俺としおりんちゃんと時々おっぱい。   作:Shalck

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 割と今回色々なことがわかります。
 多々君のことですけどね。
 評価バーが赤く染まっているのを見た時、私は二度見してから反復横跳びをしました。
 まっちゃ。さん、おでんの昆布は無理さん、海神不知火さん、Llycorisさん、さややんさん、評価ありがとうございます。
 これからも頑張ります。


023 《Guild》

「高松君報告をお願い」

「はい。武器庫からの報告によると、弾薬の備蓄がそろそろ尽きるそうです。次一戦交える前には補充しておく必要があります」

「なる程。つまりオナ禁的な?」

 俺の顔面にゆりっぺが投げたスリッパが直撃した。

 と言うか何故校長室にスリッパ……。

「新入りも入ったことだし、新しい銃も要るんじゃないの?」

「そうね。わかったわ。本日の作戦はギルド降下作戦をしましょう」

 降下作戦と聞いた音無君がブルリと震えていた。

 この子やっぱり反応が面白いなぁ。

「高度1万メートルからの降下だぜ? きっと落ちたらペシャンコに――」

「空からじゃなくてここから地下に降下するのよ」

 ネタバレをされてしまった。なんでぇ、つまらねぇの。

「なんだ地下か……って地下ぁ!?」

「ナイスノリツッコミ! 自分で自分にツッコミするなんてやっぱり音無君はいい人材だよ!」

「お前はツッコミのことしか考えてねぇのかよ! もっと音無単体で評価してやれよ!」

「イケメン死ね!」

「世界一のイケメンとかほざいてる奴はどこのどいつだ!」

 日向君が変なことを言ってくる。

 全く俺の場合は自分でネタ的に使っているだけだけど、音無君はガチのイケメンじゃないですか。

 まぁそんなこと言ったらこの戦線にいる人達実は殆どイケメンに近い部類に入るんですけどね。アホ以外。

 あ、全員いないくなった。じゃあ日向君位でいいや。

「私達がギルドと呼んでいる、地下深くよ。そこでは仲間達が武器を作っているの」

「せんせー。俺もギルドの説明を初めて聞きましたー」

 ゆりちゃんはチラリとこっちを見たけれどすぐに顔を逸らした。

 あれや。前にギルドの説明を求めたらスルーされたことを思い出して、ネタでもスルーするんじゃなかったと思っている顔や。

 なんでこんなに細かくわかるかって? そりゃ女の子の思考回路なんて分かるに決まってるじゃないか。

「多々君。今回は貴方の頼んでいたものもあるから、ここにいるメンバーと陽動作戦の要である貴方で行くわ。ガルデモのメンバーには伝えておいて」

「夜ならいいよ。まぁ今日はパジャマパーティは中止かぁ」

 残念だなぁ。ひさ子ちゃんのおっぱいは実はFカップじゃなくてGカップになるんじゃないかって言う話題で持ちきりだったから、その話の続きもしたかったんだけど。

 でもオペレーションなら仕方ないね。

「ギルドとの連絡は取れたわ。行くわよ」

 

 

 

 ギルドの入口である体育館の椅子をしまう場所に侵入すると、俺はそのまま階段を下がって地面に降り立った。

 ここがギルドへの道かぁ。

「おっきくて長いなぁ……」

 全員降りてきたのを確認すると、藤巻君が声を発した。

「おい、誰かいるぜ」

 明かりを向けてみるとそこには――ッ!?

「うわー。馬鹿がいた」

 野田君こと馬鹿がいた。この際アホでも可。

「音無とか言ったか。俺はお前をまだ認めていない」

 取り敢えずどうにかして止めようかな? ……ん?

「わざわざこんなところで待ち構えている意味が分かんないよな?」

「野田君はシチュエーションを重要視するみたいだね」

「意味不明ね」

 日向君と大山君の話に同上して、ゆりちゃんも野田君の馬鹿さに呆れていた。

「別に認められたくもない」

「貴様。今度は千回死なせて――」

「動かない方がいいと思うよ。もう遅いけど」

 俺の方を一瞥した瞬間、野田君の体は宙を舞った。

 でっかいハンマーが野田君を横から叩き、壁に叩きつけるとそのまま壁を破壊して生き埋めにした。

「臨戦態勢!」

「トラップが解除されてねぇのか! つかどうやってわかったんだよ多々!」

「いやね? どう考えても何かあるのに普通に踏んでいったからさ」

 本来解除されているはずなのね。なる程なる程。

「つまり解除しておくという会話を聞いておらず、普通にあると思ったから危ないと言ったわけね?」

「その考えであってる」

 俺はそれを聞いてから、FiveSevenを構えて地面に触れる。

 音は無い。

「大丈夫そうだね。でも解除されてないってことは――」

「えぇ。トラップを解除できない理由があった。そしてこのトラップは対天使用の即死トラップ。つまり――」

「天使ちゃんがこの中に現れたって考えてオッケー?」

 初めて行くギルドがこんなことになるなんて、最悪だなぁ。

 と言うか割と音無君って疫病神的なポジションだったりする?

