月の大地に足を着ける。
数十年後あるは、数年後かもしれないが、有人宇宙船が月に降り立つことがあったらこの足跡をどのように捉えるだろうか・・・。
(最悪、宇宙人扱いかな)
いまだ試していない最後の能力を試しうちする。
接触感応を地球に向けて発動する。
普段は、対象となる人や人物に対してのみに絞っている。
でなければ、空間中に存在する空気を含めた微細な物質まで際限なく読み取ってしまい脳に余計な付加がかかってしまう。
しかし、今回は月の上大気は存在しない。
空間を漂う多少の物質は存在するだろうが、大気中ほどではない。
だんだんと、より探査の制度をあげていく。
デブリ アポロ時代の宇宙船のかけら 宇宙線 太陽光 何かの思念 少量の希ガス
ふむふむっと構成物質を解析していると
(・・・何かの思念?)
宇宙人の思念かと若干期待したが思念に暗号化された形跡があり、さらにその暗号化はかつて自分がとある海豚を参考に自作したものだった。
最近何かと多忙なバベルの知人に超能力を使用された場合、その一部を使用し思念波をとばすものだ。
皆本さんと賢木先生か・・・。
大方、チルドレン辺りだろうが・・・。
しかし、いつもと何かが違う。
妙な胸騒ぎに力試しを止め、地球に戻ることとする。
全力の数パーセントでも地球に戻るのに数分とかからない。
地球の衛星軌道上に移動し、徐々に高度を下げる。
念のため、宇宙空間で使用した気体は宇宙空間に廃棄する。
さすがに、直接部屋に行くのは状況がわからず危険と判断し、皆本宅のマンションの屋上に瞬間移動した瞬間・・・。
「うわっ!?」
薫の悲鳴がマンション側面から聞こえた。
「大丈夫か薫」
薫の無事を確認した後、部屋の中を見回す。
部屋の中には、明らかに人為的ではない風に家具が散乱していた。
一部壊れ、部屋中に散乱した家具を触りながら、接触感応を用いて事件の概要を読み解く。
中年の大男と薫と同い年ぐらいの金髪の少女が一人の二人組みでの強襲。
チルドレンたちの里帰り中を狙われたようだ。
目標は皆本さん、偶然居合わせた賢木先生は冷蔵庫に埋め込まれて気絶中。
接触感応で診た所、数時間は意識が戻らないだろう。
薫が冷蔵庫を壊し救出。
強襲してきた少女は薫のことを「女王」とよんでいた。(ついでに僕のことは「王」と)このことから、兵部少佐の部下のようだ。
壁には頭の悪そうな犯行声明文が貼り付けられていた。
兵部少佐の一派の犯行だとかおるに説明する。
「行くか薫?」
「・・・行くぜ兄ちゃん」
薫の家出イベントは陽入院中に発生しました。
原作との差異はほとんどなし。
彼氏君たちが陽に対抗意識を持つという微妙な裏設定が・・・。
今回の話には今後の展開にかかわる地味な複線があるのですが、
回収はいつになることやら・・・・。