俺としおりんちゃんと時々おっぱい。   作:Shalck

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 いえい! 二話目だぜブイブイ。


002 《Girls Band》

 俺はしおりんちゃんとみゆきちちゃんと一緒にガルデモのメンバーがいる場所へとてくてく歩いていた。

「いやぁ、戦線のリーダーって言うからにはもっと厳つい人かと思った」

「実際はどうだった?」

「普通の胸の大きさで何も言えねぇ。ちなみに俺は巨乳好きだけど、しおりんちゃんとみゆきちちゃんみたいなちっちゃくないけど大きくもなくて、やや小さいタイプの胸も――」

 俺の言葉はそこまでだった。

 高速の拳が俺の心臓の辺りに直撃し、俺は一瞬動きを止める。

「ハートブレイクショット。完成したね」

「お主……やりおるな……」

 倒れた俺を見てドヤ顔しているしおりんちゃんぐうかわ。

 ちなみにパンツは黄色でした。ははっ。俺を倒した方が悪い。

「しおりん、パンツ見られてるよ?」

「はわっ!?」

 顔を真っ赤にして俺を睨みつけてきたので、俺は何のことかなと話題を逸らした。

 ついでに顔も逸らした。

 だって多分俺の顔も赤いもん。

「……二人共下ネタ言うのにそう言うのに関して初心だよね」

 みゆきちちゃんの心が胸に突き刺さる。

 お、俺は別に初心なんかじゃねーし?

 経験豊富なチェリー様だし?

 あ、チェリーの時点でアウトだわ。

「うー!」

「やーいやーい。この処女ビッチ!」

「黙れ経験豊富に見せかけてるヘタレ童貞」

 互いに心にグサリと刺さったのでこの話はやめることにした。

 この世界には……知らなくていいことと知ったほうがいいことがある。これは前者。

「と言う訳でガルデモのマネージャーになった超絶イケメンの多々君です」

「ガルデモのメンバーのしおりんです」

「岩沢まさみだ。よろしく」

「えっと……みゆきちです?」

 全員で巨乳ちゃんを見た。

 FカップですよFカップ。夢以外に何が詰まってるんすかね?

「な、何で全員であたしの方を見るんだよ……」

「いや別に。きっと名前はムネ・デケーナさんかと思って」

 コークスクリューブローですねわかります。

 でもそんな攻撃を俺の腹に真正面から堂々とぶち込まないで欲しかったなぁ……!

「この世界は歪んでいる……!」

「見つけたぞ! 世界の歪みを!」

「俺が――」

「俺達が――」

「「ガンダムだァ!」」

 しおりんちゃんと一緒に叫んだら思い切りムネ・デケーナさんに殴り飛ばされました。

 相変わらずこの世界の女の子の格闘技の技術は常識を逸脱しておりますのです。

「と言うか世界の歪みを見つけたのに何でお前達がガンダム名乗ってんだよ」

「つい乗りでやっちゃった。しおりんちゃんが悪い」

「MSに乗ってた記憶があるタッ君が悪い」

 いつの間に俺の記憶を覗き込んだんだろうか?

 ふっ。よくぞ気づいたな。俺こそがあのMSのパイロット――。

「戦場の絆でもしてたんじゃねぇの?」

「あっはい」

 簡単にネタバレされちゃってつまんねーの。

 でも戦場の絆は面白いと思う。異論は認める。

「と言うかどうして知ってるの? 俺が戦場の絆知ってるって」

「いやだってタッ君でしょ?」

 なる程。それで判断できるレベルに俺としおりんちゃんの仲は良くなっていると。

「取り敢えず、アンタは何が出来るんだ?」

「料理、掃除、洗濯かな」

「女子力高いな」

 結局名前を聞き忘れたので本当にムネ・デケーナさんでいい気がしてきた。

「それほどでも。趣味は裁縫」

「タッ君本当に男の子?」

 はははっ。何を言ってるんだ今更。

 俺は男に決まってるだろう?

「ち○こ付いてるけど見る?」

 ハートブレイクショットで動きを止めた隙に肝臓打ち、更にそこからのガゼルパンチでフィニッシュだと?

 思い切り吹き飛んだ俺は壁にぶつかって倒れた。

 へへへっ……いい人生だったぜ……。

「まぁ死なないけど?」

「知ってるけど?」

 しおりんちゃんのアグレッシブなパンチでも俺は今日も元気です。

 取り敢えず動く度に胸が揺れる、ムネ・デケーナさんの本名を知りたい今日この頃。

「ムネ・デケーナさんの本名は何?」

「ひさ子だッ!」

 渾身の右ストレート!

