機動戦記ガンダム・ナガレボシ   作:アルファるふぁ/保利滝良

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こんにちは
GPシリーズではデンドロビウムが好きなアルファるふぁです
あのゴテゴテした「武器だらけ」の姿がたまらない

今回は戦闘開始前のお話
ツバイノワールとの再戦です



双面の戦場

 

「見えるか?」

「あぁ、あそこのデカイ湖か」

「見た感じ、敵はいなさそうだけど・・・」

ドム・トローペンとグフカスタムに誘導され、異形の機体が歩みを進める

荒れ地の向こうのオアシスに、ゆっくりと

「・・・本当だ、猫の子一匹いやしない」

異形の機体、ナガレボシの中でネクストが眉をしかめる

彼の視線の先には、ジオン残党ツバイノワールがいるはずであった

この周辺の場所では、拠点となりそうな場所は他になく、先手を打って撃滅する算段だった

しかし敵はいなかった

「待て、レーダーに敵影が・・・」

ドム・トローペンのパイロット、レイゼンが危険を察知した

レイゼンが血相を変えて報告をしようとした直後

「ぐわぁああ!!」

いくつもの弾丸が雪崩れ込んできた

「グッ、くっそぉ!」

背後からの攻撃に振り向けば、そこにはサブフライトシステムに乗ったモビルスーツ部隊

それら全てが、肩を黒く塗っている

ネクスト達の敵、ツバイノワールのトレードマークだった

敵モビルスーツは、空中からそれぞれ武器を撃ってきている

「これでも・・・」

ナガレボシはその場に膝をついた

両手も地面に起き、馬か犬かの姿勢になったとき、変化は起きた

背中の大型器官が半回転、その先の銃口が頭部側へ回る

「喰らえッ!」

光を伴ったエネルギーチャージが、瞬きほどの早さで終わる

砲が光を吐き出した

モビルスーツを飲み込んで尚余りある照射範囲のビームが、一機のザクⅡを蒸発させた

敵はそれに対し、キャノン砲やビームライフルを撃って反撃してくる

だが、火力集中のために纏まって飛んでいた敵へ、ナガレボシが砲を向けた

まだ吐き出されていたビームに飲み込まれ、ドダイに乗っていたザクキャノンが消える

「あと一機!」

迫り来る光の奔流を避けようとしたハイザック

それが乗るサブフライトシステムに、バズーカの弾が直撃した

爆発の衝撃でバランスを崩し、ハイザックはナガレボシのビームに飛び込んでしまった

「サンキュ、グレックリー!」

敵の腰から上が無くなったことを見届けて、ネクストは援護してくれたパイロットへ感謝を述べた

「礼には及ばないぜ」

礼を投げ掛けられた男、グフカスタムのパイロットグレックリー・ベンが、鼻を擦りながら快活に返す

二人の様子は、長年共に戦ってきた戦友のそれだ

「増援は・・・来ないみたいだな」

レイゼンのドムが首を左右に振る

否定のジェスチャーではなく、視界を巡らせて周囲を探っているのだ

「おいおい、そこまで神経質にならなくてもいいんじゃねえか?張り詰めすぎるとダメになるぜ」

その様子を見て、グレックリーが苦笑する

オアシスに背を向けて、グフカスタムがドムトローペンの方を向いた

 

そのとき、湖面に影が揺らめいた

 

「・・・グレックリー、避けろ!」

「え?」

レイゼンが叫んだ

グレックリーが呆けた様子で返した

ドムがホバーを全開にした

グフと湖を挟んだ位置に、ドムが滑り込んだ

瞬間、機関砲の弾が飛んできた

ネクストは見た

オアシスの中からぞろぞろと、まるで這い上がるように、ずんぐりとしたモビルスーツが現れるのを

それは、ジオンの水陸両用機だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、ウォルター・コバック」

ザクⅠのコクピットで、一人の男が口角を上げた

それは喜びの笑みというよりは、諦念に似た感情によるものだろう

「もう一度問う・・・私たちと協力してくれないか」

目の前のズサの他にも、両肩を黒く染めたモビルスーツがあちらこちらにいた

ツバイノワールが、また襲来してきたのだ

 





今回のサブタイトルにて、双面(そうめん)の戦場
白くて細長い、冷すと美味しい麺を思い浮かべた読者様 シーズンは過ぎましたよ

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