俺としおりんちゃんと時々おっぱい。   作:Shalck

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 題名から分かる通り、変態話です。
 変態性しか殆ど無いので飛ばしてもらっても構いません。
 第一話から次回予告を全ての回のあとがきに入れますので、ぜひ読んでください。


046 《Panty&Stockings With Kneesocks》

 やっほー皆。現在空気のあたしこと関根しおりだぜぃ!

 最初は高松君が言っていることを普通に言おうと思ってたんだけれどね。それも全部言われちゃったから仕方がないっか。

 ――でだよ?

「タッ君……じゃないよね。勿論」

「流石は多々の彼女ってことか」

 いつの間にか近くに来ていたタッ君もどきにそう告げた。

 音無君は驚いて銃を構えているけれど、この人結構前から居たかんね?

 高松君の演説の前からいたからね?

 まぁ高松君の演説がカッコよかったかって聞かれたら、あれをカッコいいと言える人がいるかはわからないんだけれどね。

 動く気配の無いタッ君もどきに、あたしは視線を移す。

 まんまタッ君。ううん。多分タッ君なんだろうね。

 中身が違うだけで。

「それでタッ君が憑依していたNPCさん。君は何故あたしの彼氏を乗っ取ってくれてるのかな?」

「うわ怖。メンヘラっぽい」

「うっさい! 意外とこれでも気にしてるんだから!」

 前にみゆきちにメンヘラみたいだねとか言われて、結構ショックだったんだからね!

 あたしだって初めての恋人だからどこら辺まででいいのかよくわからないの。

 恋人マニュアルとか無いかな?

「まぁまぁ落ち着けって。俺は天乃夕緒。漢字なんて言ったってどうせわかんねぇから別にいいけどな」

「あたしを馬鹿にするな!」

「その馬鹿の漢字は?」

「牛と鹿!」

 何とも言えない雰囲気になってしまった。あれ? あたし間違えた?

「……関根。馬と鹿な?」

「良くもあたしを騙してくれたな!」

「無かったことにすんのかよ……」

 タッ君のことにあたしのことをわかってないなんてダメなんだぞ!

 あたしのことを一番わかってるのはあたしじゃなくてタッ君なんだからね!

「それにしても、すげー演説だったわ。感動したね」

「ヘラヘラ笑ってる奴に言われても説得力無いだろうな」

 漸く調子を取り戻した音無君が挑発する。

 それを一瞬だけ見たタッ君もどきは、腰にある刀に手をかける。

 刹那――音無君の銃を持っていた右腕が肘から切り飛ばされた。

「ぐ、あぁぁぁあああああ!?」

 その叫び声で気がついた高松君と遊佐ちゃんがこっちを見てくるけれど、どう考えてもタッ君もどきはタッ君の体だから強いんだよね。

 勝てるビジョンが見えない。まぁ戦えないんだけど。

「貴方は、多々さん……?」

「違います高松さん。彼は多々さんではありません」

 目元の涙を拭いても涙声は隠せていないんだよ遊佐ちゃん。

 まったくもう可愛いなぁ。

「改めて皆さん。NPCこと天乃夕緒だ。驚いたか?」

 人を小馬鹿にしたような態度に、流石のあたしもカチンと来た。

「天乃夕緒ねぇ……。じゃあタッ君みたいに好きなのはニーソ系でコスプレエッチが大好きなのかな?」

「ぶっ!」

 タッ君もどきが吹き出したのを見て、あたしはいい笑顔をさせてもらった。

「あいつと俺はちげぇ!」

「スラリと伸びた脚」

「に纏ってる美しい白いニーソが素晴らしく輝き、その素晴らしさと言えばまるで海に輝く朝日の様……はっ!?」

「やっぱりタッ君と同じ美的センスを持っているようだね」

 因みにタッ君は黒ニーソが好きと言っているようだけれど、黒ニーソの方が興奮するだけで白ニーソの方が美しいと思っているらしい。

「黒ニーソと白ニーソを比べているなんて烏滸がましい。やはり時代は黒パンストでしょう!」

「てめぇは何もわかってねぇな。ニーソ知ってんのか? ニーソってのは、脚全てを覆ってしまうのではなく、最も味わい深さを出してくれる太ももを残してくれるんだ。そことスカートの間に感じるその絶対領域の素晴らしさが何で分かんねぇんだ?」

「貴方こそ何もわかっていませんね。黒パンストの出すあの光沢感。まるで黒真珠の様な美しさを持つそのパンストの素晴らしさを! そして何よりも、パンストはパンツの色すら変えてみせる!」

 こいつらは何を熱く語り出しているんだ?

