こん低レベルな内容の小説をお気に入り並びに評価していただきありがとうございます。お気に入りも300を超えました。
ryonさん評価ありがとうございます。
これからも皆様に評価とお気に入りと感想をいただけるよう、処女童貞気分で頑張ります! ※初心に帰ったつもりで頑張るの訳。
因みにこれを投稿する日は24日でクリスマスイブなのですが、皆様はどなたとお過ごしでしょうか?
きっと彼女と過ごしているのでしょう。
では最後に一言。リア充なんて大っ嫌いだ!←なんでこの作品書いてんだよこいつ。
018 《Departure》
――目を開いた。
広がっているのは闇夜の空。
外に寝ていたかと考えるが、何も思い出せない。
「ここは……どこだ……?」
一応言葉を発してみたが、返答はない。
一体ここはどこなのだろう?
「何も思い出せない」
周りを見回してみたが、記憶に該当するものがない。
と言うよりもそもそも、記憶自体が無い。
「目が覚めた?」
返ってくるはずがないと思っていた返事が返ってきた。
驚いて体を起こすと、そこには銃――確か狙撃銃ってものに分類されたはず――のものを構えている少女がいた。
「あんた――」
誰だと問いかけようとした時だった。
「ようこそ。死んでたまるか戦線へ」
月が雲で隠れていく中、そう告げた少女は真っ直ぐにスコープを覗き込んでいた。
「唐突だけど、貴方入隊してくれないかしら?」
その意味を問おうとした矢先にそう言われた。
「は? 入隊?」
「ここにいるってことは、貴方死んだのよ」
「……はぁ?」
言っている意味がわからなかった。この少女は何を言っているのだろうと。
「神様転生ってわかる? と言うかそういう小説読んだことはあるかしら?」
「まぁ……」
「なら話は早いわ。ここはその神様転生が行われる広い空間の所の様なものよ。貴方は死んだ。そしてここに来た」
何とも分かりやすいようなわかりにくいような例えをされてしまったが、要はこの女は俺にここが死んだ後の世界だと告げたいのだろう。
「ここは死んだ後の世界。何もしなければ消されるわよ」
消されると言う言葉に、俺は過敏に反応した。
既に記憶が存在しない俺にとって、何もしなければ消されると言う言葉はある意味この記憶が消えている原因かもしれないと思えることだったからだ。
「消されるって、誰に……」
「そりゃ神様でしょうね。こんな死後の世界を作り上げて、勝手に消すことができるのはそのくらいしか思い浮かばないもの」
俺の記憶は神に消された……か。
と言うかそもそも俺は自分が死んでいることさえも認めてはいないんだが。
「じゃあ入隊ってのは何?」
「死んでたまるか戦線によ。まぁ部隊名はよく変わるわ。最初は死んだ世界戦線。でも死んだ世界戦線って自分が死んでることを認めたことになるんじゃね? と言うことにより破棄。以降変成を続けてるわ」
まぁ部隊名が変わるってことはよくあることじゃないのか?
「今は死んでたまるか戦線。その前は生きた心地がしない戦線。ま完全にネタだったから一日で変わったけど。ちなみに更にその前は俺のハーレム戦線。名付けた奴は捕まってるわ」
俺のハーレム発言するような奴がいることはわかった。
てか捕まってるってオイ……。
「えーっと……それって本物の銃?」
取り敢えず話を逸らすことにした。
決して捕まった奴の話が気になるけれど聞いたらヤバイ気がするから避けたわけじゃない。
「はぁ。ここに来た奴は大抵そういう反応をするのよね。順応性を高めなさい。あるがままを受け止めるの」
「受け止めて……どうすればいいんだよ」
「戦うのよ」
「何と」
「あれよ」
結局この女に流されている気はするが、俺はゆっくりとそっちを見た。
「あれが死んでたまるか戦線の敵――天使よ」
おいおいどうみたって普通の女の子じゃないか。
「貴方今普通の女の子じゃないかって思ったでしょ?」
「あ、あぁ」
まさか俺の考えていることが見抜かれているとは思わなかった。
「じゃあ聞くけれど、貴方はRPGに出てくる魔王と小説に出てくる魔王のギャップと言うものを知っているかしら?」
「あれだろ? あの、RPGに出てくるのはマジモンの厳つい魔王で、小説だと大体美少女って言う……」
「その通りよ。見た目だけで全てを判断すれば命取りになるわ」
確かにそれは言われてみればそうだった。
俺はこの女を見た感じやばそうな女だと判断し、あっちの狙われている女の子の方が普通なんじゃないかと思った。
だけれどこの女が最初に言っていたことが本当だとすれば、全て理にかなっている。
神の使いと言われている天使が敵なことも理解できるし、別に天使が普通の女の子の姿をしていても何もおかしくはない。