「進軍しましょう。トラップも結局は足止めにしかならない。ギルドが陥落すればその場で終わりよ」

 天使を、倒すしかないのだ。

 だったらやるのは俺が一番だろう。

「大丈夫。天使ちゃんの相手は俺がするよ。実は俺しか天使ちゃんに勝ててないしね」

「……そうね。貴方なら天使を倒すことも出来るかもしれないわね」

「そゆこと」

 ゆりちゃんならいの一番に倒すって言いそうだけれど、女の子に戦わせるのはあまり好きじゃない。

 それにその相手が天使ちゃんだとしたら、それこそゆりちゃんを危険な目に合わせるのは嫌だからね。

「なーに。安心してって」

 俺が笑いかけると、ゆりちゃんはそうねと答えて歩き始めた。

 ギルドと言う場所は結構深いらしく、現在はB3まで歩いている。

 それでも全然まだだというから、結構面倒そうだ。

 ふと、地面を触れた。

 振動が伝わってくる。

「ねぇ日向君」

「なんだ?」

「落石トラップとかってある?」

「勿論」

 その答えが返ってきた瞬間、俺は逃げろと叫んで走り出した。

 この勾配に落石トラップ!

 どこぞやのインディに出てくるような、上から丸い石が落ちてくる系の奴だ!

