機動戦記ガンダム・ナガレボシ   作:アルファるふぁ/保利滝良

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こんにちは
乗ってみたいガンダムはHI-νガンダムなアルファるふぁです
ニュータイプじゃないけどね、あのスタイリッシュかつマッシブかつ神秘的な姿に憧れてもいいじゃない



二回目の攻撃

 

とてつもなく甲高い音が、間延びしながら町に響いた

それがサイレンだと気付く前に、男は立ち上がった

駆け寄った緑色のテントから、厳つい顔の別の男が厳つい表情をしながら這い出てくる

「ウォルター!」

「ブレイク!」

テントの奥から手のひらに収まるサイズの機械を引っ張り出すウォルター

それを奪うように引っ掴み、ネクストは耳に当てる

機械からは、重いものが地面を叩く音が幾度も聞こえた

「モビルスーツか・・・ッ!」

アイアンフィストの周りに置いたマイクの音を聞くイヤホンをウォルターに投げ返すと、ネクストは回れ右をして走り出した

「俺はベンとハウゼンと一緒にモビルスーツで出る!」

振り返ると、軍服を着ながらネクストに向かって叫んでいるウォルターがいた

「数が多い、合流してから叩くぞ!」

「・・・わかった!」

ネクストはそれだけ聞くと、また走り出した

上着のポケットからインカムを取りだし、コードをズボンの中の通信機に接続した

走り回るうち、視界の端に様々なものが見えてきた

たくさんの瓦礫、家を壊されてテントで寝る人々、血が滲んで赤黒く変色した死体袋、親がいなくなって一人人形を抱く子供、疲労に満ち満ちた顔で復興作業を続けようとする大人、棺桶の隣で泣き叫ぶ女性

それら全てが、たった一瞬に起こったものだ

地球連邦軍の、やったことである

「この・・・野郎」

そしてまた彼らは今、この惨状を繰り返そうとしている

なんの声掛けもなしに、なんの勧告もなしに

ネクスト・ブレイクの頭は沸騰寸前だった

沸騰憤然かもしれない

連邦が話し合いではなく殺意でアイアンフィストと向き合うのなら、あちらと同じように対応してやる

対等なコミュニケーションだ

「よっ・・・こいしょ・・・っと!」

白く不気味な異形の巨人の首裏に回り込んで、その内部に体を滑らせる

あちこちから伸びる輪状の物体を身体中に嵌めて、準備は終わる

三度目ともなれば慣れたものだ

ナガレボシの目と思わしき部位が点灯する

それと同時、その体がゆっくりと動き始めた

「ナガレボシ、ネクスト・ブレイク・・・出撃するッ!!」

先程のネクストのように、ナガレボシは走り出した

 

 

 

 

 

 

 

