絶対可憐チルドレン-転生者の人生-   作:雅蓮

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第48話 遠切りで

[念動力・風よけ]

 

[念動力・熱光学迷彩]

 

陽と薫は雲の下ぎりぎりを、姿を隠しながら高速移動していた。

 

「にーちゃん、もっとスピード上げようぜ」

 

薫は陽の周りをぐるぐる回りながら、文句を言っていた。

 

Lv7の念動力を使用するものが二人いれば、体力と精神力の続く限り、際限なくスピードを上げることができる。

 

現状ですら、時速200㎞近く出ている。

 

その気になれば、いとも簡単に音速を超えることができる。

 

「これ以上速くすると、到着した時の衝撃波で皆本さんが吹っ飛ぶよ」

 

瞬間移動で移動することも考えたが、薫一人で来るよう要求されている以上、念動力以外のものを感知されるのはまずい。

 

最悪の場合、人質の命にすらかかわる可能性がある。

 

「ついた。」

 

陽は空中で停止し、森の中にある開けた廃校を指さす。

 

「いいかい薫ここからは別行動だ。」

 

詳細な作戦を指示する。

 

といっても、薫の念動力任せのなんのひねりもない作戦である。

 

現状、この山の中には薫と陽を除き、3人の超能力者が潜んでいる。

 

うち二人は、皆本と同じ廃校ないにいるが、最後の一人は、近くの採石場から廃校に向かっている。

 

「皆本さんの方は、超主夫力を発揮しているようだし・・・。」

 

何やら洗濯をしている皆本さんを発見。

 

「じゃあこっちは頼んだよ」

 

薫の方には、何人か援軍も向っているようだし。

 

「こっちは任せろ」

 

時速500㎞で採石場に向かう。

 

数秒後、採石場に足から突っ込む。

 

着地の衝撃で、クレーターが発生し同時に無数の石つぶてが、相手に降り注ぐ。

 

ついでに、踏み砕いた大きな岩塊を超能力で持ち上げて投げつける。

 

[念動力 石礫]

 

術後のわずかな静寂。

 

目標の位置に砂煙が立ち込める。

 

「・・・くっ!」

 

数m程後方へ瞬間移動する。

 

その瞬間、先ほどまでいた位置に無数の刀傷が生まれる。

 

「脱獄したと言う話は聞いてないけど」

 

姿の見えない相手に問いかける。

 

「・・・身代わりが投獄されている」

 

感情の希薄な声とともに、砂埃が晴れ相手の姿が現れる。

 

以前銀行強盗を行い、陽に逮捕された弥生が立っていた。

 

「・・・今度は死んでもらう」

 

弥生は構えていた刀を陽に向かい振り下ろす。

 

先ほどと同じように、瞬間移動を用いて攻撃を回避する。

 

彼女の攻撃は、斬撃の瞬間移動能力である。

 

間合いは関係なく、刀を振り下ろした瞬間斬られる。

 

しかし、前回とは徹底的に異なる点がある。

 

一振りで数回分の斬撃が現れる。

 

「あれからずいぶん修行したみたいだね。」

 

数回の攻撃を躱しながら、能力を考察する。

 

前回の戦闘では、人質がいる状況で迅速な行動を求められたためごり押したが、今回はその必要がないため攻撃を躱していく。

 

[武装召喚 浅打]

 

手元に特徴の少ない刀を呼び寄せる。

 

刀を腰に差しながら、弥生の攻撃を躱し続ける。

 

陽が回避した彼女の攻撃は、陽のやや後方の地面か、後方に位置する崖に対して斬撃を行っていた。

 

そして。もっとも弥生との距離が近い部分から、複数の刀傷だ広がっている。

 

間合いが、無いに等しい以上、こちらも遠距離での攻撃を行うか、一気に接近し相手の優位を消す必要がある。

 

しかし、陽は近づかず、攻撃もせずに弥生の、攻撃を待つ。

 

弥生は、引き続き刀を振り下ろす。

 

現れるであろう斬撃に対して、陽は切先を弥生に向ける

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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