D×D magico   作:鎌鼬

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甘くなぁれ甘くなぁれ。




sweet time

 

 

「あ゛ぁ゛〜疲れた〜…」

 

「お疲れ様」

 

 

百鬼空亡との24時間耐久ガチンコバトルを終えて神の子を見張るもの(グリゴリ)に戻った俺は全身を脱力させてソファーに座っていたレイナーレの膝の上に寝そべる……膝枕だぞ?羨ましいか?

 

 

「それにしてもコカビエル様達が出払って倒せないだなんてどんな化け物よ」

 

「化け物ってよりも現象だな。あれの元々は地脈を司っていた神様で、それが堕ちたのが百鬼空亡だ。あれと戦うってことは地球と戦うのと同意義だからな〜それに倒したら倒したで地球が滅ぶし」

 

「……つまり凄く強くて、倒したらいけない敵ってこと?」

 

「そうそう」

 

 

そもそもはあれはとあるゲームで出てきたボスキャラなのになんでこの世界にいるのだろうか?てか考えてみれば人間讃歌を謳う魔王もいたし……あれは間違いなく転生者だろうけど何かやらかそうとする気配は見られなかった。本家のように全人類を邯鄲に叩き込もうと計画しているのなら全力で止めに行くつもりである。

 

 

そんなことを考えながらレイナーレの膝の感触を楽しむ。

 

 

あのクソビッチの愚策によってあわや戦争が起こりかねない事態をなんとか回避してレイナーレと結ばれてから、こうしたスキンシップを楽しむようになっていた。流石に人前で堂々とするつもりは無いが、二人っきりになった時なんかに良くやる。神の子を見張るもの(グリゴリ)内でも俺とレイナーレの関係が広まっているからなのか、周りも気を利かせて二人っきりにしてくれるようになった。

 

 

だから、この場には俺とレイナーレしかいない。フリードとユーリは任務で神の子を見張るもの(グリゴリ)には居ない、ロスヴァイセはロキと共に北欧に帰って行った。〝牙〟はアザゼルの指示で各方面にある違法研究施設にカチコミしたり、神器保有者の保護をしたり、くだらないことをやらかす阿呆共をシバきに行っている。前までは俺も着いていたのだが部下が育ってくれたので安心して任せることが出来るようになっていた。そのお陰か休みが増えてきて正直暇を持て余しているくらいだ……あれ?俺ってば仕事中毒(ワーカーホリック)に成りかけてる?

 

 

『ユーガットメール』

 

「ん?誰からだ?」

 

 

さらりと仕事中毒(ワーカーホリック)に成りかけている自分に戦慄していると私用で使う携帯にメールが届いてきた。仕事用の物ではないので無警戒で、のそのそと動きながらメールの差出人と題名を確認する。

 

 

差出人:ライザー

題名:厄介なことになった……

 

 

「何やってるんだよ」

 

「誰からなの?」

 

「ライザー、レイナーレも会ったことあると思うけど」

 

「ライザー……あぁ、フェニックスの三男の」

 

「そうそう、で、何々……あん?」

 

 

メールの内容を見て眉に皺を寄せる。そして電話帳からライザーの番号を探し出して即座に電話をかける。

 

 

『ヒサメか……』

 

「どうしてこうなってるんだよ、訳がわからんぞ」

 

『なんでも親父が酒の勢いでグレモリーと約束したらしい……俺個人としては反対したいがフェニックスの立場を考えるとな……』

 

「断れ断れ、政略結婚が続かないと思わないがお前じゃ絶対長持ちしない。それにお前にゃもう相手が居るだろうが。そいつはどうなる」

 

『グレモリーの地位を考えると第二夫人扱いになるだろうな……こうなったら兄貴たちと結託して当主をすげ替えるか』

 

「そうなったら呼んでくれ、俺も暴れるから。それと何かあったらまた連絡してくれや、お前とは種族関係無しに付き合いたいって考えてるからな」

 

『それはこちらも同じだ。相談に乗ってくれて感謝する』

 

 

それだけ言ってライザーは電話を切った。

 

 

「どうしたの?」

 

「ライザー……というよりもフェニックスにか、グレモリーの長女との婚約の話が上がっててライザーに押し付けられそうになってるんだとよ」

 

「グレモリーの長女って……もしかしてリアス・グレモリー?それにライザーにはユーベルーナがいた筈じゃ」

 

 

そう、レイナーレが言った通りライザーにはもうユーベルーナという相手が居る。ライザーの女王(クイーン)だが相思相愛、さらにさらに妊娠していて結婚の約束もしている実質的な婚約者。

 

 

「だけどライザーは純血悪魔、ユーベルーナは転生悪魔だ。純血主義の老害が渋ってもおかしく無い。それにリアス・グレモリーは純血悪魔で魔王の妹、それだけ見れば一介の転生悪魔よりも優先されるってのもあり得ない話じゃ無い」

 

「何よそれ……ふざけてるわね」

 

 

レイナーレの気持ちは分からないでも無い。やはり相思相愛で結ばれるのが二人にとって幸福だから、俺も悲恋に満ちたバッドエンドよりも頭の悪いハッピーエンドの方が好きなのでそうであって欲しい。

