

通常では宇宙空間のみ使用できるドラグーンが大気圏内で使用できる事に驚きを隠せないキラとアスラン。

更にプロヴィデンスは次の攻撃に対し左手のマニピュレーターで左腰に搭載されているビームサーベルと取り出して構えて向かって行く、それに対してキラが左手に持っているビームライフルをしまい、ビームサーベルを構えて向かって行く。

 

そしてストライクフリーダムとプロヴィデンスは互いにすれ違うサーベルを斬りつけ合い、切り合う度に激しいスパークが飛び散る。

 

アスランはファトゥム-01のMA-6Jハイパーフォルティス ビーム砲をプロヴィデンスに向けて標準をし、トリガーを引いて放つ。

しかしプロヴィデンスはそれを気付いていたかのようにストライクフリーダムを蹴り飛ばし、難なくかわして離れて行く。

 

アスランはそれに舌打ちをし、一度キラの元に向かい、キラはプロヴィデンスを睨みながら少しばかり汗ばむ。

 

「キラ…」

 

「うん、あの機体のパイロット…相当の腕だよ」

 

そう言ってキラとアスランは構える、しかしプロヴィデンスは気が済んだのかその場から離れて行った。

突如プロヴィデンスの行動にキラとアスランは思わず武器を下ろしてしまう。

 

「何だ?」

 

「どうして…?」

 

キラとアスランは退却して行ったプロヴィデンスを理解出来ず、地上で見ていたアンジュとモモカも一体何が起きたのか全く分からなかった。

 

一度キラ達はアンジュ達の元に降り立ち、アンジュ達はキラ達の元に行く。

 

「キラ!アスラン!」

 

アンジュが声を掛けても二人はちょっとばかり黙り込んでいて、それにアンジュが再び声を掛ける。

 

「ちょっと?」

 

「…あ、ごめん」

 

「少しばかり考え事を…な。しばらくしたら出発する、それまでゆっくりしていろ」

 

そうアンジュに言うアスラン。

その事にアンジュはただ頷くだけあって、そして数分後キラ達はアルゼナルに向けて出発した。

 

 

───────────────────────────────────────

 

 

プロヴィデンスが帰投してる中で、その中にいたパイロットは僅かながら笑みを浮かべる。

 

「ふふふ…、やはりな…前より腕が上がっている。腕を上げたな…キラ君」

 

その中にいたパイロット…エンブリヲは何故かキラの腕を知っているかの様に言い、自分のアジトへと戻って行った。

 


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