D×D magico   作:鎌鼬

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五年後へキングクリムゾン、それに伴って原作の開始でもあります。

ただし始めはヒサメ視点でお送りします。




堕天とディアボロス
幕開け


 

 

見渡す限りに広大な土地、遠く離れたところでは人間界ではもう見れないであろう雄大な自然が広がっている。しかもその木々の一本一本が遠近法で普通の大きさと同じ様に見えてるが実際には高層ビルよりも遥かに大きいサイズである。

 

 

ここは北欧。北欧神話として人間界に広がっている神々が住まう土地。だが、その一角は焼け野原になっていた。

 

 

炭化したり、凍ったり、へし折られたり斬られたり、様々な状態ではあるがどれもが破壊されている事には変わり無い。

 

 

「くっ、酷い……いったい誰がこんな事を!!」

 

「私と君だよ!!」

 

「うん知ってた」

 

 

そんなところで優雅に紅茶を啜るのはヒサメこと俺と黒いローブを纏った男性、そしてその側では一人の女性が呆れた表情で紅茶のポットにお湯を注いでいた。

 

 

「全く……ヒサメ様もロキ様もやり過ぎですよ。またオーディン様が修繕に嘆かれます……まぁこの間も私にセクハラをしてきたので仕返しになると思えば気が晴れますけど」

 

「やり過ぎって……俺もロキも遊んでいる程度の力なんだけどな……耐えられないここが悪い」

 

「いやいや、五大龍王の息子でありながら壁越えを果たした超越者の君と今なお輝き続ける北欧神話のトリックスターの私との戦いに結界無しで耐えられるわけ無いだろう?」

 

「トリックスター(笑)」

 

「おい……久々にキレちまったぜ……!!屋上来いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「まぁまぁ落ち着いてくださいロキ様(笑)。ヒサメ様も本気で言ってるわけじゃ無いですから」

 

「ねぇロスヴァイセ?お前も私のこと(笑)って言わなかったか?」

 

 

さて、この会話で分かっただろうけどローブを纏った男性はロキ、北欧神話の中でもトリックスターとして知られている悪神様で俺の友人。そして女性はロスヴァイセ、死んだ英雄をヴァルハラへと連れて行くと言われている戦乙女(ヴァルキュリア)。俺とロキが遊んだ後でロスヴァイセが淹れる紅茶を飲みながらダラダラと喋るのがお決まりになっている。

 

 

どうして俺が北欧神話の勢力のロキとロスヴァイセと仲が良いのかと聞かれると遡ること四年前、偶々任務で北欧の方に出ていた時にロキと会って意気投合し、ロキに連れて行かれた先でロスヴァイセとも知り合ったのだ。今ではこうして遊ぶ仲でもあるし、ロキとは酒を飲んだり、ロスヴァイセとは時々買い物に行ったりしている。

 

 

「それにしてもロスヴァイセも逞しくなったね……初めて会った時にはロキと会っただけで慌ててたのに」

 

「今じゃセクハラしてきたオーディンにドロップキック叩き込むぐらいに図太くなったからな……」

 

「オーディン様からセクハラ被害を受けている戦乙女たちを集めて被害者の会を設立するつもりです。幾ら主神とはいえど限度がありますからね」

 

「やべぇよ、ロスヴァイセマジで逞しすぎるだろ。その内黄昏るんじゃ無いか?」

 

「その時には誘ってくれよ、もちろんオーディンの敵対勢力として立ち回ろう」

 

 

……なんかそう遠く無い未来にロスヴァイセが戦乙女たちを引き連れて旗を掲げながらオーディンに反旗を翻した光景が想像できる。しかも絵画タッチでFollow meとか書いてある。

 

 

だけどオーディンもやり過ぎだと思うんだよな。ロスヴァイセがオーディンの側近になってすぐの頃に俺とロキが飲んでる酒を誤ってロスヴァイセが飲んですぐに出来上がったと思ったら出てくるのはオーディンの愚痴ばかり。仕事をしないし、ロスヴァイセの目を掻い潜ってキャバクラとか行くし、戦乙女たちにセクハラするし……黄昏る未来待った無しだな、うん。

 

 

「にしてもヒサメも中々に北欧魔術を上手く使うようになったな」

 