「確かにそれを否定することは俺には難しい。だが光沢感があって何になる? あの肌の色とニーソの色を比較できる所がニーソのいいところだ! パンストは肌を全て隠してしまうが故に、肌のきめ細かさや美しさについては知ることができないだろう!」

「くっ。そこをついてくるとは流石多々さんもとい夕緒さんと言えるでしょう。だがしかし! 貴方は脱いだ時のことを考えていますか? 上着を脱ぎスカートを脱ぎ、そして――パンストだけが残ったあの瞬間。ニーソではパンツがそのまま出てきてしまいますが、パンストではパンツはそのままではないのです。つまり、脱がす楽しみがまた一つ増える!」

「しかーし! ニーソにはまだいいところがあるぜ。それは太ももだ。ニーソが締め付ける故に、太ももの部分には少しばかり押し上げられた肉が付く。そここそがニーソの境地ってもんだろう? 多々は膝枕をしていた時に感じたらしいが、そこの柔らかさと言えばまるで胸に包まれているようなんだぜ?」

 本気でこいつらの頭が心配になってきた。

 そしてあたしが止めようとした時、無言で音無君が右腕から血を流しながらタッ君もどきに近づき、胸倉を掴んだ。

「んだよ。てめぇ」

「お前なぁ……。生足の良さを知らねぇのか?」

 あ、こいつもダメだった。

「お前らはさっきから聞いてればどうやって脚を美しく見せるかばかり話してやがって。ふざけるのも大概にしろよ」

「まさか音無さん貴方はあの――生足派ですか!?」

 それに静かに頷いて笑みを浮かべる音無君。いや、笑み浮かべてんじゃねぇよ。

「生足。それは人の生まれ持った一部を隠さずに見せているってことだ。要は自ら自分の体を晒しているんだ。パンストやニーソと言ったもので隠さず、あるがままの姿を見せてるんだぜ? ここに興奮せずに何処で興奮するってんだよ」

「胸」

「やはりお尻ですかね」

「そこもいいと思う。否定はしない。と言うよりも俺レベルになってくればどの部分でも興奮することはできるだろう。爪先から項まで全てだ」

 それは誇ることではないと思う。

 キモイ、キモイよ音無君。

 貴方はそんな人だったの?

「いいか? それでも考えるんだ。顔は出さなければ見えないし食べれないし聞けない。手は出さないと作業することが出来ない。でも――脚は出さなくてもいいんだぜ?」

 衝撃が走ったかのように二人が動きを止めていた。

「脚。即ち出さなくていい部分を出すというのは、露出と言う一つの概念に触れているってことだ。例えばスカートを捲り上げた瞬間、興奮するだろう? その時に感じる興奮は、普段見えない部分が見えたからこその良さだ。普段ズボンで隠れているはずの生足を、パンストやニーソで隠してしまっては結局見えないことと大差ない。確かにパンストから薄く見える肌色や、ニーソによって絶対領域となった太ももが素晴らしいのもわかる。だがそれは全て、生足があるからなんだ」

「確かに……。俺達は脚をどれだけ美しく見せるかを考えすぎていて、素材そのものの良さについて語っていなかったな。素材があるからこそ、引き立つんだ。その素材を蔑ろにするなんて俺らしくもない」

「私も間違っていました。至高がパンストと言う私の気持ちは揺らぎませんが、それでも生足を蔑ろにしていたことは恥ずべきことです」

 いや今のお前達の存在が恥ずべきことだよと告げたいけれど、天使ちゃんがあたしの肩に手を置いて首を振っていた。

 彼らはもう手遅れらしい。

「だがニーソもパンストも同時に素晴らしいものなんだ。ニーソにはニーソの、パンストにはパンストの良さがある。野球とサッカーを比べても意味がないように、ニーソとパンストを比べるなんて意味がない。それぞれに良さがあるんだ」

