機動戦記ガンダム・ナガレボシ   作:アルファるふぁ/保利滝良

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こんにちは
Gガンは間違いなく異色作だけどそれはそれとしてちゃんとした面白さがあると思うアルファるふぁです
東方不敗さんはカッコ良かった

今回はドラマパートシーズン第三回です、前回コテンパンにされたネクストが、もっと強くなりたいと頑張るお話です



鍛練

 

 

コーヒーを飲んですぐ、ネクストはとある場所に向かった

ナガレボシの置いてある場所だ

ウォルターと約束があった

「すまない、遅れた」

全力疾走しながら来たので、息があがり、体に汗が浮いていた

体に籠った熱を逃がすため、毛穴が開く

「あぁ、問題ない・・・が」

「が?」

少し走っただけでヘトヘトのネクストに、ウォルターは冷ややかな視線を向けた

じっとネクストの醜態を見る

「さて、強くなりたいんだったな?理由は聞かないが・・・その台詞に嘘はないようだ」

「勿論だ」

「では、まずは授業から始めようか」

「ざ、座学・・・?」

いきなり座学をやると言われ、ネクストは首をかしげた

理論から入るつもりだと思ったが、戦闘の強さにテクニック以外のことが必要なのだろうか

やや困惑しているネクストを放っておき、ウォルターは淡々と続けた

「お前の報告が正しいなら、ネクスト、ナガレボシの動作はお前の動作と連動しているということになる」

足下に寝かせていたパイプ椅子を起こし、組み立てていく

手際よく一席を用意したウォルターを見て、ネクストは所在無さげにそわそわし始めた

正直、突っ立ったままは辛い

座りたい

「普通のモビルスーツとは根本的に操縦システムが違う」

「それが、どうしたんだ?」

察するのが下手なネクストが、頬を掻きながら聞いた

椅子に座らせてもらえないイライラも少し含まれていたが、純粋に興味もあった

「つまり、パイロットの身体能力が反映されやすいということだ」

「俺の運動神経が、ナガレボシに?」

「そうだ・・・そしてナガレボシの動きに、お前は着いてこれていない」

ネクストの息が一瞬止まった

心当たりなど腐るほどある

走らば止められない

拳の威力もモビルスーツを倒せるほどではない

飛行だってぎこちない

それもこれも、ネクストがナガレボシを動かすのに慣れていないから起きていた

そして、ナガレボシの操縦方法はネクストが対応する四肢を動かして行われる

「俺が弱いから、ナガレボシも弱いのか?」

「まあそういうことになる」

思わず肩を落とした

「それでもジム相手に大暴れできるナガレボシが凄まじ過ぎるんだが、あのブルース・ウェインには通用しない」

「性能だけでは、勝てない相手・・・」

歯噛みする

前回の屈辱は、ネクストの心裏に巣を張っていた

あれに勝てるか、どうやったら勝てるのか

ネクストはそれを考えていた

強すぎる

連邦軍大尉ブルース・ウェインは強すぎる

今のネクストでは、手も足も出ないであろうことは明白だ

「というわけで、本日からネクスト・ブレイクの訓練学習を行う」

パイプ椅子から素早く立ち上がり、ウォルターが宣言した

呆けた顔でネクストが質問する

「訓練学習って・・・具体的には何を?」

「まずは基礎体力だ」

くたびれた軍服の襟を開きながら、ウォルターは冷たい視線でネクストを見据えた

そして視線以上に冷たい一言を浴びせてしまう

「まずはアイアンフィスト外周してこい」

「・・・嘘・・・だろ」

 

 

 

 

 

ウォルターやネクストが住むアイアンフィストは、大規模な集落だ

数百人の老若男女が、ここで生活している

連邦の攻撃で一部が破壊されたもの、元気な住人はいた

ジムのマシンガンで全滅するちゃちな場所ではなかったのだ

そんなアイアンフィストだが、だからこそ広い

なにせ何百人のための住居とそれを養う施設が存在するのだ

広いのは当たり前だった

「ぐっ、ぐええっ、辛い・・・」

すっかりヘトヘトになったネクストを見付け、ウォルターが半笑いで出迎える

「ゴールだ、よくやったな」

「キツかった・・・」

もはや汗は身体中から滝のように溢れ、水の中から飛び出してきた怪人のようだ

片膝立ちで息を切らせながら、ネクストはうつむいた

「さて、これを毎日やるとして・・・」

そう言うと、ウォルターは軍服の上着を脱いだ

Tシャツの上からでも、無駄のない筋肉が目立つ

ウォルターは静かに、しかし素早く、拳を前に向けた

ボクシングの構えだ

「腕っぷしも鍛えなければな」

「・・・マジかよ」

青ざめたネクストは、ナガレボシを見上げた

どうやらコイツを乗りこなすには、相当な努力がいるようだ

 


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