言い訳がましいですが、ウイルスの攻撃にあいデータは全て吹き飛び、プロットも全て最初からの状態だったので全然書けませんでした。
またスランプでもあったので……。
他の小説についても、今月中に全て更新したいとは思っていますが、全ては感覚が戻ってからということでお願いします。
と言う言い訳は置いといて。ぶっちゃけます。
今回どシリアスです。
何でスランプやらウイルスやらを抜けた後にシリアス書いてんだよと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、申し訳ありません。
そしてこの話はこの次やその次に話の展開を持って行く為の話である為、かなりややこしくなってしまったと思います。
ですが安心してください。この章で全ての解説は入れる所存でございます。
ではこの、どう考えても伏線詰め込んだだけだろ感満載の小説をお楽しみいただければ幸いです。
風が靡く学校の屋上の上で、俺は一人座り込んでいた。
全てが終わる。
俺の求めていた全てがこれで終了する。
本当にこれで良かったのかとか、これが本当に俺が望んでいたものなのかとか、そう言う展開は望んでいない。
ただ俺は俺の、天乃夕緒と言う人物の痕跡を残したいと言う一心だけで動いていた。
「これも、動かされているのかねぇ」
全てを知っている者。
俺は彼女にそう問いかけることにした。
「私は見てないからわからないの。ごめんなさい」
「丁寧な言葉遣いだこと。俺には普通に話してくれていいんだぜ」
銀色の髪が風に吹かれて持ち上がり、その美しい姿を顕にする。
――雨野悠。
今回の狂言の現況であり、本性であり、全能であり、義理の姉である彼女。
彼女こそが俺の計画を狂わした――いや、元の方向へ戻した真の人物。
「そう? じゃあ久しぶり天乃夕緒君」
久しぶりと言われ久しぶりと返すかどうか迷う。
事実を述べると、俺はこの雨野悠と言う人物に初めて会う。
知っているか知っていないかと言われれば知っているし、会っているか会っていないかと言われれば会っているのだが会っていない。
なんと説明すればいいのか悩むのだが、結論から言えば雨野多々は会っているが天乃夕緒は会っていないと答えるのが正しいのだろう。
「貴方は十分に役目を果たしてくれた。この世界に置いて最も重要な役割と言ってもいい重要な役割を」
俺の存在。それは即ち雨野多々を救済する為の媒体だ。
こんなクソッタレた世界の媒体であり、存在意義でもある。
「でも君は私の思い通りに動いたというわけじゃなかった。残念だけれど、予想外ってわけじゃないんだけれどね」
わかっている。この女が想定外と認める様な存在が居るのなら、それは本当の化物だ。
恐らくそれができる可能性があるのは、この世界に雨野多々か関根しおりしかいないだろう。
言い方は古臭いかもしれないが、愛の力と言う奴だ。
「それでも君がしようとしているその行為は無駄じゃない。未来を照らす光になるだろうし、たった一つのきっかけが全てを崩壊させることだってある」
だからこそ、彼女は俺の前に現れた。
最終宣告をする様に。
これから先に起こる可能性については自分で責任を持てと。
「それでも君はそれを目指すの?」
その問いに対して、大きく息を吸った。
これは別にまだ決めていなかったとか、そんな話じゃない。
きっとそれを彼女もわかっているし、だからこそ俺に答えると言う覚悟の表示をする機会をくれた。
だからこそ俺はこの問いに、正直な気持ちをぶつけなければならない。
息を吐き、真摯な目で彼女を見つめてそして――。
「バーカ」
答えた。
自分でも驚く答えが。
「ば、ばーか?」
「そうだよバーカ。誰がお前に意思表示なんてしてやるもんか」
いや確かに思ったけれども!
