D×D magico   作:鎌鼬

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カチコミ

 

 

「ーーーこちらスネーク、目的地に到着した。これよりミッションを開始する」

 

「どタマカチ割るぞ……!!」

 

 

教会に辿り着いた瞬間にヘビのモノマネをした一誠に誠二がキレる。その手に神器の龍の手が着けられている辺り本気で怒っているようだ。

 

 

「ステイステイ、落ち着けよ。肩に力入れたところで失敗するだけだぞ?俺なりのジョークで緊張を解してやろうという気持ちが分からんのか……!!」

 

「なんで逆ギレしてるんですか……」

 

「これが兵藤先輩だから」

 

 

誠二に逆ギレしている一誠を見て塔城は呆れ、慣れている木場は笑っている。確かに場違いな事を言った一誠ではあるが空気が和らぎ、肩から力が抜けたことは間違いない。

 

 

「で、これから教会に潜入するわけだけど……」

 

「完全にバレてますよね」

 

 

教会から感じるのは堕天使の気配、そして闘気。実戦経験が全く無い誠二でも背筋が寒くなる程の濃密な物が教会から垂れ流されていた。それだけで待たれているという結論が出る。そもそも今夜儀式を行うと言ったのはドーナシークだから来ると分かっていて当たり前なのだが。

 

 

どうするか悩む木場と塔城、誠二も何か案を出そうと考えているが思い付かない。そんな三人を尻目に一誠はーーー

 

 

「よし、行こうか!!」

 

 

ーーー神器の布都御魂を担いで教会に乗り込もうとしていた。

 

 

「「「待て!!」」」

 

 

当然三人は止めに入るが一誠はそれをヒラヒラとかわして教会に近づく。

 

 

「何も考えてないわけじゃ無いぞ?警戒されてて潜入はほぼ不可能、それなら真正面から向かうしか無いじゃ無いか!!」

 

「それは分かりますけど!!」

 

「それにーーーもうバレてるみたいだぞ?」

 

 

一誠が剣を斬り上げる。虚空を切るかと思われたその一斬は上から落ちてきた光の槍を斬り裂いた。

 

 

「待ってたぜ……ドーナシーク!!」

 

「やはり来たか……お前なら来ると確信していたぞ」

 

 

闇夜に翼を広げて飛んでいるのはドーナシーク……一誠と誠二を殺した張本人。一誠は自分を殺した相手が目の前にいるというのに萎縮するどころか獰猛な笑みを浮かべて剣を構える。

 

 

「どちらにしてもバレてるから正面から行くしか無くなったなぁ!!ドーナシークは俺がやるから行ってこい!!」

 

「何でそんなに嬉しそうなんだよ!!……クソッ!!アーシア助けてすぐに戻って来るからな!!死ぬんじゃねえぞ!!」

 

 

そう叫びながら誠二は木場と塔城と共に教会に走って行った。残るのは一誠とドーナシークのみ。

 

 

「ーーー石上神道流、兵藤一誠」

 

「ーーー堕天使、ドーナシーク」

 

 

一誠は布都御魂を構え、ドーナシークは光の大剣を肩で担ぎながら名乗りを上げた。意味など無い。ただそうしたいという気持ちの一致があったから。

 

 

「推して参る……!!!!」

 

「この身に届くか試してやろう、来るがいい」

 

 

一誠VSドーナシーク

 

死合開始

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっ、らぁ!!」

 

 

誠二が教会の扉を蹴破る。一々丁寧に開け閉めをしていたら駄目だと感じたから。廃墟となっていて建て付けが悪かったのか、扉は開くどころか吹き飛んで行きーーー

 

 

「グゥゥゥゥッドイブニング悪魔ショクゥン!!!!」

 

 

礼拝堂の奥で待ち構えていたフリードの光の剣によって切り裂かれた。もし普通に開けていたらフリードからの不意打ちで殺されていただろう。首の皮一枚で命が繋がったのだが誠二はそれに気づかない。そんなことにかまっている暇は無いとフリードに向かって叫ぶ。

 

 

「フリード!!アーシアは何処だぁ!!」

 

「アーシアちゃんならこの銅像の下にある地下室にいるよん!!どこのRPGだっていうツッコミは無しな!!」

 

 

拍子抜けする程にあっさりとフリードはアーシアの居場所を教えた。確かに教会にあった銅像の位置はズラされていて、そこには地下に続く階段らしき物が見えている。

 

 

だが、問題はフリードの立ち位置だった。彼女が立っているのは階段の前、つまり階段に向かうにはフリードを退かすか誰かが囮になるか、それか彼女を倒すしか無かった。

 

 

時間の事を考えるなら木場と塔城がフリードを足止めしてその隙に誠二が向かえば良いだろうが、地下には堕天使がいるに違いない。そう考えると三人で向かった方が良いのだがそれは時間がかかる選択だった。一誠からフリードという人物に出会って、実力を隠していたという話は聞いている。この三人で倒すことが出来るのか、それが問題だった。

 

 

「ゴメンねー僕ちん、クライアントからチミタチ足止めする様に言われてるからーーー」

 

 

その時、教会の天井をブチ破って何かがフリードのいた場所に()()()()()。知覚外の出来事。何が起きたかとフリードのいた場所を見てみればーーーそこには駒王学園の制服を着た男子生徒の手刀を光の剣で受け止めているフリードの姿があった。

