俺としおりんちゃんと時々おっぱい。   作:Shalck

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ケータイからのとーこーです。
ケータイからの場合、後書きがかけましぇん。
もーしわけありません。
また評価をしてくださった。ザインさん、(-_-)゜zzzさん、もとぅおさん、もーがれっとさん、ありがとうございます。
やる気が湧いてきました。
またお気に入りも50を突破しました。
この調子で頑張ります!


006 《Tornado》

 トルネード当日、俺は目の隈を温水タオルでとってから、舞台へと向かっていた。

 熱した水を含んだタオルは、目の上に乗せることで隈をとることが出来るんだ!

 良いこのみんなは覚えておこう!

「よし」

「何がよしなんだよ」

 よしと言っただけで怒られた件について。

「ヤローぶっ殺してやらー!」

「いや、だからな何がだよ」

「いやぁ。なかなか眠くてねー。深夜テンションって奴?」

「お前いつもそんなんだから」

 あれー? そだっけ?

 まあいつも気にしていないことを気にしてもしょうがないから、今日は正直にライブに向けて頑張るのです。

 まぁ体調が心配ではありますが。

「そのFカップを見るだけで満足です」

 俺の腹にパンチが入る。

 よろっとよろけると、ひさ子ちゃんのFカップにダイブするハメになった。

「おいお前本当に大丈夫か? いつもならあれくらいじゃ倒れないだろ」

 実は三徹目だったりするけど、それを聞いたらきっとひさ子ちゃんが悲しむから言わない。

 取り敢えずご飯くらいは食べといた方が良かったかな?

「ははは。ダイジョーブ」

 そう笑いかけると、納得はしてなそうだけどひさ子ちゃんが俺に何か言うのはやめた。

 諦めたんだと思う。

「なら頑張れよ」

「あいあいさー」

 かるーく話してからひさ子ちゃんが去っていったと思ったら、しおりんちゃんとみゆきちちゃんがやって来た。

「おはー」

「タッ君大丈夫? 凄い顔してるよ?」

「え?」

 みゆきちちゃんがしおりんちゃんの言葉に驚いていた。という俺も驚いているのだけど。

「そ、そんな変な顔してないと思うよ?」

「ごめん。そこでもどられると、どう考えても俺が変な顔してるみたいに思える」

 やっぱりみゆきちちゃんはマジ天使だけど、どう考えても俺の心をえぐりに来ていると思うんだ。

「ううん。タッ君寝てないでしょ?」

 あれー?

 ひさ子ちゃんもみゆきちちゃんも気が付かなかったのに、どーしてしおりんちゃんは気がつくの?

 愛の力って奴?

 もしかして相思相愛だったりしちゃったりラジバンダリ?

「寝てるよー」

「嘘つき」

 ぐさーっと俺の心に言葉が突き刺さった。

 いやマジで。どうして俺のことがわかるんですかねー?

「タッ君、あたし達のために頑張ってくれたのはすごく嬉しいけど、そのせいでタッ君が倒れたら悲しいよ?」

 しおりんちゃんの珍しく真面目な話に、俺はちょっとからかう事が出来なくなった。

「多々君。しおりんが言ってるってことは本当なんだよね?」

 今空気には耐えられないので、両手を上げてお手上げを示した。

 全く。ガルデモ中でこの2人には敵わないぜ。

「多々君休んで」

「これ終わったら休みますってことで」

 真っ直ぐに見られると照れる。

 まぁそんな事言っても怒られるだけなんだけどなー。

「……しおりんちゃんはこんなに頑張った俺に見ないでっていうの?」

 これは反則だ。

 しおりんちゃんの優しさにつけ込む、非情な行為だ。

 だけどそれで俺が嫌われるだけなら、別に問題は無い。

 元々俺なんて、最悪なやつなんだから。

「……それは酷いよ。断れないじゃん」

 一番俺のことを思ってくれている人を、自ら引き離す行為だ。

 これは精神的にきついなぁ。

「ごめんねしおりんちゃん。今度埋め合わせするよ」

 そう言って俺はしおりんちゃんとみゆきちちゃんに手を振りながら歩き出す。

 はぁ。辛い仕事だ。

 でも、ここまでしたのは俺なんだから、弱音を吐くわけには行かない。

 

 

 

「照明おっけー、マイクおっけー、スピーカーおっけー」

 完璧にチェックし終えた俺は、準備の完了を確認した。

 舞台は整った。

 後はライブを成功させるだけだ。

「サー頑張ってもらおうかな」

 俺はそう言って、食堂の電気を落とさせた。

 辺りが暗くなったことを確認したNPC達がざわめき始める。

 元々舞台の設置を見せていたから、ライブをするのかも知れないという思いを持たせていた。

 天使が来る前には終えることができるように調整しつつ、実は何もアクションを起こさない天使に疑問を抱いていた。

 何故動かない?