 名前と共にいい具合に体重を乗せたパンチが俺の腹に直撃し、そろそろ胃がやばくなって来そうな気がしてまいりました。

「我が生涯に一片の悔いなし……!」

「ラオウか。今度歌詞に取り入れてみよう」

「やめてぇ! 超やめてぇ!」

 歌の途中で我が生涯に一片の悔いなしとか言われたらもうどうすればいいのか分かんなくなっちゃうから。と言うか今まで喋ってないと思ったらいきなり何言い出してるのこの人。

「あぁ。岩沢は音楽キチなんだ」

「おけ把握」

 音楽の話題を振ったら帰れなくなってしまうと。

 ならば俺は絶対にその地雷を踏まないようにしなければならない。

 取り敢えず、みゆきちちゃんに話しかけよう。

「みゆきちちゃんはドラム何だよね?」

「そうだよ?」

「疲れない?」

 だけどみゆきちちゃんははにかんで大丈夫だよと答えてくれた。

 今日も今日とてみゆきちちゃんは天使なようです。良かった良かった。

 まぁ出会って一日目ですけどね。

 出会って3秒で合体なんてあるくらいだし、出会って一日目で仲良しだってあり得るでしょ。

「取り敢えず今日はもう遅いし、夜飯行こうぜ」

「おっと金がない。仕方ない。そこら辺を歩いている教師の金玉蹴ってお金貰うか」

「何それ怖い」

 ひさ子ちゃんに怖がられてしまった。

 と言うか君はその威力を知らないはずなのに何で怖がるの?

 男なの? 実は男だったりするの?

「その胸は飾りかぁ!」

「フンッ!」

 再びの右ストレート。

 だが案ずるな俺。その攻撃は既に見切ったはずだ!

「ゴフッ」

 見きれなかったよ……。まぁ実際どうしよう?

「ここの飯って食堂で食券買わないといけないんでしょ? 俺お金無いし、強奪するか土下座するしかないなぁ……」

「何でそんなに極端な選択肢しか無いんだよ」

「と言いつつも持っている食券を探してくれているひさ子ちゃんぐうかわ。結婚したい」

「するか馬鹿」

 冷たくフラれて悲しい俺の肩に、しおりんちゃんがそっと右手を置いてきてくれた。

 俺はその暖かさに涙を拭いながら顔を上げる。

「ざまぁwwwww」

「今の俺は聖戦も辞さない」

 ウラーぶっ殺してやろうかコラー!

 とか何とか叫んだらもう食券やるから黙れと言われて醤油ラーメンの食券を渡された。

 なる程。この短時間で俺の好みを知り尽くすとは、流石はFカップと言っておこう。

「醤油ラーメンで良かったか?」

「俺の好物の一つです。ちなみに次点で塩ラーメン」

 ラーメンなら全部好物だから味はどーでもいいんだけどねと思いつつも、音楽キチもといまさみちゃんの方を見る。

「まさみちゃん」

「ん? 私か?」

 どうやらまさみちゃんと呼ばれたことは殆どないらしい。

 もしかして俺が初めての男!?

「ひさ子ちゃんがまさみちゃんに次の曲について話があるんだって」

「ちょっ――」

 取り敢えず生贄に放置してみると、まさみちゃんがズンズンとひさ子ちゃんに近づいていった。

 近いからか顔を真っ赤にしているひさ子ちゃんと、音楽の話で興奮しているまさみちゃんの絡みはどう考えてもまさみちゃんが発情してひさ子ちゃんに襲いかかっている様にしか見えません。本当にありがとうございます。

「タッ君って割と策士?」

「馬鹿な。俺にそんな才能が眠っていただなんて……」

 俺は戦慄しながら自分の両手を見て、それはねーわと確信してやめた。

 人類は皆平等なのである。

「神は世界を平等に定めたのに、あの迫っているまさみちゃんとひさ子ちゃんの間には差が空いてしまっている……」

「胸の差だよ!」

 とんでもない補足説明を入れてくれたせいで、まさみちゃんが俺の肩をグーで殴ってきた。

 痛いよ。肩パンしてくる人初めて見たよ。しかも無言で。

「なんかごめんタッ君」

「気にしなくていいよ。それよりみゆきちちゃんは何を食べるの?」

「えっと……余ってるのが醤油ラーメンしか無くて……。食べれるかなぁ?」

「大丈夫。残したら俺が食べてあげる」

「ありがとう……?」

 これで合法的に美少女と間接キスが出来るぜと思ったのだが、その思想はすぐにしおりんちゃんの食券トレードによって無くなった。

 ちっ余計なことしやがって。

「いつからあたしがタッ君に優しくしていると錯覚していた……?」

「な、何だと……?」

 衝撃的カミングアウト!

