こんにちは
またパルマフィオキーナみたいな強そうな隠し武器が登場しないかなと考えるアルファるふぁです
今回は予定通り、連邦の視点です
地球連邦軍、辺境の一基地
怒鳴り散らす男の声が聞こえる
「何故だ!」
クラウン隊の隊長、ヴィランの声だ
見開いた目と食い縛った歯が、怒りを見事に表現している
そんな怒れる御曹子のストレスの元は、一つのモビルスーツであった
「何故使えないんだ!あれが来てから大分経ったんだぞ!」
ヴィランが指差す先、一機のモビルスーツが静かにガレージに鎮座していた
全体的にマッシヴで、重量感のある外見
力強さとスタイリッシュさが両立されたデザインも特徴的だが、何よりもその機体のシンボルとして際立っているのは頭だった
二本の角と、デュアルアイ
宇宙世紀でそのシンボルを持つ機体は、特別な意味を持つ
「何故なんだ!」
「ですからアレは試作品のテスト機の段階でして、それに大気圏内での運用にも手がかかりますし・・・」
「時間がかかりすぎだろう!アイアンフィスト攻略作戦はもうすぐなんだぞ!」
しっかりとした理由を言う整備員に、ヴィランはなおも怒鳴り付ける
目の前の相手の機嫌を損ねると様々な意味で首を飛ばされかねないので、喚かれる側はたまったものではない
しかし、確かにかなり時間がかかっているのは事実
ここの連邦部隊は、アイアンフィストを攻撃してから大分時間を空けた
アイアンフィストとの戦いで消耗した戦力を補充するためだ
その中でヴィランは、父親のコネでとあるものを買い付けた
当初彼は次のアイアンフィストへの攻撃までにはそれを使えると考えていたが、その機体は往々にして癖が強く、メカニックマンは頭を抱えていた
「アナハイムの人間がもうすぐ到着します、彼らにも協力してもらい、できるだけヴィラン様の機体をなんとかいたします・・・」
終いには他力本願する始末だ
「なんでもいいから急げ!」
一通り怒鳴り終えたヴィランは、踵を返してクラウン隊の所へ戻っていった
冷や汗を拭う整備員
その近くへ一人の男が近寄っていた
「いやはや、ご苦労様です」
「あ、どうも!アナハイムの方で?」
「あ、はいーそうですー本日雇われましたアナハイムか出向のメカニックマンの一人ですーよろしくお願いいたしますー」
そう名乗った男は、二本角に目をやった
「ウチが売ったとはいえ、なかなか整備しづらそうな機体ですねぇ」
なんとなく呟いたその一言に、同情してくれると思った連邦の整備士は涙ぐんで返す
「そうなんですよ・・・次の日曜日までに使えるようにしないと、またあのボンボンに怒られるんです・・・」
「へえ、次の日曜日ですか」
「そうなんです、納入してから大分経ちますけどあんなの無理ですって・・・」
肩を落としたその姿は、とても天下の連邦軍人とは思えない
「じゃあ先にあの機体の調整に戻りますから、お願いしますね」
相槌を嬉しそうに聞き入ると、整備員は例の機体に向かって走っていった
その場には、アナハイムのメカニックマンしかいない
するとメカニックマンは、おもむろに通信機のようなものを取りだし、耳に当てた
「次の日曜日だそうです、ウォルターさん」
それだけ言うと、メカニックマンはすぐに通信機のようなものをしまった
「さーて、仕事仕事」
軽く延びをして関節をほぐした後、メカニックマンは道具片手にデュアルアイへ近寄った