「と言うことで。改めましてこんにちは。今回の章で大活躍もとい、大睡眠をしていた雨野多々です」
「皆の者共跪け。僕こそが新世界の神、直井文人だ」
「うわー」
「引くな。決して引くな。断じて引くな。僕は引かれる様なことは言ってない」
「いやいや言ってるでしょ。滅茶苦茶言ってるでしょ。嘘吐いちゃダメだよ直井」
「くっ……。どうも。天上学園生徒会副会長の直井文人だ」
「はい。よく出来ました。ご褒美にアメちゃんをやろう」
「わーいって喜ぶか! 僕は子供じゃない!」
「学生は子供の内だよ」
「実年齢が学生とは限らないだろう」
「そうだった」
「まぁこの第6章《The destination of a memory》を終えて、どうだった?」
「全体的に非常に重く暗い話が多かったな」
「それは――ま、そっか。実際俺と言う存在の根源に関わる話が結構多かったからね」
「お前は簡単そうに言うが、実際凄い壮絶だからな。お前の人生」
「まぁそうだろうねー。他の人から同じ様な話聞いたことないもん。最近なんて一番辛いことみたいな話があって、戦線メンバーの一人の一番重い話してもらったことがあったんだけどさー」
「何だその非常に入りづらい話」
「その一番重い話ってのが俺が体験してたことでさー」
「何なんだ!? お前の人生に一体どれだけの不幸が起こってると言うんだ!?」
「取り敢えず他人の不幸が幸せに感じる程度かな?」
「そうだったな」
「要するに、平均点が60点のテストでも、いつも0点の人が10点取れたら今回取れたなと思うのと同じだよね」
「中々理解しやすかった気がするが、結局理解できなかったからどうでもいいか」
「ま、俺の場合平均手90点のテストで0点取ってた人みたいなもんだけどねー」
「だからお前の過去は重すぎるんだ!」
「確かに。過去の俺はもう少し体重があった」
「体重の話をしてるんじゃない! 過去にあった出来事の話をしているんだ!」
「まぁそうだよね。結構重いよね俺の過去。それを明るく慰めてくれたのが、俺の彼女のしおりです」
「惚気るな。唐突に惚気るな」
「そんな大切な人、直井にはいないでしょ?」
「いないな」
「彼女いいよ彼女。すごく世界が幸せに見える。まぁその幸せぶち壊す位沢山この世界に残り続ける理由があるんだけどね」
「そう言えば、お前は僕だけ苗字で呼び捨てだな」
「そうだね」
「それはあれか? 少し夕緒の成分が混ざっているってことなのか?」
「んー、どうなんだろう。実際俺はいつも苗字で君だけど、夕緒は名前でしょ? その中間だからじゃない? ほら一応元々夕緒に関係あったのは直井だけだし、今回夕緒が表面に出てきたってことでブレが生じたんだよ」
「よくわからないが、要するにお前の呼び方と夕緒の呼び方の中間と言うことか」
「そうなるね」
「なるほどな」
「実は今回あまり話すことがない」
「それは……まぁ確かにそうか。実はこの第6章、色々と明かされていない部分が多いまま終わっているように見えて、結構完結しているからな」
「それに明かされていない部分のほぼ全てが次の第7章、及びその後に続く話の伏線になってるからね。話しにくさが凄い」
「確かにな。そして掘り下げると言っても元々暗い話が更に暗くなってしまうだけだと」
「そうなんだよねー。まぁ事実暗い話の後にここまで明るく話そうとしている俺達が間違っているんだけど」
「あそこまでドシリアスにしておいて、何で巻末だけこんなにのんびりしてるんだと言うことだな」
「あ、そう言えば以前質問が来たことがあったんだよ」
「質問?」
「そう。俺のこと」
「お前のことで質問はかなり気そうな気がするが、一体どんな質問が来たんだ?」
「俺の基本的な情報が無いことについて」
「……あー。確かにお前はいつも誰かとヘラヘラのんびり笑っているくせに、実は今思うとわかってることって少ないからな」
「わかりやすく纏めれば、
1. 壮絶な過去を持っている。
2. 名前が雨野多々。
3. しおりが生きていた年代よりも少し前の人物。
4. 色々な部活をしていた。
ってことぐらいかな?」
「思った以上に少ないな」
「まぁ基本的にこれさえあればいいと思うけれど、きっとそれじゃあ満足出来ないってファンの方がいてくれているんでしょう。ありがとー!」