 ってわけでも無いしそりゃねーわの一言で終了。案外つまらないことでした。

 そうやって話している間にたどり着いた食堂で食券を渡すと、叔母ちゃんが俺のラーメンを出してくれた。

 ありがたやありがたやとお祈りをしながらその食器を持ってガルデモメンバーと一緒に座る。

「ははは。俺のハーレム! ――すいませんもう言わないんで無言で席変えるのやめてください」

 俺のハートがブレイクされてしまったので、俺は静かにラーメンを啜ることにした。

 ラーメンか……。昔あいつと一緒に食べに行ったっけ?

 あいつと食べたラーメンは美味しかったなぁ。

 なのに何であんなことに……。

 ドンドン心が欝になっていくのを見かねたのか、しおりんちゃんが話しかけてきた。

「そう言えばタッ君の部屋ってどこ?」

「ん? 何か書いてあるのは女子寮の近くの部屋だから遊びに行くわ」

「――ちょっと待て雨野」

 ひさ子ちゃんに止められたので、俺は不思議でキョトンと首を傾げてみる。

「雨野お前普通に女子寮に行くとか言ってるけれど、女子寮は男子禁制で立ち入り禁止だぞ?」

「うん知ってる」

 だから破るんじゃないか。やだなぁひさ子ちゃん。

 だってこの世界では普通に規則守ってたら消えちゃうんでしょう?

「だから規則を破るんだよ! 俺は消えたくないからね」

「言い訳乙。正直に言いなさい」

「女の子の部屋に行きたい」

 純粋な好奇心とかそう言うのじゃなくて、男子でむさくるしい部屋にいるよりも女の子のいる部屋の方が清潔感あっていいじゃないですか。

「どーせタッ君は手を出したり出来ないもんねー」

「多分……出来ないと思う」

 ぐっさー! 何気に一番俺の心を破壊しているのはみゆきちちゃんだと思う今日この頃。

 何故彼女は的確に俺の心を破壊しにかかるのか問い詰めたい所ですが、そんなことしたら小動物を愛でるこの感覚が無くなってしまうので却下。

 みゆきちちゃんは今のまま天使でいてください。

「じゃあ今日俺しおりんちゃんの部屋行くから」

「え、えぇ!? ほ、本気で来るつもりなの?」

「別にいいでしょ? 減るもんじゃないし」

 で、でもとぐずり始めるしおりんちゃんぐうかわ。

 顔を少し赤くしながら俯く姿は女の子の中でもトップ3に入る可愛さだと思います。

 ちなみに1位は涙目。異論は認めぬ。

「し、しおりんと私は同じ部屋なんだけど……」

「じゃあみゆきちちゃんも一緒にお話できるね。パジャマパーティしようよパジャマパーティ!」

 そんなことを言っているとひさ子ちゃんに思い切り横から殴られた。

 うぷっ。ラーメンが口から出てきそう。

「あ、悪い。つい手が出ちまった」

「い、いいのいいの。ちなみにトイレどこ?」

 指さされた咆哮に横っ腹を摩りながらレッツゴー!

 目指すは大便器! そしてそこで思いっきりこう言うのさ!

「おえぇぇぇえええええ」

 この学校に来て最初のご飯は口からリバースさせられてしまいました。

 





 小さければ夢を与え、大きければ夢が詰まっている男のオアシス。

しおりん
 パンツは黄色でした。ちなみに脳内変換。

初心な二人
 二人はピュアピュア! マックスハート!

俺が、俺達が、ガンダムだァ!
 正直意味わからん。

ムネ・デケーナ
 通称ひさ子。

戦場の絆
 名作。

音楽キチ
 通称岩沢さん

恐喝
「おいアンタ金だせよ。金だせねぇなら金玉ぶち抜くぞこらぁ」
 ちなみに主人公の必殺技。

ラーメン
 心のオアシス。口からリバース。



次回予告
「何というか……普通に入ってきたね」
「紫外線嫌いです。お肌が荒れちゃう」
「俺にずっとこの部屋にいてほしいなんて、可愛いなぁ」
「勿論! 取り敢えずひさ子ちゃんに飲ませてあのFカップを揉みたい」
「酷いイジメを見た。これは青少年支援センターに連絡を入れるしかない」
「お前そう言う言葉平気で言うんだな」
「多分だけど、タッ君の死因って実は大したことないんじゃないかな?」

「じゃあガールズトークしようよガールズトーク。皆好きな人いる?」
第3話《Pajamas Party》

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