機動戦記ガンダム・ナガレボシ   作:アルファるふぁ/保利滝良

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こんにちは
漫画版逆シャアベルチルでクェスが可愛く感じることに戦慄するアルファるふぁです

今回から、少し長めの休息回シーズンです
戦闘回をお待ちの人は、申し訳ありませんが今しばらくお待ちくださいませ



帰還三度目

 

荒野を歩く巨人の列

アイアンフィストのとある建物に、モビルスーツ部隊が近付く

先頭から順に、ドムトローペン、グフカスタム、ザクⅡJ型、ザクⅠ

アイアンフィスト最大の建築物であるモビルスーツハンガーに、のしのしと入っていく

そしてそれより少し離れたところに、そのモビルスーツ達とは似ても似つかぬ異形の機体が一つ

ナガレボシだ

「いつも思うんだけどさ」

「なんだ?」

「どうしてナガレボシだけ野晒しなんだよ」

トリコロールの機体の中で、パイロットのネクストがぼやく

その愚痴半分の疑問に、レイゼンが肩をすくめた

「一つ、ハンガーに余裕がない」

「むむむ?」

「二つ、ナガレボシに対応できるモビルスーツハンガーではない」

「う・・・」

「三つ、野晒しでも問題ない」

「ぐぐ・・・!」

「以上だ、わかったな?」

レイゼンは淡々と説明した

通信しながら器用に自機をハンガーに納める

一方のネクストは、納得したようなしていないような微妙な心境でうめいていた

一応、理屈はわかっているが、なんだか気に食わない

「確かに変なシロモノだけどさぁ・・・」

渋い顔をして呻きながら、所在なさげに立ち呆け

端から見れば、今のナガレボシとネクストは、相当情けなく見えただろう

「まあ、しゃーねーよなぁ・・・いつもの場所に置いてこよう・・・」

モビルスーツハンガーを羨ましげに見つめながら、ナガレボシはとぼとぼと去っていった

「下らないわねぇ」

コクピット内部から非常食を引っ張り出しながら、アウラは呟いた

必要ないものを欲しがっているネクストに対する辛辣な評価である

本人が聞いたら更に落ち込むレベルの

「まあ、仕方ない仕方ない」

「何がよ」

やや苦笑いがこもった声でウォルターが言った

理解できないアウラに、ウォルターは話を続ける

「雨晒し野晒しな機体で戦うのは、誰だって不安になる、それに・・・」

「それに?」

「結構な愛着、あるんじゃないか?」

そう言われ、アウラはザクのカメラを巡らせた

写るのは、遠くなっていくナガレボシの背中だ

「ふぅん・・・」

ネクスト・ブレイクは、アイアンフィストのすぐ近くで倒れていた

ネクストを保護したその日の夜、ナガレボシが流星に包まれながらやってきた

彼にとっては、この地における唯一の後輩とも言える相手だろう

「ネクストにとってのアイアンフィストでの記憶は、ナガレボシとの記憶でもある」

「だから、それを大事にしたいっていうの?」

「本人はどう思ってるかわからんさ・・・だが、命を預け続けているんだ、なかなか愛情を持ってやってるのはわかる」

ナガレボシの背中を見続ける

やがて、アウラのザクがハンガーに入る番が来た

ちゃんとした手順にのっとり、ゆっくりと指定の場所に移動する

「・・・変なやつ」

ネクストのあの間抜け面を思い出しながら、コクピットハッチを開ける

外部から新鮮な空気が入り込み、汗ばんだ体を冷ましてくれた

さて下に降りようかと思った時、アウラはグレックリーを見付けた

「今日も頑張ったな相棒!片腕ちゃんと直してこいよ~!」

独り言をしながら、グフに向かって笑いかけていた

いや、グフカスタムに語りかけていたのだろう

「そんなもんなのかな」

特にこのザクに思い入れはない

だが、自分はこの前、ザクの整備に鬼気迫る表情で臨んでいた

それが愛着なのだろうか

考えていたらもうザクの足下だ

小走りでモビルスーツハンガーを出ると、まだナガレボシの背中が見える

「ちょっと、鈍亀じゃないの?」

通信機にアウラが呼び掛ける

相手の返答も通信機から帰ってきた

「その、コイツ走るのは速いんだが、歩くのは遅いみたいでさぁ!」

「走ればいいじゃない!」

ネクストは困ったように答えた

「いや、走ったら色々壊すし、それにすぐに止めらんないし・・・」

アウラの眉間に皺が寄った

「使えないわね・・・ホントにっ!」

 





アウラちゃんかわいい
毒舌かわいい

次回はリーアとの絡みになると思います
それではまた次回

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