 何を考えている?

 あまりに静かで不気味すぎる。

「まぁいいか。何も起き無ければそれでいい」

 急いで準備を完了した準備舞台の声を聞き、照明をつけた。

 明かりで照らされる彼女達。

 Girls Dead Monsterと言うこの世界で唯一にしてトップのバンドが現れたことに観客が湧く。

 その歓声を聞いた奴らがそのままこっちにやってくる。

 時間は食堂が動き出す一分前。

 既に食券を買っていた者達がみんな集まってくる。

 ――Alchemy。

 一発目で人気の曲を持っていくことによって、観客のテンションを高めた。

 今回のサビはCrow Songだ。

 それまでにどこまでテンションを上げられるかが鍵となる。

 天使はまだ来ない。

 何故だ?

 準備もワザと噂を出した。

 食堂なんていう目立つ場所で行うことにした。

 それなのに何故、天使は何もアクションを起こさない?

「Crow Song」

 サビであるCrowSongが流れ始めた時、それは来た。

 [天使が現れました]

 インカムから聞こえてきた遊佐ちゃんの声を聞いて、俺は驚愕した。

 ――ずらされたんだ。

 彼女は俺がライブの為に尽くしているのを知っていた。

 この世界では満足すれば消える。

 俺がこれを成功させて満足して消えると、天使は思ったんだ。

 なるほどなるほど。流石は天使ちゃん。

 扇風機で巻き上げられた食券の中から一つ取ると、そこには豚骨ラーメンの文字があった。

 当たりを引いたと思いつつも、俺は初めてのライブが成功したと確信した。

 嬉しいもんだ。

「準備部隊に伝達。機材を回収し、撤退せよ」

 反芻する声が聞こえてから、ありがとうと叫んでいるまさみちゃんと目が合う。

「ありがとう」

 おかげでいい思いができたよと思いつつも、フラリと俺の体に浮遊感を感じた。

「あっちゃー。限界っぽかったか」

 そりゃ三撤してからのこのライブだもんな。

 体が既に限界を迎えていたんだろう。

 帰ろうとしているガルデモに押し寄せている生徒達がこちら側に来るのに気がついて、自分がそれを避けられないことを知った。

 体が動かない。

 巻き込まれる。

 これがこの世界で初めての死かなとか、思いつつもヘラりと笑った。

「止まってぇぇぇええええええ!」

 瞬間食堂内に声が響き渡った。

 この声はしおりんちゃん?

 何かあったっけ?

 倒れかけていた俺は、後ろから近づいてきたしおりんちゃんに気が付かなかった。

 そのまま前のめりに倒れようとした俺を、しおりんちゃんが支えてくれる。

「ありがとう。お休みタッ君」

「おや、すみー」

 そこから先は一切合切覚えていない。

 だけど柔らかいおっぱいの感触と、女の子特有の香りがしたのはわかった。

 

 

 

 SIDE:しおり

 唐突に倒れかけたタッ君を見て、あたしは岩沢さんの持っていたマイクを取っていた。

 そして、走りながら止まってと叫んだ。

 嫌だ。

 こんなに頑張ってライブを成功させてくれた、こんなに沢山の観客の前で歌わせてくれたタッ君を。見捨てることなんて出来ない。

 あたしの声に驚いて止まってくれたNPCを無視しつつ、本格的に倒れようとしているタッ君を抱きしめた。

「ありがとう。お休みタッ君」

「おや、すみー」

 寝息を立てて寝始めたタッ君を見て、あたしは笑顔になった。

「総隊長!」

 タッ君の事をそう呼んだ準備係の人達がタッ君を連れていく。

「今の人――彼がタッ君。Girls Dead Monsterのマネージャーです!」

 軽くそう告げてからタッ君と一緒に舞台を去る。

「おい、あいつ大丈夫か?」

「あたしの感覚だと三撤位してますね」

 全く。久しぶりに真面目にベースした気がする。

 何もふざけないで真剣にやったの、久しぶりじゃないかなぁ?

