機動戦記ガンダム・ナガレボシ   作:アルファるふぁ/保利滝良

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こんにちは
ジオンと連邦の立場が入れ替わったガンダムって面白そうじゃないかと思うアルファるふぁです
連邦残党とかいうパワーワード

今回は大決戦シリーズ第三弾
アウラのゲルググvsマーヴェルのズサの対決をお楽しみください



魂の戦い

 

黒い肩が揺れ、緑色のモビルスーツが腕からミサイルを放つ

噴煙を吹き出して追い掛けてくる誘導弾に、対する夕焼け色のモビルスーツは正面から突き進んだ

肩のガトリングを発射

ミサイルは無数の連射弾によって粉砕される

爆炎が発生、双方のモビルスーツの視界が遮られる

「チィ!?」

緑のズサに乗ったマーヴェル・クミクスは、煙幕と化したミサイルの爆発が収まるまで様子見の姿勢をとった

だが彼女と戦っている敵は違った

「うぉおおおおおっ!」

一人の少女が腹から声を絞る

橙色のゲルググは煙を突っ切って現れた

一つ目がぎらりと輝く

敵の思わぬ行動に、マーヴェルはビームライフルを向けて対応した

だがゲルググは銃口の先から素早く退く

そして、手に持ったビームマシンガンを引き金を引き、多数のビーム弾をばら撒いてくる

それにも動じず、マーヴェルのズサは回避モーションをとる

右へ、左へ

舞うような不規則な動きでビームの弾の全てをかわす

「無駄だ・・・」

マーヴェルは再びミサイルを放った

しかし数発のミサイルが接近してきても、ゲルググは突進を止めない

なおも緑色のズサへと迫る

マーヴェルがライフルを突き出した

ビームライフルにはヒートナイフが銃剣のように付けられている

闇雲に突撃して動揺を誘おうと言う魂胆だろうがそうはいかない

ビームサーベルの間合いに入ったら、コクピットへ一撃を

マーヴェルがそう思った次の瞬間、ゲルググは飛んだ

真上へ飛び上がった

反射的にズサのカメラがその方向を向く

太陽を背にしたゲルググがあった

日輪を背負うようなアングルの映像

だがマーヴェルがそれを綺麗だと感じることはなかった

太陽光に網膜が焼かれる

敵の動きが激しすぎて初歩的な罠をかけられることを失念していたのだ

「ぐっ、おのれェ!」

ライフルを捨て、ビームサーベルを抜く

ゲルググは雷のように急降下して、ビームサーベルを降り下ろす

ズサのサーベルとゲルググのサーベルがぶつかり合った

回復した視界の中に、ゲルググの顔が写る

カメラアイが強く光った

「舐めるなぁッ!」

ズサがゲルググの脇腹に蹴りを入れる

体勢を崩した相手にビームサーベルの刃を突き入れるが、敵はすんでのところで身を仰け反らして回避する

「ジオンから離反した愚か者が、この!私に!」

ズサにサーベルを振り回させながらマーヴェルは、叫ぶ

彼女の言葉は呪詛のようにおどろおどろしく、自分の正義しか見えていない

「スペースノイドの自由と!平和を!勝ち取るために!」

先程まで優勢に立ち回っていたゲルググは、間断無く迫るビームサーベルの連撃に防戦一方という風情だった

サーベルの切っ先が振るわれる

別のサーベルが抜き放たれ、その一閃を受け止める

ビームとビームがぶつかり合う鍔迫り合い

「私は勝つ!」

「ふざっけんな」

至近距離からのミサイル

ゲルググはあえて避けなかった

爆発

炎と煙が辺りを包み込む

「ジオニズムがそんなに正しいって?」

煙が晴れていく

「お前達の行動は、」

夕焼け色が顔を出す

「ただのテロに過ぎないのよ・・・!」

左肩の装甲が剥がれ落ちる

地面に落ちた超硬スチール合金がボロボロに割れ、砕け散った

ゲルググはずいと顔を近付ける

怨敵の面を見据える

「テロ行為が悪だと?力でないと連邦を下せない!奴等は言葉では動かないからな!」

マーヴェルは叫んだ

恨み辛みを込めた言葉を、目の前の敵に叩き付けた

その言葉はしっかりとゲルググのパイロットに届いた

「だったら」

それを受け止めて、それどころかその真っ黒な思念を受け止めて、そしてアウラはこう断ずる

「返り討ちも認められるよなッ!!」

ビームサーベルが弾かれる

ズサの手からすっぽ抜けた剣が、刃を失い地へ刺さる

それと同時ゲルググは下がった

このときマーヴェルはビームライフルに付いていた銃剣ではなく、もっと必殺性の高いビームライフルで攻撃をした

向けた銃口の先に敵がいないことに気付かずに

「なに?!」

「アサルトコンボ、レディ!」

上空にいる

そう感付いた時にはもう遅かった

ゲルググは地面へと武装を向けて飛んでいた

ビームキャノンを、ガトリング砲を、腕部グレネードランチャーを、ビームマシンガンを

全てが放たれる

マーヴェルも負けじと、ズサの内蔵ミサイルの全てを発射した

腕から脚から肩から胸部から、ミサイルが一斉に飛び立つ

だがズサの攻撃は全て弾幕に遮られて粉砕された

空に花開く無数の爆炎は、アウラが粉砕したミサイルの残滓

それら一つとて目標にはたどり着けなかった

まるで、マーヴェル自身の過激な理想のように

ビームキャノンが肩から先を焼き切る

グレネードランチャーが頭部を砕く

ガトリングが装甲を破る

ビームマシンガンが内蔵機器をズタズタにする

「ぐっ・・・はぁ!」

痛みに見開いた視界の中に、落雷のように突っ込んでくるゲルググの姿が見えた

「何故だ、何故・・・何故ウォルター・コバックやあのゲルググのような者達がジオンの理想のために戦わない!何故、何故私にはあの力がない!スペースノイドを救える者が、何故!」

光がズサのカメラを埋める

マーヴェルの視界を埋める

「わ、た、し、はッ!?」

ビームサーベルは、ズサの天辺から爪先までを通過した

大地に降り立ったゲルググは、サーベルを腰に取り付ける

そして、アウラは振り向いた

黒い肩の敵を見た

「私はっ間違っていたのか!?」

「そのとおり」

ズサは、核融合炉の爆発により、消えてなくなった

「ジィイイイイイクゥウウウウ・・・ジィイイイォオオオンッ・・・」

爆発の炎に照らされて、アウラのゲルググは紅く光った

 

 

 

 

 

乱戦で生き残ったジオン兵士はゼロ

マーヴェルの撃破によって、ジオン残党テロリストツバイノワールはここに壊滅した

 


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