機動戦記ガンダム・ナガレボシ   作:アルファるふぁ/保利滝良

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こんにちは
Gガンもなんだかんだ嫌いじゃないアルファるふぁです
いやガンダムでやる意味があるのかと言われればアレなんですが、良いじゃないですかあの雰囲気

今回は前回に引き続き、ナガレボシの新たな姿が活躍する回です
モビルアーマー三機との対決!



ナガレボシ・マックスモード 後編

 

最初に行動したのはベルザイムであった

ホバー移動と大量のスラスターで凄まじいスピードを手に入れたベルザイム

通常のモビルスーツでは全く敵わない地上移動速度で、敵に躍りかかる

機体両脇ガトリングアームが駆動、回転を始めた

そして吐き出される大量の弾丸

いかなる装甲も削り、砕くその攻撃が、弾のシャワーが、ナガレボシに振りかかる

アッザムもそれに続いた

平たい水滴のような本体にある二連装メガ粒子砲の一つを、モビルスーツモドキへ向け、二回三回放った

水が大分消えたオアシスに浸かっているグランゾックも、味方と共に敵を撃つ

機体の側面、一列にズラリと並んだ連装メガ粒子砲を一斉に発射

ついでとばかりに頭頂部のビームキャノンも連発する

弾丸、ビーム、ビーム、ビーム

間断無く迫る攻撃の数々が、全てナガレボシへと集結した

「ヘェア!」

最初に飛んできたベルザイムのガトリング弾を高高度のジャンプで足下に

アッザムのメガ粒子砲はそのまま空中で上体をひねりかわした

着地したその時、戦場を薙ぐように一列に放たれる、グランゾックの連装メガ粒子砲

「ンンンッ!」

腰と膝を屈めて、その全てを間一髪頭上にやる

頭の上を通り過ぎる無数のビーム

それも終わり、立ち上がる

「グォア!」

だが甘い

グランゾックは頭頂部にあるビームキャノンを異形の機体へ叩き込んでいた

直撃に吹っ飛ぶナガレボシ

背中側から倒れ、地面を転がりながらももう一度立ち上がろうとする

そこへベルザイムがミサイルを発射

白煙を引いて飛ぶ六つの弾頭が、ナガレボシの背中と腹を強かに打ち据える

「グァアアアア!!」

命中時の衝撃と爆発

その二つにダメージを食らう

足を止めたところへ、グランゾックもミサイルを撃った

アッザムはもう一度連装メガ粒子砲を撃ち込む

ベルザイムは高速で動き回りつつ、他二機のモビルアーマーによる集中攻撃を見守っている

次々に当たる攻撃

炎に照らされるナガレボシは、傷ひとつないものの苦しみもがいている

決着が見えていた

 

 

 

 

 

身体中に生まれる痛み

意識と心を容赦なく苛むダメージ

だが、体には怪我ひとつない

「ぐっ、ううう・・・ぐぬッ!」

頭の鈍いネクストも、現在の状況は薄々把握していた

恐らく、今のナガレボシに関して、ネクスト以上に知っている者はいない

何故ならば、彼はナガレボシと文字通り一心同体となっているのだから

視覚や触覚、聴覚も共にし、痛覚すら同じくする

それも、ノータイムで

もはやネクストの体はナガレボシと化していると言っても過言ではない

極めつけは、ナガレボシの能力が、ネクストとの一体化により強化されているのだ

旧ジオンのモビルスーツならば拳や蹴りで撃破できる

エネルギーを使った《技》ならば、ガンダリウムも怖くない

飛行速度も走る速さもとてつもない程向上した

防御力においては、メガ粒子砲の直撃すら装甲を破るに至らないほど

しかも、一体化による感覚の共有で、ノータイムで動き回れる

いや、その感覚の共有こそが今、ネクストを追い詰めている

強化されたナガレボシは攻撃を受けても破壊されない

だが痛みを感じていない訳ではないようだ

敵からの攻撃による痛みは、ネクストにも当然流れ込んでくる

装甲を破らないといっても痛みは痛み

それは確実にネクストの精神にダメージを付けている

ピークに達したとき、ネクストは敗北する

「あぐ、うああっ!」

それを認識した瞬間、ダメージの感じ方が変わった

もしも、もしもだ

このままダメージを受け続け、気を失ってしまえば、この辛い戦いから逃げられる

「う、お」

だが、それでいいのか

何のために力を欲したか

力に虐げられる人々のために、力を持つ者を倒すためではなかったか

なのに、負けるのはいいのか

「お、お、お」

絶対に、負けられない

「ぉおおおおおおおおッ!!!」

腹と心の底から渾身のウォークライ

喉に裂けるような痛みが広がる

それが、外部からのダメージを和らげてくれた

 

 

 

 