「そうですね、教えたのは私ですけど予想外の使い方をしてますし。しかも最大火力は魔王級ですし」

 

「あれは元にあるものがあったからそれを目指して開発しただけだ。それに火力はあるけど被害もエライ。被害を抑えようとしたら精々上級が蒸発するレベルが良いとこだよ」

 

「それでも充分だと思うんですけど……」

 

 

ロスヴァイセはそう言うが俺の中での仮想敵は現魔王のアジュカや神の子を見張るもの(グリゴリ)総督のアザゼルたち。あの人たちなら周りに被害を出さずに魔王級の一撃を相手が蒸発するまで連発出来る。それに対して俺は周りに被害を出しまくった挙句に魔王級の一撃を精々二十から三十しか連発出来ない。手数で負けてる時点で太刀打ちが出来ないんだよ。目指す高みが遥か彼方ってのは分かってるけどその位が丁度良いと思ってる……まぁ餓鬼道様なら指一つで弾き飛ばすんだろうけどな!!

 

 

『萌え萌えニャン♪萌え萌えニャン♪』

 

「なんだその着信音は……」

 

「その声……もしかしてレイナーレさんのですか?」

 

「うん、こないだの神の子を見張るもの(グリゴリ)の親睦会で酔っ払ったレイナーレにふざけてやってみてって言ったらやってくれたからメールの着信音にしてる」

 

「何て事を……!!」

 

「ちなみに猫耳付きで猫の手のポーズもしっかりつけてた。ユーリも同じ格好してのツーショット写真をしっかりと撮らせてもらったよ」

 

「なぁヒサメ、ちょっと、ほんのちょっとで良いからその写真見せてくれないか?」

 

「う〜ん見せても良いけど……その場合ロキはこれから先光を見ることは無くなるだろうね」

 

「何で失明することになってるんだ……!!」

 

 

だって親睦会の翌日にレイナーレが顔を真っ赤にして誰にも見せないでって言ってきたから……でも消すなとは言われてないんだよな。

 

 

レイナーレは中級の堕天使で、年が近いからか仲良くさせてもらってる。仲間を思いやったり気の効いたりと優しい性格で、神の子を見張るもの(グリゴリ)内ではファンクラブまであるそうな。確か合言葉は……レイナーレちゃんまじ天使、だっけな?確かにどうしてレイナーレが堕天使しているのか気になるところではある。

 

 

「えっと……!?」

 

「どうかしたか?」

 

「……悪い、用事が出来たから帰るわ」

 

 

ロキとロスヴァイセからの返事も聞かずに魔法陣を展開して神の子を見張るもの(グリゴリ)の本部へと転移する。二人には悪いがレイナーレのメールの内容を説明している暇すら惜しい。

 

 

レイナーレからのメールの内容、それはただ一言だけしか書かれていなかったが俺を焦らせるだけの言葉だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『助けて、ヒサメ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一体何があったんだよ……!!」

 

 

 





ヒサメ(二十歳)
見た目は変わっていないが強さとしては超越者級の強さまで成長している。だけど基本的には大戦を生き残った人らは超越者級の強さになってるからすっごく強いけど珍しいわけでは無い。

ロキ
トリックスター(笑)。ヒサメの友人。ヒサメの事をベストフレンドだと叫ぶくらいに仲は良い。ロスヴァイセが黄昏る日を楽しみにしている。

ロスヴァイセ
戦乙女(ヴァルキュリア)でオーディンの側近。オーディンのセクハラ被害者を集めて被害者の会を設立する計画をしている。それにて改善されなかったら黄昏ることも考えている。

黄昏る
神々の黄昏(ラグナロク)の事を動詞として扱う不思議語句。どこかの馬鹿を思いついた人はその場で万歳三唱です。

レイナーレ
ヒサメの同僚。年が近いので仲は良い。堕天使だけど性格は天使。ユーリの姉ポジションでもある。ヒサメと関わったことで原作とは百八十度性格を変えたお方。

萌え萌えニャン♪
親睦会で酔っ払ったレイナーレにヒサメがふざけてさせたらノリノリでやってくれた。ヒサメの携帯のメールの着信音になってる。萌えた方はその場で全力でリトルボーイ、もしくはツァーリボンバ、もしくはロッズフロムゴッドと叫んでください。


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