機動戦記ガンダム・ナガレボシ   作:アルファるふぁ/保利滝良

6 / 57

こんにちは
スペリオルガンダムの形態の中ではディープストライカーが大好きなアルファるふぁです、あれこそ男のロマン
今回はタイトル通りの展開です、お待たせいたしました



唐突な硝煙の香り

 

「ここだ」

ウォルターが訪れたのは、周りと比べて一際も二際も大きい煉瓦の建物だ

ネクストの目的地でもある

「はぁ~、でっけーな」

「町長の家だ、他とは違うさ」

口角をゆるく上げて、ウォルターは応えた

そして口角を上げたまま、ウォルターは聞いた

「それにしても、殊勝だな・・・ここに住む決心はついたんだったか」

「ああ」

「町長と挨拶するために俺の手を煩わせるとはな」

「迷惑だったか?」

ネクストは一言そう問いた

「いや大歓迎だ、二重の意味でな」

「・・・そうか、ありがとう」

心の底から、ネクストは安堵した

元からその気は無いとはいえ、血の気の多いはずのジオン残党をここまで眩しい人間にできるこの町に住めることに、感謝した

旅の準備が済むまでなんてケチ臭いことは言わず、永住してしまうのも良いかもしれない

「いい町だな」

ネクストがそう呟いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何かが風を切るような音がした

気がした

「伏せろ!」

ウォルターがネクストを突き飛ばしながら地面に飛び込む

ネクストは転倒しながら顔を腕で覆った

直後二人のすぐそばにあった家屋が弾けた

窓枠や粉砕された家具が、破片の雨となり通りに降り注ぐ

 

それはあまりにも唐突だった

「ぐあああッ!?」

破片と衝撃波に、ネクストが情けない声をあげる

ウォルターは後頭部を頭を手で覆って黙って耐えた

幸い、大きな物体は二人には降ってこなかった

約二秒のジェノサイドの後に、まずウォルターが素早く立ち上がった

ネクストには惨劇が何分にも感じた

「おいブレイク、起きろ」

「クソ、なんなんだ・・・!」

ウォルターの手を借りて、ネクストが立ち上がる

突然の出来事に、ネクストの頭は混乱している

二人とも怪我はないが、この状況ではさらに怪我をしかねない

「町長の家が!?」

「ブレイク、落ち着け」

「これが落ち着いてられるかっ!」

そして、町長の家は粉々だった

先程に見せたあの立派な建物は、今は残骸と呼ぶのもおこがましい

「早く、早く中の人を助けないと・・・」

ネクストが手近な瓦礫に手を伸ばした

その肩を掴んでから、もう片方の手で、ウォルターはある一点を指差した

「ブレイク、あそこを見るんだ」

「・・・ッ?!」

瓦礫の隙間に見えたのは、この家のとある一室の光景

それは白い絨毯にぶちまけられた、粘性のある液体だった

磨り潰されて、ぐしゃぐしゃになった、真っ赤なジェルだ

「・・・そんな」

膝から崩れ落ちるネクスト

それを見下ろして、ウォルターは告げた

「ここら辺にジオン残党はいない」

「じゃあ・・・なんだってんだよ・・・?」

凍りついた表情で、ネクストは聞いた

ウォルターは答えた

「連邦による、面白半分の残党狩りだ」

「・・・よりによって・・・」

地球連邦軍がかなり腐敗していたことは、記憶を失って日が浅いネクストでも知っていた

そして激化するジオン残党の活動を抑止するため、連邦が積極的にジオン残党を攻撃し続けていることも、ネクストは知っていた

今回、その二つが上手いこと組み合わさった

「なんでこんな平和な町にモビルスーツの武器を撃ち込むんだよッ!?」

苛立ち混じりに吐き出したネクストの台詞に、ウォルターはこう答えた

「言っただろう、面白半分だと」

「・・・遊びってことか」

「連邦高官の息子によくそう言うのがいる、ましてやここは記録に残りづらい地域だ・・・後はわかるな?」

ウォルターは小さな箱を一つ、ネクストに放り投げた

受け取り、眺めると、ボタンや穴がいくつもある

無線機だ

「チャンネルは俺のヤツに合わせてある、そこの赤いボタンを押し続ければ繋がる」

「どこへいくんだよ・・・?」

「迎撃するに決まってる、そのために俺達はここに居座ってたんだ」

ウォルターは駆け出した

「流れ弾に気を付けろ!」

最後にそう言い残して、ジオン残党のリーダーは走り去った

記憶喪失のバックパッカーは、その場に取り残された

ネクストは、自分が情けなくなった

無線機を握り締め、何もできない自らの無力さを噛み締めた

 

何も、できないじゃないか

世話になるからと挨拶に行った相手は呆気なく死に、最初から最後まで気を使ってくれた男はまさに今死地へ向かおうとしている

それなのに、自分はここで座り込んだまま

助けを求めるための連絡手段まで渡されてしまう始末

「ちっくしょう・・・」

わかっている

自分が余計な行動をして彼等の足を引っ張る可能性があることは重々承知だ

だがしかし

だが、しかし

何かしたかった

何かを、したかった

それはアイアンフィストへの最初の恩返しをしたいという健気な気持ちだったのかもしれない

それは自らの無力さから逃げ出すための後ろ向きな気持ちだったのかもしれない

それはリーア達に良いところを見せたいという下心だらけの気持ちだったのかもしれない

だがしかし

「ふざっけんなよッ!」

怒りがないことは、なかったのだ

 

 

 

 

 

 

 

「ウォルター!」

「ブレイクか、今どこに?」

「ナガレボシの中!」





でも本格的な戦闘はまだなんですよ、ごめんなさい!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。