知らない天井だ・・・。
天界では言えなかったが、やっと言えた。
(BABELの医療施設かな?)
白い部屋、白いカーテン、白いベッド。
右目に違和感を感じる、見えない訳ではないんだが・・・。
体中包帯だらけだ、どうやら眼だけではなく体中に傷ができていたようだ。
(まぁ、考えていても仕方がない寝よう)
次に目覚めたとき、母が目の前にいた。
「おはようかーさん」
「陽!」
思いっきり抱きしめてきた、体中痛いがなぜか右目は痛くない?
(なぜだ顔は胸に埋もれているのに!)
「かーさん薫は?」
母は抱きしめながら答えた。
「薫も私も大丈夫よ、あなたのお陰で傷一つ無いは、気絶していた薫も次の日には目を覚ましたわ。」
「そっか・・・よかった。」
一息つくと母は俺を開放し、椅子に腰かけた。
「薫はまだ僕の病室には呼ばないでねトラウマになっちゃうから」
そういうと、母は悲しそうな顔をしながらうなずいた。
「そうね、薫には私から言っておくわ」
母が出ていくと、そとで母と薫の声が聞こえた。
「薫は来なくていいのよ。」
「陽の怪我はたいしたことないわ。」
外の様子を透視する。
どうやら局長と姉も来ているようだ。
「でも・・・でも! ごめんなさいって言わなきゃだから」
涙を流しているのだろうか鼻声だ。
「あたし怒られてそんでかんしゃくおこして、かーちゃんに怪我させようとは思ってなかったけど制御できなくて」
途切れ途切れに言葉を紡ぐ。
「そんで、にーちゃんがぱっとかーちゃんの前に出てきて、かーちゃん守って私の攻撃で体中にけがしちゃって」
母が言葉を遮る。
「わかってるよ、私も姉さんも陽も。」
一拍間をおいて。
「BABELの人が言ってたよ。おねしょと同じだって。あんたは悪くないよ」
「まだ小さいから、自分ではどうしようも出来ない時があるだけ。」
優しく薫に語りかける。
「でも・・・だって・・・。」
「薫は覚えてらんないかもしれないけど、聞いて。」
「お見舞いにくるなって言ってるんじゃないの、陽は怪我したところをあなたに見せたくないの、見たらトラウマになっちゃうからって」
「これはこれでつらいかもしれないけど。あなたを守るためだから。」
(うぅ・・・そんな真面目に言われるとはずかしい。)
しかたない。
「薫聞こえる?」
薫に扉越しに話しかける。
「にーちゃん?」
「母さん、そんなかっこいいこと言ってないよ。」
「いい薫、僕は全然平気なんだけど、ちょっとミイラ男みたいで、カッコ悪いから見られたくないだけだよ。」
「今から局長とお話があるからまた今度ね」
しばらくすると、薫達は帰って行った。
「お久しぶりです局長、と言っても僕の主観では2日経っていないんですけどね」
大きな声で話しすぎて体力を使いすぎた。
「うむ元気そうで何よりだヨ! 言いにくい事なんだがその右目の視力が昔ほどは回復することはないそうだヨ。」
衝撃の事実、だが失明しなかっただけましだ。
「大丈夫ですよ、見えなくなったわけじゃないですよ、見えなくなったからこそ見えるものがあります。」
枕元にあった花瓶にを手元に空間移動させる。
「まさか自分にこんな力があったとわね、僕の能力は複合能力のようです色々な力を使用できるようですね今現在使える能力は、念動力、接触感応、空間移動、この3つの能力を同時に使用することで、様々な能力を合成しているようです、合成能力者の能力を見て解析すれば、僕も使えるようになるかもしれませんね」
局長は驚愕の表情を浮かべていた。
「あ・・・この話は、秘密でお願いします、特に薫にはね」
ふと窓辺を見ると夕日が地平に沈んでいった。
次回から年代が一気に飛んで原作1巻に突入します。
以降の幼少時代の話は、原作に沿って語っていきます。