「デェヤァ!」

まず、打ちのめされ続けていたナガレボシは、一条のビームを弾いた

纏わりつく虫を振り払うような動作で、メガ粒子を片手で受け流した

黄色い閃光は爆ぜて消え、続く二発目はあっさりと避けられた

反撃が始まった

そうモビルアーマーのパイロット達が感じる前に、ナガレボシは奇怪な構えをとった

「ジャッ!」

両手の平を合わせ、右腰に持っていく

そのポーズをとった瞬間、闘士の手に光が生まれた

「ハァアアア・・・」

眩い明光が両手の中で膨らんでいく

ある程度まで巨大化したそれを、ナガレボシは敵に向かって突き出し、解放する

「デアーッ!」

巨大な弾丸、もしくは地上に生まれた流星か

スクリューしながら超速で飛ぶ光球は、空中を浮遊していたアッザムへ向けられていた

機体底部へその攻撃を受け入れたその瞬間、アッザムは、旧ジオン公国の誇る対地攻撃モビルアーマーは、爆砕した

脚の欠片やスクラップになったメガ粒子砲が空中より落ちてくる中、ベルザイムが高速機動を再開した

ガトリングを撃ちながら、残心のように佇むナガレボシへ突撃する

機体両側にあるミサイルランチャーを全開放、次々と飛ばす

「グッ・・・フン!」

強烈な連続攻撃に、ナガレボシは両手を交差させて防御体勢となる

背中にグランゾックからのビーム攻撃を受ける

前からはベルザイムによる実弾の嵐

「デヤッ!」

じり貧と感じたか、ミサイルが止んだところで防御を崩し走り出す

それが隙

ホバー移動しながらベルザイムは、機体前面にあるメガ粒子砲をチャージする

地上用の高速機とはいえモビルアーマーだ

ジェネレータ出力はビーム兵器を使用できるレベルなのである

黄色い直線が糸を引く

高熱の光が敵に当たる、寸前ナガレボシは跳んだ

「シュアッ!」

重力に逆らい、空へ、空へ

泳ぐように自在に飛行する

やがてその速度は速くなり、風も音も置き去りにする

純白の光を纏う、ナガレボシ

背筋を張って両手を伸ばし、自らより遥かに遅いベルザイムへと、正面から飛び込んだ

「ジュアァアアアアッ!」

頭から入り、尻尾から出る

超硬スチール合金が濡れ紙が如く引き裂け、地上モビルアーマーは二つに別れた

抉れた断面が、狂ったように火花を吐いている

ごろごろと転がるベルザイムの成れの果てを無視して、ナガレボシは空中でUターン

加速の勢いを散らし、大地にふわりと軟着陸した

その目の前には、グランゾック

モビルアーマーは連装メガ粒子砲も、ミサイルも、機銃も、頭頂部メガ粒子砲も使わない

ただ一つ、目の前のしぶとい敵を焼き払う武器をチョイスした

それは胴体中央の大型メガ粒子砲

極太の巨大ビームは、モビルスーツの大群すらも一撃のもと消し飛ばす

それが、たった一機へ放たれる

そのビームは最早壁だ

迫り来る閃光の壁に、闘士は真っ向に立ち向かう

「ハッ!」

両手を横へ

「ズアアアア・・・」

指先から肘に至るまで、白い光が左右の腕を覆った

光はすぐに大きくなり、辺りをこれでもかと照らし出す

そしてナガレボシは、立てた左腕に右拳を横からくっつけた

「デェエエエアーッ!」

その行動がスイッチとなる

真っ白い光線が両手の接合点から溢れだし、目前の敵へと迸る

空気を焼き、大気を貫く、白き光線

ナガレボシの放った光線は、グランゾックの大型メガ粒子砲と正面からぶつかり合う

ビームとビームが押し合い、一瞬の膠着が起きる

それは、すぐに終わる

白き光はメガ粒子を押し退けて、敵の元へと突き進んだ

ビームの発射口から光線を飲み込んで、モビルアーマーは沈黙

瞬きの後、全身から炎を吹いて崩れ落ちた

全身のメガ粒子砲から、関節から、一つ目からも炎を出して、最後に後半身が弾けた

くるくると舞う破片を最後に、モビルアーマー部隊は倒された

 

 

 

最後の敵の最期を見届ける

腕を降ろしたナガレボシが、拳を握って空を見上げた

姿を変えて丁度三分、ナガレボシは敵に勝利を納めた

そして、変化した姿は消えて、元の異形の外見へと戻った

「ネクスト、聞こえる!?ネクストっ!」

通信機から少女の声

「ツバイノワールが、アイアンフィストに!」

勝利の余韻はまだ遠い

異形の機体は、両手を胸の前に置いた

平行に揃えた両拳を、思いきり突き合わせる

ナガレボシは、凄まじい閃光に包まれた

 


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