「でもどうして俺が死んだって言えるんだよ。俺はまずこの世界が死んだ世界だってことが信じられない!」
その言葉に、女は溜息を吐いた。
「貴方には死んだ時の記憶が無いのかしら?」
「……死んだ時どころか何も記憶がない」
「そう。なら逆に聞くわ。ならどうして貴方は今ここに生きていると言えるのかしら?」
それは――。
言葉に詰まった。
もしもここが死後の世界だと仮定すれば、今俺が言おうとしていたここに存在しているからと言うのは死後の世界であっても変わらない。
生きている証と言って心臓に手を置いたが――心音は聞こえなかった。
心臓が動いていない。
「ここは、死んだ世界なのか?」
自分の心臓に手を置きながらそう言っている俺を見て、女は目を背けていた。
「貴方が心臓が動いていない理由はわからないわ。私の心臓だって動いている。でも貴方は動いていないのに生きている。それでもわかるでしょ?」
ここが死後の世界ってと言う言葉が、俺の中で重くのしかかっていた。
俺は死んだ。そしてその記憶はどこにも無い。
こんな世界、さっさと抜け出した方がマシだ。
「俺は消えたい」
「はぁ? そこに存在していると言うのに?」
「あぁ消えたいんだ。こんな、いきなり記憶も無しにこんな場所に放り出されて、どうしろって言うんだよ!」
この女に当たっても意味がないとわかっているのに、俺はぶつかってしまった。
これは完全な八つ当たりだと言うのに、女は聞きながらスコープから目を離さない。
「それは貴方が決めることよ。少なくともこの世界に来たってことは、ロクな生き方をしていないの。ここに来ているのは皆そう。理不尽な死によって青春を謳歌すること無く死んでいった、可哀想な子供達」
銃を握る手が、カタカタと震えていた。
それが怒りからくるものだと言うのは、俺でもすぐにわかった。
「今すぐに消えると言う判断はやめておきなさい。貴方に記憶が無いと言うのなら、私達戦線がそれまで貴方をフォローするわ。ここに来た時点で貴方は同士なのだからって、今捕まっているあの子なら言いそうね」
捕まってるって言うと、俺のハーレムと叫んだ奴か。
だけどこの笑顔を見るからに、捕まったというのは警察じゃなくて天使にってことじゃないだろうか?
「貴方は記憶を取り戻す権利と、それを踏まえたうえで決断する権利がある。記憶を取り戻すこともせずに逃げるのも、記憶を取り戻してから消えるか留まるかを残るのも貴方次第よ」
俺次第。
確かに、さっきの俺は記憶が無い状態で知らない場所に放り込まれたから、消えると言う一番行きやすい場所に流されていただけだった。
自分で判断するんじゃなくて、ただ楽な方へ逃げていただけだった。
もう一度考え直してみれば、どうだろう?
俺は戦線に入ると言うのは関係なく、記憶を取り戻したいと願っている。
理不尽な死が、俺に何をもたらしたのかを全て知りたいと思っている。
だとしたらどうすれば最も記憶を取り戻せるか。
どうすれば最も安全で最速の道を通ることができるのか。
答えは既に決まっていた。
「――仮入隊だ」
「なる程。記憶を取り戻すまでは仮入隊して、そこから先はもう一度自分で決めるってことでいいのかしら?」
「それでいい。あんた達がフォローしてくれるんだろ?」
俺は女に意地悪に微笑みかけると、女はそれを一瞥してから笑みを浮かべた。
「歓迎するわ。貴方の名前は思い出せる?」
「うーん……。音、無……」
「下の名前は?」
「悪い。思い出せない」
本当に自分が誰だかわからない状況だけれど、言葉は悪くてもこちらのことを考えてくれているこの女のことは信じてもいいと思った。
「そう。なら音無君ね。私はゆり。死んでたまるか戦線――語呂悪いわね。貴方考えていてちょうだい。この戦線のリーダーよ」
差し出された右手を、俺は握り締めた。
「ちなみにだけど、貴方の死因はテクノにブレイクしたわけではないわよね?」
「ぶはっ!?」
吹き出した。一体何を言っているんだこの女は!?
「さっき言った捕まった人よ。死因はテクノにブレイクしたの」
「そいつ絶対警察に捕まっただけだろ!?」
今までのいい人っぷりは何処に行ったんだ!?
「いいえ。天使に捕まってるわ。NPCに手を出してはいけないって言ってたのに、NPCの金玉を潰したのよ」
NPCが何かはわからなかったが、金玉を潰したと言う言葉で内股になった。
金玉を持っているってことは男なんだろう。最悪だ。
「取り敢えず明日には出てくるはずだし、貴方の教育係を任せようかしら?」
「激しく不安な未来しか見えないから天使に消させてもらってもいいか?」
今の所入っているそいつの情報が、自分のハーレムだと宣言する、テクノにブレイクして死んだ、発言から仲間思いっぽい、金玉を潰した、捕まっているしか無いんだが?