 てかタッ君無理しすぎ。

「こいつそんなにやってたのかよ」

 呆れたように言いつつと、ひさ子さんの顔にはにやけがあった。

 正直に思う。

 あたし達はタッ君の事が好きだ。

 loveでは無くlikeの方でだから勘違いしないで欲しいけれど、それでも好きだ。

 あたしは多分、loveの方でも好きになりかけている。

 勿論みゆきちがいるから付き合いたいって思ってるわけじゃないけど、それでも異性として好きだ。

 いつも泣きたくなる程頑張っているのにそれを隠すタッ君が。

 馬鹿なふりをしていつもあたしと一緒にふざけてくれるタッ君が。

 妙に女子力が高くて、あたし達の部屋に良く来るタッ君が。

 全てのタッ君が大好きだ。

「本当にしょうがないなぁ、もう」

 でもありがと。その声は出さなくても伝わる。

 大爆睡をしているタッ君だけど、いつもみたいに笑って返してくれるってわかってる。

「あら? 正式にマネージャー兼プロデューサーに任命しようと思ったのに」

 問題なくオペレーショントルネードが終了して外に出たらゆりっぺさんがいた。

「疲れて寝てしまったみたいです」

 苦笑してみゆきちが言うと、そうと軽く返していた。

「天使は彼のことを見ていたみたいね。ここまで頑張ったのだから、満足するんじゃないかって」

 だから邪魔しなかったのよという言葉を聞いて、ますますタッ君の頑張りがわかった。

 タッ君は自分の意思を見せて、天使すら足止めさせたのだ。

 でも――タッ君は満足出来ていなかった。

 初めてのライブがここまで大成功したら、作り上げた人がもしあたしだったら消えてる。

 だけどきっと、この程度じゃ満足出来ない。

 全然満足出来ないぜ……!

「こいつ三撤してたみたいだぞ。関根が気付いた」

「そんなにしてたの!? 全く手加減ができない人なのね」

 寝ているタッ君を見て、ゆりっぺさんは呆れていた。

「それで、マネージャーにとしてはどうだったかしら?」

「プロデューサーとしては聞かないんですか?」

「今回沢山の食券が手に入ったわ。いつも以上にね」

 それが結果として残ってるんだから、優秀という以外の何者でもないらしい。

 過程や工程を一切無視して結果を叩き出すとか、タッ君はイリヤスフィール・フォン・アインツベルンなんだろうか?

「優秀だよ。まぁ最後にやらかしたみたいだけどなぁ」

 ひさ子さんがニヤニヤとしてあたしを見てきた。

 何だよこのFカップめ。

「あたし達に説明しなかったんですもん。徹夜した理由とか、その隈を強制的に消してる顔とかッ」

 思い出したら腹が立ってきた。

 もう! この変態君が!

「それは男の意地ってものよ」

「それでもあたし達のマネージャーならきちんと説明するべきなんです!」

 男の維持で仕事がやれるかー!

 そんな仕事はこんな世界にあると思うなよ!

「彼は好かれてるのね」

「あたしはみゆきちの方が好き」

 でも本当に静かに寝てる。

 ……ん?

「ゆ、ゆりっぺさん」

「何かしら」

 恐る恐るタッ君を指を差す。

「死んでます」

 タッ君は息をしていなかった。

 え、えぇ……。

 最初の死に方は餓死ですか……。

「水すら飲んでいなかったようね」

 あたし達の為に死んでくれたんだね……。

 でも、最初の死に方にしては凄い……アホだよね。

「死に方と言いなんて言うかアホだなぁ」

 確かナニのし過ぎで死んだらしいし。

 うぅ。セクハラ野郎め。

 でも――ありがとう。

 かなり嬉しいよ。

 でも、取り敢えず体調管理の仕方から教わろうか?




次回予告
「話聞いてんのか?」
「怒られてるのか褒められてるのかよくわからない件について」
「だからまだドラッカーのマネジメント読んでないんだって。もしドラ?」
「もしかすると皆のおっぱい揉んだら消えられるかもしれない」
「お前いつもガルデモのメンバーと一緒にいるよな?」
「狙いは外さない」
「それは勿論ナニを――嘘ごめん。嘘だからそんな血の涙を流さないで」

「まずは最初にごめんなさい。皆に心配をかけてしまいました」
第7話《Benignity》

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