「自分が言ったら何でもしてくれるとでも思ったのかよ。その大前提からして間違ってることに気がつかねぇのか?」
スラスラスラスラ。まぁ考えていたことがよく出るこって。
「俺は俺が思う道を進むし、俺は俺が思った最善を取る。その結果に何があるかなんてわかんねーから決められるわけがねぇだろ」
先に失敗することを考えて覚悟を決めるのは馬鹿だ。
だから俺は成功するから覚悟なんて要らない精神を使わせてもらう。
「俺は俺だ。あんたがどれだけ俺を雨野多々の為に作ろうとも、媒体にしようとも、俺は俺だ」
ニヤリと笑みを浮かべると、未だに驚いている雨野悠の前に移動し見下した。
「見てろ。神でも出来ない位完璧に、全員を救ってやるよ」
最初に意思表示しないとか言いつつ全力で意思表示をした自分を心の中で笑いながらそう言った。
その全貌を見た雨野悠は驚いて止まってから、だんだんと込み上げる様に笑いだした。
「さ、流石は天乃夕緒! 自分が思ってたことと考えたことが全然違った結果、思ったことでも口出しちゃったんじゃないの?」
何度でも何度でも。
大笑いをする雨野悠を見て俺は驚きと共に少し気持ちが安らいだ。
普通に笑えるんじゃないかと。
「あんたが何をしようと構わない。そうやって、笑っていてくれたらいいもんだ」
「ふふっ。それじゃあ口説き文句みたいだよ天乃夕緒。多々の体で私を口説こうだなんて、本気で落としにかかってるのかな?」
「お前が弟の体を使うと何故本気扱いするのかはともかく、要するに俺は全員救いてぇんだよ。この世界に居る奴らも、あんたも」
苦しそうな顔をしている奴らを見続けるのはもう懲り懲りなんだよ。
泣いたりとか、怒ったりとか、悔やんだりとかしているよりも、笑っていた方がいいに決まってるじゃないか。
例え道化に成り果てようとも。
「楽しみにしてるよ」
「あぁ。待っておけよ」
俺はそうやって視線を逸らす。
するといつの間にか、悠の姿は消えていた。
「……救ってみせるさ。必ず」
俺はヒーローに憧れてるんだから。
SIDE:しおり
ぼーっとしてる。
あたしは何も考えずに、ぼーっとしながら空を眺めている。
「ここにいたのか」
声をかけてきた人の方向を振り向くと、そこには直井と言う男がいた。
翌々聞いてみると、いつもタッ君に弄られていた人だと言うことに気がいたのは昔のこと。
「やーはー。何か用かい? 妖怪君」
「その時代のわかる様なギャグは置いておいて、今回は貴様に聞くことがあってきた」
真っ直ぐとした瞳は一瞬タッ君を彷彿とさせたけれども、すぐにその違いに気が付く。
澄んでいる。真っ直ぐと、その目標に到達すれば本当に全員が救われると信じて疑わない。
きっと彼は確かに酷い人生を送ってきたのかもしれないけれど、他人の為に行動することが出来る様な人生を送ってきたのだろう。
誰かの為に、誰かの為にと。
勿論その点ではタッ君も同じだけれども、タッ君は既にそれは絶対に叶わないと知ってしまっている。
その点で言えば天乃夕緒も。
「夕緒は何故僕を止めない?」
だがそのことについて、真っ直ぐで澄んでいるこの副会長が気がつかないわけがなかったんだ。
誰よりも他人を見ていたからこそ、他人の為を思っていたからこそ、彼はきっと雨野多々と天乃夕緒が全てを救おうとして失敗していることを知っている。
言い方は悪いかもしれないけれど、二番煎じだ。
かつて全てを救おうとした者達の前で、全てを救おうとしている人がいる。
自分が失敗したからやめろ。とタッ君の性格で言えるかどうか。
あれでいて難儀な性格をしているタッ君はきっと、自分が失敗した程度でそれを諦めたりしない。
自分が失敗したならば、他の人ならば成功出来るかもしれないと考えてしまう。
恐らくその部分は天乃夕緒も同じ様な考えなんだろうと思う。
「誰かを救いてくて。でも救えなくて。それでも抗いたくて。タッ君はそう言う人だからね。同じ夕緒だったらそう言う思いがあるんじゃないかな? 自分が失敗したことを、他人が成功させてくれるかもしれない。普通の人なら嫉妬しちゃうところを、雨野多々と言う存在は喜々として受け入れる」
何故ならば、それが雨野多々だからだ。
愚直で、真っ直ぐで、変態で、尚且つ実は心が弱い。
本当に色々な糸が絡み合って、タッ君の今が作られたんだと思う。
