こんにちは
鉄血が終わり、早く新しい地上波のガンダム作品を観たいなぁと思うアルファるふぁです
今回からは大決戦シリーズ
前回に引き続き、それぞれのバトルをお送りします
荒野の乱戦の最中に、二機のモビルスーツが相対していた
片方は連邦のモビルスーツ、ジムⅢ
もう片方はとある集落の防衛戦力、グフカスタム
両者は絶えずお互いを倒そうと攻撃を仕掛けている
閃光が一つ目に映る
フットペダルを思い切り踏み込み、ブースターで避けた
メガ粒子がグフカスタムの肩の大きな突起を炙り、溶かす
機体本体に影響はなく、戦闘能力は低下していない
お返しとばかりにマシンガンのトリガーを引く
一秒間に何発もの砲弾が吐き出され、それらは全て走り回るジムⅢへと突っ込んでいった
だがジムⅢは先程のグフカスタムと同じように、ブースターを使って急加速し弾のことごとくを回避する
マシンガンの弾に誘導能力などあるはずもなく、シールドに阻まれた三、四発を除いて明後日の方向へ消えた
ジムⅢはブースターを吹かしたまま姿勢を変える
空中へと昇った連邦のモビルスーツ
そのまま眼下の一つ目にビームライフルを向けた
慌てたようにグフカスタムは飛び退いた
一瞬前に立っていた場所へビームライフルの弾が着弾する
砂塵が巻き上げられ、空気が焼かれ、地に穴があく
「クソッタレ！」
グフカスタムのコクピットでパイロットのグレックリーは毒づいた
「これじゃ埒があかねえぞ！」
その一言の後に降り注ぐバルカンをシールドで受け止め、グフは立ち止まった
ジムⅢはグフカスタムなど簡単に屠ることができる性能を持つ
だが、グレックリーが派手に逃げ回るおかげで、二機の間に決着は未だつかない
互いに攻めあぐねている状態だった
「落ちろぉおおお」
連邦パイロットのケイロンが操縦悍のボタンを押し込む
ジムⅢの肩に装備されているミサイルランチャーが開き、中から対モビルスーツ用の誘導弾が次々と発射される
グフカスタムは両手をミサイルが来る方向へ向けた
ガトリングシールド、マシンガン、腕部機関砲が吠える
「うぁぉおおおおおっ！！」
空中で爆発の華が開いた
三つの射撃武器がミサイルを全て撃ち落としたのである
数えきれない連射弾によって、ミサイルによる被害はない
だが爆風を貫いて光の槍が突き立つ
ビームライフルの一射であった
「あっぶねッ！」
ビームがまたグフのすれすれを通る
もう少しずれていたら、一撃死とは言わずとも痛手を負った
「外したッ！」
ケイロンの頭に焦燥感が積もる
ミサイルが迎撃された事で発生した爆発が視界を遮り、射撃の狙いを一瞬狂わせた
敵がミサイルを避けた後に必殺の一撃を叩き込むつもりであったのに
相手はこれを狙ったのだろうか
「この、野郎！」
ビームライフルをもう一度撃とうとする
しかし右手の武器は引き金を引いても反応しない
エネルギーが、尽きた
それを理解し、ケイロンは背中に寒いものを感ずる
ジムⅢが、ビームライフルを弾切れにするまで追い込まれている
そう判断した時、一瞬の隙が生まれた
「ェイサァーッ！」
腕を大きく振りかぶり、一本のワイヤーを投げ付ける
ヒートロッド
強力な電流を流し込むことで敵モビルスーツの動きを止める兵器
ジムⅢはシールドでその攻撃を防いだ
しかしシールド越しの電流が、ジムⅢを襲う
「くそ、こんな、一年戦争のロートルモビルスーツが、こんな・・・」
空中から地上へと落下していく一機
もう一機はマシンガンを投げ捨てて、ヒートソードを引き抜いた
「トドメだぁあああああ！」
「ふざけんなぁああああ！」
横薙ぎの一閃にシールドを叩き付けて抑える
ジムⅢの機能は死んでいない
ケイロンは勝ちを諦めていない
弾無しのビームライフルの銃口が、ガトリングシールドのガトリング部分に突っ込まれた
双方がぐしゃりと潰れる
「だらしゃあッ！」
ビームサーベルを抜き、そのまま斬激
バックステップでその反撃は空振りに終わる
シールドのヒートソードを受け止めていた部分が、溶け落ちた
もう防御は難しい
だがケイロンは諦めない
連邦の軍人が、こんな奴等に屈するわけにはいかないからだ
「クソッタレがぁ！」
バルカンを撃つ
シールドで防がれる
突進してからのビームサーベル
巧みな動きでかわされる
「コイツ、大分・・・」
「るぉああああ！！」
「大分やばい！」
迫るジムⅢ
やたらと振り回されるビームサーベルはそれだけで脅威であり、性能差との相乗効果は計り知れない
何より、グレックリーが、目の前の敵の気迫に圧されていた
サーベルを避けたとき、脚が浮いた
そこに叩き込まれる割れたシールド
「ぐっはァ！？」
倒れ込むグフカスタム
「うぉッおおおおお！！」
ケイロンの機体はビームサーベルを手に、体勢を崩したグフへ飛び掛かった
「うるぉあ！」
「ぬおおぉ！」
倒れたままブースターを吹かす
剣先が乗機を貫く前に、グレックリーは逃れた
滑るようにブースター移動する先にあったのは、先程捨てたマシンガン
拾い上げ、向ける
何発もの大口径弾が容赦なくジムⅢを削る
だがケイロンは、ブースターでグフカスタムへと猛進した
まだ、倒れない
「こいつでッ・・・」
彼には勝算があった
敵がマシンガンでは決定打を与えられないと判断し、ヒートソードを使ってくる瞬間を待つ
そして振るわれたヒートソードを再びシールドで防ぎ、今度こそビームサーベルを刺し込んでやるのだ
「終わりにしてやるッ！！」
グフカスタムがマシンガンを捨て、ヒートソードの切っ先が揺れた
今だ、とジムⅢはシールドを突き出した
だが何も起こらない
グフカスタムは、目の前の敵は、ケイロンのフェイントに、フェイントを重ねてきた
ビームサーベルを振るタイミングを捨ててシールドを出しても、敵が行動しなくては意味がない
グフカスタムはヒートソードを持っていない方の腕を叩き付けた
シールドごと弾かれる左手
一瞬触れ合った互いに、接触回線が開く
「テメエがどうしてそこまで執念あるのか知らねぇがな・・・！」
「コ、イ、ツ？！」
グレックリーは叫んだ
「こっちにゃ我が家がかかってんだよッ！！」
グフカスタムがヒートソードを降り下ろす
だがケイロンは、咄嗟にブースターを起動した
「ぎっ・・・！」
熱された刃が、ジムⅢの右手を断つ