絶対可憐チルドレン-転生者の人生-   作:雅蓮

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第36話 狩人で (2)

皆本の叫びがこだまする中、薫が陽の所にやってきた・・・。

 

「どーした? 薫?」

 

一人で行動してるなんて珍しい・・・。

 

「皆本相手だとちょっと分が悪くてさ、にーちゃんと協力しようと思ってね。」

 

そういって、薫は近づいてくる。

 

「ああ、そうするか・・・・」

 

陽が答えた瞬間、薫が一気に距離を詰める。

 

「二人目ゲット!!」

 

ESP錠を陽の腕にかける薫。

 

「さすがに、精神を好感した状態なら、実の兄にも気づかれないか!」

 

そういって「へへっ!」と笑いながら説明する。

 

しかし、拘束された陽は平然と説明を始めた。

 

「薫に化けるのはいい線行ってたたけど、たぶんその作戦は、チルドレン用の作戦だよ、僕にその程度の能力が見抜けないはずないだろ!」

 

手錠をかけたはずの、陽の姿が歪み、土人形の姿に変わる。

 

「高超度の念動力者が、こんな足場の悪い道を意味もなく歩いてくるわけがないだろ? とりあえず五感全てを支配するほどの幻覚はいまの超度じゃできないから、ちょっと他の能力を使わせてもらったよ。」

 

そういって、視覚と聴覚を操った状態の薫(新人)を式神で拘束する。

 

「その手の能力は、有効範囲が狭いでしょ。」

 

そういうと薫の肉体を、上空に瞬間移動させる。

 

次の瞬間、薫が意識を取り戻す。

 

「こ・・・ここは!?  こうしちゃいらんない! 皆本が!!」

 

突然、空から落ちている薫は、一瞬戸惑いながらも、おそらく精神を交換していたであろう新人の方へ飛んで行った。

 

それだけではないことを、感じ取った陽は、薫の後を追跡する。

 

しばらく、森林上空を飛んだあと、一本の木に降り立つと、薫が叫んだ。

 

「皆本を・・・返せ!!」

 

一瞬遅れて、陽が到着し、事態を把握する。

 

暴走した、新人(狼少女)が皆本を引きずり回していたようだ。

 

薫はそれを、精神交換中に知ったのだろう。

 

「イヤダ! アレハ、私ノモノダ!! モウモラッタ!!」

 

半獣化した姿で、薫に反抗する。

 

それを見た薫は、地面を爆破し攻撃するが、少女は、それを回避すると、上空にジャンプし頭上から攻撃する。

 

「私ノモト盗ル気!! 許サナイ!!」

 

あまりの速さに、薫の反応が一瞬遅れるが・・・。

 

陽が、薫の背後に回り込むと。

 

[一本背負い]

 

薫を攻撃するために突き出された腕をつかむと、そのまま地面へ投げ飛ばす。

 

「サンキュー、にーちゃん! それとな、何がお前のものだ!! 皆本はあたしのもんだーー!!」

 

薫が、大胆発言。

 

少女が一瞬怯む。

 

「そこまでだ!! 初音!! これでも食らえ!!」

 

次の瞬間、男の方の新人が現れ、ウサギを操り、初音と呼ぶ少女に差し出す。

 

少年の声に、反応した初音はウサギに食らいつく。

 

初音がウサギの頸椎をかみ砕くと、連動するかのように少年本体も首を抑えていた。

 

「オマエボス。 先、食エ、姐サン」

 

初音は、捕えた獲物を薫に差し出す。

 

「どーやら、薫の殺気に気圧されて、自分より上位と認めたようなんだ。」

 

薫たちの後ろで、首だけ出した状態で地面に埋められた皆本が、解説する。

 

「皆本さん!?」

 

心配する少年に皆本は・・・。

 

「初音くんは、ここを宝物の埋め場所に決めたらしい。 ・・・・出して!!」

 

それを聞いた陽が、笑いながら念動力で掘り出していた。

 

 

 

 

 

 

「合格!? 勝てなかったのにいーんすか!?」

 

宿木というらしい少年は、局長に聞いていた。

 

背後では、宿木の作った料理を、食べ続ける初音が居た。

 

「勝敗は重要ではないのだヨ! 実戦で起こりうる、不測の事態への対処テストなのだ。」

 

局長が、自慢げに説明するが後ろでは朧さんが、睨みを利かせていた。

 

「ところでさー、結局今回の勝者は誰なのさ? 誰も勝利条件を満たしてないけど。」

 

薫が、皆本に乗りながら、質問する。

 

「まぁ今回は、あまり勝敗は関係ないから、引き分けって所かな・・・。」

 

皆本が考えながら言う。

 

 

 

 

まぁ、いろいろあったが今回は、新たな仲間の誕生を祝うとしよう。

 

そう考える、陽であった。


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