視線の向こうに人影のようなものを見付け、ネクストはナガレボシを停止させた

勢いよく走っていたため、辺りは土煙で覆われている

ナガレボシが立ち止まると、後ろから三機のモビルスーツが近付いてきた

「敵じゃないぞ」

ウォルターの声をインカム越しに聞き、ネクストは三機のモビルスーツを眺めた

橙色のザクⅠ、ジャイアントバズを持ったグフカスタム、色々な射撃武器を持ったドムトローペン

どれもジオン公国の旧式モビルスーツだ

「アウラはどうしたんだ?」

記憶の中のアイアンフィスト全戦力と比較して、足りない一人のことを指摘する

「そのナガレボシ?だっけ?を隕石から出すときにザクⅡが片腕を損傷してな、乗れる機体がないんだ」

「なるほど・・・なら、今ここにいるのが全部か」

暑苦しい声のパイロット、確かグレックリー・ベン、の解答に納得する

あの隕石解体作業は雑だった

「ジオンの旧式と得体の知れないゲテモノのたった四機か」

「その通りだな・・・敵は少なく見積もってこちらの三倍の物量、勝機は薄い」

爽やかな男の声、レイゼン・ハウゼンだ、の批評を聞き、ネクストの額に嫌な感じの汗がにじむ

今考えると、とても無謀だった

「俺たちなら負けん、それに・・・とんでもない助っ人がいるしな」

ウォルターの一言に合わせるようザクⅠがナガレボシを見つめてきた

その落ち着いた声音に、ネクストの闘争心が燻った

ニヤリと笑い、振り向く

「おお、来やがった来やがった・・・いるわいるわ、よりどりみどりのジムどもが」

ナガレボシは仁王立ちになると、六本の指を握り締めて歪んだ握り拳を作った

視線の向こう、連邦のモビルスーツ部隊がはっきりと見えてきた

ざっと見、十機以上

だが負けるわけにはいかない

この背には、罪無き人達の命があるのだから

あのゴーグル頭の横隊は、例えるなら冤罪人の処刑者だ

そんなものをアイアンフィストに通すわけにはいかない

「さあ・・・来いッ!」

ネクストは敵を睨み付けた

一機残らず打ち倒すために

 

 

 

 

 

 

 

エゥーゴが主力としていたモビルスーツ、ネモのコクピットで、ヴィランはパイロットスーツ姿で座っていた

今から始まる狩りに、少なからず心が踊る

退屈凌ぎはすぐそこまでになった

「クラウン隊各機、着いてきてるな?」

自分の部下達に通信を送る

「隊長と私含めネモ三機、ジムⅡ六機、全て確認しました」

「OKだカーネイジ中尉、全機いるな」

「ヴィラン隊長」

「なんだ、マグニート中尉」

「基地所属戦隊は確認しなくてよろしいので?」

クラウン隊の部下の中で最も大切な二人のうち一人に、ヴィランは気だるそうに答えた

「あんな下っ端たちのことなぞどーでもいい、真面目にやられて獲物が減りすぎるのもつまらん」

「了解しました」

それだけ聞くと、マグニートは黙った

「さあ来い俺の獲物、フラストレーションを晴らさせてもらうぜ・・・!」

操縦悍を弄ぶように握り、クラウン隊隊長はネモのスラスターを起動した

 

 

 

 

 

 

旧型モビルスーツジムスナイパーⅡを操縦しながら、ケイロンはジムのゴーグル越しにクラウン隊のモビルスーツを見ていた

「あーあーあー、素人丸出し」

おぼつかない足取りは見ていて不安を煽る

シールドは構えていない、ビームライフルは下に向けたまま、あれではせっかく親の七光りで用意してもらったモビルスーツも形なしだ

しかもクラウン隊は、ジオン残党を倒すのではなく暇潰しの遊びと見て戦闘に参加している

油断と慢心を同時に行っている

おまけに陣形はろくにとれていない

連携ができていないのだ

「ちっくしょー俺らが頑張るしかねえのか、どうすんだよ・・・」

こんなのが自分より上のランクの扱いを受けていることに、ケイロンは嘆息した

だが嘆いていても仕方ない、あのモビルスーツモドキを倒せばどうにかなるだろう

クラウン隊は曲がりなりにも、腐りきっても、半人前以下だろうが、モビルスーツ部隊だ

ケイロンが遭遇したあの怪物さえ抑えれば、なんとか他のジオンモビルスーツがいても相手になるはずだ

コクピットにケイロンの汗が垂れる

「来いよモビルスーツモドキ・・・俺が吹っ飛ばしてやる」

前方にいる前衛の同僚達の背中を視界に捉えながら、ケイロンはペダルを踏んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザクⅠがマシンガンを向け、

グフカスタムがジャイアントバズを向け、

ドムトローペンがシュツルムファウストを向け、

ナガレボシが拳を向けていた

「来たぞ」

ウォルターの声を聞き、ネクストは吠えた

「うおおおおおおおッ!!」

瞬間、ナガレボシが駆け抜けた

 

 

 






アルファるふぁ先生の次回作にご期待ください!







嘘です
でもなんか打ち切りみたいな終わり方になってしまった
次回は戦闘・・・ではなく、ネクストに引き続きあるキャラクターの過去回想となります!

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