「なら質問に答えるのか」
「そうだね。答えるとしよう。俺の名前は雨野多々。身長170cm程度で、体重60kg前後。誕生日はクリスマスで、両親は蒸発。奇しくもこの日はクリスマスだったけれど、それはいっか。姉が一人いて、彼女も一人いた。両方共死に別れ。で、死んだ後に別の彼女を作り、現在に至ると」
「重いわ」
「だろうね」
「特にクリスマスに蒸発ってのが酷いな」
「クリスマスプレゼントは暗くなった家と寝ている姉でしたってね。アハハハハ」
「笑えない……」
「まぁ笑ってないとやっていけないような状態だったから。精神的にも参ってたし」
「そう思うと、お前はかなり強い精神力を持ってるな」
「違うんだよねこれが。実際は両親が蒸発するのも親離れってものだったと思ってたし、それを指摘してくれる友人なんていなかったし、彼女は彼女で両親のことを話せる立場に無かったし、まぁ要するにそれが当たり前だと認識しちゃってたんだよね」
「何でコメンタリー的後語りでこんなに重い話にしなければならないのか、小一時間問い詰めたい」
「そう言えば結局直井はどうなったの?」
「どうなった、と言うのは?」
「最後連れて行かれたじゃん」
「まぁ連れて行かれたには行かれたが、実際僕がしたことといえば洗脳していた者達に謝ったくらいだ。殺したりしていたのは夕緒のわけだし、単独行動を許していたわけでもないし」
「勝手に行動した責任は取らないと」
「責任を取る取らないは上司部下の関係だ。僕と夕緒は親友同士であって、対等な関係だからな。それについては互いに互いがした責任があると思っている」
「まぁ夕緒は責任から逃げる為に俺に変わったんだけどね」
「そう言えば、お前はどうして雨野多々に戻れたんだ?」
「撃たれた」
「は?」
「いやだから、撃たれたの。しおりに」
「待て待て待て待て。彼女はそんなにアグレッシブな人物だったか?」
「それがそうだったらしいんだよ。隠し持っていた銃で額をバン」
「しかも狙うところが的確だ」
「ちょうど眉間の中心を撃たれて即お陀仏」
「命中率もいい」
「起きた時には、俺だったと。目の前で銃を構えているしおりを見た時は焦った焦った」
「だが死んだ程度で入れ替わるのか?」
「入れ替わんない」
「ならどうして――」
「誰が一回なんて言ったかなぁ?」
「……まさか」
「そのまさかさ! 俺が多々になるまで何度も何度も俺を殺し続けてたんだよ! こえぇよ!」
「恋人と同じ姿だというのに、そこまでやるのかあの女」
「そして14回目にして夕緒が逃走し、俺が出てきたと。強制的に起こされたね」
「ならもしかして記憶が残っていたのは……」
「夕緒が俺にしおりを説得する様にする為だな」
「あんな感動的な最後の裏にそんなことが起きていたとは」
「因みに日向君はその血の量を見て、俺に真剣な表情で彼女変えた方がいいぞって言ってきたね」
「それは言うだろ」
「股間撃ち抜いたけど」
「不憫だ」
「俺の彼女は今にも未来にもしおりしかいない。しおりだからこそ、俺はまた好きになれたんだ」
「まぁそこを否定するつもりはない。本来ならばきっとお前が恋人を作らなかっただろうと言うのは予測できるからな」
「それは良かった」
「だがだからといって、お前が股間を撃ち抜いたことは許されないな」
「それは違うよ」
「違わないからな」
「今回は短めですが、ここで終わりたいと思います」
「まぁ仕方ないことだろう。あれだけ詰め込んだ内容で、しかも伏線多数のこの第6章のコメントが少なくなってしまうのは」
「そして恥ずかしながらパソコンの破損。未だに修復されておらず、度々クラッシュする状況になっているので定期更新出来るのか危うい状況です」
「パソコンのスペックの問題ではなく、恐らくあまり知識のなかった部分にまで手を付けようとしてしまったのが原因だろう」
「ノートパソコンなのに大量のmodを入れてマインクラフトをしてたりねー」
「馬鹿だな」
「こんなところでどうでしょう。お相手は死んだ世界最強の名を持つけれどヘタレな雨野多々と!」
「死んだら新世界の神となった僕、直井文人でした」
「アスタラビスタ!」