 

 

「まぁ感情論としては許せないかもしれないが純度を保つという話では間違ってないんだよな。昔の大戦のせいで純血はどこの勢力でも減ってしまった。だから悪魔は悪魔の駒(イーヴィル・ピース)で、堕天使と天使は人間を取り込む事で補おうとしてる。それに転生悪魔よりも純血悪魔が優秀なのは分かりきったことだ、現魔王が全員純血なのがそれを証明してるし。大方、悪魔側の戦力を増やしたいって考えているんだろうよ、純血主義の老害は」

 

「……理解は出来るけど納得はしたく無いわね」

 

「これは俺の考えだし、無理に納得しなくても良いさ。俺には俺の考えがあり、レイナーレにはレイナーレの考えがあり、老害には老害の考えがある。それだけの話さ」

 

 

今まででもあった話だし、これからでもある話。それが偶々ライザーに回って来ただけのことだ。一勢力でそれなりのポジションにいればあり得ないことでは無い。俺にもそう言った話が回ってくる事があるが気に入らないので断ってる。流石にしなければ堕天使が絶滅するとかいう絶体絶命な状況なら仕方ないがそこまで追い詰められていないので受け入れてないだけだ。そもそも神の子を見張るもの(グリゴリ)はそう言うのはユルユルのガバガバだし。

 

 

「面倒な話ね……」

 

「ほんとそうだよ、面倒すぎて泣けてくる」

 

 

レイナーレと一緒に溜息を吐き、頭を撫でられて和んでいるとライザーかろメールが来た。内容は……何とかライザーの弟を婚約に引っ張り出す事が出来たがリアス・グレモリーがこれを拒否、そこで付き合わせていたグレイフィア・ルキフグスの提案によりレーティングゲームで婚約破棄をするか否かを決める事にしたと……うん、馬鹿じゃね?

 

 

「……何これ、馬鹿なの?」

 

「それな」

 

 

レイナーレに見せれば俺と同じ反応が返ってくる。悪魔にとって重要事項だろう事をゲームなんかで決めようとしているのに馬鹿じゃねという感想しか出てこない。リアス・グレモリーもリアス・グレモリーだな、貴族として責務を理解しているのだろうか。そもそも一旦婚約を受けて、その後で功績を積むなりして周りに自分を認めさせてから相応しくないと婚約破棄すれば良いのに。嫌だ嫌だとゴネて騒ぎを大きくするとか本当に次期当主としての自覚はあるんだろうか。

 

 

メールを読み進めていけば詳細が記されていた。ライザーの弟の名はドーラ・フェニックス、歳は18でライザーには劣るものの一応若手悪魔の中でも有能株として知られているらしい。眷族は全員が女、自分の欲を突き詰めて作ったハーレム。

 

 

レーティングゲームの内容はリアス・グレモリーVsドーラ・フェニックス&ライザー。リアス・グレモリーが勝てば婚約破棄、ドーラ・フェニックスが勝てばドーラ・フェニックスとリアス・グレモリーは結婚する……ライザーが居る時点でリアス・グレモリーに勝ち目が無い件について。それをライザーとグレイフィアが指摘した結果、リアス・グレモリー側に助っ人の参加が認められた。助っ人の枠は二つで、ライザーはどうやら俺にリアス・グレモリーの助っ人として出てきて欲しいらしい。まぁ理由は分からないでも無い。ライザーとマトモに戦える奴が俺くらいしか居ないからな。

 

 

それとリアス・グレモリーの眷族の強化か……面倒だがやるしかないか、侍とか赤龍帝とかに興味が無いと言えば嘘になる。んで、参加は希望制で。そもそもやる気の無いやつを鍛えたところで無駄でしか無いからな。

 

 

レーティングゲームは10日後に開催すると、それまでの時間は準備時間になる……リアス・グレモリーたちは学生だよな?マトモに鍛えれるか?

 

 

俺の10日間の予定と言えば細々したものばかりで時間には余裕がある。3日後に()()()()の奴らと会合があるがそれで1日潰れる程度だし……いけるな。

 

 

「出掛けるの?」

 

「ライザーからヘルプ頼まれたんでな。10日くらいだ、何かあったら仕事用の方に連絡してくれ」

 

 

今回は〝牙〟としてではなく個人での用事なので〝牙〟の制服では無くカーゴパンツとティーシャツに上着を羽織った格好にする。

 

 

それでレイナーレに近き、顎を持ち上げてキスをする。ディープなものでは無く重ねるだけのを数秒。

 

 

「……ふぅ、ご馳走様」

 

「〜〜〜〜〜ッ!!」

 

 

不意打ちでしたからかレイナーレは顔を真っ赤にして転げ回っている。これ以上の事をやったというのに可愛い奴め。

 

 

転げ回っているレイナーレを私用の携帯で激写しまくり、それに気がついたレイナーレが恥ずかしさから光の槍を投げてきたのを避けて俺は人間界に転移した。

 

 





壁〜壁売ってるよ〜壁いらんかね〜?


壁ドンしても、ええんやで?


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