「なら夕緒が僕を止めないのは、僕が成功させてくれるかも知れないと言う希望か」
「そうだね。でも一つだけ言っておかなきゃいけないのは、そこに可能性に対する希望はあっても、君ならきっと成功できると言う感情は持っていないってことかな」
その言葉に副会長は眉を顰める。
「それはどういうことだ」
「言葉の通り。彼は君を信頼してる。でも、成功の信頼はしていない。成功しないと理解してまってる。何故ってそれは、天乃夕緒がタッ君だからだよ」
根本的にはそこ。
あたしにとって紛れもない事実であり、真実だ。
天乃夕緒が雨野多々である限り、絶対に成功に対する信頼はしない。
失敗したときの恐怖があるからだ。
最近はそれが特に強くなっている気がするけれど、きっとそれは大切な人が……照れ臭いけれどあたしと言う存在があるからだと思う。
「多分ね、副会長君の計画は失敗する。それはわかっている」
「辛辣だな。だが間違っていると言うわけじゃない。俺も心のどこかでワザと穴を開けていた節がある。結局、人間の心を捨てなければ神なんて存在にはなれないと言うわけだ」
「でも人間の心を捨てちゃえば、きっと人間を救いたいなんていう気持ちも無くなるんだろうね」
簡単な話、副会長君はここまで大掛かりなことをする必要は無かった。
ただ催眠術を使って相手の深層心理に入り込み、それを叶え続ける行為を永遠と繰り返していればいいだけ。
騙してでも、何をしてでも、その人が求める幸福を感じさせてあげればいいだけだった。
でも彼はそれをしなかった。できなかった。
たった一人、雨野多々というあたしの彼氏の存在が、それを許すことができなくなった原因だ。
幸福だとしても、それが本当の幸福かどうかはわからない。
本当の幸福を知らないかもしれない。
言い方を変えてしまえば、価値観の押し付け。
それは幸福じゃないというあたし達の勝手な価値観を、タッ君に押し付けているだけかもしれない。
「それでもいい」
「いきなりどうした?」
副会長くんが不思議がっているけれど、不思議なのは副会長君の頭の中だから大して気にしない。
話は逸れたけれど要するに、人間なんていうのは互いに価値観を押し付け合って生きているんだから。
一般的なんて言葉を使って、他人に何かを押し付ける。
例え殺人を犯したとして、それは許されないことだと思う。
でもそれは世間一般的に見ての話で、その殺人をした人にとっては喜ばしいことだったかもしれないし悲しいことだったかもしれない。
あたし達から見れば間違っている。だからそれは間違いだ。
例が悪かったかもしれないけれど、人生なんていうのはそんなもの。
だから――。
「あたしはタッ君がどんなに嫌がっても、あたしはあたしの価値観を押し付ける。副会長君がどんな方法でここにいる人間を救おうとしていても、あたしはあたしの価値観でタッ君を助ける」
「……ワガママだな」
「それでもいい。あたしはそれでも、タッ君を助けたいんだから」
思いは決まった。
後は行動するだけ。
今回のあとがき。
最近次回予告が書けないのはストックが無いからです。すみません。
また今度一斉に次回予告を入れていきたいと思うのです。
では今回の話で一つ。
ホント、何なんだろうね。
めちゃくちゃ読みにくかった人、申し訳ございません。
これでも頑張って読みやすくしたんです。してこれなんです。
ギャグないじゃんと言う方、申し訳ございません。
次回は活きの良いネタを送れるようにしたいと思います。
私事ですが、春イベの海域報酬でIowaだそうですね。
去年の秋イベから始めた丙提督の私ですが、出来れば丙でも手に入ればいいなと切に願います。
ホント、お願いしますって運営さん。
後、DMMのエロゲにも手を出し始めました。
以外と面白くて本当にありがたいです。
今年の五月初期からの艦これイベント、わかっているでしょう。えぇ。
多分小説そっちのけでやっちゃいます。
今回初めての総力戦でね、俺も頑張っちゃいたいんですよ!
今までのイベント全部バケツ50でしてたのに、今回200も集めたんですよ。
二日で加古改二にしたりとか、もう色々し過ぎちゃって困る。
あー、ヴェールヌイとにゃんにゃんしたいよー!
では次回もお楽しみに。
お願いですから私を見捨てないでください!