激しく不安な未来しか本当に見えないよ。
「安心しなさい。彼は優秀よ。彼がNPCに手を出したのも、彼女に手を出されそうになったからよ」
なんというか、男前な理由で捕まっていた。
だとしてもカオスな評価しかない。
「彼の優しさは戦線の中でもトップクラスよ。ちなみに鬼畜さも戦線トップクラスよ」
「俺やっぱ消えるわ」
絶対にそんな奴と関わりたくない!
だってそんなのに関わったら完全にこの世界で安心して暮らせなくなるじゃないか!
と言うか、戦線メンバーと言うのに男はいないのだろうか?
「戦線メンバーに男はいないのか?」
「勿論いるわ。半分以上男子よ」
「……そいつはこれなのか?」
オネェのポーズをすると、それはあっさりと否定された。
何でも女の子ならばすぐに尻を追いかけるような奴らしい。
それでいて彼女が傷つくようなことは殆どせず、結局は彼女一筋だからタチが悪いそうだ。
「評価の意味がわからん」
「まぁ後々色々知る事になるわ。じゃあ改めて、よろしく音無君」
「あぁこちらこそ」
やけくそになりながらも、俺はそう答えた。
全ての説明を一通り聴き終えた俺は、一人の女の子と一緒に反省室なる場所に向かっていた。
この金髪の女の子――関根がその多々って奴の彼女らしい。
満足したら消えてしまうこの世界で、こんな可愛い子と付き合えて満足しないなんて余程の思いがあるんだろう。
神に抗いたいって思いが。
「ふー! 長かった! お勤めご苦労様!」
「二度と来ないでください」
「わーってるわーってる。今度また話し合おうぜぃ」
普通にNPCと会話をしながら現れた銀髪の――男?
いや女の顔をしているが男なのか? 確かに着ている制服は男性用でぺったんこだが、男装をしている女にも見えるぞ?
「――タッ君!」
俺が声をかける前に既に関根が走り出して、多々に抱きついていた。
「バカだよ! 自分ばっかり変なことして!」
「いやぁ、ごめんごめん」
ヘラヘラとしながら返す多々と言う男に、俺は違和感を感じていた。
何かが違うと、違和感を感じていた。
「もう……心配したんだからね?」
上目遣いでそう言われている多々はビクンとしてから、下半身から順に関根を離す。
あいつ今のあの瞬間でおったちやがったな。
「でも気持ちよかったよ」
「えっ……。天使に腹を貫かれたのが?」
まさに天然の変態ってことなのか。
取り敢えず俺は日向に言われていた通り、ブラックコーヒーの蓋を開けた。
日向曰く、あいつらの近くにいる時は少なくとも10本はブラックコーヒーが必要らしい。
一応二本は買ってきてあるけど。
「違う違う。俺は――しおりを守れて死ぬことができたあの瞬間が、恋人を守れたと言う気持ちが、気持ちよかったって言ったんだよ」
「もうタッ君ってば……」
俺は一気にブラックコーヒーを一気飲みした。
なんだあれは……!?
どう考えても満足して消えるレベルじゃないのか!? 何であんなことしてるのにあの二人は消えないんだ!?
「ところでそこの人は? まさか婚約者!? しおりは貴様にはやらんぞ!?」
「違うよ。新しく入ったニューフェイス!」
「と言うことは新人ってこと? 俺に新人イジメをしろと? 仕方ないなぁ。金属バットでいい?」
「よくねぇよ!」
ついツッコミを入れてしまった瞬間、どこからか取り出した金属バットを落とすと多々は俺に近づいてきた。
「貴方は――ツッコミ属性持ちなんだな」
初めて見せた真面目な雰囲気に、ここで真面目な雰囲気を出すのかよと思いつつも頷く。
「そっか……。ならいつも日向君がツッコミのし過ぎで死にそうになってたから自重してたけど、これからは全力全開フルパワーでリリカルマジカルふざけられるね!」
「おーっとタッ君選手! 相手を縛り付けてから至近距離で砲撃をかます20歳魔法少女の真似をしたー! 音無選手どう出る!?」
あぁ一瞬で理解した。
次回予告
「足を狙いなさい。取り敢えず追ってこなくなるわ」
「なる程。ゆりちゃんは処女卒業後に再び処女膜再せ――」
「生徒から食券を巻き上げる!」
「紫外線はお肌の天敵なんだゾ!」
「そんなもの、あたしの無理でこじ開ける!」
「気長に待てばいいさ。それこそ何年でも何十年でも考える時間はある」
「……貴方は今日はライブに参加しないのね」
「神様なんてどーでもいいよ。俺はただ単に、殺したい奴がいるだけさ」
第19話《First Mission》