「多々の言う通りだ! マズイ来るそ!」

 椎名ちゃんの叫びと共に一斉に走り出すけれど、落ちてきたのは鉄球だった。

 あーあ。石なら銃弾でなんとかと思ったけれどあれは無理だな。

「こっちだ!」

 いつの間にか抜かされていた俺は椎名ちゃんのいるところまで来ると、高松君と日向君と音無君が結構ギリギリだと言うことに気がついた。

 俺は音無君と日向君が横に逸れたのを確認し、高松君の腕を掴むと引きずり込む。

 その時にギリギリだったので鉄球に対して蹴りで僅かに軌道を逸らすと、その一瞬で抜け切った高松君がはぁはぁと大きく息を吐きながら倒れていた。

 日向君と音無君も無事みたいだ。

「いっつ!」

 立ち上がろうとした瞬間、右足に激痛が走る。

 蹴りを入れた右足がどうやらポッキリと逝ってしまったらしい。

「……すみません。私のせいで」

「いいよいいよ」

 でもまいったなぁ。これじゃあお荷物になっちゃう。

 天使ちゃんとも戦えないかなぁ。

「大丈夫かしら?」

「右足以外はオールオーケー! 右足はデッドエンドですね」

「……なら高松君と松下君で多々君を支えてあげて。ここで多々君を見捨てていくのは得策ではないわ」

 支えてもらいながら下へ下へと降りていく。

「何故、あそこで助けたのですか? いつもの外道と呼ばれている貴方なら見捨てると思ったのですが」

 何故助けたのか……か。

 正直に言えば元々助けるつもりじゃなかったんだけど、それはいつもの俺の気がして嫌だった。

 今の俺が俺であることを証明できるのは、しおりとの愛だけだ。

 でも人を助けることができるのなら、俺が俺である気がしたんだ。

「ちょっと心境の変化があったからかな」

 俺が人間だと認める為に。

 自分で自分を認める為にも必要なことなんだ。

「誰も死なせたくないんだ」

 まぁ野田君は尊い犠牲となったけれど、あれは自業自得だからしょうがない。

 暗い近未来的な通路に入ると、閉じ込められた。

「しまった、忘れてたよ! ここは閉じ込められるトラップだった!」

「そんな大事なこと忘れるなよ!」

 音無君ナイスツッコミ。

 だと思ったら唐突に電気がついた。

「ここからヤバイのが来るわよ。しゃがんで!」

 と言われましてもしゃがめないのですと思っていたら、高松君が俺の体を寝かす様にして避けさせてくれた。

「なんだ?」

 そう音無君が言うのと同時に、椎名ちゃんがけむり玉を投げて煙が部屋に充満する。

 そこにあったのは、赤いレーザーだった。

「当たるとどうなるのあれ?」

「最高の切れ味で胴体を真っ二つにしてくれるぜ」

 俺はそれを聞いてすぐにFiveSevenを構えると、レーザーを出している機械を撃ち抜いた。

「最強の武器には最大の弱点があるって教わらなかった?」

「流石は多々だぜ!」

 藤巻君が俺を褒めながらロックを解除していく。

 レーザーがでなければどうってことないらしい。

「開いたぞ!」

 全員でそこから抜け出すと、俺は高松君と松下君に支えられながら外に出た。

「助かったぞ多々。俺の体では避けることは出来なかっただろうからな」

 松下君にお礼を言われつつ、次に向けてひたすら歩き続ける。

 くぼんでいるところに来たけれど、俺は足がかけられなくて降りれないからあとでジャンプする方針になった。

「トラップが発動してるわ!」

「しまった忘れてたよ! ここは天上が落ちてくるトラップだった――ッ!」

「だからそんな大事なこと忘れるなよ!」

 下がっていく天上を見て、俺はマズイと判断してどうやってくぐり抜ければいいのかを考える。

「――そらァ!」

 FiveSevenを天上に見えている歯車にぶつけると、巻き込まれていって歯車が止まった。

 その間にくぐり抜けていったメンバーを見ていって良かったと思いつつ、ちょうど俺が通れないことに気が付く。

 一体どうしよう?

「HEY! You use!」

 そう言って僅かな隙間からFNブローニング・ハイパワーを投げてきてくれたTKに感謝しながら、俺は鎖を撃ち抜いて破壊した。

 すると落ちた天上を歩いてきてくれた松下君と高松君に連れられて皆のいる場所に行くことができた。

「ごめん。拳銃壊しちゃた。はいこれTK」

 TKにFNブローニング・ハイパワーを返してから、俺はヘラリと笑う。

「損失を考えれば、貴方の行動は素晴らしわ。やはり貴方は只者じゃなかったのね」

「それはもう。だって俺は――」

「しおりの彼氏だから、かしら?」

「言葉取らないでよもー」

 クスクスと笑ったゆりちゃんに俺は、何か危ない物を感じた。

「次に進むわよ」

 歩いていると開けたスペースに出た。

 通路……だけど何か違う。

 この置き方ってまさか――ッ!

「すぐに戻れッ!」

 俺の声を聞けたのは高松君と松下君、そしてTKと大山君だった。

 すぐに戻った俺はすかさず日向君と藤巻君に向けて手を伸ばすと、二人の腕を掴む。

「ぐ、ガァ!?」

 二人を支える為に踏ん張ったせいで、右足に負担が掛かって激痛が走った。

「おい多々! 俺達のことはいいから落とせ!」

「別に死ぬわけじゃない! だから!」

「い、やだ」

 俺は激痛に耐え、松下君と高松君がそれに気がついて支えてくれても二人を離さない。

「俺は俺であることを証明するんだ。だからッ!」

 力を込めて二人をギリギリまで引き上げると、あとは松下君と高松君が拾い上げてくれた。

「俺は誰も、死なせないッ!」

 目の前で死んで欲しくないと言う一心で引き上げると、俺は冷や汗と普通の汗が入り混じっている顔で笑いかけた。

「因みに俺以外の要因で死なすのは嫌だけれど、俺が原因で殺すのは問題ない」

『悪魔か!』

 つまり死ぬなら俺に殺されろ理論である。

 ドラクエで言う、HPが1しかないなら俺の一撃で死んで経験値くれと言う状態である。

「大丈夫かしら!?」

「オー大丈夫。因みに音無君には後でさっきゆりちゃんの体に顔を埋めていた時の感想を聞きたいな」

「非常事態だったんだ!」

 とはいえ上がる為に胸に顔を埋めていたのは文句が言えないだろう。

 どう考えてもギルティである。

「そこからこっちに来れるかしら?」

「まぁ行けると思うけど、道的には向こう側まで行けないんでしょ? 椎名ちゃんロープはまだある?」

「あぁ」

「ならそのロープを使って結んで、それで移動しよう」

「わかった」

 ロープを道まで繋ぎつつ、俺は自分の右足の痛みが和らいできているのに気がついた。

 そろそろ体も元通りってところかな。

「じゃあ進軍しましょう。天使が来る前に、ギルドに行く必要があるわ」

「そうだね」

 俺達はロープを伝いながら、道を進んでいった。

 




次回予告
「良くもまぁ全員生き残ってるわね」
「待てよ。一人で行くつもりか?」
「漸く会えたね、子猫ちゃん」
「へへへっ。中々いい趣味してんじゃん」
「少し疲れちまった。ちょっと一人にしてくれないか?」
「気がついちゃいましたか」
「世界はやっぱり美しい」

「タッ君。貴方は誰? 一体何を考えて、何をしようとしてるの?」
第24話《Moving Monster》

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