超度7になって半年・・・。
色々な変化があった、代表的なのはECMの作動実験が増えたことだ。
日本に長らく存在しなかった超度7、遅れていたECMの為の実験を受けていた・・・。
大きなキノコのような機械の前に座り超能力を使用する。
四角い50㎏程度の重りを、1m持ち上げ続ける、1分毎に、ECMの出力が上がっていく。
しかし、ECMを最高出力にしても、僕のECMを無効化は出来ないようだ。
(うーん暇だな)
転生してから精神が肉体に影響を受けているようで思考が若返っているようだ。
(ちょっと遊んでやろう、今さら手加減しても仕方ない。)
[分子操作 形態変化・球]
四角い金属の塊の輪郭が変化し、球体に変わる、同時に監視している部屋の中が動揺しているのを感じる。
(接触感応の精度も上がっているね)
実験が始まったばかりのころ、ECMの原理を研究者の人に聞いてみたことがある。
超能力対抗措置
Esp Counter Measure
イーエスピー カウンター メジャー
人工的に強力なデジタル電波を発生させて超能力を無効化する装置。
効果に比例して装置も巨大化するが、多数設置することで小型でも高威力を出せる。
全方位型の他に指向性型もある。
この装置によって、超能力者が使用する思念波と、相反するデジタル電波を発生することにより、ESPを無効化する。
この時、僕はECMの対抗策を考えた。
・一時的に、あらゆる電磁波をシャットアウトする空間を作り出す。
・デジタル電波によって相殺されない波長に思念波を変化させる。
どちらの方法にも、長所と短所が存在する。
前者では、空間内では、他の超能力者も能力が使うことができ、不意打ちにも対応できる。
しかし、範囲内でしか能力を使用できないため、範囲外にあるものを操作できない、演算に多大の労力を労すること。
対超能力者戦では、大きなハンデとなるだろう。
後者では、範囲に捕われずに攻撃が可能な点、他者に対してECMのトラップを仕掛けることが可能。
しかし、不意打ちに弱い事や、波長の範囲外を探さなければいけないため、一時的に能力が使えなくなる瞬間が存在する。
最悪の手段は、ごり押しである、パワー任せに一瞬ECMを振り切る。
一瞬でも振り切れれば、対処の方法はいくらでもある。
また、ECMの対象方法の最たるところはECCMである。
ECMのデジタル電波を同じく、デジタル電波で相殺することが可能となる。
当分は、まじめにECMの訓練を受けることにしよう。
ECMの対象法を確立させてから約半年、あの事件が起こった。
普通人だったのなら、幼少時代の思い出の一部だったであろう出来事、ただ僕たちは超能力者だった。
ただそれだけのことだった。
訓練のない休日部屋でごろごろしていると、隣の部屋からとてつもない思念波を感じた。
(隣の部屋には薫と母しかいないはず。)
扉を開けて廊下を通り、隣の部屋に行く、ただそれだけの距離が果て無く遠く感じるほどの思念波。
無意識のうちに空間を捻じ曲げ、隣の部屋に転移する。
「かーちゃんのばかーーーーーーーーーーーーー!!」
転移して初めに目に入ったのは、宙に浮いている薫が母に向かって衝撃波を放っているところだった。
間に合わない、とっさに空気を固定し衝撃波を防ごうとした。
防げたはずだった、とっさの事とはいえ、薫の衝撃波を止められないはずがなかった。
だが現状で確かに、空気の壁を消し飛ばし、背後の壁を消し去った。
背後にいる母を守るため、最小限の防御をはる。
「やめろ薫!!」
しかし、返事はない完全に暴走している。
会話をした際の一瞬の油断、視線を逸らした一瞬の隙。
赤く光る宝石のような破片が、右目めがけて飛んできた、威力を殺し切れずに右目に直撃する。
(痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!・・・・・)
意識のすべてが痛みで埋まる。
しかし、今痛がっている場合ではない。
止めなくちゃ、こんな力を、放出し続けたら薫の幼いからだが耐えられない。
「とまれ!薫!!」
右手で、右目を抑えながら薫の力を突破し、ぎりぎり薫を気絶させる程度の力を放つ。
[念動力 当身]
薫からの力の流出が止まり、落下する。
落下の衝撃を最小限に抑えると、意識が薄れ床に倒れる。
最後に聞こえたのは、母の悲鳴だった。
ECMの対策は私の想像です。
1話前にUA1000記念の主人公プロフィールを投稿しました。
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