 

 

「ーーーハッ、なかなかやるみたいじゃねぇか。はぐれの悪魔祓い(エクソシスト)と聞いていたが、これまで殺ってきた腑抜けたちとは違うみてぇだな?」

 

「うわぁお熱烈なアプローチでございますねぇ……あとオレの事をそこいらの悪魔祓い(エクソシスト)と一緒にしてんじゃねぇぞ。吐き気がする」

 

 

フリードの足元が壊れているところを見る限り、今の一撃の威力が相当なものであったことは推測出来る。だがフリードはそんな一撃を受け止めながら軽口を叩ける程の余裕を見せていた。

 

 

そして誠二はたった今乱入してきた男子生徒に見覚えがあった。彼は匙元士郎……生徒会に所属している、悪魔に転生するまで割りと関わりのあった人物だった。

 

 

「ーーー無事か、兵藤誠二よ」

 

 

どうして匙がここに居るのかと混乱する誠二だったが天井の穴からやって来た人物に声をかけられて現実に戻される。声をかけたのは一誠の友人の甘粕正彦だった。格好は駒王学園の制服では無く、どこかの軍人が着ているような軍服であるという違いがあるが。

 

 

「甘粕、先輩?どうしてここに……」

 

「簡潔に言えば理由は二つ、一つは蒼那からの命令で堕天使たちを討伐しに来た」

 

 

後手後手に回っていたリアスとは違い蒼那は甘粕が殺された日から堕天使たちについて調べていた。独自の伝を使い堕天使たちを調べたところ、彼らは神の子を見張るもの(グリゴリ)の命令では無く、独断でここに来ていると分かった。

 

 

一部の例外を除き、他種族の領地に入れば処理されても仕方が無いと三大勢力内では暗黙の了解となっている。今回の場合がそれだ。ドーナシークたちや彼らの味方のフリードを殺したとしても咎められることは無い。

 

 

そして、甘粕からすれば本命はたった一つ。

 

 

「二つ目だがーーーここに、カラワーナがいるのだろう?出てこい、リベンジマッチと行こうではないか!!!!」

 

「ーーー分かったわ」

 

 

甘粕の本命は自分を殺したカラワーナとの再戦。腰に下げていた軍刀を引き抜いて叫ぶと地下に続く階段から甘粕の目的であるカラワーナが現れた。あの日とは違ってスーツでは無く、袖の無い和服を着ているものの甘粕が顔を見間違えるはずが無かった。

 

 

そして、それは狙って出来たのか偶然出来たのかな分からないがーーー地下に続く階段への道が開いた瞬間だった。フリードは匙が抑えて、カラワーナは甘粕に注意が向いている。それに気がついた誠二は考えるよりも前に身体が動いた。

 

 

匙VSフリード

甘粕VSカラワーナ

 

死合開始

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アーシアァァァァァァァァァァ!!!!」

 

 

転がり落ちる様に階段を駆け下り、地下室に着いた誠二が見たのは魔法陣の上に置かれた十字架に磔にされているアーシアとーーー

 

 

「……来たわね、誠二君」

 

 

自分を騙した天野夕麻ーーーいや、堕天使レイナーレだった。

 

 

「ーーー」

 

 

地下室は外には繋がっておらず、光源は備え付けのロウソクの灯りだけ。視界が十分では無いーーーだからなのだろうか。

 

 

ーーーレイナーレが、泣いている様に見えた。

 

 

そんなはずが無いと誠二は顔を振るい、馬鹿げた考えを振り払う。その時、遅れていた木場と塔城が追い付いた。

 

 

「アーシアを放せ!!」

 

「……それは出来ない、この子から神器を抜き出すそれがあいつと交わした契約だから。そうしないとミッテルトが……」

 

 

レイナーレは泣きそうになりながら目を擦り、敵意の籠った目で誠二たちを睨み付けた。

 

 

「ーーー貴方たちは関係無い、ただあいつの茶番に付き合わされているだけだっていうことは分かっている……だから、これは完全な八つ当たりよーーー恨むなら、存分に恨んで頂戴」

 

 

レイナーレの背後に光の槍が現れた。それも一や十では無い、隙間を埋め尽くして背後の壁が見えなくなる程の質量だった。

 

 

ここで彼らは己の不利を悟る。地下室の出入り口は背後にある一箇所だけ、限られた密室内ではあの量の光の槍を避ける事など出来ない。

 

 

そしてーーーレイナーレの一動と共に光の槍が斉射された。

 

誠二&木場&塔城VSレイナーレ

 

死合開始

 

 

 

 

 

 





〜一誠VSドーナシーク
リベンジマッチその一。これは誰もが予想できていたと思われる。

〜甘粕VSカラワーナ
リベンジマッチその二。これもだな。

〜匙VSフリード
これだよこれ、予想出来た人はいるかな?力量差を考えたらフリードの相手は匙くらいしかいなかったんだよ……

〜ソーナ陣営の介入
甘粕がカラワーナに殺された日から堕天使について調べていて、今日にようやくレイナーレたちが独断の判断で駒王町に来ている事が判明した。なお、その事でとある人物たちにもレイナーレらの居場所が判明したらしいが……?ともあれこれで堕天使たちを攻撃する理由ができたとソーナは匙と甘粕を送り込んだ。だがその裏ではある取引があったらしい。



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