絶対可憐チルドレン-転生者の人生-   作:雅蓮

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お待たせしました。


第42話 棘で

 棘。

 

 大佐から渡されたなぞの組織からの贈り物。

 

 日本に2人しかいない超度7の接触感応能力者の二人の調査を以ってしてもESPの痕跡は一切関知できなかった。

 

 非公式とはいえ、世界最高クラスの接触感応能力者二人がないといえばESPとの関わりはほぼ皆無であるといえるだろう。

 

 しかしそれは、大佐の使用したESPの痕跡すらも残っていない場合を除くが・・・。

 

 「大佐が痕跡を消したとは考えられない・・・。」

 

 陽は棘を空中に浮かせながら、首をかしげる。

 

 「私たちの、能力にも引っかからないなんてこと・・・。」

 

 大佐の件がなければ、この棘が能力にかかわりを持っている物質とは考えもしなかっただろう。

 

僕ら二人の能力に引っかからないのなら、あと何かわかる可能性があるのは兵部少佐くらいか・・・。

 

 「何かわかったかい?」

 

 接触感応用に作られた、部屋の中に皆本が入ることで、陽の思考が中断する。

 

 「いえ残念ながら先ほども報告しましたが、一切の痕跡がありませんでした。」

 

 棘を渡しながら報告を続ける。

 

 「だだ存在してきた記録しか残っていない感じです。」

 

 僕のほうでも知らべてみると言い残し皆本は去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  数日後

 

 棘の解体調査が行われると聞き、小学校をさぼって陽は調査に参加していた。

 

 ESPの痕跡が残っていないことから、かなりの超度のエスパーの存在が予想さるため、万が一に備えて陽が招集されていた。

 

 キーーーーーーン

 

 BABEL製の金属切断機が特有の甲高い音でうなりながら、棘に近づく。

 

 一瞬の間をおいて、切断機が棘の表面に触れ夥しい量の火花を上げながら少しずつ進んでいく。

 

 数瞬の間をおいて陽や皆本を含む幾人かが異変に気が付き機械を停止させる。

 

 「傷一つつかないのか・・・。」

 

 作業員の一人がぽつりとつぶやく。

 

 通常の金属ならいとも簡単に切り裂き、宇宙計画に使用される特殊な金属の加工にすら用いられる、金属切断機をもって傷一つつかないどころか、切断機側の接触部分が完全に摩耗してしまっている。

 

 次に、加熱、プラズマ、水、真空、化学薬品を用いての分解が用いられたが、そのすべてにおいて一切の効果が表れることはなかった。

 

 「こんな物質存在するのか?」

 

 驚愕している皆本。

 

 「通常ありえない物質だというのなら答えは一つしか考えられませんね」

 

 一枚の紙をもって実験室内に移動する陽。

 

 「謎が増えるだけだからこの手は使いたくなかったんだけどいいですよね?」

 

 観測室にいる皆本に確認する。

 

 皆本の了承を取った陽は手に持っていた紙を、棘と同じ座標に空間転移させる。

 

 

 

 空間転移にはいくつかのバリエーションが存在する。

 

 移動先に物質がある場合、その物質と移動する物質を入れ替える方法。

 

 移動先に物質がある場合そもそも発動しない方法。

 

 移動先の物質と、多次元的融合させる方法。

 

 そして今回、陽が用いた方法は移動先の物質を押しのけて物質を移動させる方法

 

 特殊な場合を除いてこの移動法を防ぐ方法は存在しない。

 

 紙の移動によって、棘は真っ二つに割れた・・・。

 

 ゾワッ!!

 

 悪寒、二つに割れた、棘が自身の存在を消滅させながら、腕程の太さを持つ金属製の蔓を実験室内に蔓延させる。

 

 「ちっ!!」

 

 舌打ちをしながら、実験室内の自分以外の人間を待機室へ瞬間移動させる。

 

 幸いにも、この蔓では待機室と実験室を隔てる特殊強化ガラスを打ち破れないようだ・・・。

 

 「すいません」

 

 失敗しましたと、皆本に報告する。

 

 [武装召喚 贄殿遮那(にえとののしゃな)

 

 武器を召喚し、超高温をもって蔓を断ち切り続ける。

 

 しかし、一向に変化はなく。

 

 棘はかなりの質量を呼び寄せている、このままでは内部からの圧力で待機室ごと潰されるだろう。

 

 次に、どのような罠が仕掛けられいるかわからない。

 

 (大切な資料だが、人の命には代えられない)

 

 [完全世界]

 

 空間を掌握し、すべてのESPを封印する。

 

 棘の召喚がとまり、蔓が動作を停止させる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 バッシュ!! 

 

 

 

 

 

 

 破裂音と共に、蔓から新たな棘が生まれ射出されていた。

 

 

 

 

 


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