「「それぞれの、良さ……」」

「例えばニーソの良さと言えば、その長さにあるだろう。あの太ももまでの長さであれば、それは要するに靴下の延長線上としてみることができる。それでいてあの滑らかな生地、そしてその生地の色。その上に存在する肌色と、少し盛り上がった太ももの柔らかさは素晴らしいと言う他ない。絶対領域と言う名前があるように、そのスカートとニーソの間には未知の快感を感じることができるだろう」

 しかし何故だろう? あたしとしても納得できるものがある。

 ニーソって結局靴下の延長線上みたいな感覚だ。

「そしてパンスト。これはどちらかと言えばズボン等の延長線上とも言える。その最たる部分は、繋がっていることだ。ニーソの様に二つ別々ではなく、二つが繋がって一つになっている。それでいてニーソの様になめらかだがそれでいて薄い生地。それによって肌色が透けて見えると言う、透けることに対する欲情を煽っている。更に下着の色が、パンツの色が変わる。これは要するに、普段とは違う姿を見ることができたと言う満足感にも繋がっているんだ」

 まぁパンストもズボンの延長線上ってところには少し共感出来るかも知れない。

「だがここで、お前達に問いたいんだ。お前達は履いているのが好きなのか? 脱ぐのが好きなのか?」

「確かに。俺は履いていることで考えていたけど、脱いでることも想像して考えられるな」

「私はむしろ脱ぐところに本命を置いていましたけれど」

「そう。そこでも別れる。履いているニーソ、履いているパンスト、脱いでいるニーソ、脱いでいるパンストだ。履いているについてはさっき説明したけれど、脱いでいるとなるとまた別の見方ができる」

 いつの間にか遊佐ちゃんもあたしの隣に来ていた。

「脱いでいるニーソの良さと言えば、それは勿論少し先に伸びてしまった部分と言えるだろう。脱ぎ方にもよるが、先っぽから引っ張って脱ぐ人の場合それが見られる。太ももから脱ぐ人の場合は、指をかけた瞬間に圧迫されより密度を増す太ももだ。そしてここが一番のポイント。それは、片方だけ脱ぐことができると言う点にある」

「「片方だけ……脱ぐ!?」

「そう。片方だけ脱ぎ、もう片方だけ履いている。こう言った状況も作り出すというのが、ニーソの素晴らしいところでもある。要するに、一目で二回分お得なんだ! 更に半分だけと言うのにもそそられるものがある。これは下乳や上乳文化にも通じるものがあるんだけれどな」

 そんな文化はすぐにでも滅びろ。

 べ、別にあたしが出来ないからじゃないし。

 天使ちゃんも自分の胸を押さえちゃったし。

「そして脱いでいるパンスト。これは人によるかもしれないけれど、靴を脱いだ瞬間から始まっている。パンストの場合は顕著なのだけど、蒸れだ。この蒸れた時の臭いに非常に興奮する。舐めたい。ペロペロしたい。そうなってしまうのも当然と言える」

 当然じゃねぇよ。あたしもうパンスト履きたくなくなってきちゃったよ。

「そして脱ぐ時。ここがポイント。パンストの場合は、パンツの所までかかっていると言うことだ。つまりそこから下ろすと言うことは、スカートが捲れ上がると言う非常に見所あるポイントがあるということにほかならない。見えそうで見えないそこに萌える。そしてそこから現れるのは、汗により少し瑞々しさを増した脚だ。それはもう煌き、まるで美しい海面を見ているかのように思えるだろう」

 正直もうこの人に関わりたくなかった。

 ってか三人が少ししんみりし始めてる。なにこれ。なんの状況?

 あたしはどうすればいいんだぁぁぁあああああ!?

 そんな瞬間、あたし達の救いの天使が舞い降りた。

「貴方達無事!?」

 急いで入ってきたゆりっぺさん、日向君、椎名さん、藤巻君に、あたしは心から感謝した。

 




次回予告
「関根さん。彼は多々君に憑依しているNPCで、その多々君とは別人と捉えていいのかしら?」
「あたしの彼氏はサイキョーだからね」
「剣舞部主将【天乃夕緒】、推して参る!」
「なら行くよ。だからこれ以上の戦闘をしないで」
「すげぇ。すげーよ。正解正解大正解。むしろよく正解したなと思うくらい完璧な正答だね。だったら、俺が言うことも分かってんだろ?」
「忘れてなかったんだね。良かった」

「もう。たー君は相変わらずだなぁ」
第47話《Remember》

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